THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)は、労働安全衛生法第69条第1項に基づいて事業者が努めるべき、働く人の心身両面にわたる健康保持増進の取り組みです。その進め方を定めた「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」は、昭和63年9月1日の公示第1号から数えて9回改正されており、現行版は令和8年2月10日公示の第12号です。ところが解説記事の多くは、10年以上前の指針にあった「運動指導担当者」「心理相談担当者」といった6職種の体制を、いまも必要な要件であるかのように紹介しています。この記事では現行指針の条文にあたり、いま実際に求められている措置と、令和8年改正で変わった点を整理します。
まとめ:現行THP指針の要点
- THPの根拠は労働安全衛生法第69条第1項(事業者の努力義務)で、その実施方法を定める指針は同法第70条の2第1項に基づいて公示されています。義務ではなく努力義務です。
- 現行指針は「令和8年2月10日 健康保持増進のための指針公示第12号」による改正版です。
- 令和8年改正で変わったのは、高年齢労働者への対応の参照先です。局長通達に基づく「エイジフレンドリーガイドライン」から、告示化された「高年齢者の労働災害防止のための指針」へ差し替わりました。
- 健康測定として指針が挙げるのは、身体機能セルフチェック・フレイルチェック・ロコモ度テストの3つです。健康指導は運動・メンタルヘルスケア・栄養・口腔保健・保健指導の5分野です。
- 令和2年3月31日の公示第7号改正で、産業医・運動指導担当者・運動実践担当者・心理相談担当者・産業栄養指導担当者・産業保健指導担当者という6職種の体制と「指導票」の仕組みは指針本文から削除されました。現行指針にこれらの語は一度も登場しません。
THPの正式名称と法的な位置づけ
「心とからだの健康づくり」を指す略称
THPはTotal Health promotion Planの頭文字で、厚生労働省と中央労働災害防止協会は日本語の呼称として「心とからだの健康づくり」を使っています。対象は特定の年齢層ではなく、事業場の全ての労働者です。指針は趣旨のなかで「事業場において、全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要である」と述べています。
混同されやすいのですが、THPは疾病の早期発見を目的とする健康診断そのものではありません。健康診断で異常を見つける段階から一歩進んで、運動や食生活、睡眠、ストレスへの対処といった生活習慣に働きかけ、健康障害が起きる前の状態を底上げする取り組みです。指針の言葉では「単に健康障害を防止するという観点のみならず、更に一歩進んで、労働生活の全期間を通じて継続的かつ計画的に心身両面にわたる積極的な健康保持増進を目指したもの」とされています。
労働安全衛生法第69条・第70条の2に基づく努力義務
THPの法的な骨格は2つの条文でできています。労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第69条第1項が、事業者に対して労働者の健康の保持増進のための措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めることを求めています。そのうえで第70条の2第1項が、この措置が適切かつ有効に実施されるよう厚生労働大臣が指針を公表する根拠となります。この第70条の2第1項を受けて公示されたものが「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」、通称THP指針です。
ここで押さえておきたいのは、罰則を伴う義務ではないという点です。健康診断(第66条)やストレスチェック(第66条の10)が実施義務であるのに対し、THPは努力義務にとどまります。指針も「全ての措置の実施が困難な場合には、可能なものから実施する等、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい」と明記しており、全項目の実施を求めていません。中小事業場が体制の不足を理由に着手をためらう必要はなく、できる措置から始める形が指針の想定どおりです。
THP指針の改正履歴と現行版(令和8年2月10日 公示第12号)
THP指針は昭和63年9月1日に健康保持増進のための指針公示第1号として定められ、その後9回改正されています。指針本文の冒頭に記載されている改正履歴は次のとおりです。
| 公示番号 | 年月日 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 公示第1号 | 昭和63年9月1日 | 制定 |
| 公示第2号 | 平成9年2月3日 | 改正 |
| 公示第4号 | 平成19年11月30日 | 改正 |
| 公示第5号 | 平成27年11月30日 | 改正 |
| 公示第7号 | 令和2年3月31日 | 改正 |
| 公示第8号 | 令和3年2月8日 | 改正 |
| 公示第9号 | 令和3年12月28日 | 改正 |
| 公示第10号 | 令和4年3月31日 | 改正 |
| 公示第11号 | 令和5年3月31日 | 改正 |
| 公示第12号 | 令和8年2月10日 | 最終改正(現行) |
番号が第2号から第4号へ飛び、第3号が欠けているのは誤りではありません。公示第3号は平成18年3月31日の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」、いわゆるメンタルヘルス指針に付された番号です。健康保持増進のための指針という同じ公示番号の系列に、THP指針とメンタルヘルス指針の2本が混在しているため、THP指針だけを追うと番号が飛んで見えます。第6号も同様に別の指針の番号です。
解説記事のなかには「5年ごとに改正される」と説明しているものがありますが、履歴を見るとおり改正の間隔は一定していません。平成9年から平成19年までは10年あいた一方、令和2年から令和5年にかけては4年で5回改正されています。自社の資料が古いかどうかは年数の経過ではなく、参照している公示番号で確かめてください。
令和8年2月改正による参照先の差し替え
令和8年2月10日の公示第12号による改正は、指針の骨格を組み替えるものではありません。変わったのは高年齢労働者への対応の参照先です。従来の指針は、加齢に伴う心身の機能低下への対応について「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)」を参照していました。現行指針ではこの記述が「高年齢者の労働災害防止のための指針(令和8年2月10日高年齢者の労働災害防止のための指針公示第1号)」に置き換わっています。参照先が通達から法律に基づく告示へ変わりました。エイジフレンドリーガイドラインは安全衛生部長通達(基安発)でしたが、新しい高年齢者の労働災害防止のための指針は、令和7年法律第33号による改正後の労働安全衛生法第62条の2第2項に基づく告示です。この高年齢者の労働災害防止のための指針は、基発0210第1号(令和8年2月10日、厚生労働省労働基準局長)により令和8年4月1日から適用されています。
医療保険者への健診結果の提供に本人同意は不要
現行指針は個人情報の保護への配慮の項に、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第27条第3項および第4項、健康保険法(大正11年法律第70号)第150条第2項および第3項等の規定を挙げ、医療保険者から定期健康診断に関する記録の写しの提供の求めがあった場合、事業者はこれを提供しなければならないとしています。そのうえで、この提供は個人情報の保護に関する法律第27条第1項第1号の「法令に基づく場合」にあたるため「第三者提供に係る本人の同意は不要である」と明記しています。
実務では、この一文の有無が対応を分けます。従業員の健診結果を健康保険組合へ渡すことに人事部門がためらい、同意取得の運用を組んでいた事業場は少なくありません。現行指針は、法令に基づく提供については同意が不要であると指針の側から示しています。40歳未満の労働者は特定健康診査の対象外であるため、事業者が実施する定期健康診断の結果が医療保険者に渡らなければ、この年代のデータは保健事業から抜け落ちます。コラボヘルスを名前だけの連携で終わらせないための手当てにあたる一文です。
THPで実施する措置の具体例
THPとして何をすればよいのかは、現行指針の「4(2)健康保持増進措置の内容」に具体的に書かれています。措置は労働者の健康状態の把握と、それを踏まえた健康指導の2段構えです。
健康測定として指針が挙げる3つのチェック
健康測定の定義は、令和2年の改正で大きく変わりました。かつての指針は健康測定を「疾病の早期発見に重点をおいた健康診断とはその目的が異なるもの」と位置づけ、健康診断とは別に実施するものとしていました。現行指針は「疾病の早期発見に重点をおいた健康診断を活用しつつ、追加で生活状況調査や医学的検査等を実施するもの」と定めています。健康診断とは別枠で一式そろえる必要はなく、既存の健診結果を土台に足りない項目を足す形でよいという整理です。
そのうえで現行指針は、筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防ぐ目的で、次の3つを具体例として挙げています。
- 転倒等のリスクを確認する身体機能セルフチェック
- 加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック
- 移動機能を確認するロコモ度テスト
健康測定は産業医等が中心となって行い、その結果に基づいて各労働者に必要な指導を決めます。実際に労働者へ働きかける場面では、事業場内の推進スタッフが本人に自分の健康状況を理解してもらうところから始めることが効果的だと指針は述べています。数値を渡すだけで終わらせず、本人が自分の状態を読み解けるようにする段階を挟むという考え方で、この点はヘルスリテラシーとは何か?健康情報を正しく理解し活用する力の定義と基本概念を徹底解説で扱う、情報を受け取る側の力を育てる発想と重なります。
健康指導の5分野
健康状態の把握を踏まえて実施する健康指導について、現行指針は次の5項目を含むものとしています。
| 分野 | 指針が示す内容 |
|---|---|
| 運動指導 | 生活状況・希望に配慮した運動の種類と内容 |
| メンタルヘルスケア | ストレスへの気付きの援助、リラクセーションの指導 |
| 栄養指導 | 食習慣・食行動の改善 |
| 口腔保健指導 | 歯と口の健康づくり |
| 保健指導 | 睡眠、喫煙、飲酒等に関する健康的な生活への指導 |
口腔保健指導が独立した項目として並んでいる点は見落とされがちです。歯科は健康診断の法定項目に含まれないため社内の健康施策から漏れやすいのですが、指針は運動や栄養と同格の柱として置いています。
メンタルヘルスケアの範囲には注意が要ります。指針が言うメンタルヘルスケアは「積極的な健康づくりを目指す人を対象にしたもの」で、内容はストレスへの気付きの援助とリラクセーションの指導です。ストレスチェックの結果に基づいて事業者が講じる措置とは趣旨も内容も異なります。高ストレス者への面接指導はストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10)の枠組みで行うものであり、THPの措置として代替できるものではありません。
高年齢労働者に対しては、フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくりを実施することが重要だとされています。フレイルチェックの結果によっては、市町村が提供する一般介護予防事業を利用できる可能性があるため、本人が住む市町村や地域包括支援センターに相談することもできると指針は案内しています。社内資源だけで抱え込まない選択肢が明示されている箇所です。
健康保持増進対策の進め方(指針が定める8つの基本事項)
現行指針は「3 健康保持増進対策の推進に当たっての基本事項」で、事業者が踏むべき手順を8つ示しています。方針の表明から評価までが一巡する構成で、PDCAサイクルとして説明されることが多い部分です。
| 順序 | 基本事項 | 指針が求める内容 |
|---|---|---|
| 1 | 健康保持増進方針の表明 | 事業者自らが支援すること等4項目を含む方針を表明 |
| 2 | 推進体制の確立 | 事業場内の実施体制を確立 |
| 3 | 課題の把握 | スタッフの知見を踏まえ課題を把握し措置を検討 |
| 4 | 健康保持増進目標の設定 | 一定期間に達成すべき到達点を明示 |
| 5 | 健康保持増進措置の決定 | 方針・課題・目標と事業場の実情から決定 |
| 6 | 健康保持増進計画の作成 | 措置の内容と実施時期、期間、評価と見直しを記載 |
| 7 | 健康保持増進計画の実施 | 適切かつ継続的に実施 |
| 8 | 実施結果の評価 | 結果を評価し新たな目標や措置へ反映 |
この8項目には、実務で効いてくる指定がいくつか含まれています。健康保持増進計画は「各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい」とされており、健康施策を安全衛生計画とは別立ての単独文書にしない前提です。また推進にあたっては、労使・産業医・衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用することとされ、衛生委員会の設置義務がない小規模事業場でも労働者の意見が反映されるようにする必要があると補足されています。推進単位についても、事業場単位だけでなく企業単位で取り組むことが考えられると明記されました。
課題の把握と目標の設定では、客観的な数値の活用が求められます。指針が例に挙げるのは定期健康診断の結果と、医療保険者から提供される事業場内外の複数の集団間の健康状態を比較したデータです。自社の有所見率が同業他社と比べて高いのか低いのかは、単独の事業場のデータだけでは判断できません。医療保険者との連携が、目標設定の精度に直結します。
個々への措置と集団への措置の組み合わせ方
現行指針は基本的考え方のなかで、健康保持増進措置を2種類に分けています。生活習慣上の課題を持つ労働者の健康状態の改善を目指して個々の労働者に実施するものと、生活習慣上の課題の有無にかかわらず労働者を集団として捉えて実施するもので、事業者は「それぞれの措置の特徴を理解したうえで、これらの措置を効果的に組み合わせて」取り組むことが望ましいとされています。
この2分法は公衆衛生でいうハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチにあたります。健診で引っかかった人だけを追いかける運用では、全体のリスク分布は動きません。両者の使い分けはポピュレーションアプローチとは?ハイリスクアプローチとの違いと具体例で詳しく整理しています。
集団への働きかけを設計するとき、指針は労働者の参加を促す工夫にも触れています。健康保持増進に関心を持たない労働者が一定数存在することを前提に、「労働者の行動が無意識のうちに変化する環境づくりやスポーツ等の楽しみながら参加できる仕組みづくり」に取り組むことが重要だとしています。参加率が上がらない施策を周知不足のせいにする前に、参加を前提としない設計になっているかを見直す余地があります。
現行指針から削除された6職種と指導票
THPの解説でいまも繰り返し登場するのが、産業医・運動指導担当者・運動実践担当者・心理相談担当者・産業栄養指導担当者・産業保健指導担当者という6職種を配置し、産業医が作成した指導票に基づいて各担当者が指導を行う、という体制の説明です。この記述は現行指針にありません。
平成27年11月30日の公示第5号版には、この6職種それぞれの役割と、別表で定める養成専門研修の分野・範囲・時間数が確かに記載されていました。産業医が健康測定を実施して個人ごとの指導票を作成し、それを他のスタッフに引き渡すという流れも条文になっていました。しかし令和2年3月31日の公示第7号による改正でこの構成は削除され、以降の指針本文に6職種の名称も「指導票」も「健康保持増進専門委員会」も一度も現れません。
現行指針が体制について求めているのは、事業場の実情に応じて産業医等・衛生管理者等・保健師等の事業場内産業保健スタッフおよび人事労務管理スタッフを活用し、各担当の役割を定めて体制を構築することです。専門スタッフについては「例えば労働者に対して運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行うことができる者、労働者に対してメンタルヘルスケアを行うことができる者等の専門スタッフを養成し、活用することも有効である」という記述にとどまります。決められた資格の保有者をそろえるのではなく、必要な機能を果たせる人を確保するという書き方に変わりました。
この違いは導入判断を左右します。6職種の配置を前提条件だと受け取ると、専門職を採用も養成もできない中小事業場はTHPに着手できないという結論になります。実際には現行指針にそのような要件はなく、産業医と衛生管理者に保健師を加えた体制で始めて構いません。外部委託の位置づけも変わりました。かつて指針が想定していた「労働者健康保持増進サービス機関」への包括委託という枠組みはなくなり、現行指針は事業場外資源として労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会や歯科医師会、地方公共団体等の地域資源、産業保健総合支援センターを挙げ、必要なサービスに応じて使い分けることを求めています。委託先を選ぶ際は「健康保持増進対策に関するサービスが適切に実施できる体制や、情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について、事前に確認する」ことが条件です。
資格制度そのものが消えたわけではない点は補足が要ります。中央労働災害防止協会は改正後のTHP指針に基づき、健康づくりを担当するスタッフの養成や能力向上に引き続き取り組んでいます。ただしそれは指針が配置を求める要件だからではなく、実務能力を高める手段としての研修です。社内資料や委託先の提案書が6職種の配置を必須要件として説明している場合、その資料は令和2年より前の指針を引き写している可能性が高いと考えてください。
THPと健康経営の違い
THPと健康経営は目的も根拠も別のものです。THPは労働安全衛生法第69条第1項に基づく努力義務で、所管は厚生労働省、目的は労働者の健康の保持増進そのものにあります。健康経営は経済産業省が推進する枠組みで、従業員の健康管理を経営課題として捉え投資と位置づける考え方です。法令上の義務ではなく、健康経営優良法人認定制度という顕彰制度を通じて広がってきました。
| 観点 | THP | 健康経営 |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働安全衛生法第69条第1項 | 法令上の義務なし(認定制度) |
| 所管 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
| 性格 | 努力義務 | 任意の取り組み |
| 基準文書 | 健康保持増進のための指針公示第12号 | 健康経営度調査・認定要件 |
実務上は対立するものではなく、THPで整えた健康保持増進計画と実施記録が、そのまま健康経営度調査の回答の土台になります。認定要件や申請の実際はホワイト500とは?ブライト500・ネクストブライト1000の違いと認定要件で扱っています。
順序としては、努力義務であるTHPを先に固めるほうが無理がありません。健康経営の認定を目標に据えると、加点項目を埋める作業が先行し、自社の有所見率という肝心の課題が後回しになりがちです。THPが求める課題の把握と目標設定は、その順序を逆にしない歯止めになります。
よくある質問
トータルヘルスプロモーションプランで実施されるのはどれか
現行指針が健康保持増進措置として挙げるのは、健康診断や健康測定による労働者の健康状態の把握と、それに基づく運動指導・メンタルヘルスケア・栄養指導・口腔保健指導・保健指導です。これらに加えて健康教育、健康相談、健康保持増進に関する啓発活動や環境づくりも措置に含まれます。高ストレス者への面接指導はストレスチェック制度の措置であり、THPの措置ではありません。
THPは全ての労働者が対象ですか?
対象は事業場の全ての労働者です。ただし健康測定や個別の健康指導は、把握した健康状態に応じて必要な人に実施するもので、全員に同一の指導を行うことまでは求められていません。
THPは義務ですか、罰則はありますか?
労働安全衛生法第69条第1項の努力義務であり、実施しないことに対する罰則はありません。ただし健康診断(第66条)やストレスチェック(第66条の10)は実施義務であり、これらを土台にTHPを組み立てる以上、法定の健康管理を怠ったまま健康増進施策だけを進めることはできません。
THP指導者の資格を取らないとTHPは実施できませんか?
できます。現行指針は特定の資格保有者の配置を要件としていません。6職種の配置と養成研修を定めていたのは平成27年11月30日の公示第5号までで、令和2年3月31日の公示第7号改正で削除されました。産業医等・衛生管理者等・保健師等の既存スタッフで体制を組み、不足する機能は事業場外資源で補う形が現行の想定です。
従業員の健診結果を健康保険組合に渡すのに本人の同意は必要ですか?
高齢者の医療の確保に関する法律第27条第3項・第4項、健康保険法第150条第2項・第3項等に基づく医療保険者からの求めに応じた定期健康診断の記録の写しの提供については、本人の同意は不要です。現行指針は、この提供が個人情報の保護に関する法律第27条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当すると明記しています。ただし、これは法令に基づく提供に限った話です。事業者が取得した健康情報を、当該労働者の健康保持増進のために必要な範囲を超えて利用してはならないという制限は変わりません。