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Napkin AIの安全性|入力データの学習利用・送信先・商用利用条件を規約原文で確認

Napkin AIは文章を貼り付けるだけで図解を生成するツールで、業務資料の下書きに使う場面が増えています。一方で「入力した文章はAIの学習に使われるのか」「機密情報を貼っても大丈夫か」という判断は、機能紹介の記事を読んでも確定しません。ここでは提供元の利用規約とプライバシーポリシーの原文、および個人情報保護委員会の見解にあたり、企業が入力してよい情報とそうでない情報の線引きを整理します。商用利用の条件と料金プランの差も、安全性に関わる範囲で扱います。

まとめ:Napkin AIの安全性の結論

規約原文を確認した結論は次のとおりです。図解の内容そのものはAIモデルの学習に使われないと明記され、送信先の第三者AIサービスも入力を学習に使わないと規約に書かれています。ただしAI機能の利用に関するインタラクションデータはモデル改善に使われ、その収集対象には生成に使ったテキストの一部が含まれます。これはオプトアウトが可能です。データは米国でホスティングされており、日本企業が個人データを入力する場合は個人情報保護法28条の規律がかかります。

したがって業務判断としては、公開前提の情報や一般論の図解に使うのは問題が小さく、個人データ・未公開の数値・NDA対象の受領情報を貼るのは避けるべきです。損害賠償の上限が契約上厳しく制限されている点も、機密性の高い情報を預ける判断を支持しません。以下、根拠となる条項を順に確認します。

Napkin AIの提供元と機能の範囲

Napkin AIは米国のSecond Layer, Inc.が提供するサービスで、入力した文章の構造をAIが解釈し、フローチャートや比較図、マインドマップなどのビジュアルに変換します。利用規約が収集対象の例として「your resulting visual selections」を挙げているとおり、AIが提示した複数の候補からユーザーが選ぶ方式で、画像編集ソフトの操作を必要としません。

日本語の文章からも図解を生成できますが、管理画面のUI表記は英語が中心で、生成された図解上の日本語も語の分かち方や改行位置が崩れることがあるため、書き出し前の手直しが前提になります。図解の内容が元の文章と食い違うケースもあり、これはAIが誤った内容をもっともらしく出力するハルシネーション(AI)とは?意味・原因・種類・対策を実例で解説で扱う現象と同じ性質のものです。図解は必ず元の文章と突き合わせて検証してください。

入力データの取り扱い(規約原文での切り分け)

安全性を判断するうえで最も誤解が多いのがこの部分です。「学習に使われるかどうか」は一つの答えではなく、対象データの種類ごとに規定が分かれています。

AI学習に使われる範囲とオプトアウト

利用規約1.3項は「Napkin does not use the content of your visuals for AI model training purposes.」と述べ、作成した図解の内容をAIモデルの学習には使わないと明記しています。学習利用とサービス改善のためのデータ収集を区別せずに解説している記事が多いため、原文で切り分けて読む価値がある箇所です。

同項は「However, Napkin may collect and use data pertaining to your interactions with our AI features to improve our models」と続きます。ここで重要なのは収集対象の具体例です。規約は「For instance, Napkin may collect and use the data about a specific text segment used for generation and your resulting visual selections.」として、生成に使ったテキストの一部と、ユーザーが選んだビジュアルを挙げています。つまり操作ログだけでなく入力文の断片が収集対象に入ります。

ただし規約はこのデータについて「This interaction data is anonymized first before any use to prevent identification back to you.」と匿名化を先に行うとし、オプトアウトの効果についても「If you opt out, your interaction data will not be recorded, stored, or used for model training purposes.」と、記録も保存もされなくなると明示しています。設定場所は個人利用者ならアカウント設定、組織利用ならTeamspace設定で、後者は管理者のみが操作できます。組織で使う場合は個人任せにせず、管理者が最初に設定を確定させるのが実務上の要点です。

入力テキストの送信先となる外部AIサービス

見落とされやすいのが処理の経路です。利用規約でユーザーはNapkinに対し「a worldwide, non-exclusive, royalty-free license to use, reproduce, process, and transmit Inputs to the Third Party AI Services solely for the purpose of generating Results」を付与します。入力内容を第三者のAIサービスへ送信する権限を含み、目的は生成に限定されています。

その第三者はプライバシーポリシーに実名で挙げられており、AI生成・処理はOpenAIとGemini、ホスティングはGoogle Cloud Platformです。ほかにIntercom、Sendgrid、Mailmodo、Sentry、Google Analyticsが主なものとして列挙されています。入力した文章はNapkin社内にとどまらず、Google(Google Cloud PlatformとGemini)とOpenAIのいずれかを経由します。

この点について規約は踏み込んだ表明をしており、1.3項に「For clarity, no Third Party AI Service will use Inputs to train any artificial intelligence models or machine learning tools.」と、送信先の第三者AIサービスも入力を学習に使わないと明記しています。安全性を検討する読者にとって最も重要な一文ですが、これはNapkinによる表明であって、OpenAIやGoogleが読者に対して直接約束したものではありません。委託先の連鎖まで書面で確認する社内審査を通す場合は、Napkinとのデータ処理契約でこの表明を担保する形にしてください。

保存期間と削除後に残るデータ

プライバシーポリシーは「Account-related data (such as email, preferences, visuals, input text) is kept as long as your account is active.」として、入力テキストを含むデータをアカウントが有効な間は保持すると述べています。アカウントを削除した場合は「most personal data is scheduled for deletion immediately from active systems」とされる一方、「some data may be temporarily retained in secure backups for a limited period」と続き、バックアップ上には一定期間残ります。

この規定から導かれる実務上の帰結は明確です。機密情報を誤って入力してしまった場合、該当ページを削除しても即座に完全消去される保証はありません。誤入力は「削除して対処する」のではなく「入力させない」ことでしか防げないため、後述する入力禁止項目の明文化が対策の中心になります。

暗号化と第三者認証の公開状況

技術的な保護措置として、プライバシーポリシーは「All data is encrypted in transit using HTTPS/TLS protocols. Sensitive data stored on our servers is encrypted at rest.」と記載しています。通信の暗号化は全データ、保存時の暗号化は機微なデータが対象という書き分けです。

一方、SOC 2 Type IIやISO/IEC 27001の取得については、2026年7月30日時点で利用規約・プライバシーポリシーおよびサイト内を確認した範囲では記載が見当たりませんでした。取得していないと断定はできませんが、第三者認証の提示を調達要件にしている組織にとっては、公開情報だけでは要件を満たせない状態です。認証状況とデータ処理契約の書面は提供元へ直接照会するのが最短です。

日本企業が入力前に整理すべき個人情報保護法の当てはめ

ここは競合記事がほぼ触れていない論点ですが、企業利用では避けて通れません。データが米国でホスティングされている事実が、そのまま法的な要件に直結します。

外国にある第三者への提供として28条が適用される理由

プライバシーポリシーは「We are based in the United States and our data is currently hosted on secure cloud infrastructure based in the United States.」と述べています。個人データを入力する行為は、外国にある第三者へ個人データを提供することにあたります。

ここで「これは委託だから第三者提供ではない」と考えるのが典型的な誤りです。個人情報保護委員会のFAQは、外国にある第三者に個人データの取扱いを委託する場合について、法28条1項に基づく本人同意が必要になると回答しています。国内の委託であれば法27条5項1号で第三者提供に当たらないと整理できますが、提供先が外国にある場合は28条の規律が別にかかります。

もう一つ検討すべきは、クラウドサービスの例外に当たらないかという点です。同委員会のFAQは外国事業者が運営するサーバについて「当該サーバに保存された個人データを取り扱わないこととなっている場合には、外国にある第三者への提供に該当しません」とし、具体例として「契約条項によって当該事業者がサーバに保存された個人データを取り扱わない旨が定められており、適切にアクセス制御を行っている場合」を挙げています。Napkin AIはこれに当たりません。規約が入力内容を使用・複製・処理・送信するライセンスを取得し、プライバシーポリシーが入力テキストをアカウント有効期間中は保持すると明記しているため、「取り扱わないこととなっている」状態とは反対の構成です。したがって28条の規律が適用されます。

同意が不要となる例外は3つに限られます。施行規則15条が定める「我が国と同等の水準にあると認められる国」にある第三者への提供、施行規則16条が定める基準に適合する体制を整備している第三者への提供、そして法27条1項各号の例外に該当する場合です。1つ目の対象国は平成31年個人情報保護委員会告示第1号に基づき、同委員会FAQの記載では令和3年(2021年)9月時点でEUと英国が該当し、米国は含まれません。同意を取る方式を選ぶなら、施行規則17条2項から4項までに定める情報を事前に本人へ提供する義務も生じます(法28条2項)。用語の定義や適用範囲の全体像は個人情報保護法とは?その定義と基本的な概念を解説で確認できます。

入力禁止項目として明文化すべき情報

法的要件を毎回個別に判断させる運用は現場で破綻します。禁止する情報を列挙して社内規程に落とすほうが確実です。

情報の種類 判断 根拠
氏名・メール・電話等の個人データ 入力しない 法28条(同意/体制整備)
顧客名・案件名を含む提案内容 入力しない NDA違反リスク
未公開の売上・原価・見込数値 入力しない バックアップ保持・責任上限
公開済み資料・IR情報の要約 入力可 公開情報
一般論・技術解説の図解 入力可 秘密情報を含まない

実データを図解にしたい場合は、氏名を「顧客A」、金額を桁だけ合わせたダミー値に置換してから入力する運用が現実的です。どの情報がどう流出しているかという発生傾向は個人情報漏えい件数の推移をグラフで解説|最新データと過去最多(約1.9万件)で確認できます。

商用利用とライセンス条件

安全性の判断は、法務面のもう一方の軸である著作権と利用許諾にも及びます。ここには規約を読まないと気づかない制約が1つあります。

商用利用が認められる範囲

利用規約は生成物の利用について「You may use Generated Output in accordance with these Terms, including but not limited to commercial resale, marketing materials, scientific research, educational purposes, business presentations, and other professional or personal uses」と述べています。商用の再販、マーケティング資料、研究、教育、業務プレゼンテーションが明示的に含まれており、生成物の商用利用そのものに制限はありません。無料プランで作成した図解には透かしが入るため、社外配布物に使うなら有料プランが前提になります。

ここで許容されているのは生成物の利用であって、サービス自体の利用ではありません。1.6項(a)は「you shall not license, sell, rent, lease, transfer, assign, reproduce, distribute, host or otherwise commercially exploit the Services or any portion thereof」と定めており、Napkin AIの機能を自社サービスに組み込んで再販する形は認められていません。

Individual Componentsの単独利用が禁じられる理由

制約はここです。規約4.6項は「Individual Components remain the property of Napkin and/or its licensors」として、図解を構成する個々の素材の所有権はNapkin側に残ると定め、ユーザーは「may not extract, reproduce, distribute, or separately use Individual Components outside of the Generated Output in which they appear」と規定されています。さらに「Any attempt to separate or use Individual Components independently is prohibited.」と、切り離す試み自体を禁じる一文が続きます。

禁じられているのは販売だけではありません。抽出、複製、配布、単独での利用のいずれも、生成された図解の外へ持ち出す形では認められていません。気に入ったアイコンだけを切り出して別のスライドやWebサイトのパーツに流用する行為は、無償の社内利用であっても規約に反します。生成された図解は分解せず1枚の成果物として扱う、という運用ルールにしておくのが安全です。

生成物の著作権が「if any」と条件付きで書かれる意味

生成物の権利について規約は「you retain your ownership rights, if any, in the AI generated visuals, content, and other works generated through Napkin’s AI Services」と述べます。注目すべきは「if any」の2語で、権利が存在する場合には保持するという条件付きの書き方になっています。

これは提供元が生成物への著作権の発生自体を保証していないことを意味します。AI生成物に著作権が生じるかは各国の法制度と創作的寄与の程度によって判断が分かれる領域であり、規約はその判断に踏み込まずに留保しています。生成した図解を自社の独占的な資産として第三者の利用を排除したい場合、この条項を根拠にはできません。他社に真似されたくない図表は、Napkin AIで作った図解をそのまま使うのではなく、社内で作り直す判断が必要です。

料金プランと運用統制に関わる差

プランの違いは費用だけでなく、透かしの有無や管理者統制の可否という運用面にも及びます。無料プランで検証してから組織展開する場合は、統制機能が有料プラン側にある点を踏まえてください。

プラン 月額(1人) AIクレジット 書き出し形式 透かし
Free 0ドル 週500 PNG・PDF あり
Plus 9ドル 月10,000 PNG・PDF・PPT・SVG 削除可
Pro 22ドル 月30,000 PNG・PDF・PPT・SVG 独自ブランド設定
Enterprise 個別見積 要問合せ 要問合せ 要問合せ

AIクレジットは図解の生成時に消費され、公式の料金ページは生成対象として選択した1語あたり約1クレジットと説明しています。長文をまとめて投入すると想定より早く上限に達するため、章ごとに分けて投入するほうが消費を読みやすくなります。年額払いは月額比で25%割引と明記されていますが、価格は改定されるため契約前に公式ページで確認してください。前述したTeamspace設定によるオプトアウトはチーム管理機能に含まれるため、Plus以上が組織利用の下限になります。

導入判断:使ってよい場面と避けるべき場面

ここまでの条項を踏まえた判断を示します。結論として、Napkin AIは「公開してよい情報を図解する道具」としては十分に使えますが、「機密情報を預ける基盤」としては要件を満たしません。

使ってよい場面は、自社が公開済みの資料やIR情報の要約、技術解説やナレッジ共有の一般論、社外公開を前提としたブログや登壇資料の下書きです。これらは入力時点で秘密性がないため、送信先が外部AIサービスであっても追加のリスクが生じません。

避けるべき情報の中で最も判断が明確なのは、個人データを含む入力です。米国への提供となり法28条の同意または施行規則16条の体制整備が必要で、これを整えずに入力すれば法令違反の構成になります。次に未公開の財務数値や顧客名・案件名です。バックアップ上に一定期間残る規定があるうえ、規約は提供を「”AS IS” AND “AS AVAILABLE” BASIS, WITH ALL FAULTS」とし、12.2項で賠償額を、直前1か月の支払額、100ドル、請求の根拠となる法令が定める救済または制裁額のうち最も大きい額に制限しています。法定の救済が別に用意されている類型を除けば、実質的な上限は月額数十ドル規模にとどまります。NDAで受領した他社の秘密情報も、第三者への送信を伴うため多くの秘密保持契約の再開示禁止条項に触れます。

紛争になった場合の手続も確認しておく必要があります。規約16.1項は原則として裁判ではなく拘束的仲裁で解決すると定め、16.5項で米国仲裁協会が運営すると規定しています。ただし16.10項により、30日以内に[email protected] へ書面で通知すれば仲裁条項をオプトアウトできます。企業として導入する場合は、この期限内に判断しておく価値があります。いずれの手続でも米国を舞台にした争いになるため、契約上の救済を前提にした運用設計は成り立ちません。

運用面では、生成した図解からアイコンだけを抜き出して別資料に流用する行為が最も起こりやすい規約違反です。4.6項で明確に禁じられているため、社内展開時に周知してください。第三者認証を調達要件にしている組織は公開情報では要件を満たせないため、Enterpriseの問い合わせ窓口で認証状況とデータ処理契約の書面を求めてから判断してください。

よくある質問

Napkin AIに入力した文章はAIの学習に使われますか?

利用規約は図解の内容をAIモデルの学習には使わないと明記し、送信先の第三者AIサービスも入力を学習に使わないとしています。ただしAI機能のインタラクションデータはモデル改善に使われ、その収集対象には生成に使ったテキストの一部が含まれます。このデータは匿名化されたうえで使われ、オプトアウトすれば記録も保存もされません。

機密情報を入力してしまった場合、ページを削除すれば消えますか?

完全に消える保証はありません。プライバシーポリシーはアカウント削除時に稼働システムからは即時削除を予定するとしつつ、一部データが一定期間バックアップに残ると記載しています。削除で対処するより、入力を禁止する運用で防ぐべき領域です。

Napkin AIで作った図解は商用利用できますか?

できます。規約は商用の再販、マーケティング資料、研究、教育、業務プレゼンテーションを明示的に許容しています。ただし図解を構成する個々の素材を切り出して単独で使うことは、販売でなくても禁じられています。無料プランには透かしが入るため社外配布には有料プランが必要です。

無料プランでも安全性の条件は同じですか?

規約とプライバシーポリシーの適用は共通で、暗号化やデータの取り扱いに差はありません。違いは統制手段の側にあり、チーム管理機能はPlus以上で提供されるため、無料プランではオプトアウト設定が各利用者の手元に委ねられます。

Napkin AIは日本語に対応していますか?

日本語の文章から図解を生成できます。管理画面のUIは英語表記が中心で、生成された図解上の日本語も改行や語の区切りが崩れることがあるため、書き出し前の調整を前提にしてください。

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