相続税と贈与税は、どちらも最高税率が55%です。それでも「贈与税のほうが高い」と言われるのは、税率表の刻み方と控除の大きさが違うからです。ここでは国税庁の速算表を並べたうえで、同じ1,000万円を渡したときにいくらかかるかを実額で確認します。あわせて、生前贈与の加算期間が2026年内の相続ではまだ3年である点、教育資金の一括贈与が2026年3月末で終わった点など、直近で変わった境界も国税庁の資料で押さえます。
まとめ
結論から言うと、財産の規模と渡し方によって答えが入れ替わります。要点は次のとおりです。
- 同じ1,000万円でも、親から成人の子への贈与なら贈与税177万円。一方、遺産1億円を子2人が相続した場合の相続税は総額770万円で、実効7.7%にとどまります。
- 贈与税を納めるのは財産を渡した側ではなく、受け取った側です。申告期限は贈与を受けた年の翌年3月15日です。
- 暦年贈与の110万円は受け取る側1人ごとに使えます。子2人・孫4人なら年660万円まで贈与税はかかりません。ただし相続で財産を取得した人への贈与は、加算対象期間に入れば相続財産に足し戻されます。
- 生前贈与の加算期間は、被相続人の相続開始日が令和8年(2026年)12月31日以前ならまだ3年以内です。7年がそのまま適用されるのは令和13年(2031年)1月1日以後の相続からです。
- 教育資金の一括贈与1,500万円非課税は令和8年3月31日で終了しました。今から新規に使うことはできません。
以下、速算表と計算過程を順に見ていきます。
相続税と贈与税の速算表と1,000万円を渡したときの税額
相続税の速算表の当て先は法定相続分に応ずる取得金額
相続税は、遺産総額にそのまま税率を掛けるのではありません。国税庁のタックスアンサーNo.4155によれば、正味の遺産額から基礎控除額を引いた課税遺産総額を、いったん法定相続分で按分し、その按分後の金額に税率を掛けます。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
按分してから税率を当てるため、相続人の人数が多いほど1人あたりの取得金額が小さくなり、適用される税率も下がります。ここが贈与税との実効負担の差を生む最大の要因です。
贈与税の速算表は一般税率と特例税率の2本立て
贈与税は、1月1日から12月31日までに受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を引いた金額に税率を掛けます。速算表は2種類あり、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の人が父母や祖父母など直系尊属から受けた財産には特例税率、それ以外には一般税率を使います。兄弟間、夫婦間、未成年の子への贈与はいずれも一般税率です。
| 基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 一般・控除額 | 特例税率 | 特例・控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 400万円 | 55% | 640万円 |
2つの表が分かれ始めるのは基礎控除後300万円を超えたところ、贈与額でいえば410万円からです。それ以下の帯は税率も控除額も同じ値なので、どちらを使っても税額は変わりません。410万円を超えると特例税率のほうが低い税率帯に収まり、差が開いていきます。なお一般税率の3,000万円超は税率55%・控除額400万円で1本です。
1,000万円なら贈与税177万円、1億円の相続なら総額770万円
実際に当てはめます。父から成人の子へ1,000万円を贈与した場合、基礎控除110万円を引いた890万円に特例税率30%を掛けて控除額90万円を引くので、贈与税は177万円です。同じ1,000万円でも兄から弟への贈与なら一般税率40%・控除額125万円で231万円となり、54万円の差が出ます。
相続の側も計算します。遺産1億円を子2人が相続する場合、基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円なので、課税遺産総額は5,800万円です。これを法定相続分1/2ずつに按分した2,900万円に15%を掛けて50万円を引くと385万円、2人分で相続税の総額は770万円になります。財産に対する実効負担は7.7%です。
逆に、1億円を一度に子1人へ贈与すると、9,890万円に特例税率55%を掛けて640万円を引き、贈与税は約4,800万円になります。相続の770万円に対して6倍以上です。一括で動かすと贈与税が圧倒的に不利になるのは、この刻みの差によります。
贈与税を納めるのは渡した側ではなく受け取った側
贈与税の納税義務者は、財産をもらった人です。親が子の口座へ振り込んだ場合、申告書を出して納税するのは子であり、親ではありません。相続税も同じく、財産を取得した相続人や受遺者が納めます。「渡した側が払う」と誤解したまま放置すると、そのまま無申告になります。
期限も税目で異なります。贈与税は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納付します。相続税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。贈与税は毎年繰り返し発生しうるのに対し、相続税は一度きりという違いも、この期限の差に表れています。
基礎控除の差が分かれ目をつくる仕組み
相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税は、課税価格の合計額が基礎控除額を超えなければ課税されません。基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円が無税のラインになります。養子がいる場合、法定相続人の数に含められる養子は実子がいれば1人、実子がいなければ2人までです。
死亡保険金にも別枠があります。国税庁のタックスアンサーNo.4114によれば、被相続人が保険料を負担していた死亡保険金を相続人が受け取った場合、500万円×法定相続人の数までは相続税がかかりません。ここで注意したいのは、放棄した人の扱いが2か所で逆になることです。非課税を使えるのは相続人に限られ、相続を放棄した人や相続権を失った人は対象外です。一方、500万円に掛ける法定相続人の数は、放棄がなかったものとした場合の人数で数えます。相続人以外の人が受け取った死亡保険金にも非課税の適用はありません。
実際にどれくらいの世帯が課税されているのかは、国税庁の「令和6年分 相続税の申告事績の概要」でわかります。令和6年分の死亡者数1,605,378人に対し、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は166,730人で、課税割合は10.4%でした。課税価格の総額は23兆3,846億円、申告税額の総額は3兆2,446億円なので、被相続人1人あたりに直すと課税価格14,025万円・税額1,946万円になります。課税されるのは10人に1人で、残りは基礎控除の範囲に収まっているということです。
暦年贈与の110万円の枠は受け取る側1人ごと
贈与税の基礎控除110万円は、渡す側ではなく受け取る側1人につき年1回分です。父と母がそれぞれ子に110万円ずつ渡しても、子から見れば合計220万円の受贈なので110万円を超えた分に課税されます。逆に、父が子2人と孫4人の計6人へ110万円ずつ渡せば、受け取る側はそれぞれ110万円なので合計660万円に贈与税はかかりません。
ここが相続税との構造的な違いです。相続税は遺産総額という1つの塊に課税されますが、贈与税は受贈者ごとに課税ベースが割れます。受け取る側の人数を増やすほど1人あたりの金額が下がり、低い税率帯に収まります。
実効税率が並ぶのは年360万円前後
では毎年いくらまでなら贈与が有利なのか。先ほどの遺産1億円・子2人のケース(相続税の実効7.7%)を基準に、特例税率で逆算します。子1人へ年310万円を贈与すると課税価格200万円で贈与税20万円、贈与額に対する負担は6.5%です。年510万円なら課税価格400万円で贈与税50万円、負担は9.8%に上がります。両者の間で7.7%と並ぶのは、贈与額でおよそ年360万円です。
ここで比べたのは相続税の平均税率です。贈与で実際に減らせるのは遺産のうち最も高い税率が当たる部分なので、この設例なら限界税率15%と比べるほうが実態に近く、有利と言える贈与額はもう少し上に伸びます。年360万円は保守的に置いた下限です。またこの比較は、贈与が後述する加算対象期間の外で完了することが前提になります。
生前贈与の加算期間は2026年内の相続ならまだ3年
「生前贈与は7年さかのぼって相続財産に足し戻される」という説明が広く出回っていますが、2026年9月時点で相続が起きた場合の加算対象期間は3年です。相続税法19条を受けた国税庁のタックスアンサーNo.4161は、被相続人の相続開始日に応じた加算対象期間を次のように定めています。
| 被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 令和8年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 令和9年1月1日から令和12年12月31日まで | 令和6年1月1日から死亡の日まで |
| 令和13年1月1日以後 | 相続開始前7年以内 |
7年がそのまま適用されるのは令和13年(2031年)1月1日以後の相続です。移行期にあたる令和9年から令和12年までは、令和6年1月1日を起点に、死亡の日までの期間が加算対象になります。期間が段階的に伸びていく設計なので、「もう7年になった」と早合点して贈与を止めてしまうのは損です。
加算されるのは誰への贈与かも押さえてください。No.4161が対象者としているのは「相続等により財産を取得した人」です。相続や遺贈で何も受け取らない孫やひ孫は、生前に贈与を受けていても加算の対象になりません。逆に、遺言で財産をもらう孫や、死亡保険金の受取人になっている孫は取得した人にあたるため加算されます。子2人・孫4人へ年660万円という設計が加算を避けられるかどうかは、この一点で決まります。
延長された部分には緩和もあります。相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合、加算対象期間のうち相続開始前3年以内より前に受けた財産については、その合計額から100万円を控除できます。また、加算対象期間内の贈与は、贈与税がかかったかどうかに関係なく加算されます。基礎控除110万円以下の贈与や、亡くなった年に受けた贈与も対象です。
一方、加算しなくてよい贈与もあります。贈与税の配偶者控除の適用を受けた金額のうち控除額に相当する部分、住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金の各非課税特例で非課税とされた金額です。ただし教育資金と結婚子育て資金については、贈与者が亡くなった時点の管理残額が相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税価格に加算される場合があります。使い切っていない残額は外れないという理解が必要です。
暦年課税と相続時精算課税の選び分け
相続時精算課税は、贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母や祖父母から、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の子や孫へ財産を渡す場合に選べる制度です。贈与者ごとに選択でき、翌年2月1日から3月15日までに相続時精算課税選択届出書を出します。
令和6年1月1日以後の贈与からは、この制度にも年110万円の基礎控除が付きました。これを引いた残額から特別控除2,500万円を引き、なお残る部分に一律20%を掛けます。重要なのは、この年110万円の基礎控除分は相続時に相続財産へ足し戻されないことです。暦年課税の110万円が加算対象期間内なら足し戻されるのと対照的で、高齢で相続開始が近い場合はこちらのほうが確実に外れます。
ただし、いったん選ぶと同じ贈与者からの贈与は以後すべてこの制度になり、暦年課税へは戻せません。特別控除2,500万円は期限内申告書を提出した場合に限り使えるため、申告忘れは即座に20%課税につながります。値上がりが見込まれる財産を贈与時の価額で固定できる利点はありますが、値下がりすれば逆に高い評価額で相続税を計算されます。撤回できない以上、財産の値動きの見込みが立つ場合に限って選ぶべきです。
不動産で答えが逆転する評価と特例の差
ここまでは現金を前提にしてきましたが、渡すものが不動産だと結論が変わります。国税庁のタックスアンサーNo.4602によれば、相続税・贈与税で土地を評価する方法は路線価方式か倍率方式で、家屋は固定資産税評価額に1.0を掛けた金額です。売買価格そのものではなく、この定められた方法で評価します。評価方法は相続でも贈与でも同じなので、評価額だけでは差が出ません。
差が出るのは特例です。措置法69条の4の小規模宅地等の特例は、被相続人等が居住していた宅地について330平方メートルまで評価額を80%減額できますが、これは相続や遺贈で取得した宅地に限られます。生前贈与で先に渡してしまうと使えず、相続時精算課税による贈与で取得した宅地等も適用対象外です。精算課税は相続財産に足し戻されるのに、この特例だけは使えません。
贈与側にも専用の枠があります。No.4452の贈与税の配偶者控除、いわゆるおしどり贈与です。婚姻期間が20年を過ぎた夫婦の間で居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産へ現実に住んでおり、その後も住み続ける見込みであることが要件で、同じ配偶者からは一生に一度しか使えません。適用には贈与税の申告が必要で、添付書類は戸籍の謄本または抄本、戸籍の附票の写し、居住用不動産の登記事項証明書等の3点です。前2つは贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成されたものでなければならず、先に取っておいた謄本は使えません。
ただし小規模宅地等の特例は、相続なら誰が取得しても使えるわけではありません。取得者ごとに要件があり、配偶者は無条件ですが、同居していた親族は申告期限まで居住と保有を続けることが必要です。同居していない親族の場合は、被相続人に配偶者がいないこと、相続開始前3年以内に自分や配偶者、三親等内の親族等が所有する家屋に住んでいないことなど6要件をすべて満たさなければなりません。持ち家のある別居の子は使えないのが通常です。使い分けの目安は、この要件を満たせるかどうかです。配偶者や同居の子へ自宅敷地を残すなら相続を待つほうが有利で、配偶者へ自宅を移したいならおしどり贈与が選択肢になります。なお負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で取得した土地家屋は、贈与税の計算上は通常の取引価額で評価されます。
遺産分割協議書の遅れが招く税額軽減の不適用
相続税を大きく下げる制度は、遺産の分け方が決まっていることを前提にしています。相続税法19条の2の配偶者の税額の軽減は、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6千万円か法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかからない制度ですが、国税庁のタックスアンサーNo.4158は「相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません」と明記しています。
手続面でも、申告書には戸籍謄本等のほか、遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど配偶者の取得した財産がわかる書類を添える必要があります。遺産分割協議書の写しには、協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書も添付します。小規模宅地等の特例も同様に、分割済みであることが前提です。
間に合わない場合の逃げ道はあります。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておけば、申告期限から3年以内に分割したときに税額軽減の対象になります。やむを得ない事情で3年を超える場合も、税務署長の承認を受ければ、事情がなくなった日の翌日から4か月以内の分割で救済されます。ただし承認は自動ではありません。分割がまとまらないまま申告期限を迎え、見込書も出していなければ、本来かからないはずの税額をいったん納めることになります。
名義預金と定期贈与が否認される理由
贈与の形式を整えないまま渡した財産は、相続時に被相続人の財産として認定されます。典型が名義預金です。子や孫の名義で口座を作っても、通帳と印鑑を渡した側が管理し、名義人が入出金できる状態になければ、財産の支配は移っていないと判断されます。もらった側がその口座の存在を知らないケースは特に否認されやすい形です。
もう1つが定期贈与です。毎年同じ時期に同じ金額を10年渡すと、当初から総額を贈与する約束があったとみなされ、初年に総額へ課税される余地が生じます。贈与のたびに贈与契約書を作り、金額と時期を変え、受け取る側の口座へ振り込んで記録を残すのが基本の防ぎ方です。
実際の調査規模も公表されています。国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、相続税の実地調査は9,512件で、申告漏れ等の非違件数は7,826件、非違割合は82.3%でした。実地調査1件あたりの申告漏れ課税価格は3,093万円、追徴税額は867万円です。文書や電話による簡易な接触も21,969件行われ、1件あたり申告漏れ課税価格511万円・追徴税額63万円という結果でした。税務調査の定義や目的を押さえたうえで、記録を残す習慣をつけておくのが現実的な備えです。
贈与税側はさらに特徴的です。同事務年度の贈与税の実地調査は2,778件、申告漏れ等の非違件数は2,582件で、そのうち無申告事案が83.4%(2,154件)を占めます。財産別の非違件数では現金・預貯金等が62.9%(1,754件)で最も多く、有価証券14.2%、土地2.8%と続きます。狙われているのは不動産ではなく、口座の間を動いた現金です。指摘を受けた後の負担については申告漏れで発生するペナルティの仕組みを、さかのぼられる年数については税務調査で対象になる年数の考え方を参照してください。
非課税特例の現況と、終了した教育資金一括贈与
使途を限定した非課税特例は、期限が個別に決まっています。2026年9月時点の状況を整理します。
| 特例 | 非課税限度額 | 適用期限 |
|---|---|---|
| 住宅取得等資金 | 省エネ等住宅1,000万円/それ以外500万円 | 令和8年12月31日まで |
| 結婚・子育て資金 | 1,000万円 | 令和9年3月31日まで |
| 教育資金 | 1,500万円 | 令和8年3月31日で終了 |
教育資金の一括贈与は、タックスアンサーNo.4510に「令和8年3月31日までとされていた適用期限が延長されずに終了することとされたため、令和8年4月1日以後については、この特例の適用を受けることはできません」と記載されています。今から新しく契約することはできません。ただし令和8年3月31日までに適用を受けた信託受益権や金銭等には、引き続きこの特例が適用されます。既に口座を作っている場合の取り扱いが消えたわけではない点は区別してください。
住宅取得等資金は令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与が対象で、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外は500万円までが非課税です。省エネ等住宅と認められる基準は家屋の区分で異なります。新築および建築後使用されたことのない住宅は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上ですが、建築後使用されたことのある住宅と増改築等をした住宅は断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上で足ります。耐震等級2以上または免震建築物、高齢者等配慮対策等級3以上という基準はいずれの区分にも共通で、この3つの性能のどれか1つを満たせば該当します。住宅性能証明書などを贈与税の申告書に添付して証明する必要があり、書類の添付を落とすと非課税は受けられません。
結婚・子育て資金は令和9年3月31日までで、18歳以上50歳未満が対象です。信託受益権等を取得した日の属する年の前年分の合計所得金額が1,000万円を超える人は使えません。いずれの特例も、期限内の申告や証明書類の添付が要件になっています。手続の不備で非課税が否定されれば、通常の贈与税がそのままかかります。納付書の税目番号や入手先で迷う場合は国税納付書の書き方と税目番号一覧を確認してください。
よくある質問
贈与税は渡す側と受け取る側のどちらが払いますか?
受け取った側が払います。親が子の口座へ振り込んだ場合、申告と納付を行うのは子です。申告期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
1,000万円をもらうと贈与税はいくらですか?
父母や祖父母から受けた贈与で、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であれば特例税率が使え、177万円です。基礎控除110万円を引いた890万円に30%を掛け、控除額90万円を引いて計算します。年の途中で18歳になった場合や兄弟間の贈与は一般税率になり、231万円です。
相続税と贈与税ではどちらが高いですか?
同じ金額を一度に動かすなら贈与税が高くなります。遺産1億円を子2人が相続した場合の相続税は総額770万円ですが、1億円を子1人へ一括贈与すると贈与税は約4,800万円です。ただし少額に分けて長期間渡す場合は逆転します。遺産1億円・子2人の条件なら、年360万円前後までの贈与は相続税の実効税率7.7%を下回ります。
毎年100万円ずつ贈与すれば税金はかかりませんか?
年110万円以下なので贈与税の申告は不要ですが、2つの注意点があります。1つは、当初から総額を贈与する約束があったとみなされると定期贈与として一括課税されうること。もう1つは、相続で財産を取得する人への贈与は、加算対象期間内であれば110万円以下でも相続財産に足し戻されることです。贈与のたびに契約書を作り、受け取る側の口座で記録を残してください。
現金を手渡しで受け取れば贈与税はかかりませんか?
かかります。贈与税は財産の移転という事実に対して課される税で、渡し方は関係ありません。むしろ手渡しは記録が残らないため、贈与の成立を証明できず名義預金と判断されるリスクが高まります。令和6事務年度の贈与税の実地調査でも、財産別の非違件数の62.9%が現金・預貯金等でした。振込で記録を残すほうが安全です。