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Azure AI Studioの活用事例|企業の導入例と使いどころを整理(現Microsoft Foundry)

「Azure AI Studio 事例」で検索すると、名前が二度変わっている事実にまず戸惑います。Azure AI Studioは2024年11月にAzure AI Foundry、2025年11月にMicrosoft Foundryへと改称されました。探しているのは同じ製品なので混乱する必要はありません。この記事は、ソフトバンク・Air India・ASOSといった実企業の導入例と、RAGやAIエージェントといった用途別の使いどころを、Microsoftが公開している事例をもとに整理します。とは・料金・使い方といった基礎はMicrosoft Foundry(Azure AI Foundry)とは何か?エンタープライズ向け生成AI統合プラットフォームの概要に譲り、ここは「何に使えて、どこでつまずくか」に絞ります。

まとめ:Azure AI Studioの事例を見る前に押さえる3点

結論を先に置きます。名称・代表事例・再現時の注意の3点だけ押さえれば、以降の各事例は「自社のどの業務に当てはまるか」という目線で読めます。

  • 名称は同じ製品の改称:Azure AI Studio → Azure AI Foundry(2024年11月)→ Microsoft Foundry(2025年11月)。事例記事で言う「Azure AI Studio」は、現在のMicrosoft Foundryを指します。
  • 代表事例は顧客接点への導入が中心:ソフトバンク(AIコールセンター)、Air India(問い合わせ対応の仮想アシスタント)、ASOS(バーチャルスタイリスト)。いずれも「人手が逼迫する顧客対応」を生成AIで補う構図です。
  • 再現するなら移行の前提を確認:初期の中心機能だったprompt flowは2027年4月20日に提供終了予定で、新規開発では非推奨です。今から作るならMicrosoft Agent Frameworkを前提にします。

「Azure AI Studio」の現在地と名称変更の整理

事例を読む前に、名前の混乱を先に片付けます。Azure AI Studioという名前の製品は、2026年時点ではもう存在しません。ただし機能が消えたわけではなく、上位ブランドへ統合されながら二度改称された結果です。

Azure AI Studio → Azure AI Foundry → Microsoft Foundry の変遷

時期 名称 できごと
2023年11月 Azure AI Studio プレビュー公開
2024年5月 Azure AI Studio 一般提供(GA)
2024年11月 Azure AI Foundry Ignite 2024で改称
2025年11月 Microsoft Foundry Ignite 2025で改称

12か月で二度の改称は、単なる名前替えではありません。モデルを触る場所(Studio)から、エージェントを中心に据えた統合開発基盤(Foundry)へと位置づけが移った結果です。過去のブログや事例で「Azure AI Studio」「Azure AI Foundry」と書かれていても、現行のMicrosoft Foundryと同じ系譜だと読み替えて問題ありません。

改称後も変わらない機能の位置づけ

Azure AI Studio(現Foundry)は、モデルの選択・カスタマイズ・評価・デプロイ・監視までを1か所で扱う開発基盤です。Azure OpenAIのモデルだけでなく、他社モデルやAzure AI Searchによる検索連携もここに集約されています。現行の概要・料金体系・始め方はMicrosoft Foundry(Azure AI Foundry)とは何か?で詳しく扱っているため、本記事は「どんな成果に結びつくか」を事例で見ていきます。Azure OpenAIとの違いが気になる場合はAzure AI Foundryとは何か?概要と基本的なコンセプトを解説が役立ちます。

Azure AI Studio(現Foundry)の代表的な導入事例

Microsoftが顧客事例として公開している導入例のうち、成果まで数字で示されているものを3社取り上げます。共通点は、コールセンターや問い合わせ窓口など「対応件数が多く、人手が追いつかない顧客接点」を起点にしている点です。

ソフトバンク:生成AIによるコールセンターの自動化

ソフトバンクは、Microsoft Foundry上でAI搭載のコールセンターを構築しました。待ち時間の長さやオペレーターの離職といった、通信業界のコールセンターが抱える構造的な課題への対応です。システムはリアルタイムの応答制御に加え、社内データを参照して回答を組み立てるRAG(検索拡張生成)と、複数のAIエージェントが役割分担するマルチエージェント構成を組み合わせています。音声の入出力にはAzure Speech in Foundry Toolsと、リアルタイム通信フレームワークのLiveKitを使い、電話越しの自然なやり取りを成立させています。目標は、対応可能な範囲を段階的に広げ、多くの問い合わせをAIで完結させる自律型コールセンターへ進めることです。音声処理の基盤についてはAzure Speech Serviceの主要機能と活用方法についてで補足しています。

Air India:AIエージェントによる問い合わせ対応

Air Indiaは、仮想アシスタント「AI.g」をAzure OpenAI(現Foundry Models)で刷新しました。予約変更から払い戻しまで1,300種類以上の質問に対応し、1日あたり約40,000件、累計では1,300万件超の会話を処理しています。うち97%を人手を介さず自動で完結させ、カスタマーサポートのコストを大きく削減したと公表されています。生成AIによる顧客対応を大規模に、しかも短期間で立ち上げた点が特徴で、「PoCで止めず本番運用まで持っていく」典型例です。この規模の問い合わせ対応を支えるのがエージェント基盤で、仕組みはAzure AI Agent Serviceの概要とその統合プラットフォームとしての役割で解説しています。

ASOS:バーチャルスタイリストによる商品レコメンド

オンラインファッション小売のASOSは、Azure AI Studio(現Foundry)でバーチャルスタイリストを構築しました。自然言語処理で顧客の要望をくみ取り、画像認識で商品を解析して、膨大なカタログの中からパーソナライズした提案を返します。注目すべきはスピードで、短期間で試作に到達しています。基盤側がモデル・検索・デプロイをまとめて提供するため、小売の現場でも素早くプロトタイプを立ち上げられることを示した事例です。

用途別に見るAzure AI Studioの使いどころ

事例を自社に引き寄せると、用途は大きく3つに集約されます。いずれも「自社データを、生成AIの回答にどう結びつけるか」が設計の中心になります。

社内ナレッジ検索(RAG)

最も相談が多いのが、社内マニュアルや過去の問い合わせ履歴を検索して回答させるRAGです。Azure AI Studio(現Foundry)はAzure AI Searchと連携し、質問に関連する自社ドキュメントを検索してからモデルに渡すため、モデル単体では答えられない社内固有の情報にも回答できます。ソフトバンクの事例でも中核を担っていた構成です。グラフ構造を使って関連情報を広くたどるGraphRAGまで踏み込む場合は、GraphRAGをAzureで動かす方法|Accelerator終了後の現行構成と実装手順【2026年版】で現行の作り方を確認できます。

カスタマーサポートのAIエージェント

Air Indiaのように、問い合わせ対応をエージェントに任せる用途です。単なる一問一答ではなく、予約システムや在庫データなど外部の情報源を呼び出しながら、複数ステップの手続きを代行させる点が従来のチャットボットとの差です。役割の異なるエージェントを組み合わせる設計は、Azure AI Agent Serviceが土台になります。

文書処理の自動化

請求書や契約書からの項目抽出など、非定型の文書を読み取って構造化する用途もよく組み合わされます。ここはAzure AI Document Intelligenceが担い、抽出した内容を生成AIで要約・分類する流れが定番です。料金や精度の実務的な勘所はAzure AI Document Intelligenceの料金・使い方・精度|文書解析AIを実務目線で解説にまとめています。

事例を自社で再現する前に押さえる移行の注意点

事例をなぞる前に、ひとつだけ強く注意したい点があります。古い解説記事やチュートリアルの多くが、今からは使うべきでない機能を前提にしています。ここを取り違えると、作った直後に作り直しになります。

prompt flowの新規開発非推奨と後継の選択

初期のAzure AI Studioで中心的だったprompt flowは、2027年4月20日に提供終了が予定されており、新規開発では非推奨です。終了までセキュリティと重大バグの修正は続きますが、機能追加は止まっています。今から事例を再現するなら、後継のMicrosoft Agent Framework(2026年4月3日に一般提供)を前提に設計してください。移行の全体像と使い分けはMicrosoft Agent Framework 1.0とは|Semantic KernelとAutoGenを統合した.NET/Python共通エージェントSDKで扱っています。古いprompt flow前提のサンプルをそのまま踏襲しないことが、最初の分かれ道です。

PoC止まりにしないための設計

紹介した3社に共通するのは、試作の速さそのものより「本番運用まで持っていった」点です。デモは数日で作れても、実運用では回答の正しさを継続的に測る評価の仕組みと、想定外の入力や誤回答を検知する監視が要ります。Foundryには評価・監視の機能が組み込まれているので、最初から自社データでの評価基準を決めておくと、PoCから運用への段差が小さくなります。逆に、精度を測る基準を決めないまま「動いた」で止めると、現場投入の判断ができずPoCで塩漬けになりがちです。

よくある質問

Azure AI StudioとAzure AI Foundryの違いは何ですか?

別製品ではなく、同じ製品の名称変更です。2024年11月にAzure AI StudioがAzure AI Foundryへ、2025年11月にはMicrosoft Foundryへと改称されました。機能は引き継がれています。

Azure AI Studioは無料で使えますか?

基盤の利用自体に固定料金はかかりませんが、呼び出すモデルの利用量やAzure AI Searchなど連携サービスに応じた従量課金が発生します。現行の料金体系はMicrosoft Foundry(Azure AI Foundry)とは何か?で確認してください。

Azure AI StudioとAzure OpenAIはどう違いますか?

Azure OpenAIはモデルを提供するサービス、Azure AI Studio(現Foundry)はそのモデルを使ってアプリやエージェントを構築・評価・運用する開発基盤です。両者の関係はAzure AI Foundryとは何か?概要と基本的なコンセプトを解説で整理しています。

Azure AI StudioでRAGは作れますか?

作れます。Azure AI Searchと連携して自社データを検索し、その結果をモデルに渡す構成が標準的で、社内ナレッジ検索やコールセンターの回答支援で広く使われています。

prompt flowは今も使えますか?

2027年4月20日まで利用は可能ですが、機能追加は終了しており新規開発では推奨されません。これから作るならMicrosoft Agent Frameworkへの移行を前提にしてください。

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