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Azure AI Document Intelligenceの料金・使い方|円建て単価と無料枠の制限、月額の試算

Azure AI Document Intelligenceの料金・使い方|円建て単価と無料枠の制限、月額の試算

Azure AI Document Intelligence(旧Azure Form Recognizer)は、請求書・領収書・契約書などのPDFや画像から文字・表・項目を取り出し、JSONやMarkdownで返すMicrosoftの文書解析サービスです。料金は解析したページ数に応じた従量課金です。公式の価格ページは金額をJavaScriptで後から描画するため、検索結果のスニペットには単価が出ません(ブラウザで開けば通貨を円に切り替えて確認できます)。本記事では、Azureの小売価格APIから東日本リージョンの単価をドルと円の両方で取得し(2026年10月20日)、無料枠の制限、ページ数の数え方、月額の試算、Content Understandingとの価格差、SDKとREST APIでの使い方までを整理します。

まとめ:Readは1,000ページ236円、構造抽出は1,575円、無料枠は月500ページ

東日本リージョンの従量課金(S0)では、文字起こしだけのRead(OCR)が1,000ページあたり1.50ドル=236.325円、Layoutと請求書などの事前構築モデルが10ドル=1,575.5円、自社帳票向けのカスタム抽出が30ドル=4,726.5円です(税抜・小売価格)。無料のF0は月500ページまで使えますが、1リクエストで先頭2ページしか解析されず、ファイルは4MBまでです。

判断の順番は次のとおりです。テキストだけ欲しいならRead、表や見出しの構造が要るならLayout、請求書・領収書のような定型帳票は事前構築モデルを使います。OCRとレイアウト抽出だけが目的なら、同じFoundry ToolsのContent Understandingの方が単価は低い(非同期APIのLayout相当で半額)ので、新規案件では両方を見積もってください。ただし月数十万ページ以上のOCRは、Readのコミットメント層の方が安くなります。

Document Intelligenceの機能と旧Form Recognizerからの改称・現在の位置付け

サービス名は2023年に「Form Recognizer」から「Document Intelligence」へ変わり、現在の公式ドキュメントでは「Azure Document Intelligence in Foundry Tools」と表記されます。基盤のMicrosoft FoundryについてはAzure AI Foundryとは?Azure OpenAIとの違い・モデル・料金と始め方(現Microsoft Foundry)で整理しています。SDKも旧azure-ai-formrecognizerからazure-ai-documentintelligenceへ移りました。

Read・Layout・事前構築・カスタムの4系統とモデルIDの選び方

  • Read(prebuilt-read):印刷文字と手書き文字のOCR。最も安い。OCRの言語サポートでは日本語(ja)の印刷・手書きの両方が対象です。
  • Layout(prebuilt-layout):表・段落・見出し・チェックボックスの構造を抽出し、Markdownでも返す。RAGの前処理で使われる。
  • 事前構築モデル:請求書(prebuilt-invoice)・領収書(prebuilt-receipt)・本人確認書類(prebuilt-idDocument)など。事前構築モデルの言語サポートでは、請求書が日本語(ja)・日本の請求書・通貨JPYに対応し、領収書も日本語の感熱紙レシートに対応しています。名刺モデル(prebuilt-businessCard)はv4.0から非推奨です。
  • カスタムモデル:自社帳票をラベル付けして学習させる。同一レイアウト向けのテンプレート型と、レイアウトの揺れに強いニューラル型がある。

Content Understandingへの統合と既存利用者の移行要否

Microsoftは現在、Document Intelligenceを生成AIベースのAzure Content Understandingの一部として位置付けています。ただしツールの選び方の公式ガイドには「Document Intelligenceを本番で使っている場合、API・エンドポイント・SDK・課金は変わらず、移行は不要」と明記されています。既存システムを慌てて書き換える必要はありません。

APIの版には期限があります。公式の概要ページでは、現行GAの2024-11-30(v4.0)は終了日未発表、v2.1は2027年9月15日、v3.0(2022-08-31)は2029年3月30日にサポートが終わります。2024-07-31-previewなどのプレビュー版3つは2026年6月30日に終了済みです。Content Understanding自体の仕組みとREST APIの手順はAzure Content Understandingとは?Document Intelligenceとの違い・料金・REST APIの使い方で解説しています。

料金表:モデル別の1,000ページ単価をドルと円で比較

課金は「解析したページ数×モデルの単価」です。下表はAzure Retail Prices APIで東日本(japaneast)のS0を2026年10月20日に取得した小売価格で、税抜です。円建ての値はドル単価のちょうど157.55倍で設定されています。米国東部・米国西部2のドル単価も同額でした。

モデル/機能 USD 円
Read(月100万ページまで) $1.50 236.325円
Read(100万ページ超の分) $0.60 94.53円
Layout・事前構築 $10 1,575.5円
カスタム抽出 $30 4,726.5円
カスタム生成抽出 $30 4,726.5円
カスタム分類 $3 472.65円
アドオン(高解像度・数式・フォント等) 各$6 945.3円
クエリフィールド $10 1,575.5円
ニューラル学習(10時間超) $3/時間 472.65円

単価はすべて1,000ページあたりです。バッチ解析API用のメーター(Batch Read・Batch Pre-built・Batch Custom Extraction等)も通常と同額で、2026年1月1日から「S0 Batch Layout Pages」($10)が加わりました。テンプレート型カスタムモデルの学習は無料です。

APIの結果を自分で読むときの落とし穴が1つあります。「S0 Query Pages」($200・2023年3月開始)という古いメーターが残っており、現行のクエリフィールドは2024年11月開始の「S0 pages for query fields」($10)です。名前の似た行を取り違えると、試算が20倍にずれます。

無料枠F0と有料S0の違い:先頭2ページ・4MBの制限

価格レベルは無料のF0と従量課金のS0の2つです。数値は公式のサービスクォータと制限(2026年9月9日更新)によります。

項目 無料 F0 有料 S0
料金 月500ページまで無料 従量課金
1回の解析ページ数 先頭2ページのみ 最大2,000ページ
最大ファイルサイズ 4 MB 500 MB
解析リクエスト 毎秒1件 既定15件(引き上げ可)
結果取得 毎秒1件 既定50件(引き上げ可)

F0で10ページのPDFを投げても、返ってくるのは1〜2ページ目だけです。精度が悪いのではなくプランの仕様なので、3ページ以上の文書で検証するならS0に切り替えます。公式の価格ページには、F0にはプレミアム機能とクエリフィールドが含まれないと注記されています。

Word・Excel・HTMLのページ数の数え方とpages指定

PDFは1ページ、TIFFは1画像を1ページと数えます。Readモデルの解説によると、Excelはワークシート1枚、PowerPointはスライド1枚がそれぞれ1ページで、WordとHTMLは3,000文字ごとに1ページです。7,000文字のWordなら3ページ分の課金になります。

もう1つの落とし穴は、pagesパラメータを省略すると全ページが解析・課金対象になる点です。100ページの契約書で表紙と署名欄だけ欲しいなら、pages="1,100"のように指定します。

月額の試算例と最新単価を円で取得するPythonコード

価格ページの金額はJavaScriptで後から描画されるため、テキストとして取得すると「$-」になります。試算や定期的な見直しに組み込むなら、小売価格APIを直接引くのが確実です。次のコードは東日本のS0単価を円で取り、請求書(月3,000通×平均2ページ)を事前構築モデルで、契約書(月20,000ページ)をReadで処理したときの月額を計算します。標準ライブラリだけで動きます。

import json, urllib.parse, urllib.request

def fetch_prices(region="japaneast", currency="JPY"):
    flt = ("serviceName eq 'Foundry Tools' and armRegionName eq '%s' "
           "and productName eq 'Azure Document Intelligence' and skuName eq 'S0'") % region
    url = ("https://prices.azure.com/api/retail/prices?currencyCode='%s'&$filter=%s"
           % (currency, urllib.parse.quote(flt)))
    items = json.load(urllib.request.urlopen(url))["Items"]
    return {(i["meterName"], i["tierMinimumUnits"]): i["retailPrice"] for i in items}

p = fetch_prices()
invoice = 3000 * 2 / 1000 * p[("S0 Pre-built Pages", 0.0)]
read    = 20000 / 1000 * p[("S0 Read Pages", 0.0)]
print(f"請求書(事前構築) 6,000ページ: {invoice:,.0f} 円")
print(f"契約書(Read) 20,000ページ: {read:,.0f} 円")
print(f"月額合計: {invoice + read:,.0f} 円")

2026年10月20日に実行した出力は次のとおりです。各行は円未満を四捨五入しているため、合計(14,179.5円)と内訳の和は1円ずれます。

請求書(事前構築) 6,000ページ: 9,453 円
契約書(Read) 20,000ページ: 4,726 円
月額合計: 14,180 円

同じ2万ページの契約書をLayoutで処理すると31,510円になり、Readの6.7倍です。表の構造が要らない工程にLayoutを使っていないかが、請求額を左右する最大の分かれ目になります。currencyを"USD"に変えればドル建ても取れます。

コミットメント層と従量課金の分岐点

処理量が安定したら、月額固定で枠を買うコミットメント層を検討します。東日本の小売価格から、従量課金と同額になるページ数を計算しました。

枠(月) 月額 USD 月額 円 超過単価 分岐点
事前構築 2万ページ $190 29,934.5円 $9.50 1.9万ページ
事前構築 10万ページ $900 141,795円 $9.00 9万ページ
事前構築 50万ページ $4,000 630,200円 $8.00 40万ページ
カスタム 2万ページ $540 85,077円 $27 1.8万ページ
カスタム 10万ページ $2,400 378,120円 $24 8万ページ
カスタム 50万ページ $10,500 1,654,275円 $21 35万ページ
Read 50万ページ $375 59,081円 $0.75 25万ページ
Read 200万ページ $1,200 189,060円 $0.60 80万ページ
Read 800万ページ $4,200 661,710円 $0.53 550万ページ

超過単価は枠を超えた分の1,000ページあたりの料金です。事前構築とカスタムの小さい枠は割引が5〜10%なので、分岐点は枠の9〜9.5割に来ます。決算期だけ件数が倍になる業務では、閑散月に枠が余って従量より高くつくため、最も少ない月の実績で判断してください。割引が大きいのはReadで、50万ページ枠は従量の半額です。

OCRとレイアウト抽出だけならContent Understandingが安い:単価の比較

Document Intelligenceの見積もりで請求額を最も左右するのが、Content Understandingとの単価差です。Content Understandingの文書抽出は、実際に行った処理でメーターが決まり、公式の料金解説によればスキャンPDFのOCRがbasic、レイアウト解析がstandard、DOCX・XLSXなどのデジタル文書はminimalです。prebuilt-readとprebuilt-layoutは生成モデルを呼ばないため、LLMのトークン料金もかかりません。東日本の小売価格(非同期API)で並べると次のとおりです。プレビューの同期処理は別メーターで、Retail Prices APIではRead相当1.50ドル・Layout相当7.50ドルです。

処理(1,000ページ) Document Intelligence Content Understanding
スキャンPDFの文字起こし $1.50(236.325円) $1.00(157.55円)
スキャンPDFのレイアウト $10(1,575.5円) $5(787.75円)
Word・Excel等のデジタル文書 ReadかLayoutの単価 $0.01(1.58円)

Microsoftの選定ガイドも、OCRやレイアウト抽出だけの用途にはContent Understandingのprebuilt-read/prebuilt-layoutを「低コストでレイアウト情報が豊富」として推奨しています。一方で、請求書・領収書・本人確認書類のような構造化帳票はDocument Intelligenceの事前構築モデル、ラベル付きで学習させるカスタム抽出もDocument Intelligence、そしてオンプレミスや閉域で動かすコンテナーはDocument Intelligenceが唯一の選択肢とされています。

結論として、RAGの前処理のためにLayoutでPDFを大量にMarkdown化する案件なら、新規ではContent Understandingを先に見積もるべきです。Document Intelligenceを選ぶ理由が残るのは、事前構築の帳票モデル、ラベル付きカスタムモデル、コンテナー運用のいずれかが要るときです。

例外はOCRだけを大量に回す場合です。Content Understandingの文書メーターにはコミットメント層が無く、Document IntelligenceのReadは50万ページ枠が1,000ページあたり実質0.75ドル、従量でも月100万ページ超の分は0.60ドルです。Readの50万ページ枠(375ドル)はContent Understandingの37.5万ページ分と同額なので、月37.5万ページを超えて安定して処理するならReadの枠の方が安く、従量どうしでも月225万ページを超えるとReadが逆転します。

他クラウドの文書AIとの料金・日本語対応の比較

AWSやGoogle Cloudを主基盤にしている場合の比較材料です。単価は各社の公式価格ページの1,000ページあたりの値です(2026年10月20日確認)。

項目 Azure Document Intelligence Google Document AI Amazon Textract
OCR $1.50(F0で月500ページ無料) $1.50(月1,000ページ無料) $1.50(新規3か月は月1,000ページ無料)
表・構造の抽出 Layout $10 Layout Parser $10 Tables $15
フォーム項目 事前構築 $10 Form Parser $30 Forms $50
日本語 OCR・請求書・領収書が対応 OCRは対応・Invoice Parserは非対応 非対応

TextractのFAQが挙げる対応言語は英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ポルトガル語の6つで、日本語の帳票には使えません(単価は米国西部(オレゴン)の価格表の値)。Google Document AIは単価がAzureと近い一方、日本リージョンが無く請求書パーサーも日本語非対応です。詳細はGoogle Document AIとは|プロセッサの選び方・料金・Pythonでの使い方とAmazon Textractとは?機能・料金・使い方と他OCRとの違いを解説にまとめています。日本語の請求書を東日本リージョンで処理したいなら、3社の中ではAzureが最も条件に合います。

対応フォーマット・ファイル上限と解析データの保存期間

PDF・JPEG/JPG・PNG・BMP・TIFF・HEIFは全モデルが対象ですが、Word(DOCX)・Excel・PowerPoint(PPTX)・HTMLを受け付けるのはRead・Layout・カスタム分類だけです。請求書などの事前構築モデルでExcel帳票を読みたいときは、PDFに変換してから投入します。画像は50×50〜10,000×10,000ピクセルが対象です。

「上限は一律50MB」という古い説明が残っていますが、v4.0の上限は前述のとおりS0で500MBです。2,000ページを超える文書は分割するか、1回の要求で最大10,000ファイルを扱えるバッチ解析APIを使います。

データとプライバシーの公式説明では、送信した文書と解析結果は処理完了後24時間保存され、その後自動で削除されます。個人情報を含む帳票なら、結果の取得直後に削除APIで消す運用を組み込めます。

使い方:リソース作成とPython SDK・REST APIでの解析手順

Azureポータルでのリソース作成とStudioでの精度確認

Azureポータルで「Document Intelligence」リソースを作り、リージョンと価格レベル(F0/S0)を選ぶと、エンドポイントとAPIキーが発行されます。コードを書く前に、ブラウザで動くDocument Intelligence Studioへリソースを接続し、手元の帳票で抽出結果と信頼度スコアを確認します。ここでReadで足りるか、Layoutや事前構築が要るかを決めておくと、前章の料金の見積もりがぶれません。

Python SDKでLayoutモデルを呼びMarkdownで受け取るコード

公式SDKはazure-ai-documentintelligenceです。PyPIの最新は1.0.2(2025年3月27日公開・Python 3.8以上)で、既定のAPIバージョンは2024-11-30です。次のコードはLayoutで先頭3ページだけを解析し、Markdownで受け取ります。

# 事前に実行: pip install azure-ai-documentintelligence==1.0.2
import os
from azure.core.credentials import AzureKeyCredential
from azure.ai.documentintelligence import DocumentIntelligenceClient
from azure.ai.documentintelligence.models import DocumentContentFormat

client = DocumentIntelligenceClient(
    endpoint=os.environ["DI_ENDPOINT"],  # 例: https://<resource>.cognitiveservices.azure.com/
    credential=AzureKeyCredential(os.environ["DI_KEY"]),
)

with open("invoice.pdf", "rb") as f:
    poller = client.begin_analyze_document(
        "prebuilt-layout",
        body=f,
        pages="1-3",
        output_content_format=DocumentContentFormat.MARKDOWN,
    )
result = poller.result()

print(result.content[:500])  # Markdown本文の先頭
for i, table in enumerate(result.tables or []):
    print(f"表{i + 1}: {table.row_count}行 x {table.column_count}列")

# 結果をサービス側からすぐ消す(既定は24時間保存)
client.delete_analyze_result("prebuilt-layout", poller.details["operation_id"])

SDK 1.0.2が送るリクエストをHTTPトランスポートで捕捉すると、POST {endpoint}/documentintelligence/documentModels/prebuilt-layout:analyze?api-version=2024-11-30&pages=1-3&outputContentFormat=markdownでした(2026年10月20日)。pagesと出力形式はクエリパラメータとして送られるので、REST APIで呼ぶ場合も同じ指定で課金ページを絞れます。高解像度などのアドオンはfeatures=[DocumentAnalysisFeature.OCR_HIGH_RESOLUTION]で有効になり、1,000ページあたり6ドルが加算されます。

REST APIで解析を投げて結果をポーリングするcurlの例

SDKの無い言語やワークフローツールからは、REST APIを直接呼びます。POSTすると202 AcceptedとOperation-Locationヘッダが返り、そのURLをGETして結果を取る2段構成です。

# 1) 解析を投げる(Operation-Location ヘッダを控える)
curl -i -X POST \
  "${DI_ENDPOINT%/}/documentintelligence/documentModels/prebuilt-layout:analyze?api-version=2024-11-30&pages=1-3&outputContentFormat=markdown" \
  -H "Ocp-Apim-Subscription-Key: ${DI_KEY}" \
  -H "Content-Type: application/pdf" \
  --data-binary @invoice.pdf

# 2) 控えた URL で結果を取得(status が succeeded になるまで2秒以上空けて繰り返す)
curl -s "${OPERATION_URL}" \
  -H "Ocp-Apim-Subscription-Key: ${DI_KEY}"

モデルIDをprebuilt-readやprebuilt-invoiceに替えれば他のモデルも同じ形で呼べます。OCRの解説で見かける/vision/v3.2/read/analyzeはAzure AI VisionのRead APIで、Document Intelligenceのエンドポイントではありません。

429エラーを避けるリトライ設計とTPSの引き上げ申請

S0の既定は解析POSTが毎秒15件、結果取得GETが毎秒50件で、超えると429 Too Many Requestsが返ります。公式は、結果取得を1件あたり2秒に1回以下に抑え、応答のretry-afterヘッダの秒数だけ待ち、連続で失敗したら2・5・13・34秒のように間隔を伸ばす指数バックオフを推奨しています。夜間バッチで数千ファイルを一度に投げる設計は429を招きやすいので、キューに積んで段階的に流します。それでも足りなければ、Azureポータルのサポートリクエスト(問題の種類「Quota or usage validation」)からTPSの引き上げを無料で申請できます。

精度を左右するモデル選択と入力品質の勘所

精度を決めるのはモデル選択と入力画像の品質です。事前構築モデルは対象の帳票種別なら高精度ですが、自社独自のレイアウトでは値の取り違えが起きます。取引先ごとに書式が違う帳票にはニューラル型のカスタムモデル、同じ書式が大量にある帳票にはテンプレート型が向きます。非定型帳票の考え方はAI-OCRで非定型帳票を読み取る仕組みと精度確保・項目マッピングの判断基準で詳しく扱っています。

入力側では、傾き補正・十分な解像度・背景の除去が抽出精度に直結します。公式の入力要件では、抽出できる文字の高さは1024×768ピクセルの画像で12ピクセル以上(150dpiで約8ポイント)なので、スマートフォンで撮った画像はこれを下回らない解像度で送ります。項目ごとに返る0〜1の信頼度にしきい値を置き、下回ったものだけ人が確認する運用にすると、全件の目視より確認工数を減らせます。しきい値は決め打ちせず、Studioで誤りが出たスコア帯を見てから置きます。

オープンソースのOCRと比べたい場合は、Tesseract OCRの使い方|インストール・日本語設定・コマンドとPython/C#連携やTesseractとは?読み方・日本語の精度・商用利用とPSM/OEM設定と、コスト・日本語精度・構造抽出の観点で突き合わせてください。

Document Intelligenceを採用する条件と見送る場面の判断基準

採用する条件は、日本語の請求書・領収書など事前構築モデルの対象帳票が処理の中心であること、ラベル付きのカスタムモデルで自社帳票を高精度に読みたいこと、閉域網やオンプレミスでコンテナーとして動かす必要があること(v4.0のコンテナーはReadとLayoutのみ)、のいずれかに当てはまる場合です。Azureのテナント内で処理を閉じたい場合も候補になります。

見送る場面もはっきりしています。PDFからテキストや表をMarkdown化するだけなら、前述のとおりContent Understandingの方が安く済みます。デジタル生成のPDFが大半なら、OCR自体が不要で、PyMuPDF4LLMの使い方|PDFをMarkdownに変換する手順と日本語PDFの注意点のようなローカル処理で無料・即時に済みます。Markdown化した後の分割はチャンクとトークンの違いとは?チャンク分割の手法とRAGのサイズ設計が参考になります。機密上クラウドへ出せず、コンテナー運用の体制も無い文書なら、Tesseractなどのオンプレミス処理を選びます。

AI-OCR全般の比較軸から検討を始めたい場合はAI-OCRとは?従来OCRとの違い・精度の実測と教育・自治体の導入事例が入口になります。帳票の選定からモデル設計、業務システムへの組み込みまでをまとめて進めたい場合は、一創のAI-OCR導入支援でご相談いただけます。

Azure Document Intelligenceの料金・使い方でよくある質問

Azure Document Intelligenceの料金は日本円でいくらですか?

東日本リージョンのS0の小売価格(税抜・2026年10月20日取得)で、Readが1,000ページあたり236.325円、Layoutと事前構築モデルが1,575.5円、カスタム抽出が4,726.5円です。Readは月100万ページを超えた分が94.53円に下がります。ドルでは順に1.50ドル・10ドル・30ドルで、円建てはその157.55倍で設定されています。契約形態によって実際の請求額は変わるため、最終的には料金計算ツールで確認してください。

Azure Document Intelligenceは無料で使えますか?

無料のF0価格レベルで月500ページまで使えます。ただし1リクエストにつき先頭2ページしか解析されず、ファイルは4MBまで、解析リクエストは毎秒1件です。価格ページの注記では、プレミアム機能とクエリフィールドも含まれません。3ページ以上の文書を丸ごと解析したい場合や、本番に近い件数で速度を測る場合はS0で検証します。

ExcelやWordのファイルは解析できますか?

ReadとLayoutモデルなら、Excel・Word(DOCX)・PowerPoint(PPTX)・HTMLを直接解析できます。請求書などの事前構築モデルとカスタム抽出モデルはOffice形式に非対応なので、PDFに変換してから投入します。課金はExcelが1シート、PowerPointが1スライドで1ページ、WordとHTMLが3,000文字ごとに1ページです。なおLayoutでもXLSX入力では表の解析が行われず、Document Intelligence StudioはOffice形式を読み込めません。結果はJSONかMarkdownで返るので、Excelへの書き出しはアプリ側で行います。

Form Recognizerとの違いと移行の必要はありますか?

実体は同じサービスで、2023年に「Form Recognizer」から「Document Intelligence」へ改称されました。現在はContent Understandingの一部と位置付けられていますが、公式ガイドは既存のAPI・エンドポイント・SDK・課金は変わらず移行は不要としています。ただし旧REST API v2.1は2027年9月15日にサポートが終わるため、Form Recognizer時代のコードは2024-11-30(v4.0)と新SDKazure-ai-documentintelligenceへ移しておく必要があります。

日本語の請求書や領収書は読み取れますか?

読み取れます。請求書モデル(prebuilt-invoice)は日本語と日本の請求書、通貨JPYに対応し、領収書モデル(prebuilt-receipt)も日本語の感熱紙レシートに対応しています。ReadとLayoutは日本語の印刷文字と手書き文字のOCRに対応します。自社独自の書式で項目の取り違えが出る場合は、カスタムモデルを学習させるか、Content Understandingのカスタムアナライザーと比べてください。

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