Ubuntu 26.04 LTS(Resolute Raccoon)で開発環境を作るときに、どの版の言語やコンパイラが入るのかを、2026年10月23日に26.04.1のコンテナで実際に確かめた結果からまとめます。標準リポジトリのPythonは3.14だけで、3.12や3.13は別の入手先が要ります。ほかに、リリースノートとアーカイブで版が食い違う箇所、amd64v3パッケージの有効化と戻し方、CUDA・ROCm、LTSになったフレーバーを扱います。リリース日や24.04からのアップグレード手順はUbuntu 26.04 LTS(Resolute Raccoon)とは|リリース日・新機能と24.04からのアップグレード【26.04.1対応】にまとめています。
まとめ:Ubuntu 26.04 LTSで開発者が押さえる要点
- Pythonは3.14だけ:標準リポジトリに python3.12・python3.13 はありません。必要ならdeadsnakes PPAかuvで入れます。
- 既定の版:GCC 15.2、glibc 2.43、LLVM 21、OpenJDK 25、Go 1.26、Rust 1.93。Goはリリースノートの「1.25」と違い、アーカイブの既定は1.26です。
- amd64v3は手動で有効化:x86-64-v3向けにビルドしたパッケージに切り替わります。クラウドのamd64向けイメージは最初からamd64v3で、x86-64-v3に対応しない旧世代のインスタンスでは起動できません。
- GPU:CUDAは
cuda-toolkit(13.1.1)、ROCmは7.1.0を標準リポジトリから入れられます。 - フレーバー:Kubuntu・Xubuntu・Lubuntuなど8種が3年のLTSです。Ubuntu UnityはLTSではなく、Ubuntu MATEは26.04を出していません。
- サポート:標準サポートは2031年4月まで、Ubuntu ProのESMで10年。24.04からの通常のアップグレードは2026年9月29日に始まりました。
以下、版の一覧から順に、確かめたコマンドと結果を添えて説明します。
Ubuntu 26.04で入る開発ツールの版(24.04との比較)
LTS利用者向けのリリースノートに書かれた版と、2026年10月23日に apt-cache policy で確かめた候補版を並べます。
| ツール | 24.04 | 26.04(リリースノート) | 実際の候補版 | ほかに入る版 |
|---|---|---|---|---|
| Python | 3.12 | 3.14 | 3.14.4 | なし |
| GCC | 13 | 15.2 | 15.2.0 | 11〜14、16 |
| glibc | 2.39 | 2.43 | 2.43 | – |
| binutils | 2.42 | 2.46 | 2.46 | – |
| LLVM・Clang | 18 | 21 | 21.1.6 | 17〜22 |
| OpenJDK | 21 | 25 | 25.0.4.1 | 8、11、17、21、26 |
| Go | 1.22 | 1.25 | 1.26.8 | 1.23〜1.25 |
| Rust | 1.75 | 1.93 | 1.93.1 | 1.91、1.92 |
| .NET | 8 | 10 | 10.0.113 | – |
| Node.js | 18 | 記載なし | 22.22.1 | – |
| PHP | 8.3 | 8.5 | 8.5 | – |
| Ruby | 3.2 | 記載なし | 3.3.8 | – |
食い違いが大きいのはGoです。既定の golang-go は 2:1.26~1 で、Launchpadの公開履歴では2026年3月17日にリリース版へ入っています。リリースノートの「1.25」は古い記述です。1.25が必要なら golang-1.25-go を入れます。
24.04側にもずれがあります。リリースノートは「GCC 14から15.2へ」と書いていますが、24.04の既定の gcc は13.2.0です(14は gcc-14 で別に入れるものでした)。比較表の24.04列は、24.04.5のコンテナで確かめた既定の版です。
GCC 16の gcc-16 は 16-20260322 という開発中のスナップショットです。正式版のGCC 16ではないので、製品のビルドには既定のGCC 15を使ってください。なお、C++の実行時ライブラリ libstdc++6 はこのGCC 16の系列から提供されています。OpenJDK 26はリリース時点でプレビュー扱いでしたが、いまは正式版の26.0.2が入ります。
自分の環境で同じことを確かめるコマンドです。
apt-cache policy python3.14 gcc golang-go openjdk-25-jdk-headless rustc
apt-cache search --names-only '^gcc-[0-9]+$'
apt-cache search --names-only '^openjdk-[0-9]+-jdk-headless$'
GCC・OpenJDK・Go・Rustの複数版の併用と切り替え
版を並べて入れると、それぞれ別の名前やパスで呼び出せます。26.04.1のコンテナで確かめた呼び出し方は次のとおりです。
sudo apt install gcc-14 openjdk-21-jdk-headless golang-1.25-go rustc-1.92
gcc-14 --version # gcc-14 (Ubuntu 14.3.0-14ubuntu1) 14.3.0
sudo update-alternatives --config java # java-21 と java-25 から選ぶ
/usr/lib/go-1.25/bin/go version # go version go1.25.14 linux/amd64
rustc-1.92 --version # rustc 1.92.0
Makeやcmakeでは CC=gcc-14 のように環境変数で指定するのが手軽です。/usr/bin/gcc の向き先を変えると、ほかのパッケージのビルドまで巻き込みます。
MySQL 8.4のmysql_native_password無効化と認証の移行
アプリが使うミドルウェアも上がっています。MySQLは8.0から8.4(候補版8.4.11)、PostgreSQLは18です。リリースノートによると、MySQL 8.4では mysql_native_password で認証するアカウントが既定でロックされます。古い接続ライブラリを使うアプリは、24.04から上げた直後にログインできなくなります。caching_sha2_password へ移すのが本筋です。すぐに移せないときは [mysqld] に mysql_native_password=ON を書けば動きますが、MySQL 9.7以降を載せる今後のUbuntuでは使えなくなると明記されています。
Ubuntu 26.04でPython 3.12・3.13を使う方法
「26.04でPython 3.12は使えるか」という問いの答えは、標準リポジトリでは使えない、です。用途に応じて入手先を選びます。
標準リポジトリのPythonは3.14のみ
26.04.1のコンテナで apt-cache search --names-only '^python3\.1[0-9]' を実行すると、出てくるのは python3.14 系のパッケージだけでした。python3.12・python3.13 は候補自体がありません。python3 --version は Python 3.14.4 です。上流の3.14系はもっと新しい番号まで進んでいますが、Ubuntuは版番号を据え置いたままセキュリティ修正を取り込みます。
フリースレッド版(GILなし)の python3.14t も標準リポジトリにはありません。使いたい場合は後述のuvで入れます。
また、システムのPythonに pip install すると error: externally-managed-environment で止まります(/usr/lib/python3.14/EXTERNALLY-MANAGED があるため)。ライブラリは仮想環境に入れ、コマンドとして使うツールは pipx(1.8.0)で入れます。
sudo apt install python3-venv
python3 -m venv .venv
.venv/bin/pip install requests
deadsnakes PPAによるPython 3.12・3.13のインストール
システム全体で python3.12 コマンドを使いたいなら、deadsnakes PPAが26.04(resolute)向けにも配布しています。2026年10月23日時点で公開されているのは3.7〜3.13と3.15、3.16のアルファ版で、3.12は3.12.15、3.13は3.13.17です。26.04が標準で持つ3.14はありません。
sudo apt install software-properties-common # add-apt-repository を入れる
sudo add-apt-repository -y ppa:deadsnakes/ppa
sudo apt install python3.12 python3.12-venv
python3.12 --version # Python 3.12.15
python3.12 -m venv .venv
deadsnakesは有志のPPAで、Canonicalのセキュリティサポートの対象外です。/usr/bin/python3 を3.12に向け替えるのはやめてください。aptなどOSのツールは3.14を前提に動いています。
uvによるPythonの導入とプロジェクト単位の版固定
プロジェクト単位で版を揃えるなら、uvによるPythonのバージョン管理が向いています。uvはシステムのPythonに手を触れず、ホームディレクトリの下(~/.local/share/uv/python)に別のPythonを入れます。26.04.1でuv 0.13.5を入れ、3.13とフリースレッド版3.14を取得すると、数秒で終わりました。
sudo apt install curl ca-certificates
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
source $HOME/.local/bin/env # uv を今のシェルのPATHに入れる
uv python install 3.13 3.14t
uv python pin 3.13 # プロジェクトのディレクトリで実行。.python-version に 3.13 と書かれる
uv python list --only-installed
# cpython-3.14.9+freethreaded-linux-x86_64-gnu
# cpython-3.14.4-linux-x86_64-gnu /usr/bin/python3.14
# cpython-3.13.17-linux-x86_64-gnu
OSのPython(3.14.4)とuvが取ってきたPython(3.14.9)は別物として並びます。3.14の新機能はPython 3.14のJITコンパイラとフリースレッド版、3.13の位置付けはPython 3.13の新機能とサポート期限で扱っています。
amd64v3(x86-64-v3)パッケージの有効化と戻し方
amd64v3は、AVX2・BMI2・FMAなどを使えるx86-64-v3向けにビルドし直したパッケージです。Canonicalの告知では、過去にアーカイブ全体を再ビルドしたベンチマークで、多くのパッケージは1%前後、数値計算寄りのものはそれ以上速くなったとしています。命令セットの違いはSIMDとは?AVX2・NEONの仕組みを参照してください。
CPUのx86-64-v3対応状況の確認
動的リンカに聞くのが確実です。supported と出ていれば対応しています。
/lib64/ld-linux-x86-64.so.2 --help | grep -E 'x86-64-v[0-9]'
# x86-64-v4
# x86-64-v3 (supported, searched)
# x86-64-v2 (supported, searched)
amd64v3の有効化手順と入れ替わるパッケージ
手順はリリースノートのとおり、APTの設定を1行足して更新します。
echo 'APT::Architecture-Variants "amd64v3";' | sudo tee /etc/apt/apt.conf.d/99enable-amd64v3
sudo apt update
sudo apt upgrade
26.04.1の素のコンテナで試すと、apt update で binary-amd64v3 の一覧を取得し、bash・libc6・dpkg など76個が更新対象になりました。版番号は同じまま、中身だけがv3向けに差し替わります。Architecture 欄は amd64 のままです。v3版が入ったかどうかは dpkg -s libc6 を見ます。v3版なら Architecture-Variant: amd64v3 という行が加わっています。apt-cache policy の取得元に amd64v3 Packages と出るのは候補の配布元で、設定を足して apt update しただけの、まだ入れ替えていない段階でも表示されます。
dpkg -s libc6 | grep -E '^(Architecture|Version)'
# Architecture: amd64
# Architecture-Variant: amd64v3
# Version: 2.43-2ubuntu2.4
注意点として、amd64v3で入るのは配布パッケージのバイナリだけです。GCCの既定は -march=x86-64 のままなので、自分でビルドするコードを速くしたいなら -march=x86-64-v3 を明示します。
クラウドのイメージは最初からamd64v3
デスクトップやサーバーのインストールでは手動で有効にしますが、リリースノートによると、各クラウドのamd64向け26.04イメージは既定でamd64v3でビルドされています。そのため次の環境では26.04を動かせません。
- Google Cloud:N1マシンタイプのIntel Ivy Bridge・Sandy Bridge
- AWS:M1〜M4、C1・C3・C4、R3・R4、I2・G3・P2・P3・P3dnの旧世代インスタンス
旧世代のインスタンスで24.04を動かしている場合は、26.04へ上げる前に現行世代へ移す必要があります。AWSの構成見直しを含めて移行を進めるなら、AWSの設計・構築・運用支援でもご相談を受けています。
amd64v3の解除手順とディスク移設の制約
設定ファイルを消すだけでは元に戻りません。apt update のあと apt upgrade まで実行すると、通常のamd64版に入れ替わります。26.04.1のコンテナでは、設定を消して apt update した時点で76個がふたたび更新対象に並び、apt upgrade 後は dpkg -s libc6 から Architecture-Variant の行が消え、更新対象も0個になりました。
sudo rm /etc/apt/apt.conf.d/99enable-amd64v3
sudo apt update
apt list --upgradable
sudo apt upgrade
告知には、amd64v3版を入れたディスクはx86-64-v3に対応しない古いPCへ移すと使えない、と書かれています。ディスクを古い機械へ差し替える予定があるなら、有効にしないでおくのが無難です。
GPU開発環境:標準リポジトリからのCUDA・ROCmの導入
26.04では、NVIDIA CUDAとAMD ROCmを標準リポジトリから入れられます。CUDAで取り違えやすいのがパッケージ名です。リリースノートが案内しているのは cuda-toolkit で、候補版は13.1.1です。以前からある nvidia-cuda-toolkit も残っていますが、こちらは12.4.131のままです。
sudo apt install cuda-toolkit # 13.1.1(multiverse)
sudo apt install rocm-dev # ROCm 7.1.0 の開発用ライブラリとヘッダー
ROCmはUniverseに7.1.0が入っています。rocm は全部入り、rocm-dev は開発用のライブラリとヘッダーだけです。リリースノートの対応表では、CanonicalのCIで実機テストしているのはInstinct MI-100(gfx908)、Ryzen AI MAX 300シリーズ(gfx1151)、Radeon RX 9070 XT・AI PRO R9700(gfx1201)の3つだけです。RX 7900(gfx1100)などは対応表に載っていますが、CI Status欄は空欄です。CI対象のMI-100でも、Blenderのテストが失敗する既知の問題が同じページに書かれています。NVIDIA GPUの稼働状況の見方はnvidia-smiの使い方にあります。
Ubuntu 26.04のシステム要件とカーネル・GNOMEの版
| 項目 | Desktop | Server |
|---|---|---|
| CPU | 2GHzデュアルコア以上 | 用途による |
| RAM | 6GB | 1.5GBから |
| ストレージ | 25GB | 4GBから |
数値は26.04のリリースノートによります。デスクトップの要件を満たせないPCには、RAM 2GBから動くXubuntuかLubuntuが勧められています。カーネルはLinux 7.0(linux-image-generic は7.0.0-38)、デスクトップはGNOME 50(gnome-shell は50.1)です。標準のGNOMEセッションはWaylandでしか起動しません。X11アプリへの影響はWaylandとX11の違いで説明しています。
Ubuntu 26.04のフレーバー:LTSは8種、Unityは非LTS、MATEは未公開
フレーバーのLTS可否は、Ubuntu Technical Boardが決めています。2025年12月2日の決定で7種、2026年3月10日にKubuntuが3年のLTSとして承認されました。ISOの有無は cdimage.ubuntu.com の配布ディレクトリで確かめています。
| フレーバー | 26.04のLTS | 26.04.1のISO |
|---|---|---|
| Kubuntu | 3年 | あり |
| Xubuntu・Lubuntu | 3年 | あり |
| Ubuntu Budgie・Ubuntu Cinnamon | 3年 | あり |
| Ubuntu Studio・Edubuntu・Ubuntu Kylin | 3年 | あり |
| Ubuntu Unity | なし(通常版) | なし |
| Ubuntu MATE | 26.04自体が無い | なし |
LTSのフレーバーでも、サポートは本体の5年ではなく3年です。Lubuntu 26.04は2029年4月ごろまでと考えて、更新の計画を立ててください。Ubuntu Unityは26.04のリリースノートで「公式にはLTSではないがLTSのように支える」と書いていますが、Technical Boardの承認はありません。Ubuntu MATEは25.10の次が26.10で、26.04の配布物がありません。Ubuntu MATEの配布ページでは、24.04.5 LTSのサポートは2027年4月までです。それまでは24.04のまま使えますが、その先もLTSを使い続けたいなら、Xubuntuなど26.04でLTSになっているフレーバーへの移行を計画してください。
24.04から上げると壊れやすい開発環境
標準サポートはリリースノートで2031年4月まで、Ubuntu ProのESMを使えば10年です。24.04から26.04.1への通常のアップグレードは2026年9月29日に始まりました。手順はUbuntu 26.04 LTSの概要とアップグレード手順に譲り、ここでは開発環境で壊れるものに絞ります。
- Pythonの仮想環境:24.04で作ったvenvの
pyvenv.cfgにはversion = 3.12.3、ライブラリはlib/python3.12の下に入っています。上げるとpython3が3.14になるので、requirements.txtなどから作り直します。 - MySQLの認証方式:前述の
mysql_native_passwordのロックで、アプリが接続できなくなります。 - 旧世代のクラウドインスタンス:amd64v3のイメージが起動しないので、先にインスタンスの世代を上げます。
- sudoの実装:既定がRust製のsudo-rsに変わり、一部のオプションの挙動が違います。詳しくはsudo-rsとはを参照してください。
本番のサーバーは、上の4点をテスト環境で確かめてから上げるのが安全です。
Ubuntu 26.04の開発環境についてよくある質問
Ubuntu 26.04のPythonのバージョンは?
Python 3.14です。2026年10月23日時点の python3 --version は3.14.4でした。24.04の3.12から2つ上がっています。
Ubuntu 26.04でPython 3.12や3.13は使えますか?
標準リポジトリにはありません。システム全体で使うならdeadsnakes PPA(3.12.15・3.13.17を配布)、プロジェクトごとに使うならuvの uv python install 3.12 で入れます。
Ubuntu 26.04のGCCのバージョンは?
既定はGCC 15.2(15.2.0)です。gcc-11〜gcc-14も入れられます。gcc-16は2026年3月22日付けの開発中スナップショットです。
Lubuntu 26.04はLTSですか?
LTSです。2025年12月2日にTechnical Boardが3年のLTSとして承認しました。本体の5年より短い点に注意してください。
Ubuntu 26.04のカーネルとGNOMEのバージョンは?
カーネルはLinux 7.0、デスクトップはGNOME 50です。2026年10月23日時点の候補版は linux-image-generic が7.0.0-38、gnome-shell が50.1でした。