LTX-2.3は、Lightricksが2026年3月5日に公開した、映像と音声を1つのモデルで同時に生成するオープンウェイトの動画生成モデルです。この記事では、LTX-2.3向けの公式プロンプトガイド(ページ上の日付は2026年3月10日)に沿ったプロンプトの書き方、日本語セリフの扱い、ComfyUIとLTX Desktopでの導入、VRAMに合わせたモデルファイルの選び方をまとめます。値はHugging Faceのモデルカード、公式ワークフローJSON、ComfyUIのソースコードで2026年10月14日に確認したものです。解像度やVRAM要件、API料金、他社モデルとの比較はLTX-2.3のスペック・VRAM・料金をまとめた解説に分けています。なお2026年8月11日には後継のLTX-2.5が公開されており、2.3と2.5ではモデルファイルもプロンプト拡張の構成も異なるため、バージョンごとのワークフローを使います。
まとめ:LTX-2.3のプロンプトと導入の要点
- プロンプトは英語の1段落・現在形で、ショット、シーン、動作、人物、カメラ、音声の6要素を入れます。LTX-2.3向けの公式ガイドは、短いものより長く詳しいプロンプトのほうが結果が良いとし、8〜10秒の動画では尺を埋めるだけの描写を求めています。
- 日本語は、地の文を英語にして、セリフだけを引用符で囲み「in Japanese」と言語を指定する書き方が公式の流儀です。セリフをローマ字にする方法はコミュニティの工夫なので、同じシードで比べてから採用します。
- distilledモデルや蒸留LoRAを使う公式2段階構成ではCFG=1になるため、ComfyUIではネガティブプロンプトが計算に使われません。
(word:1.2)のような重み付け構文も、ComfyUIのLTX-2.3用テキストエンコーダでは解釈されません。避けたい要素も強めたい要素も、文章で書き換えます。 - ComfyUIはテンプレートの「LTX-2.3 T2V」などを開き、表示に従ってモデルを落とすのが最短です。幅と高さは32の倍数、フレーム数は8の倍数+1にします。
- VRAMが足りないときは、本体をFP8かGGUFに替えるだけでなく、約24GBあるGemma 3 12Bのテキストエンコーダを軽量版にするか、公式のAPIエンコードに任せます。
- LTX Desktopは1.3.0(2026年10月9日)で既定モデルがLTX 2.5 Fastになり、ローカル生成の前にプロンプトを自動で書き換える設定が既定で有効になりました。2.3で、書いたとおりのプロンプトで生成したいなら、モデルの切り替えと自動拡張のオフが必要です。
LTX-2.3のプロンプトの書き方(公式ガイドの6要素)
LTX-2.3向けの公式プロンプトガイドは、プロンプトを「撮影監督に渡すショットの説明」として書くよう勧めています。タグの羅列ではなく文章で書くのが前提です。LTXのドキュメント版プロンプトガイドは、KlingやSeedance向けに書いたプロンプトをそのまま貼ると、タグ構文やショットリストの書式が引き継がれず性能が落ちるとも明記しています。他のモデルから移ってきた場合は、書き直すか、後述のプロンプト拡張に通します。
プロンプトに入れる6要素
| 要素 | 書く内容 | 語の例 |
|---|---|---|
| ショット | ジャンルに合う撮影用語と画角 | medium close-up, wide establishing shot |
| シーン | 光・色・質感・空気感 | soft rim light, fog, worn fabric |
| 動作 | 始まりから終わりまでの動き | walks, turns, exhales, reaches |
| 人物 | 年齢・髪型・服装と身体の動き | a woman in her 30s, short brown hair |
| カメラ | いつ、どう動くか、動いた後の見え方 | slow dolly in, handheld tracking |
| 音声 | 環境音・音楽・セリフ・歌 | rain on the window, whispers |
形式の指定も具体的です。1段落にまとめる、動作は現在形の動詞で書く、アップほど細部を書き込む、カメラの動きは被写体との関係で書く、の4点です。感情は「sad」のようなラベルではなく、姿勢や表情で書きます。
長さについては、2.3で変わった点があります。2.3はテキストコネクタが作り直されたため、2.3向けガイドは「長く詳しいプロンプトのほうが短いものより一貫して良い」としています。8〜10秒の動画に短いプロンプトを渡すと、モデルが描写した動作を急いで終わらせてしまいます。上限の目安は、LTX-2リポジトリのREADMEにある「200語以内」です。LTX全体向けのドキュメントにある「4〜8文」は単一ショットの目安なので、長い尺ではそれより多く書きます。
次はテキストから動画を作るT2V向けに、6要素を入れた例です。公式ガイドの型に合わせて作成しました。画像から動画を作るI2Vでは、画像に写っている静的な特徴を繰り返さず、そこから始まる動き・カメラ・音を中心に書きます。
A medium close-up of a woman in her 30s with short brown hair, sitting by a rain-streaked cafe window at dusk. Warm tungsten light falls on her face while cold blue light comes through the glass behind her. She lifts a white ceramic cup, takes a slow sip, and sets it down with a soft clink. The camera slowly pushes in as she looks out at the street, her shoulders relaxing. Rain taps steadily on the window, an espresso machine hisses in the background, and she says quietly in Japanese, "やっと、晴れそう。"
アニメ調にしたいときは、stop-motion、2D/3D animation、hand-drawnなどのスタイル名をプロンプトの冒頭に置きます。LTX-2向けの公式ガイドは、スタイルはプロンプトの早い位置で名前を出すと効きやすいとしています。
LTX-2.3プロンプトの失敗につながる書き方
2.3向け公式ガイドの「What to Avoid」表には6項目が並んでいます。
- 内面の状態:「confused」のような感情ラベルだけで、見た目の手がかりを書かない
- 文字とロゴ:看板・ブランド名・印刷物は読める形で安定して出ない
- 複雑な物理:乱れた速い動きはアーティファクトが出やすい(ダンスは問題ないとされる)
- 要素の過多:人物・動作・物体が多いほど、どれかが出力から抜ける
- 矛盾する光源:夕日と冷たい蛍光灯を理由なく混ぜる
- 指示の盛りすぎ:最初は単純に書き、生成を繰り返しながら指示を1つずつ足す
同じガイドの「Common Mistakes」には、数値で縛りすぎる指示(「鳥3羽が45度で左から右へ」など)と、10秒の動画に10語のプロンプトを渡すような尺と描写量の不一致も挙がっています。角度や速度は数字ではなく、slowly、gently、suddenlyのような自然な語で書きます。
重み付け構文(word:1.2)がLTX-2.3で効かない理由
Stable Diffusionから移ってきた人がよく書く(curly hair:1.2)のような強調は、ComfyUIでLTX-2.3を使う場合は効きません。ComfyUIのテキストエンコーダ定義(comfy/text_encoders/lt.py)で、LTX-2.3が使うGemma 3 12Bのトークナイザはdisable_weights=Trueで作られています。共通のトークナイズ処理(comfy/sd1_clip.py)は、このフラグが立っていると括弧と数値を重みとして解釈せず、プロンプト全体を重み1.0の1つの文として扱います。つまり括弧も「:1.2」も、ただの文字としてGemmaに渡ります。
強めたい要素は、プロンプトの前のほうに置き、形容を1つ足して具体的に書きます。たとえば「(red coat:1.3)」ではなく「a bright red wool coat that stands out against the grey street」と書きます。不要な括弧と数字は、モデルが解釈を誤る原因になるので消しておきます。
ネガティブプロンプトの適用条件とCFG=1での省略
LTX-2.3のネガティブプロンプトは、使うモデルとCFGの値によって効いたり効かなかったりします。モデルカードでは、distilledモデルは「8 steps, CFG=1」と定義されています。ComfyUIのサンプラー処理(comfy/samplers.py)は、CFGが1.0のときにネガティブ側の条件をNoneにして計算自体を省きます。標準のCFG処理では、CFG=1のときネガティブプロンプトは結果に寄与しません。例外は、disable_cfg1_optimizationでこの省略を無効にし、独自のガイダンス処理を足す構成です。
Lightricks公式のComfyUI-LTXVideoにある2段階ワークフロー(LTX-2.3_T2V_I2V_Two_Stage_Distilled.json)にも、ネガティブ欄にpc game, console game, video game, cartoon, childish, uglyが入っています。ただ、この構成は2段ともCFGGuiderが1なので、この文字列は計算に使われていません。ネガティブを使う代表例は、devモデルでMultimodalGuiderを使い、CFGを1より大きくした場合です。公式のフル版ワークフローでは、映像のCFGが3、音声のCFGが7に設定されています。
Python版の公式パイプライン(ltx-pipelines)も、LTX-2.3のdevは30ステップ、映像CFG 3.0、音声CFG 7.0が既定値で、ネガティブにはDEFAULT_NEGATIVE_PROMPTという長い定数を使います。先頭はhas_subtitles, has_blurbox, transition from black, transition to blackで、字幕や黒フェード、口の動きと音声のずれ、ロボット的な声など、映像と音声の両方の失敗を並べた内容です。ComfyUIでdevを使うときは、この定数をネガティブ欄に写すのが出発点になります。
distilledで「アニメっぽさを消したい」「字幕を出したくない」ときは、ネガティブに頼らず、photorealistic, natural skin textureのように、欲しい状態を肯定文で書き足します。「ネガティブプロンプトは不要」とだけ書く解説は、この条件を省いた言い方です。
日本語プロンプトと日本語セリフの扱い
地の文を英語で書く理由
Hugging Faceのモデルカードの説明欄では、対応言語は「English」とされています。メタデータのlanguageにはjaを含む9言語が並んでいますが、学習キャプションの前提は英語です。ComfyUIに標準で入っているLTX-2用のプロンプト拡張も、出力形式を「Single continuous paragraph in natural language (English)」と指定しています。日本語で書いたシーン描写は、英語に直してから渡すほうが意図どおりに解釈されやすくなります。
日本語セリフの引用符と使用言語の指定
公式ガイドは、セリフを引用符で囲み、必要なら言語とアクセントを指定するように求めています。ComfyUIの拡張用システムプロンプトにも「Specify language if not English」とあります。書き方はshe says in Japanese, "..."の形です。
2.3向けガイドは、長いセリフを短い句に分け、句の間に演技の指示を挟む書き方を勧めています。間の取り方や声の変化をモデルに伝えやすくなるためです。日本語のセリフでも同じ形で書けます。
A man in his 50s with greying hair speaks slowly in Japanese, "あの頃のことを、よく思い出すんだ。" He pauses and looks to the side, then continues in a softer voice, "おまえが生まれた日のことも。" The camera slowly pushes in on his face. The audio is crisp with faint room tone.
コミュニティでは、日本語のセリフをヘボン式ローマ字に変換すると発音が安定するという報告があります。PC Watchの西川和久氏のコラム(2026年3月26日)は、セリフだけをローマ字に直すシステムプロンプトをLLMに与えて前処理する構成を紹介し、Qwen3.5 9Bでは変換できたが4Bでは失敗する場合があったと書いています。引用符の中だけをローマ字にするComfyUIのカスタムノード「ComfyUI-JapaneseRomaji」(MIT)もあります。ただし、これはLightricksの推奨ではありません。後述するDub-Itのガイドは、逆に「対象言語の文字で書く」ことを求めています。採用するかどうかは、同じシードで漢字かな表記とローマ字表記を1本ずつ生成し、聞き比べてから決めてください。
Dub-Itの検証済み言語と日本語の扱い
既存動画のセリフを口の動きごと差し替えるLTX-2.3用のIC-LoRA「Dub-It」(ベータ)は、検証済みの言語が英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・ロシア語の5つです。日本語は含まれていません。公式ガイドには「翻訳はしない、全文を書く」「話者は1人」「元のセリフと同じくらいの音節長にする」という条件もあります。日本語吹き替えに使う場合は、検証外の用途だと理解したうえで試すことになります。
TextGenerateLTX2Promptノードによるプロンプトの自動拡張
TextGenerateLTX2Promptは、ComfyUI本体のcomfy_extras/nodes_textgen.pyに入っているコアノードです。表示名は「Generate LTX2 Prompt」です。読み込んだGemmaを使って、短い指示をLTX向けの長いプロンプトに書き直します。追加のカスタムノードは要りません。ComfyUIのT2V・I2Vテンプレートにもこのノードが組み込まれており、サブグラフ内の「Enable Prompt Enhance」をオンにすると拡張が通ります。
ソースを読むと、テキストエンコーダがGemma 3かGemma 4かでシステムプロンプトが切り替わります。LTX-2.3の構成(Gemma 3)ではLTX2_T2V_SYSTEM_PROMPT(画像入力ありならLTX2_I2V_SYSTEM_PROMPT)が使われ、主に次の規則で書き直されます。
- ユーザーが頼んでいないカメラの動きは足さない(「DO NOT invent camera motion unless requested」)
- 話す・歌うという指示があるときだけ、セリフを引用符付きで入れる
- 「The scene opens with…」のような書き出しは使わず、タイムスタンプやカットはユーザーが明示的に求めた場合だけ記述する
- 匂い・味・触感など、映像と音以外の感覚を書かない
- 色や光は控えめな語で書く(「vibrant blue」ではなく「blue」)
つまり2.3向けの既定システムプロンプトは、指定のないカメラワークを追加しないよう指示しています。動かしたいなら、元の指示に「slow pan left」のように書いておく必要があります。一方、LTX-2.5(Gemma 4)用のシステムプロンプトは逆で、カメラの動きを必ず書き、動かない場合も「the camera remains static」と明記させます。2.5用のシステムプロンプトは、拡張後の文を150〜220語にするよう指示しています。同じノードでも、読み込むGemmaとシステムプロンプトによって出力の傾向が変わります。
LTXのドキュメント版ガイドは(2.5の拡張機能についての説明ですが)、拡張は「短い・雑・他モデル向けに書いた」プロンプトのときに使い、構成がそろったプロンプトには効果が薄いとしています。推論が1回増える分、待ち時間も延びます。拡張後の英文は、そのまま流さずに目で確認し、セリフや人物が書き換わっていないかを見てから生成に回します。
ComfyUIでLTX-2.3を動かす手順
ComfyUIテンプレートの必要ファイルと配置先
ComfyUIの公式チュートリアルは、ComfyUIを最新にしてから、テンプレートライブラリの「ビデオ」でLTX-2.3のワークフローを選び、ポップアップに従ってモデルを落とす手順を案内しています。テンプレートには、テキストから動画(video_ltx2_3_t2v)、画像から動画(video_ltx2_3_i2v)、最初と最後のフレームを補間するFLF2V(video_ltx2_3_flf2v)、画像と音声からリップシンク動画を作るIA2V(video_ltx2_3_ia2v)、参照画像と音声クリップから本人らしい話し姿の動画を作るID-LoRA(video_ltx2_3_id_lora)などがあります。T2Vテンプレートで使うファイルは次のとおりです。
| ファイル | 配置先(ComfyUI/models/) | サイズ |
|---|---|---|
| ltx-2.3-22b-dev-fp8 | checkpoints | 29.15GB |
| distilled 1.1 LoRA(rank 111) | loras | 2.74GB |
| gemma_3_12B_it_fp4_mixed | text_encoders | 9.45GB |
| ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.1 | latent_upscale_models | 1.0GB |
サイズはHugging Faceの配布ファイルの実測値(10億バイト=1GB換算)です。T2Vテンプレートには、これに加えてGemma用の小さなLoRA(0.63GB)が入ります。FLF2Vだけはdevではなくltx-2.3-22b-distilled-fp8を使い、LoRAとアップスケーラーを使いません。
distilledには1.0と1.1の2版があります。モデルカードは1.1を「1.0とは異なる見た目の傾向で、音声が改善された」と説明しています。ComfyUIのテンプレートはComfy-Orgが再配布しているrank 111版(ltx_2.3_22b_distilled_1.1_lora_dynamic_fro09_avg_rank_111_bf16)を、Lightricks公式の2段階ワークフローはrank 384版(ltx-2.3-22b-distilled-lora-384-1.1)を使い、どちらも1.1です。1.0と1.1は見た目の傾向が違うので、迷ったら同じシードとプロンプトで1本ずつ出して比べます。追加のLoRAを重ねる場合は、そのLoRAがどちらの版で学習・検証されたかを配布ページで確認します。
公式ワークフローの既定値と解像度の制約
Lightricksがカスタムノード「ComfyUI-LTXVideo」のexample_workflows/2.3/で配布している2段階ワークフローは、次の値で組まれています。
| 項目 | 既定値 |
|---|---|
| 1段目の解像度 | 960×544 |
| フレーム数・fps | 121フレーム・24fps(約5秒) |
| 1段目 | dev+distilled 1.1 LoRA(強度0.5)、8ステップ、CFG=1 |
| 2段目 | 潜在空間で2倍に拡大し、3ステップで仕上げ |
| テキストエンコード | ローカルのGemma 3、またはLTX APIのGemma |
解像度とフレーム数には制約があります。モデルカードの「General tips」によると、幅と高さは32の倍数、フレーム数は8の倍数+1にする必要があります。121フレームは8×15+1なので条件を満たしています。尺を延ばすときも、161(約6.7秒)や241(約10秒)のように8n+1の値を選びます。
ノードが赤い・ファイルが見つからないときの対処
- テンプレートがそもそも出てこない:ComfyUI本体とテンプレートの更新状況を確認します。公式チュートリアルは、コアノードは安定版より先にNightly版へ入ると注意しています。
- Lightricksのワークフローで赤いノードが出る:ComfyUI Managerの「Install Missing Custom Nodes」で入れ、ComfyUIを完全に再起動します(ブラウザの再読み込みでは足りません)。
- unsloth配布のGGUFワークフローで赤いノードが出る:unslothのモデルカードの手順どおり、city96の「ComfyUI-GGUF」とkijaiの「ComfyUI-KJNodes」を入れます。
- アップスケーラーが見つからない:
ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.0は2026年8月10日にHugging Faceの配布から削除され、現在はx2-1.1だけが置かれています。古いワークフローが1.0のファイル名を参照している場合は、ローダーで1.1に選び直します。 - モデルの読み込みで落ちる:ファイルサイズを配布元と照らし合わせ、配置フォルダを確認します。2.5用のファイルを混ぜていないかも確認してください(後述)。
VRAMに合わせたモデルファイルの選び方
必要なVRAMの目安はLTX-2.3のスペック・VRAM要件の記事にまとめています。ここでは、手元のGPUに収めるためにどのファイルを替えるかを整理します。見落としやすいのは、動画モデル本体の半分以上の大きさがあるGemma 3 12Bのテキストエンコーダです。
| 部品 | ファイル | サイズ |
|---|---|---|
| 本体(公式) | ltx-2.3-22b-dev(bf16・VAE込み) | 46.15GB |
| 本体(公式FP8) | ltx-2.3-22b-dev-fp8 | 29.15GB |
| 本体(GGUF) | distilled-1.1 Q8_0 / Q6_K | 22.76GB / 17.77GB |
| 本体(GGUF) | distilled-1.1 Q4_K_M / Q3_K_M | 14.19GB / 10.63GB |
| 本体(GGUF) | distilled-1.1 Q2_K | 7.94GB |
| テキストエンコーダ | gemma_3_12B_it(bf16) | 24.38GB |
| テキストエンコーダ | fp8_scaled / fp4_mixed | 13.21GB / 9.45GB |
GGUFの値はunsloth版(unsloth/LTX-2.3-GGUF)のdistilled-1.1フォルダの実測です。同じリポジトリには1.0のdistilledフォルダもあり、Q4_K_Mは14.33GBと少し違います。ファイル名にdistilled-1.1が入っているもの(例:ltx-2.3-22b-distilled-1.1-Q4_K_M.gguf)が1.1です。QuantStack版など配布元が違えば、同じ量子化名でも中身とサイズは違います。GGUFの仕組みはGGUFとは?量子化モデルフォーマットの仕組みとGPTQ・AWQとの違い・採用判断を解説【2026年版】で解説しています。unslothのモデルカードによると、distilledは4〜8ステップ向け、devは20ステップ以上が必要で、そのぶん画質は上がります。
VRAMを空けるには、次の順に試すのが効果的です。
- テキストエンコーダを
fp4_mixed(9.45GB)にするか、公式ワークフローのGemmaAPITextEncodeで、エンコードをLTX APIに任せる(LTX DesktopのREADMEは、APIでのテキストエンコードを無料と明記しています) - 本体をFP8、さらにGGUFのQ5〜Q4に下げる
- 1段目の解像度とフレーム数を下げる。幅と高さは32の倍数のまま、フレーム数は41、49、57、65、73、81のような8n+1の値を選ぶ
- ComfyUIの
--lowvramなど、システムRAMへ逃がす起動オプションを使う(速度は大きく落ちます)
12GBのGPUで動いたという報告もありますが、GGUFとオフロードを重ねた構成です。8GBのGPUでは、最小のQ2_Kでも配布ファイルが7.94GBあり、読み込み時の作業領域を考えると本体だけでVRAMが足りなくなります。たとえばテキストエンコードをAPIに任せ、本体の一部をシステムRAMへ逃がす構成になります。品質も速度も大きく落ちるので、反復して試すなら、同じ設定で1本の所要時間を測ってから続けるかを決めます。手元のGPUで足りない場合は、Runpodとは?料金・使い方・支払い方法とGPUクラウドの選び方【2026年10月】で紹介しているGPUクラウドを時間借りする方法もあります。
LTX Desktopの使い方とLTX-2.3への切り替え
LTX Desktopは、Lightricksが公開しているオープンソースのデスクトップアプリ(ベータ版)です。インストーラーはGitHubのリポジトリのReleasesから入手します。2026年10月9日の1.3.0で画面が作り直され、生成キュー、素材ライブラリ、同じネットワーク上のスマートフォンから操作するRemoteが加わり、LTXのリリースノートは13個の組み込みLoRAとDeblur・Colorizationなどの新しいIC-LoRAを挙げています。
ローカル生成に必要な環境
ローカル生成できる条件は、GitHubのREADMEと公式サイトの製品ページで数値が一致していません。製品ページも「この値を下回るとAPIモードに切り替わる」と書いているため、どちらが正しいかは公式資料だけでは決められません。導入前に両方の値を見て、余裕のあるほうに合わせるのが安全です。
| 環境 | READMEの記載 | 製品ページの記載 |
|---|---|---|
| Windows/Linux | CUDA GPUでVRAM 15GiB以上 | VRAM 24GB以上(推奨32GB) |
| macOS | Apple Siliconで総RAM 32GiB以上 | 48GB以上(32GBは540p・5秒まで) |
| Intel Mac等 | API専用 | API専用 |
| ディスク | 2.5 Fastの基本構成で約72GB | 100GB以上(LoRA追加で160GB以上) |
READMEは、16GBのGPUでもローカル生成はできるものの、Fastの720p・20秒や1080p・10秒は選択肢に出ないとしています。Macの判定は、現行のREADMEでは起動時の空きメモリではなく、搭載している総RAMで行うと明記されています。条件を満たさない環境ではローカル生成が無効になり、LTXのAPIキーを設定した場合だけクラウドで生成できます。
LTX-2.3への切り替えとプロンプト自動拡張の止め方
現行のLTX Desktopは、ローカル生成の既定モデルがLTX 2.5 Fastです。2.3で生成するには、Settings > ModelsでLTX 2.3 Fastに切り替えます。既存動画の一部を作り直すRetakeと延長するExtendは、READMEの機能表では「2.5 Fastはローカル非対応」のままです。ただし1.2.5(2026年8月20日)のリリースノートはローカルの2.5でも動くと書いており、1.3.0のソースに含まれる対応表のテストも2.5で両方を有効としています。2.5でRetakeが選べない場合は、アプリを最新版に更新してください。2.5の重みはHugging Faceでライセンスに同意しないと落とせないので、初回起動時にサインインを求められることがあります。
プロンプトの書き方に直接関わる変更もあります。1.3.0から、ローカル生成の前にプロンプトが自動で拡張されるようになりました。この記事の型で書いたプロンプトをそのまま使いたいときは、自動拡張(auto-enhance)のスイッチをオフにします。短い指示から始めたいときは、オンのままにするか、Enhanceボタンで拡張結果を確認してから生成します。
ほかに、試し出し用の270p・360p、25・48・50fps、21:9や4:3などの比率が選べるようになりました。ただし1.3.0のリリースノートは、モデルの学習は16:9と9:16なので、他の比率では品質が下がることがあると注記しています。同じ構図で比べたいときは、各生成フォームのシード値を固定します。
LoRAファイルの置き場所
自分で用意したLoRA(.safetensors)は、モデルフォルダ内のloras/に置きます。Windowsなら%LOCALAPPDATA%\LTXDesktop\models\loras\、macOSなら~/Library/Application Support/LTXDesktop/models/loras/です。ComfyUI向けに書き出したLTX用LoRAもキー名が自動で変換されて使えます。注意したいのは、読み込み中のモデルと形が合わないLoRAはエラーを出さずにスキップされる点です。2.5用のLoRAを2.3 Fastで選ぶと、効いていないのに気づきにくいので、LoRAの対象バージョンを先に確かめます。LoRAが使えるのはローカル生成のみで、API生成では使えません。
LTX-2.5との違いと、2.3を使い続ける判断
LTX-2.5は、LTXのリリースノートによると2026年8月11日にオープンソースで公開されました。22Bの規模は同じですが、実務で使うときの違いは大きいです。
| 項目 | LTX-2.3 | LTX-2.5 |
|---|---|---|
| テキストエンコーダ | Gemma 3 12B | Gemma 4 12B(LTX向けに調整) |
| 配布形式 | 本体・VAE込みの1ファイル | 部品ごとに分割 |
| ダウンロード | ログイン不要 | ライセンス同意が必要(gated) |
| 複数ショット | 公式ガイドの対象外 | 1プロンプト内のカットに対応 |
| ライセンス | LTX-2 Community License | LTX-2.x Community License |
2.5のテキストエンコーダの元になったモデルはGemma 4 12Bとは?必要スペック・性能・Ollamaでの使い方と26B A4Bとの違いで解説しています。公式の互換性ページは、2.3と2.5のワークフローやファイルは、明示された場合を除いて混ぜないように定めています。2.3で学習したLoRAは2.3の本体と組み合わせる必要があります。Foley(映像に合わせた効果音生成)、Dub-It、Relight(屋外映像の光の向き変更)の各ワークフローは、2.3で検証されたもので、2.5では未検証とされています。
判断の基準は次のとおりです。自社で学習した2.3用LoRAや、2.3でだけ検証されているDub-It・Foley・Relightのワークフローに依存しているなら、2.3を使い続けます。どれにも依存しない新規プロジェクトなら、プロンプト内のカット指定と長さ予測が使える2.5から始めるほうが、後で移行する手間がかかりません。社内の制作フローに動画生成AIを組み込む場合のモデル選定や運用ルールづくりは、生成AI導入支援でも相談を受け付けています。
LTX-2 Trainerによる絵柄・人物LoRAの学習要件
モデルカードによると、学習できるのはdevモデルで、動き・スタイル・人物(見た目と声)の学習は「多くの設定で1時間未満」で終わるとされています。学習には公式のltx-trainer(LTX-2リポジトリ内)を使い、LTX-2、2.3、2.5を同じ設定APIで扱えます。要件は次のとおりです。
- OS:Linux+CUDA(依存するtritonがLinux専用)
- VRAM:標準設定は80GB推奨。RTX 5090のような32GBのGPUは、INT8量子化を使う低VRAM設定(
t2v_lora_low_vram.yaml)を使う - テキストエンコーダ:チェックポイントに合うGemma(2.3ならGemma 3)
git clone https://github.com/Lightricks/LTX-2
cd LTX-2
uv sync
cd packages/ltx-trainer
uv run python scripts/process_dataset.py dataset.json \
--resolution-buckets "960x544x49" \
--model-path /path/to/ltx-2.3-22b-dev.safetensors \
--text-encoder-path /path/to/gemma-root
上のコマンドはデータセットの前処理までです。uvを入れ、動画とキャプションを指定したdataset.jsonを用意し、モデルとGemmaのパスを実際の保存先に置き換えて実行します。学習そのものは、設定ファイルを編集したうえでuv run python scripts/train.py configs/t2v_lora.yaml(32GBのGPUならt2v_lora_low_vram.yaml)で始めます。学習用の動画には、キャプション(説明文)を付ける必要があります。トレーナーにも自動キャプション機能がありますが、ローカルの画像キャプションモデルを使う方法はJoyCaptionの使い方|Beta OneをComfyUI・GGUF・4bit量子化で動かす手順で解説しています。
手元にLinuxと大容量GPUが無い場合は、2026年10月13日にLTXのWebサービス「LTX Explore」上で始まった学習機能も選択肢です。人物(Character)か絵柄(Style)を選んで素材を上げると、GPUの準備なしで学習が走り、できたLoRAはダウンロードして自分の環境でも使えます。ただしリリースノートには、学習の土台になるモデルのバージョンが書かれていません。2.3で使う予定なら、ダウンロード前に対象バージョンを確認してください。
LTX-2.3の使い方に関するよくある質問
LTX-2.3は日本語のプロンプトで使えますか?
入力はできますが、モデルカードの説明欄では対応言語が英語とされています。シーンの描写は英語で書き、日本語のセリフだけを引用符で囲んで「in Japanese」と指定するのが、公式ガイドに沿った書き方です。
RTX 3060など12GB VRAMのGPUで動きますか?
ComfyUIなら、GGUFのQ3〜Q4、軽量なテキストエンコーダ、システムRAMへのオフロードを組み合わせれば動いたという報告があります。ただし生成時間は、解像度・ステップ数・GPUの演算性能・オフロード量によって大きく変わります。LTX Desktopは、READMEではVRAM 15GiB以上、製品ページでは24GB以上をローカル生成の条件としているため、12GBではローカル生成を使えません。
ネガティブプロンプトは必要ですか?
distilledモデルや蒸留LoRAを使う公式2段階構成で、標準のCFG処理をCFG=1で使う場合、ComfyUIはネガティブ側を計算しないので、書いても効果はありません。devモデルの公式構成では、CFGを1より大きくしてネガティブ条件を使います。実際の適用条件は、モデル名だけでなくガイダーとサンプラーの実装にも依存します。
アニメ調の動画は作れますか?
作れます。公式ガイドは、2D/3D animation、hand-drawn、stop-motionなどのスタイル名を、プロンプトの早い位置で指定する方法を挙げています。スタイル名だけで安定しない場合は、目的の絵柄で学習されたLTX-2.3対応のLoRAを足し、強度を変えながら同じシードで数本出して、絵柄がそろうかを確かめます。
LTX-2.3は商用利用できますか?
LTX-2.3のHugging Faceリポジトリに同梱されているライセンスは、2026年1月5日付のLTX-2 Community Licenseです。年間売上1,000万ドル未満の個人や企業はその条件の範囲で利用でき、1,000万ドル以上の企業は有料の商用ライセンスを別途結ぶ必要があります。モデルカード本文の利用条件のリンクは2026年8月11日付のLTX-2.x Community Licenseを指していますが、こちらは本文で「2026年8月11日以降に公開されたLTX-2.5」以降を対象と定めているため、2.3の条件は同梱のLTX-2 Community Licenseで確認します。売上の判定では、共通支配下の関連企業などを含むEntityの定義も確認したうえで導入してください。