コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング(CATI)とは?仕組みとCAPI・CAWIとの違い
CATI(コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング/Computer-Assisted Telephone Interviewing)とは、調査員が電話をかけながらコンピューター画面の質問を読み上げ、回答をその場でデータ化する電話調査の方式です。「コンピューター支援電話調査」とも訳され、世論調査や市場調査で使われています。この記事では、読み方と正式名称、コンピューターが何を支援するのかという仕組み、CAPI・CAWIなど他の調査方式との違い、世論調査で組み合わせるRDDとの関係、導入のメリットと課題、代表的なツールまでを、比較表を交えて整理します。
まとめ:CATIの要点
- CATI=調査員が電話で質問しながら回答を直接コンピューターに入力する方式。読み方は「コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング」。
- コンピューターが支援するのは「質問の分岐制御」「回答のリアルタイム入力・整合チェック」「発信の自動化(オートダイヤラー)」「進捗モニタリング」の4点。
- 同じ「CAxx」でも、CATI=電話、CAPI=対面、CAWI=Webと調査の接点が違う。回収スピードと調査員の説明力のどちらを取るかで選ぶ。
- 世論調査ではRDD(無作為に番号を生成して発信する方式)とCATIを組み合わせ、名簿に載らない世帯にも公平に当てる。
- 最大の課題は電話離れ・固定電話の減少による回答率低下。携帯RDDの併用やAIボイスボットによる自動化が対応策として進む。
CATI(コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング)とは
CATIは、電話調査をコンピューターで支援する仕組みの総称です。調査員はヘッドセットで対象者と通話しながら、画面に表示される質問を読み上げ、聞き取った回答をキーボードやマウスで入力します。入力された回答は即座にデータベースへ蓄積され、集計や進捗確認に回ります。
読み方と正式名称
正式名称はComputer-Assisted Telephone Interviewingで、頭文字を取ってCATI(キャティ)と呼びます。日本語の検索では英字よりも「コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング」というカタカナ読みで探されることが多く、マクロミルやインテージなど大手調査会社も同じ表記を用語として掲載しています。訳語は「コンピューター支援電話調査」が一般的です。
従来の紙の電話調査との違い
従来の電話調査は、調査員が紙の質問票を見ながら発信し、回答を手書きで記録し、後からデータ入力担当が転記していました。この方式は「質問の飛ばし」「転記ミス」「集計待ちの時間」が避けられません。CATIはこの3つを構造的に潰します。質問の順序と分岐を画面が制御するため飛ばしが起きず、回答は通話中に直接デジタル化されるため転記が不要で、集計は蓄積と同時に進みます。つまりCATIの本質は「電話の自動化」ではなく、質問設計・記録・集計というデータ処理工程の一体化にあります。
CATIの主要機能(質問フロー制御・自動発信・リアルタイム集計)
CATIシステムが備える中心的な機能は次の4つです。個々のツールで名称は異なりますが、役割はおおむね共通します。
| 機能 | 役割 | 得られる効果 |
|---|---|---|
| 質問フロー制御 | 回答に応じて次の質問を自動分岐 | 質問漏れ・順序ミスの防止 |
| リアルタイム入力・整合チェック | 通話中に回答を入力、矛盾を即警告 | 転記削減・データ品質向上 |
| オートダイヤラー(自動発信) | リストへ自動発信し応答時のみ接続 | 待ち時間の削減・接触効率化 |
| モニタリング・録音 | 進捗と通話品質を管理者が監視 | 品質管理・研修での利用 |
整合チェックの具体例が「年齢10歳・職業は会社員」といった論理矛盾の検知です。入力時点で警告が出るため、集計後に矛盾を見つけて再調査する手戻りがなくなります。質問文の言い回しや分岐条件をシステム上のスクリプトとして一元管理できる点も、調査員ごとのばらつきを抑える要になります。
CATIとCAPI・CAWIの違い(調査手法の比較)
CATIは「CAxx」と呼ばれるコンピューター支援調査の一種で、対象者との接点が電話である点が特徴です。混同されやすいCAPI・CAWIとの違いを整理します。
CAPI・CATI・CAWIの比較表
| 方式 | 接点 | 調査員 | 回収スピード | 向く調査 |
|---|---|---|---|---|
| CATI(電話) | 電話 | あり | 速い | 世論調査・全国規模 |
| CAPI(対面) | 訪問・面接 | あり | 遅い | 説明が要る詳細調査 |
| CAWI(Web) | ブラウザ・アプリ | なし(自己記入) | 最速 | 大量・低コスト調査 |
CAPI(Computer-Assisted Personal Interviewing)は調査員が訪問・対面でタブレット等に記録する方式で、その場で不明点を補足でき回答の質が高い反面、移動コストと時間がかかります。CAWI(Computer-Assisted Web Interviewing)は対象者が自分でオンライン回答する方式で、調査員が要らずコストと速度に優れますが、ネット非利用層を取りこぼします。CATIはこの中間で、電話がつながれば全国どこでも均一に、調査員の説明を交えて短期間に回収できる位置づけです。
CATIが向く場面・向かない場面
CATIを選ぶべきなのは、母集団の代表性が問われる調査です。世論調査や自治体の住民調査のように「ネット利用者に偏ってはならない」場面では、電話という接点とRDDの組み合わせが今も有力です。逆に、若年層中心の商品リサーチや、選択肢を目で見せたいパッケージ・広告クリエイティブの評価には向きません。画像提示ができず、電話に出ない層を最初から取り逃すため、こうした調査はCAWIやオンライン定性調査に振ったほうが早く安く済みます。「電話調査だから信頼できる」と手法を先に決めるのではなく、調べたい母集団が電話でつかまるかを先に確かめるのが実務の順序です。
RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)とCATIの関係
世論調査の記事でCATIとセットで出てくるのがRDDです。RDD(Random Digit Dialing)は、電話帳や名簿を使わず、コンピューターで無作為に生成した電話番号へ発信する対象者の選び方を指します。CATIが「調査を進める仕組み」であるのに対し、RDDは「誰にかけるかを決める方法」で、役割が異なります。
両者を組み合わせると、RDDで作った番号リストにCATIのオートダイヤラーが自動発信し、つながった相手にだけ調査員が対応する、という流れが成立します。名簿に載らない非掲載世帯にも当たるため標本の偏りが小さく、新聞社・放送局の世論調査で標準的に使われています。番号の生成方法や固定電話・携帯電話の使い分け、回答率低下といった課題はRDD(RDD法)とは?世論調査で使われる電話番号の無作為抽出方式で詳しく解説しています。
CATI導入のメリットと課題
メリットは前述の機能から導かれます。転記と集計を省いて調査期間を短縮でき、整合チェックでデータ品質が上がり、全国を一拠点から均一に回収できます。リアルタイムに結果が見えるため、意思決定までの時間も縮みます。
一方、課題は手法そのものの逆風です。固定電話の減少と迷惑電話への警戒から、電話に出ない・答えない人が増え、回答率は年々下がっています。RDDでは不通番号への発信も多く、1件の有効回答を得るまでの発信コストが上昇します。対策として、携帯電話番号帯を含めたRDD、応答しやすい時間帯への発信スケジューリング、複数回のリダイヤル、SMSでの事前通知などが併用されますが、いずれも根本解決ではありません。CATIを選ぶ際は、こうした回答率低下を前提に費用対効果を見積もる必要があります。
CATIシステムの主要ツールと選び方
CATIツールは大きくオンプレミス型とクラウド型に分かれます。オンプレミス型は自社サーバーに導入してカスタマイズ性と閉域運用に優れる一方、初期費用と保守負担が大きくなります。クラウド型はブラウザから利用でき、初期費用を抑えつつ調査員を全国どこからでもリモート稼働させられるため、こちらが主流になっています。
海外ではVoxcoなどがCATI機能を持つ調査プラットフォームとして知られ、国内ではインテージ・マクロミルといった調査会社が自社のCATIコールセンターで受託しています。ツールを比較する際は、質問の分岐設計の柔軟さ、オートダイヤラーとリダイヤル戦略の設定範囲、CAWIとの併用(同一調査を電話とWebで走らせるミックスモード)への対応、SPSSやBIツールへのデータ連携、通話録音・モニタリングによる品質管理機能を軸に見ると外しにくくなります。自社で電話調査基盤を持たない場合は、調査会社への委託か、アンケート管理システムの開発で自社運用に合わせた仕組みを用意する選択肢があります。
AIとCATIの最新動向
「AI CATI」で探されるように、CATIはAIとの組み合わせで変化しています。中心は2つの自動化です。1つは音声認識と自然言語処理による回答処理で、自由回答をその場でテキスト化・分類し、これまで手集計だった定性データを定量的に扱えるようにします。もう1つはAIボイスボットで、選択式の簡易アンケートであれば調査員を介さずに発信から回答収集までを自動化します。
さらに、通話中の声のトーンや発話速度を解析して回答者の迷いを推定し、調査員に質問の出し方を助言する使い方も出てきています。ただし、複雑な質問や機微なテーマではまだ人の調査員が要る場面が多く、現状は「単純な調査はボットへ、判断が要る調査は人へ」という切り分けが現実的です。AIによる自動化は回答率低下とコスト上昇への回答策として期待されますが、電話に出てもらえること自体は解決しないため、手法選定の前提は変わりません。
よくある質問
CATIの読み方は?
「コンピューターアシステッドテレフォンインタビューイング」と読み、略して「キャティ(CATI)」と呼びます。正式名称はComputer-Assisted Telephone Interviewing、日本語訳は「コンピューター支援電話調査」です。
CATIとCAPI・CAWIの違いは?
対象者との接点が違います。CATIは電話、CAPIは訪問・対面、CAWIはWebの自己記入です。CATIは回収が速く全国を均一に調べられ、CAPIは説明が要る詳細調査に強く、CAWIは低コスト・大量調査に向きます。
CATIとRDDはどう違う?
CATIは調査を進める仕組み、RDDは対象者を選ぶ方法です。RDDで無作為に作った番号にCATIで発信する、という形で組み合わせて使われ、役割が重なるものではありません。
AI CATIとは何ですか?
音声認識・自然言語処理やAIボイスボットを取り入れたCATIを指す通称です。自由回答の自動テキスト化や、選択式アンケートの完全自動化などで、調査員の負担軽減とコスト削減を狙います。
CATIツールにはどんなものがある?
オンプレミス型とクラウド型があり、海外ではVoxcoなどが知られています。国内はインテージ・マクロミルなどの調査会社がCATIコールセンターで受託しており、自社運用したい場合はアンケートシステムの開発で用意する方法もあります。