広告識別子とは?IDFA・AAIDの違いとリセット方法を解説

広告識別子(広告ID)とは、スマートフォンやタブレット1台ごとにOSが割り当てる、広告向けの識別番号です。iOSではIDFA、AndroidではAAID(別称ADID)と呼ばれ、アプリをまたいだ広告配信の最適化や効果測定に使われます。ユーザーが自分でリセット・削除でき、Cookieのようにブラウザに紐づくものではありません。2026年時点では、iOSのATT(アプリのトラッキングの透明性)によって広告識別子に依存した計測は大きく縮小し、その代替とされたGoogleのPrivacy Sandboxも終了しました。この記事では、IDFAとAAIDの違い、確認・リセット・削除の手順、そして最新の規制動向までを整理します。

まとめ:広告識別子の要点

  • 広告識別子=広告ID。スマホ1台ごとの広告用IDで、iOS=IDFA、Android=AAID(ADID)。
  • ユーザーは設定からリセット(新しいIDに変え履歴との紐付けを断つ)と削除(Androidのみ・値をゼロにする)ができる。
  • iOSはATTで、追跡を拒否したアプリにはIDFAが全ゼロで返る。
  • Cookieはブラウザ単位、広告IDはOS(デバイス)単位という違いがある。
  • 2026年はGoogleのPrivacy Sandboxが終了してAAIDが当面存続する一方、iOSはSKAdNetworkやAdAttributionKitなど個人を特定しない集計計測への移行が前提になっている。

以下で、定義・違い・操作手順・規制動向の順に見ていきます。

広告識別子(広告ID)の定義と役割

広告識別子は、OSがデバイスごとに発行する匿名のIDです。氏名や電話番号のような個人情報とは異なり、ユーザーがいつでも変更・リセットできる点が特徴で、この「リセットできる匿名ID」という設計が個人情報との線引きになっています。広告IDや広告ID(advertising ID)と表記されることもありますが、指すものは同じです。

広告主やアプリ事業者は、この識別子を次の目的で利用します。1つ目はターゲティングで、興味関心に合わせた広告を配信します。2つ目は効果測定で、広告の表示やタップからアプリのインストール・購入までを結び付けて成果を計算します。3つ目はフリークエンシー制御で、同じ広告を同じ端末に出しすぎないよう回数を調整します。いずれも「どのユーザーか」ではなく「どの端末か」を単位にしている点が、広告識別子を理解する要になります。

IDFAとAAID(ADID)の違い

広告識別子はOSごとに名前と管理方法が異なります。まず全体像を表で押さえます。

項目 IDFA AAID(ADID)
OS iOS / iPadOS Android
提供元 Apple Google
正式名称 Identifier for Advertisers Google Advertising ID
主な制御 ATT(追跡許可の確認) 設定>プライバシー>広告
拒否時の挙動 全ゼロ値を返す リセット/削除でゼロ化

IDFA(iOS)の仕組みとATT制御

IDFAはAppleがiOS端末に割り当てる広告識別子です。00000000-0000-0000-0000-000000000000 のような形式の値を持ち、ユーザーが追跡を拒否した場合はこのゼロ値が返ります。iOS 14.5以降はATTの導入で、アプリが追跡目的でIDFAを使うには事前の許可取得が必須になりました。取得の仕組みや制限の詳細はIDFAとは?定義と基本概念を詳しく解説で扱っています。

AAID・ADID(Android)の管理と削除の位置づけ

AAIDはGoogleがAndroid端末に割り当てる広告識別子で、advertising IDを略した別称ADIDでも呼ばれます。両者は同じものを指し、検索では「adidとは」という形でも探されます。Androidでは値のリセットに加えて、IDそのものを削除してゼロ値に固定する操作も用意されている点がIDFAとの実務的な違いです。仕組みの詳細はAAIDとは何か?その基本的な概要と重要性についてで解説しています。

広告識別子の確認・リセット・削除(iOS/Android別)

広告識別子は端末の設定から確認・変更できます。「どこにあるのか」「消すとどうなるのか」はiOSとAndroidで挙動が異なるため、分けて説明します。

iPhone(iOS)で追跡を止める手順

iOSにはIDFAの値そのものを画面表示したり、ボタン1つでリセットしたりする機能はありません。ユーザーが操作するのは「追跡を許可するかどうか」です。設定アプリを開き、「プライバシーとセキュリティ」→「トラッキング」を選ぶと、追跡を要求してきたアプリの一覧が出ます。個別にオフにするとそのアプリにはIDFAがゼロ値で渡り、事実上IDが無効になります。一番上の「Appからのトラッキング要求を許可」をオフにすれば、すべてのアプリからの追跡を一括で拒否できます。

Android(AAID)のリセットと削除の違い

Androidは設定アプリの「プライバシー」→「広告」から操作します(機種により「Google」→「広告」の場合もあります)。ここには2つの操作があります。

  • 広告IDをリセット:新しいランダムなIDに置き換わり、過去の行動履歴との紐付けが切れます。IDそのものは有効なまま、データの蓄積が振り出しに戻ります。
  • 広告IDを削除:ID自体を消去し、アプリには実際の値の代わりにゼロ文字列が返ります。この削除機能は2021年末以降のGoogle Playサービスで利用できます。

もしこの画面に「広告IDの詳細情報」というリンクだけが表示され、リセット・削除のボタンが見当たらない場合は、すでにIDが削除済みの状態です。

広告IDリセット時の挙動とよくある誤解

リセットの効果は「過去との切断」です。それまで蓄積された閲覧・行動の履歴と新しいIDが結び付かなくなり、興味関心に基づく広告の最適化がいったんリセットされます。ただしIDが無くなるわけではないので、リセット後は新しいIDで再びデータがたまり始めます。追跡を根本から止めたい場合は、Androidなら「削除」、iOSなら追跡拒否を選ぶ必要があります。「リセット=完全に消える」ではない点が、よくある誤解です。

Cookieと広告識別子の違い

広告識別子と混同されやすいのがCookieです。両者は「誰に広告を出すか」を追う点で似ていますが、対象範囲が異なります。Cookieはウェブサイトがブラウザに保存する小さなデータで、ブラウザ単位・サイト単位で機能します。一方の広告識別子はOSがデバイスに割り当てるため、ブラウザを問わずアプリをまたいで機能します。ざっくり言えば、Cookieはブラウザの世界、広告識別子はアプリ(OS)の世界の仕組みです。

特に第三者サイトをまたいで追跡するサードパーティークッキーとは?仕組みと基本的な概念は広告識別子と役割が近く、両者はまとめて規制の対象になってきました。ただしChromeのサードパーティーCookieは2025年に廃止方針が撤回され、現在も維持されています。その経緯はGoogle サードパーティークッキー廃止方針を撤回する理由とその影響にまとめています。

プライバシー規制と広告識別子の現状(2026年)

広告識別子を取り巻く環境は、ATTの導入(2021年)とPrivacy Sandboxの終了(2025年)で前提が変わりました。2026年時点の要点を、iOSとAndroidの両面から整理します。

iOSのATT(アプリのトラッキングの透明性)

Appleは2021年のiOS 14.5でATTを導入し、アプリが追跡目的でIDFAを使う前に、ユーザーへ許可を求めることを義務化しました。多くのユーザーが「Appにトラッキングしないように要求」を選ぶため、IDFAを取得できる割合は限定的です。この結果、iOSでは個々の端末を追う従来型の計測が成り立ちにくくなり、後述する集計ベースの計測が主流になりました。ATTは2026年時点でも変わらずiOSの前提です。

AndroidのPrivacy Sandbox終了と広告IDの現状

GoogleはCookieや広告IDに代わる仕組みとしてPrivacy Sandboxを進めていましたが、2025年10月17日に主要API(Topics、Protected Audience、Attribution Reportingなど)の提供を終了しました。同時にChromeのサードパーティーCookieは廃止せず維持する方針となり、CHIPSやFedCMなど一部の機能だけが残りました。Android版のPrivacy Sandboxも縮小・終了の方向です。2025年3月時点の「Cookie廃止とPrivacy Sandboxへの移行」という前提は、2026年には成立していません。結果として、Androidの広告ID(AAID)は当面存続しつつ、ユーザーによる削除で無効化できる状態が続いています。

広告識別子に依存しない計測への移行

ATTとPrivacy Sandbox終了を踏まえると、事業者は「広告IDが取れる前提」で計測設計を組むべきではありません。取れないケースを標準と考え、代替手段を先に用意しておくのが2026年の現実的な方針です。

iOSでは、Appleが提供する集計計測が中心になります。従来のSKAdNetwork(SKAN 4.0)に加え、iOS 17.4以降で使えるAdAttributionKitが登場しました。AdAttributionKitはリエンゲージメント計測やApp Store以外のマーケットプレイスに対応し、SKANを土台に機能を広げたものです。AppleはSKANの廃止時期を示しておらず、当面は両者を併用する運用になります。いずれも個々のユーザーではなく、匿名化された集計値で成果を返す点が共通しています。

さらに、第三者に依存するサードパーティーCookieに頼らず、自社が直接取得するファーストパーティーデータや、ページの内容に合わせて配信するコンテキスト広告の比重が高まっています。行動履歴に基づく手法の位置づけは行動ターゲティングとは?その基本概念と重要性を解説もあわせて確認すると整理しやすくなります。広告識別子は「使えれば使う補助的な信号」へと役割が縮小した、と捉えるのが実態に合っています。

よくある質問

広告識別子とは何ですか?

スマートフォンなどの端末ごとにOSが割り当てる、広告用の匿名IDです。iOSではIDFA、AndroidではAAID(ADID)と呼び、ターゲティングや広告の効果測定に使われます。ユーザーが自分でリセット・削除できます。

iPhoneの広告識別子はどこで確認できますか?

iOSではIDFAの値そのものを設定画面で表示することはできません。ユーザーが操作できるのは追跡の許可・拒否で、設定アプリの「プライバシーとセキュリティ」→「トラッキング」から管理します。追跡を拒否したアプリにはIDFAがゼロ値で渡ります。

広告識別子を消す方法はありますか?

Androidは「設定」→「プライバシー」→「広告」から「広告IDを削除」を選ぶと、値がゼロ化されて実質的に消えます。iOSには削除ボタンはなく、「トラッキング」設定で追跡を拒否するとIDFAがゼロ値になり同等の効果が得られます。

Androidで広告識別子はどこにありますか?

設定アプリの「プライバシー」→「広告」(機種により「Google」→「広告」)にあります。ここで広告IDのリセットと削除ができます。

広告IDをリセットするとどうなりますか?

新しいランダムなIDに置き換わり、過去の行動履歴との紐付けが切れます。興味関心に基づく広告の最適化はリセットされますが、IDは有効なまま新しくデータがたまり始めます。完全に止めたい場合はAndroidの削除やiOSの追跡拒否を使います。

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