Cameyo(カメヨ)は、Windowsのデスクトップアプリをサーバー側で動かし、画面だけをブラウザへ届ける仮想アプリ配信(VAD:Virtual App Delivery)のサービスです。Googleが2024年6月に開発元を買収し、2025年11月から「Cameyo by Google」として一般提供しています。利用者の端末はChromeブラウザが動けばよく、ChromebookでExcelや社内の業務アプリを使う手段として導入されています。国内ではTD SYNNEXやソフトバンクが販売しており、ソフトバンクの説明書では1ライセンス年18,480円(税抜)、新規は最低50ライセンスです。この記事では、仕組み、料金、セルフホスト型の導入手順、VDIとの違いと向かない場面を、Googleのヘルプと国内販売元の資料をもとに整理します。
まとめ:Cameyo by Googleの要点
- 正体:Windowsのクライアントアプリを、ブラウザのタブかPWAとして配信するサービス(Linux版は2026年9月時点でベータ)。デスクトップ全体ではなくアプリの窓だけを届ける。
- 経緯:2023年にGoogleと提携、2024年6月5日にGoogleが買収、2025年11月17日にCameyo by Googleとして一般提供。
- 料金:ユーザー単位のサブスクリプションで、新規は最低50ライセンス。国内の公開価格の一例はソフトバンクの説明書で1ライセンス年18,480円(税抜)・1年契約。個人向けではなく法人・教育機関向け。
- 使える端末:ChromeOSが本命だが、TD SYNNEXはWindows・Mac・iPadのChromeブラウザからも使えると案内している。
- 導入:新規契約で選べるのは、自社のGoogle CloudかAzureに実行サーバーを置くBYO型と、自社のWindows Server 2019以降に入れるセルフホスト型の2つ。旧来のフルホスト型は既存顧客向けに継続しているだけ。
- 向かない場面:デスクトップ全体を渡したい業務や、オフラインで使う業務には合わない。
根拠にしたのは、GoogleのCameyoヘルプ「セルフホスト型サーバーを設定する」、支払いプラン、リリースノート、ChromeOS and Cameyoと、ソフトバンクのCameyo by Google サービス説明書 Ver1.0、TD SYNNEXの製品ページ、電算システムHDの2023年12月6日の発表です。
Cameyoの読み方と、Google買収から一般提供までの経緯
読み方は「カメヨ」です。国内販売元のサテライトオフィスやTD SYNNEXが「Cameyo(カメヨ)」と表記しています。検索では「カメオ」「kameyo」と打たれることもありますが、同じ製品を指しています。
Cameyoはもともと、米ノースカロライナ州の同名企業が作ったWindowsアプリの仮想化ソフトでした。旧版にはWindowsアプリをパッケージ化する機能があり、その後はブラウザからアプリを利用するサービスも提供されました。現在の「サーバーで動かして画面をHTML5で届ける」方式は、ここから発展したものです。そのため、「ソフトを1つのEXEにまとめるツール」として紹介している古い記事もありますが、現在のCameyo by GoogleはブラウザからアクセスするSaaSで、提供形態が違います。
| 時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2023年12月6日 | 電算システムが国内初の販売パートナーになったと発表 | 電算システムHD発表 |
| 2024年6月5日 | GoogleがCameyo社を買収(金額非公表) | Google Cloud Blog |
| 2025年9月22日 | Private Preview・新規顧客のGoogleサポート開始 | Cameyoリリースノート |
| 2025年11月13日 | Cameyo by Googleを発表(米国時間) | Google Cloud Blog |
| 2025年11月17日 | 一般提供(GA)開始 | Cameyoリリースノート |
| 2025年12月2日 | TD SYNNEXがライセンス再販を開始 | TD SYNNEX発表 |
| 2026年8月 | 日本語など非ASCIIファイル名の処理を改善 | Cameyoリリースノート |
買収前からGoogleとは提携関係にあり、買収を伝えるGoogle Cloud Blogによると、前年(2023年)の提携の段階で、ローカルファイル連携やPWAとしての配信を備えたChromeOS向けのVirtual App Deliveryを提供していました。GoogleがChromeOSを企業に売るうえで「Windowsでしか動かない業務アプリがあるから移行できない」という障壁を消すために取り込んだ、というのが各報道に共通する見方です。
Cameyoの仕組み:アプリの窓だけをブラウザへ配信する構成
Cameyoでは、アプリそのものはWindows Server上で動きます。Cameyoのヘルプセンターによると、実行サーバーには次のコンポーネントが自動で入ります。
- RDS(リモートデスクトップサービス):1台のサーバーに複数ユーザーがRDPで同時接続するための土台
- Apache TomcatとApache Guacamole:RDPの画面をHTML5に変換し、ブラウザへ届ける
- Java Runtime:上の2つを動かすためのもの
接続の流れは、まずポータルが利用者を認証し、負荷分散で実行サーバーを選びます。次に、ブラウザがトークン付きでそのサーバーのHTTPSアドレスへ転送され、サーバーがトークンをポータルに照合します。アプリはサーバー側で実行されますが、ローカルファイル連携やダウンロードを許可すると、業務データを端末に保存できます。ソフトバンクの説明書が「セッション終了時にデータが残らない非永続の実行環境」と説明しているのは、サーバー側の実行環境のことです。端末への保存を禁じたい場合は、Cameyoのヘルプにある設定値(PowerTag)!WEBFS=0でローカルファイル連携を無効にします。
NoVPN(Cloud Tunneling)でポートを開けない接続
社内に置いたサーバーを外から使わせる場合、通常はVPNか公開ポートが要ります。Cameyoのヘルプによると、トンネルを使わない構成では実行サーバーのHTTPS(443番)を外部に開ける必要があります。一方、Connect modeをCloud Tunnelingにすると、サーバーからCameyoのクラウドへ外向きにつなぐため、受信ポートを1つも開ける必要がありません。Cameyoが「NoVPN」と呼んでいるのはこの構成です。社内ネットワーク側に穴を開けずに在宅勤務者へ業務アプリを出せるのが、VPN更改のタイミングで検討される理由です。
VDI・DaaSとの違いと、Cameyoが向かない場面
VDI(仮想デスクトップ)はWindowsのデスクトップ環境を丸ごと利用者に渡します。Cameyoが渡すのは、公開したアプリの窓だけです。
| 観点 | Cameyo by Google | VDI・DaaS(AVD、WorkSpaces等) |
|---|---|---|
| 配信の単位 | アプリの窓 | デスクトップ/アプリ(製品による) |
| 利用者側に要るもの | Chromeブラウザ | 専用クライアントかブラウザ |
| 表示のされ方 | ブラウザのタブ・PWA | デスクトップ画面/アプリ画面 |
| 社内への接続 | Cloud Tunnelingで受信ポート不要 | AVDも逆接続で受信ポート不要 |
アプリだけを公開する方式そのものはCameyo独自ではありません。Azure Virtual DesktopにもRemoteAppがあり、Citrixにもアプリ公開の製品があります。Cameyoを選ぶ理由になるのは、ChromeOSとの統合やGoogle管理コンソールからの配布です。VPNやゲートウェイの自前構築が不要な点は、AVDなどにも共通します。Azure側の構成とセキュリティ設計はWindows Virtual Desktopのセキュリティ|現Azure Virtual Desktopの対策と構成を解説、AWSのDaaSはAmazon WorkSpacesとは|AWSの仮想デスクトップ(DaaS)の仕組み・料金・Personal/Pools/Coreの違いと採用判断で比較できます。
Cameyoを選ぶべきでない条件
次の条件ではCameyoの採用を見直します。デスクトップ全体が必要ならVDI・DaaS、オフライン利用が必要なら端末上で動くアプリを検討してください。
- デスクトップ全体が業務の前提:エクスプローラーで複数アプリを行き来する、スタートメニューから都度ソフトを起動するといった使い方は、アプリ単位の配信と相性が悪い。
- オフラインで使う:処理はすべてサーバー側なので、回線が切れると作業できない。
- セルフホストでWindows Server 2025に載せたい:Cameyoのヘルプは2019以降を要件とし、2025は未対応と明記している。
- ライセンス費を下げる目的だけで検討している:セルフホスト型でもWindows ServerのライセンスとRDS CAL(またはSAL)は利用者側で保有する必要がある。VDIのOSライセンスが消えても、RDS側の費用は残る。
逆に、ChromebookやChromeOS Flexへ切り替えたいが、会計ソフトやERPのクライアントなど数本のWindowsアプリだけが移行を止めている状況では、Cameyoを移行手段の候補にできます。
ChromeOSとの統合機能とChrome Enterprise Premium連携
Googleのヘルプ「ChromeOS and Cameyo」は、ChromeOSとの連携機能として次の4つを挙げています。
- PWAとしての配信:仮想アプリをChromeOSのランチャーやシェルフに置き、ネイティブアプリのように起動できる。
- ローカルファイルシステム連携:仮想アプリからChromebookのファイルを開き、保存できる。
- クリップボード共有の強化:仮想アプリとローカルのアプリの間でコピー・貼り付けができる。
- Google管理コンソールからの配布:Chromebookを管理しているのと同じ管理コンソールで、組織部門ごとにCameyoのアプリを配れる。
ソフトバンクの説明書によると、IDはGoogle Workspace(Cloud Identity)のほかMicrosoft Entra IDとも連携でき、ファイルはGoogleドライブとOneDriveの両方につなげます。Microsoft 365を使い続けながら端末だけChromebookにする構成も取れます。IDの一元化についてはOkta(オクタ)とは?認証の仕組み・機能・料金・セキュリティを2026年版で解説も参考になります。
2025年11月のGoogle Cloud Blogでは、Chrome Enterprise Premiumとの組み合わせも打ち出されました。Chrome Enterprise PremiumのURLフィルタリングとDLP(コピー・貼り付けや印刷の禁止)を、Cameyoで配信したWindowsアプリにも適用できます。さらに、ブラウザ内のAIアシスタント「Gemini in Chrome」から、配信中のWindowsアプリの内容も扱えるようになりました。
ChromeOS以外の端末での利用
配信先はChromeOSに限りません。TD SYNNEXの製品ページは、ChromeOSを導入していなくても、Windows・Mac・iPadなどChromeブラウザが動く端末から使えると回答しています。私物のMacから会社のWindowsアプリだけを使わせる、といったBYODの用途にも使えます。ランチャーやシェルフへの統合はChromeOS向けの機能ですが、アプリを使うこと自体はブラウザがあればできます。
Cameyo by Googleの料金と無料トライアル
Googleのヘルプ「支払いプラン」によると、Cameyoはユーザー単位のサブスクリプションで、1ユーザーに1ライセンスが必要です。新規契約は最低50ライセンスで、追加分は元の契約の終了日にそろえて契約します。公式サイト(cameyo.google)に価格表はなく、国内では販売代理店経由の見積もりになります。公開されている価格は次のとおりです。
| 時点・出典 | 形態 | 価格 | 最低数 |
|---|---|---|---|
| 現行・ソフトバンク説明書Ver1.0 | セルフホスト型 | 年18,480円(税抜) | 新規50 |
| 2023年12月・電算システム | フルホスト型 | 1ライセンス年39,120円〜(税抜) | 15 |
| 2023年12月・電算システム | セルフホスト型 | 1ライセンス年9,780円〜(税抜) | 30 |
2023年の電算システムの価格は、Google買収前のCameyo社時代のものです。フルホスト型は現在、新規契約では選べません(2025年11月17日のリリースノートで、既存顧客向けに継続サポートとされた)。現在の見積もりの目安にするなら、ソフトバンクの説明書にある年18,480円(税抜)・新規は最低50ライセンス・追加は1ライセンスから・契約期間1年、という公開条件を参照できます。最低50ライセンスではCameyoの年間料金だけで924,000円(税抜)です。セルフホスト型のため、別途Windows Server、RDS CAL(またはSAL)、配信アプリのライセンス料とサーバー運用費を見込みます。電算システムが2023年12月に発表した導入支援Basicは、93万1,000円(税抜)〜、構築期間は約1.5か月でした。
Cameyoの無料トライアルと利用条件
ソフトバンクの説明書はCameyo by Googleを「法人または教育機関向けのサービス」と定義しており、個人で無料で使う前提の製品ではありません。評価用の無料トライアルはあり、Googleの標準トライアルは最大50ユーザー・最長60日です。国内ではTD SYNNEXも30日間の無料トライアル環境を用意しており、自社のWindowsアプリやマクロ付きのExcelを載せてブラウザ上での動き方を確かめられます。
導入手順:セルフホスト型サーバーの要件と立ち上げ方
Googleのヘルプ「Operational environments」によると、現在の稼働環境はBYO(自社のGoogle CloudかMicrosoft Azureに展開)とセルフホストの2種類です。どちらも実行サーバーは利用者側の環境に置かれ、Googleとの責任分担モデルが適用されます。2025年3月1日以降に契約した顧客のサポート対象はいずれもWindows版です。ここでは、オンプレミスやIaaS上の自前サーバーに入れるセルフホスト型の要件と手順を示します。
サーバー要件とサイジングの目安
- OS:最新の更新を当てたWindows Server 2019以降(2025は未対応)。他の役割を入れていないクリーンな状態で用意する。
- 最小構成:2 CPU・メモリ8GB
- 目安:軽いアプリなら同時接続12ユーザーあたり1 CPU、1ユーザーあたりメモリ2GB
- ネットワーク:Cloud Tunnelingなら受信ポート不要。使わない場合は443番と、FQDN・公開DNSレコードが必要
- ライセンス:Windows ServerとRDS CAL(またはSAL)を利用者側で保有する
同時に30人が軽い業務アプリを使うなら、目安の式では3 CPU・メモリ60GBになります。この計算は初期見積もりです。実際のアプリを同時実行し、タスクマネージャーでCPUとメモリの使用量を測って構成を調整します。サーバー仮想化の基礎は仮想化技術とは?種類・仕組みからサーバー仮想化の採用判断まで実装目線で解説で整理しています。
インストールから配信開始までの手順
Googleのヘルプ「Set up a self-hosted server」の手順は次のとおりです。
- Windows ServerにCameyoのインストーラー(PlayServer.exe)をダウンロードして実行し、Installを押す。
- Cameyoの管理コンソールで「Dashboard」→「Add a Server」→「Self-hosted」を選び、インストールトークンを発行する。トークンは10分間有効で、1回しか使えない。
- サーバー側の画面にトークンを入力する。ポートを開けたくない場合はConnect modeを「Cloud Tunneling」にする。
- Activateを押し、サーバーを再起動する。RDS・Tomcat・Guacamoleなどはこのとき自動で構成される。
- 管理コンソールの「Action」→「Connect as Admin」でサーバーへ接続し、対象アプリをインストールする。「Publish your Apps」で対象アプリを選び「Apply」を押して公開し、ユーザーやグループに割り当てる。ChromeOS端末にはGoogle管理コンソールからPWAとして配る。
全社展開は段階的に進めるのが一般的です。サテライトオフィスは、まず対象アプリを1〜2本選んでPoC(動作とパフォーマンスの確認)を行い、部門単位の段階導入を経て、SSOとセキュリティポリシーを当てて全社展開する3段階を示しています。PoCでは、アプリの起動と主要機能の動作に加え、日本語入力、印刷、ファイルの保存先が業務要件を満たすかを確認します。日本語など非ASCIIのファイル名で一部利用者に生じていた不具合は2026年8月のリリースで改善されたため、それ以前に検証して見送った組織は再確認する価値があります。
国内の販売代理店と導入支援
「cameyo 代理店」「cameyo 導入支援」で探す場合、公開情報で確認できる主な窓口は次のとおりです。
- TD SYNNEX:2025年12月2日にライセンス再販を開始。30日間の無料トライアル、PoCやトレーニングを含む技術支援を提供し、販売パートナーの募集もしている。
- ソフトバンク:サービス説明書で年額と契約条件を公開。技術サポートと障害受付はGoogle、契約の問い合わせはソフトバンクの法人サポートセンターが受ける。
- 電算システム:2023年12月に国内初の販売パートナーとして提供を開始。
- サテライトオフィス:PoCから全社展開までの導入支援を提供。
ソフトバンクの説明書では、同社経由の契約の技術サポートはGoogleが受けます。他の販売窓口については、契約時期と代理店の支援契約に応じた問い合わせ先を確認してください。代理店の違いは、価格の条件、PoCや構築の支援の範囲、端末やネットワークとまとめて提案できるかに出ます。ChromeOSの次の世代として話題のAndroidベースのOSについてはAluminum OS(Aluminium OS)とは?インストール方法・システム要件・リリース時期【2026年7月】で扱っています。
Cameyoに関するよくある質問
Cameyoの読み方は?
「カメヨ」です。国内の販売元はCameyo(カメヨ)と表記しています。「カメオ」と読まれることもありますが、同じ製品です。
Cameyoは無料で使えますか?
継続利用は有料です。法人・教育機関向けのユーザー単位サブスクリプションで、国内価格はソフトバンクの説明書で1ライセンス年18,480円(税抜)、新規は最低50ライセンスです。評価用には、Googleの標準トライアル(最大50ユーザー・最長60日)やTD SYNNEXの30日間の無料トライアル環境があります。
ChromebookでWindowsアプリやExcelを使えますか?
使えます。Windows Server上で動かしたアプリの画面をブラウザへ配信するため、Chromebook側にWindowsは要りません。ExcelなどのOfficeを配信する場合は、サーバー側でMicrosoftのライセンス条件を満たす必要があるので、契約前に販売元へ確認してください。
Cameyoは従来のVDIと何が違いますか?
VDIがデスクトップ全体を渡すのに対し、Cameyoは公開したアプリの窓だけを渡します。利用者側はChromeブラウザだけで済み、Cloud Tunnelingを使えばVPNも受信ポートの開放も要りません。デスクトップ全体を使う業務やオフライン利用には向きません。
ChromeOS以外のWindowsやMacでも使えますか?
使えます。TD SYNNEXは、Windows・Mac・iPadなどChromeブラウザが動く端末から利用できると案内しています。ChromeOSでは、配信アプリをランチャーやシェルフから起動できます。