Devin Session Toolsは、Cognitionの自律型AIエンジニア「Devin」のセッション画面に並ぶ作業ツールの総称です。Devinが打ったコマンドを追うShell、編集をその場で確認して自分で直せるIDE、ログインやCAPTCHAを人が代わりに通すInteractive Browserの3つが中心で、これらを時系列にまとめるProgressタブと、作業を止めずに質問できるSide Chatが加わります。この記事では、公式ドキュメントのDevin Session Toolsをはじめとする一次情報(2026年9月29日に確認)をもとに、各ツールの使い方、Devinから作業を引き継ぐ手順、セッション開始前の環境設定、使用量と料金の関係を整理します。Devinそのものの概要はDevinとは?できること・料金・使い方と他AIツールとの違いで扱っています。
まとめ:Devin Session Toolsの要点
- Shell・IDE・Browserの3ツールで、Devinの作業を「見る」「止めて引き継ぐ」「人が操作して戻す」ことができる。Progressタブには、コマンド・コード編集・ブラウザ操作が1本の時系列で記録される。
- Shellのコマンド履歴は、クリックでその時点の状態へ移動できる。灰色の行は、その時点より後に実行されたコマンド。
- IDEはリポジトリを読み込んだVS Code環境。引き継ぐときはセッションを止めてから編集し、再開時に何を変えたかをDevinへ伝える。
- BrowserタブはMFA・OAuth・CAPTCHAなど、Devinが自力で通れない認証を人が通すための場所。Computer Useを有効にした組織では「Computer」と表示される。
- ログイン状態は「save the browser profile」と頼むと組織のblueprintに保存され、以後のセッションはログイン済みで始まる。組織の全員が使えるので、個人アカウントでは保存しない。
- 使用量はDevinの操作の数と複雑さで決まり、返信待ち・テスト待ち・リポジトリのクローン中はほぼ増えない。操作が30分ないとセッションはスリープする。
- 料金は2026年9月時点でFree(0ドル)/Pro(月20ドル)/Max(月200ドル)/Teams(月80ドルから)/Enterprise(個別見積もり)。ACU課金はEnterpriseの単位で、自己契約プランはクォータとオンデマンドクレジットで計量する。
Session Toolsを構成する5つの画面と役割
セッション画面のツールは、用途で次のように分かれます。公式ドキュメントの「When to use each tool」表を、ProgressタブとSide Chatまで広げて整理しました。
| 画面 | 主な用途 | 人が操作できるか |
|---|---|---|
| Progressタブ | 全作業の時系列ログ | 閲覧のみ |
| Shell | コマンドの監視・テスト実行・デバッグ | 引き継ぎ時に書き込み可 |
| IDE | 差分レビュー・小さな修正・デバッグ | 停止後に編集可 |
| Browser(Computer) | 画面確認・認証・フロントエンド試作 | 操作可 |
| Side Chat | 作業中セッションへの質問 | 読み取り専用の回答 |
Devinは、ブラウザを見ながらシェルでコマンドを走らせ、同時に複数のファイルを読む、といった操作をまとめて並行実行します。そのため、どの画面で何が起きたかはProgressタブで追うのが基本になります。セッション内の任意のステップをクリックすると、その時点のシェル出力・編集・ブラウザ操作の詳細が開きます。
ShellのコマンドとProgressタブで作業経過を追う方法
Shellでは、Devinがそのセッションで実行したコマンドの一覧と、各コマンドの出力のプレビューを確認できます。三点リーダーのアイコンからは、コマンドと出力をまとめてクリップボードへコピーできます。エラーの再現手順をIssueに貼るときや、同じコマンドを自分の手元で試すときに役立ちます。
コマンド履歴では、過去の実行記録を確認できます。履歴のコマンドをクリックすると、その時点のコマンドと出力の表示に切り替わります。灰色で表示されるコマンドは、表示中の時点より後に実行されたものです。テストが落ち始めた直前のコマンドまで戻れば、Devinがどこで方針を変えたのかを特定できます。公式は、履歴から「何を試して何が通ったか」を読むことを、介入の前提として勧めています。
シェルは通常は読み取り専用です。自分でコマンドを打つのは、次の章の手順でDevinを止めて引き継いだ後になります。VS Codeのターミナルを開くか、既存のターミナルを読み取り専用から書き込み可能に切り替えます。
Devin IDEでのレビューと作業の引き継ぎ手順
Devin IDEは、リポジトリを読み込んだVS Codeの環境です。Devinが編集している様子をリアルタイムで見られるほか、新しいタブでファイルを開く、定義へジャンプする、といった通常のショートカットも使えます。差分ビューで変更を確認するのが、IDEの一番よくある使い方です。
引き継ぎ(テイクオーバー)の操作手順
- セッションを停止する。Devinが動いたままだと、自分の編集とDevinの編集が衝突する。
- IDEで変更を修正する。
Cmd/Ctrl+Kで自然言語からターミナルコマンドを生成、Cmd/Ctrl+Iで質問への即答やファイルの素早い編集、Tabで補完が使える。 - ターミナルを書き込み可能に切り替え、テストやビルドを自分で実行する。フロントエンドの変更はBrowserタブでローカルビルドを開いて確かめる。
- セッションを再開し、どのファイルをどう変えたかをチャットでDevinに伝える。
4番目は省かないでください。Devinは人が何を変えたかを知らないまま作業を再開するので、直した箇所を前提にしない変更を重ねるおそれがあります。公式のベストプラクティスも、再開するときは必ず変更内容を伝えるよう求めています。
Devin CLIによるSSH接続とローカルへのポート転送
ブラウザ上のIDEでは足りない場合、Devin CLIからクラウドセッションのVMへSSHで入れます。devin forwardを使うと、VM上で動く開発サーバーを手元のlocalhostで開けます。
devin ssh <session-id-or-url> # セッションのVMでシェルを開く
devin ssh <session-id-or-url> -L 8080:localhost:8080
devin forward <session-id-or-url> 3000 # http://localhost:3000 で開く
devin forward <session-id-or-url> 8080:3000 # 手元の8080 → VMの3000
通常のssh devin-<id>@ssh.devin.aiでも接続でき、その場合はゲートウェイが表示するURLをブラウザで開いて接続を承認します(SSH into Devin Cloud sessions)。scpやエディタのRemote-SSH拡張もこの経路で使えます。
Interactive Browserでの認証代行と画面確認
Interactive Browserは、セッション画面のBrowserタブにあります。組織でComputer Useを有効にしている場合、タブ名はComputerに変わります(ブラウザ認証のページではDesktopタブと表記)。Devinのブラウザとデスクトップを人が直接操作できる画面で、公式が挙げる用途は次のとおりです。
- Devinのマシンで動いているアプリをブラウザで開いてテストする
- UIの変更が意図どおりに表示されているかを目で確かめる
- Devinが自動で通れないログイン、MFA、OAuthの認可画面を人が通す
- CAPTCHAを人が解く
- 複数ステップのフォームなど、込み入った画面の操作を手伝う
セッション中にブラウザでログインすると、Cookieとセッション情報はそのセッションが終わるまで保持されます。MFAを通すのは1回で済み、その後はDevinが認証済みの状態で作業を続けます。
ログイン状態を次のセッションへ持ち越す設定
毎回ログインし直す手間は、ブラウザプロファイルの保存でなくせます。ブラウザでログインした後、Devinに「save the browser profile」または「persist my login sessions」と頼むと、DevinはCookieやlocalStorageを含むChromeのプロファイルをzipにまとめ、組織のblueprintに「Initialize browser profile」という初期化ステップを追加する提案を出します。承認すると、以後の新しいセッションはログイン済みの状態で始まります(Devin browser authentication)。
保存範囲と利用上の制約を確認してください。保存先は組織単位で、組織の誰が始めたセッションでもそのログイン状態を読み込めます。個人のアカウントではなく、組織全体で使ってよい専用のサービスアカウントで保存してください。拡張機能は復元されず、Chromeに保存したパスワードも含まれません。zipは200MB未満である必要があります。Cookieはアプリ側の有効期限どおりに切れるので、切れたら再ログインして保存し直します。保存ボタンに当たるsave_browser_profileツールは、blueprintを管理する権限(Manage Org Blueprints)を持つユーザーが始めたセッションでだけ使えます。
APIトークンやパスワードは、プロファイルではなくSecretsに登録します。スクリプトで書けるログインなら、Playwrightのログインスクリプトを.agents/skills/に置き、リポジトリごとにgitで版管理する方法もあります。
Computer Useとテスト録画
Computer Useを有効にすると、Devinはブラウザだけでなく、デスクトップ全体をマウスとキーボードで操作します。画面は1024×768ピクセルとして扱われ、Linux・Windows・macOSのセッションで使えます。有効化はSettings > DevinのSessionsにあるComputer useのトグルで、変更できるのは組織の管理者だけです。
DevinがPRを作るとTest the appボタンが出ます。押すとDevinはアプリを起動し、差分から短いテスト計画を作って画面を操作し、その録画をメッセージに添付して返します。ボタンを押さずに毎回テストさせたい場合は、Settings > PreferencesのPre-approve testingをオンにします(Testing & Video Recordings)。レビュー担当者はブランチを手元に取らずに、録画で動作を確認できます。
Side Chatで作業を止めずに質問する方法
Side Chatは、Devinの本来の作業を中断せずに、そのセッションについて質問するための別パネルです。メッセージのホバーメニュー、タブ追加メニュー、またはメインの入力欄に/btw 質問と打つと開きます。Side Chatはその時点までのセッションの文脈をすべて持っています。
Side Chatは読み取り専用です。Devinはコードベースを検索・閲覧して答えますが、ファイルの編集やコマンドの実行、メインの作業の変更はしません。「いま触っている関数は何のためか」「さっきのテスト失敗の原因は何か」といった確認は、Side Chatで聞けばメインの作業が止まりません。回答の途中で止めることもでき、その間もメインのセッションは動き続けます。
セッション開始前に整えるblueprintとスナップショット
Session Toolsで手を入れる回数は、セッション開始時の環境で大きく変わります。依存関係が入っていない環境では、Devinは毎回インストールから始め、人がシェルやIDEで直す場面も増えます。公式はこの環境設定を、Devinの成果を上げるうえで最も効く作業と位置づけています(Devin environment setup)。
Devinの環境は、リポジトリのクローン、ツール、依存関係、環境変数を入れたLinuxの仮想マシンです。その状態はスナップショットとして保存され、各セッションはスナップショットの新しい複製から起動します。セッション中の変更はスナップショットに書き戻されません。スナップショットは組織ごとに1つだけ有効です。
スナップショットの中身はblueprintで定義します。Settings > Environment > Blueprintsで対象リポジトリを追加し、そのリポジトリのblueprintを編集します。以下はuvで依存関係を管理するPythonプロジェクト向けの公式例です。適用先にはpyproject.tomlなどのプロジェクト設定が必要で、lint・testにはruff・pytestを実行できる依存関係を用意します。
initialize: |
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
maintenance: |
uv sync
knowledge:
- name: lint
contents: uv run ruff check .
- name: test
contents: uv run pytest
| セクション | 書く内容 | 実行のタイミング |
|---|---|---|
| initialize | ランタイム・システムパッケージ | ビルド時のみ |
| maintenance | 依存関係のインストール | ビルド時(セッションでは提示のみ) |
| knowledge | lint・test・buildのコマンド | 実行しない(文脈に読み込む) |
保存するとビルドが自動で始まり、Settings > Environment > Snapshotsで進捗を見られます。ビルドはリポジトリの追加・削除、リポジトリのシークレット追加、手動のBuild snapshotでも走り、およそ24時間ごとに自動でも更新されます。手で書く代わりに、セッションで「Set up your environment for this repo.」と頼むと、Devinがリポジトリを調べてblueprintを提案します。
blueprintのknowledgeは環境に紐づく短いコマンドの参照で、リポジトリごとに読み込まれます。設計方針やチームの約束事は、別機能のKnowledgeに登録します。
セッションの使用量が増える条件と2026年9月時点の料金
使用量は、Devinが実際に行った操作の数と複雑さ(計画、文脈の収集、コード実行、ブラウザ操作など)と、仮想マシンの稼働時間・通信量で決まります。仮想マシンの分は通常、全体のごく一部です(Usage)。逆に、次の時間は稼働維持のわずかな分しか増えません。
- 人の返信を待っている間
- テストスイートの完了を待っている間
- 環境構築やリポジトリのクローン中
操作が30分ないとセッションはスリープし、スリープ中は使用量が増えません。Enterprise契約ではこの時間を5〜120分の範囲で調整できます。Windowsのセッションは、同じ作業のLinuxより約9%多く消費します。1セッションでどれだけ使ったかは、終了後にSession Insightsで確認できます。
公式は使用量を抑える方法として、ゴールが明確な小さい単位で任せること、1つのセッションに別々の依頼を詰め込まないこと、大きな案件はセッションを分けることを挙げています。
| プラン | 月額 | 人数 | 使用量の枠 |
|---|---|---|---|
| Free | 0ドル | 1人 | 限定的 |
| Pro | 20ドル | 1人 | 日次+週次のクォータ |
| Max | 200ドル | 1人 | 週次のクォータ(日次上限なし) |
| Teams | 80ドルから | 最大200人 | フル席40ドル=Pro相当 |
| Enterprise | 個別見積もり | 組織単位 | ACUで契約 |
自己契約のプランでは、クォータを使い切るとオンデマンドクレジット(前払い・繰り越し可)から差し引かれます。公式は、旧ACUベースのプランから移行する際、オンデマンドクレジットは従来のACUと同じドル価値として扱われると説明しています。Teamsでは、無料のフレックス席がチーム共有のクレジットだけを使い、Devin Desktopは使えません。旧Coreプランの利用者はFreeプランへ移行済みです。金額と枠は公式の料金ページとSelf-serve plansで最新の値を確認してください。
引き継ぐ・指示し直す・質問するの判断基準
Session Toolsで最も判断が分かれるのは、Devinの作業に「いつ、どの手段で」割り込むかです。公式ドキュメントの記述と使用量の仕組みから、次のように使い分けるのが合理的です。
- 方向が違うと気づいたら、すぐチャットで止めて指示し直す。使用量は操作の数で増えるので、間違った方針のまま進んだ分はそのまま費用になる。公式も「早めに介入する」ことを勧めている。
- 人にしかできない操作は、Browserで引き受ける。MFA、CAPTCHA、OAuthの同意画面などでDevinが自動処理できずに止まった場合は、人がBrowserで操作する。
- 説明するより直す方が早い数行の修正は、IDEで引き継ぐ。変数名の誤りや設定値1つの違いなど。ただし直した内容は再開時に必ず伝える。
- 状況を知りたいだけなら、Side Chatで聞く。Side Chatは読み取り専用で、メインの作業を中断させない。
引き継ぎを使うべきでないのは、設計の見直しが必要な場面です。この場合は、IDEでコードを修正するだけでなく、変更の目的・維持する要件・受け入れ条件を整理し、Devinに作業計画の更新を指示する必要があります。方針そのものを変えるなら、セッションを終えて、変更点を盛り込んだ新しい依頼で始め直す方が確実です。どの作業をDevinに任せ、どれを手元のエディタ型のツールで進めるかの切り分けは、Coding Agent(コーディングエージェント)とは?仕組み・3つの型と主要ツールの選び方で整理しています。
Devin Session Toolsに関するよくある質問
Devin Session ToolsのShellでは何ができますか?
Devinが実行した全コマンドと出力のプレビューを一覧で確認でき、コマンドと出力のコピー、クリックによるその時点への移動ができます。自分でコマンドを打つには、セッションを止めて引き継ぎ、ターミナルを書き込み可能に切り替えます。
Devinが作業している最中にIDEで編集しても大丈夫ですか?
推奨されていません。Devinの編集と衝突するため、公式は引き継ぐ前にセッションを止めるよう求めています。再開するときは、変更したファイルと内容をDevinに伝えてください。
Devinのセッションは使っていない間も費用がかかりますか?
人の返信待ちやテストの完了待ちの間は、仮想マシンを維持するわずかな分しか増えません。操作が30分ないとセッションはスリープし、スリープ中は使用量がかかりません。
DevinのTeamsプランはいくらからですか?
Self-serve plansでは月額最低80ドル・フル席1人あたり月40ドルと説明されていますが、料金ページには月額80ドルにフル席料金を加算する表記があります。以下はSelf-serve plansに記載された計算方法であり、契約時には申込画面で総額を確認してください。フル席が2人未満のときは、80ドルとの差額がチーム共有のオンデマンドクレジットとして請求されます。最大200人まで加入でき、フレックス席は無料ですが共有クレジットだけを使い、Devin Desktopは使えません。
Devinにログインが必要なサイトを操作させるにはどうすればよいですか?
Browserタブで人がログインし、MFAやCAPTCHAを通します。そのセッションの間はログイン状態が保たれます。以後のセッションにも持ち越したい場合は「save the browser profile」と頼み、組織のblueprintへの追加を承認します。組織の全員が使える状態になるため、専用のサービスアカウントで行ってください。