Model Council(モデル評議会)は、AI検索プラットフォームPerplexityが2026年2月5日に公開した機能です。1つの質問を複数のフロンティアモデルへ同時に投げ、別のモデルがその出力をまとめ直して「どこで一致し、どこで食い違ったか」が分かる回答を返します。発表当初はWeb版のPerplexity Maxのみが対象でしたが、その後iOSアプリとPerplexity Computerへ広がり、既定で走るモデルの顔ぶれも入れ替わりました。この記事では、使い方・提供条件・料金を中心に、2026年9月時点の公式ヘルプセンターで確認できる内容を整理します。
まとめ:Model Councilの要点
- 何をする機能か:同じ質問を3つのモデルへ並行送信し、シンセサイザーモデルが1つの回答へ合成する。合意点と相違点が明示される点が単一モデルとの違い。
- 提供条件:WebとiOSアプリの対象はPerplexity MaxとEnterprise Maxです。個人向けMaxは月額200ドル(年額2,000ドル)で、無料・Pro・Education Pro・Enterprise Proは対象外です。
- 使い方:Web版はホーム画面で検索バーの下にある「検索」をクリックし、Model Councilを選んで質問するだけ。検索バーの「3モデル」から参加モデルの入れ替えとThinkingの切り替えができます。
- Computer版は別条件:Perplexity Computerではスキルとして動き、無料を除く全有料プランで使えます。クレジット課金のため実質的な費用は質問の重さで変わります。
- 既定の3モデル:Anthropic・OpenAI・Googleのフロンティアモデルが1つずつ走ります。顔ぶれは更新されるため、実際の構成は選択画面で確認してください。
- 過信は禁物:複数モデルの合議が精度を上げるという研究はありますが、全モデルが同じ誤りを共有する場合は検出できません。一致は正解の保証ではありません。
Model Councilとは|3つのモデルを同時に走らせて1つの答えにまとめる機能
2026年2月5日にMaxの目玉機能として公開
Perplexityは公式ブログ「Introducing Model Council」で、Model Councilを「複数のモデルを1つの回答のために集める、マルチモデルのリサーチ機能」と説明しています。同社はもともと複数ベンダーのモデルを切り替えて使える点を強みにしてきましたが、どのモデルが自分の質問に最適かはユーザー側では判断しづらいという課題がありました。Model Councilは、その選択を手作業で繰り返す代わりに「まとめて走らせて突き合わせる」方向で解いた機能です。発表時点の対象はWebのPerplexity Max加入者で、モバイルアプリ対応は「近日」と案内されていました。
シンセサイザーモデルによる合意点・相違点の整理
公式ブログによると、Model Councilを選ぶとクエリはPerplexityで利用できるモデルのうち3つ(発表時の例はClaude Opus 4.6、GPT 5.2、Gemini 3.0)へ同時に送られます。各モデルの出力はシンセサイザーモデルが読み、可能な範囲で矛盾を解消したうえで、モデル間で一致した点と割れた点が分かる1つの回答を返します。Perplexity Computer側の実装では、まとめ役のモデルを利用者が指定できる形になっており、報道ではこのまとめ役が「chair(議長)」と呼ばれています。つまり「多数決」ではなく、議長役のモデルが要約と調停を担う構造です。
既定モデルの変更と選択画面での確認
既定構成はAnthropic・OpenAI・Googleのフロンティアモデルが1つずつで、2026年9月時点の公式ヘルプはThinkingを有効にしたGPT-5.6 Sol、Claude Opus 5、Gemini 3.1 Proを挙げています。発表時に例示されたClaude Opus 4.6、GPT 5.2、Gemini 3.0からは総入れ替えに近い形で変わっており、各社の新モデル公開に合わせて今後も動きます。「この3つが常に使われる」と覚えるのではなく、実際の顔ぶれは検索バーのモデル選択で確認するのが確実です。
使い方|Web版の手順とモデル選択
Web版Model Councilの開始手順
公式ヘルプセンターが案内するWeb版の手順は次のとおりです。
- Web版のPerplexityホーム画面を開く
- 検索バーの下にある「検索」をクリックする
- 表示された一覧からModel Councilを選ぶ
- 質問を入力してEnterを押す
モードを切り替えると、検索バーにModel Councilと参加モデル数が表示されます。あとは3モデルへの並行送信と合成が自動で走り、個別モデルの回答と合成回答の両方を確認できます。合意点だけを読んで先へ進むか、割れた論点を掘り下げるかを自分で選べる形です。
参加モデルの入れ替えとThinkingの切り替え
検索バーに表示される「3モデル」をクリックすると、選択できるモデルの一覧が開きます。Web版の評議会は常に3モデルで動くため、別のモデルを入れたい場合はどれか1つを外して枠を空ける必要があります。Thinkingの切り替えは対応するモデルで利用でき、有効にすると推論を深く回す代わりに応答までの時間が伸びます。自動的にThinkingを使うモデルもあるため、すべてのモデルで任意にオン・オフできるわけではありません。切り替えられるモデルでは、多段階の分析が必要な質問でThinkingを試し、応答時間と合わせて使い分けてください。
公式ヘルプが個人向けプランの検索モデルとして掲載しているのは、Sonar 2、GPT-5.6 Terra、GPT-5.6 Sol、Gemini 3.1 Pro、Claude Sonnet 5、Claude Opus 5、Kimi K3、GLM 5.2、Grok 4.5、Nemotron 3 Ultraです(表の記載は2026年7月時点)。ただしModel Councilへ実際に入れられる顔ぶれはモデルセレクターが最終的な基準なので、そちらで確認してください。Enterpriseワークスペースについては、Moonshot AIとZ.aiのモデル(Kimi K3とGLM 5.2)は提供されないと公式ヘルプが記載しており、組織の管理者設定によってはさらに絞られます。
使えるプランと料金
検索モードとして使えるのはMaxとEnterprise Maxのみ
公式ヘルプセンターは、WebとiOSアプリの検索モードとしてのModel CouncilをPerplexity MaxとEnterprise Maxの加入者専用とし、無料・Pro・Education Pro・Enterprise Proでは利用できないと明記しています。費用はMaxの月額200ドル(年額2,000ドル)に含まれますが、Web・iOS版には月間の利用上限があります。その範囲内であれば質問ごとの追加課金は発生しません。日本のApp Storeのアプリ内課金では、Maxは月額30,000円と表示されます(年額請求はWebアプリ版のみ)。
| プラン | 月額 | Web・iOSの検索モード | ComputerのModel Council |
|---|---|---|---|
| 無料 | 0ドル | 対象外 | 対象外 |
| Pro | 20ドル | 対象外 | 対象(クレジット消費) |
| Max | 200ドル(年額2,000ドル) | 対象 | 対象(クレジット消費) |
| Enterprise Pro | 座席課金 | 対象外 | 対象(クレジット消費) |
| Enterprise Max | 座席課金 | 対象 | 対象(クレジット消費) |
Computer版はスキル扱いで有料プラン全体が対象
Model Councilは検索モードだけの機能ではありません。2026年3月5日にPerplexity Computerへ導入され(当初はMax向け、まとめ役のモデルを指定可能)、2026年7月28日には構成が広がりました。報道によると、この拡張で選べるモデル数は2〜8個になり、OpenAI・Anthropic・Googleに加えてGLMやKimiといったオープンウェイトモデルも候補に入ります。公式ヘルプは現在、ComputerでのModel Councilを「スキルとして動作し、すべての有料プランで利用できる」と説明しています。つまり月額20ドルのProでも、Computer側であれば複数モデルの合議を使えます。
ただしComputerはクレジット制のため、費用は固定ではなく質問の重さで変わります。クレジット消費はComputer全般の参考例として、軽いタスクで100〜350クレジット、重いタスクで2,275クレジットに達する範囲が示されています。Model Council専用の見積もりや上限ではありません。同社のJesse Dwyer氏は仕組みについて、すべての観点が出そろうまで待ってから、利用者が選んだモデルが議長として働くと説明しています。2026年8月4日の更新情報では、ComputerのModel CouncilモードとKimi K3の追加が案内されました。
Perplexity Computerのプラン構成やクレジット消費量の目安はPerplexity Computerとは|料金・クレジット消費量・対応モデルと使い方【2026年7月版】で詳しく整理しています。
効く質問と、向かない質問
Model Councilの公式推奨用途
公式ブログとヘルプセンターは、精度と視点の広さが効く場面としてこの4つを挙げています。
- 投資リサーチ:モデルの偏りが損失につながりうる株式・市場・財務判断で、バランスの取れた見方を得る
- 重い意思決定:大きな買い物、キャリア選択、戦略上の選択肢を複数の推論から評価する
- ブレインストーミング:贈り物、旅行計画、コンテンツ案などをモデルごとの持ち味から引き出す
- 検証:間違えられない情報をクロスチェックする
いずれも「1回の回答を早く得る」よりも「判断を間違えない」ことが重要な用途です。定型的な調べ物や短い要約で即答を優先するなら、通常の検索モードを選んでください。Model Councilは、複数の見解を比較する必要がある質問に絞って使うのが合理的です。
モデル間の一致と正確性の限界
複数モデルを並べる方式の弱点は、モデル群が同じ誤りを共有している場合に表面化します。学習データや評価の傾向が近いモデル同士は誤り方も似るため、全員一致でも間違っていることがあり得ます。合意点は複数モデルが同じ結論を出した箇所というだけで、それ自体は事実確認が済んだことを意味しません。また、複数モデルを並列に走らせる以上、応答は単一モデルより遅くなり、Computer版ではクレジット消費も増えます。Perplexityの回答精度そのものの限界についてはPerplexityの強みと特徴|出典付き回答の仕組みと精度の限界【2026年8月】で整理しています。
複数モデル合議の研究結果と適用限界
マルチエージェント討論の実測値
複数のモデルに議論させる手法の代表的な研究が、Du氏ら(MITとGoogle Brain)の論文「Improving Factuality and Reasoning in Language Models through Multiagent Debate」(2023年5月公開)です。同論文は、複数のモデルインスタンスがそれぞれの回答と推論過程を提示し、複数ラウンドかけて共通の最終回答へ収束させる方式を検証しました。次の表は2023年公開版のTable 1からの抜粋で、実験はgpt-3.5-turboを使い、討論条件は3エージェント・2ラウンドです。
| 手法 | 算術(%) | 小学校算数GSM8K(%) |
|---|---|---|
| 単一エージェント | 67.0 | 77.0 |
| 単一エージェント(自己反省) | 72.1 | 75.0 |
| 複数エージェント(多数決) | 69.0 | 81.0 |
| 複数エージェント(討論) | 81.8 | 85.0 |
多数決だけでは伸びが小さく、互いの回答を読んで議論させたときに最も大きく改善している点が要点です。生成文の事実性についても、誤った回答やハルシネーションが減ったと報告されています。
討論研究とModel Councilの設計上の違い
ただし、上表は同一モデルの複数インスタンスが複数ラウンド討論した実験結果であり、異なるベンダーのモデルを並行実行して回答を合成するModel Councilとは条件が違います。数値をそのままModel Councilの精度向上幅として読むことはできません。「複数の推論を突き合わせると単発回答より良くなる方向がある」という裏付けとして参照するのが適切です。複数モデルを役割分担させる設計思想は他社にも広がっており、Claude APIでの構成例はAdvisor Strategyとは|Opus AdvisorでSonnet・Haikuを底上げするClaude API構成と実装で扱っています。
手元で似た仕組みを試す:LLM Council
Maxプランの費用をかけずに同種の体験を確かめたい場合、Andrej Karpathy氏が2025年11月22日に公開したOSS「llm-council」が参考になります。OpenRouter経由で複数のLLMへ同じ質問を投げるローカルWebアプリです。Max契約は不要ですが、OpenRouterのAPIキーと利用分のクレジットは必要になります。処理は3段階です。
- First opinions:全モデルが個別に回答し、タブ表示で見比べられる
- Review:各モデルに他モデルの回答を渡し、モデル名を伏せたうえで正確さと洞察で順位付けさせる
- Final response:議長(Chairman)役のLLMが全回答を1つにまとめる
Model Councilが「並行実行+合成」であるのに対し、llm-councilは匿名化した相互レビューを挟む点が違います。リポジトリは2万4千を超えるスターを集めていますが、作者自身が土曜日の趣味的な実装であり今後サポートしないと明記しているため、業務利用の基盤として当てにするものではありません。仕組みを理解し、自分の質問で挙動を確かめる用途に向いています。PerplexityのAgent APIで複数社のモデルを1つのAPIから呼ぶ方法は「Perplexity APIとは:Agent APIで出典付き回答を取得する実装と料金」にまとめています。
よくある質問
Model Councilは無料で使えますか?
使えません。公式ヘルプセンターは、WebとiOSの検索モードについて無料プランとPro、Education Pro、Enterprise Proを対象外とし、Perplexity Max(月額200ドル、年額2,000ドル)とEnterprise Maxの加入者専用としています。一方、Perplexity Computer内のModel Councilはスキルとして提供され、無料を除くすべての有料プランで利用できます。こちらはクレジットを消費します。
どのモデルが使われますか?
既定はAnthropic・OpenAI・Googleのフロンティアモデルが1つずつで、2026年9月時点の公式ヘルプはThinkingを有効にしたGPT-5.6 Sol、Claude Opus 5、Gemini 3.1 Proを挙げています。Sonar 2やClaude Sonnet 5、Kimi K3、GLM 5.2、Grok 4.5、Nemotron 3 Ultraなどへ入れ替えることもできますが、選べる顔ぶれはプランや組織の設定で変わるため、モデルセレクターで確認してください。Web版は常に3モデルで動くため、別のモデルを追加するには1つ外す必要があります。
スマートフォンアプリでも使えますか?
iOSアプリでは使えます。2026年2月5日の発表時点ではWeb限定で「モバイルアプリ対応は近日」と案内されていましたが、現在はiOSアプリでもMaxとEnterprise Maxの加入者が利用できます。ただしアプリのバージョン26.16.0以降が必要です。Androidアプリとデスクトップアプリでは、独立した検索モードとしては提供されていません。
Perplexity ComputerのModel Councilと何が違いますか?
検索モード版は3モデル固定で、Max・Enterprise Maxの料金に含まれます。Computer版はスキルとして動き、2026年7月28日の拡張で2〜8個のモデルを選べるようになりました。GLMやKimiなどのオープンウェイトモデルも候補に入ります。Computerはクレジット課金のため、軽いタスクと重いタスクで実質的な費用が変わります。
回答が割れたときはどう判断すればよいですか?
割れた箇所は「掘り下げが必要な論点」として扱うのが基本です。合成回答には各モデルの見解が並ぶため、根拠として挙げられた情報源をたどり、一次情報で確かめてから採否を決めてください。全モデルが一致した場合でも、同じ誤りを共有している可能性は残ります。
単一モデルより精度は上がりますか?
複数の推論を突き合わせる方式が精度を上げる方向は研究で示されています。Du氏らの2023年の論文では、算術タスクで単一エージェントの67.0%に対し複数エージェントの討論で81.8%、GSM8Kで77.0%に対し85.0%と報告されました。ただし実験設定はModel Councilと同じではなく、この改善幅がそのまま当てはまるわけではありません。