オンチェーンとは、送金や契約の実行結果をブロックチェーンの台帳そのものに記録する方式です(英語は on-chain)。対になるオフチェーン(off-chain)は、取引の処理やデータの保管をブロックチェーンの外で行う方式で、結果だけを台帳に書き戻す仕組みもあれば、一切書き戻さないものもあります。この記事では両者の違いを、イーサリアムとビットコインの手数料の試算とブロックの観測値(2026年10月28日取得)で確かめたうえで、取引所の残高やNFTの画像がどちらに置かれているか、オンチェーンデータを自分で読む方法、オンチェーン金融の意味までを整理します。
まとめ:オンチェーンとオフチェーンの要点
- オンチェーンは台帳への直接記録です。公開型のブロックチェーンなら誰でもフルノードで検証でき、確定後の書き換えは極めて困難です。その代わり手数料と確定待ちが毎回かかります。
- オフチェーンはチェーン外での処理・保管です。速く安い反面、処理する事業者や仕組みを信頼する必要があります。中央集権型取引所の口座残高、ライトニングネットワークの支払い、NFT画像の保管が代表例です。
- 「オンチェーンは手数料が高い」は混雑時の話です。2026年10月28日の取得値では、イーサリアムの基本手数料は約0.18 gwei(単純送金の試算で約0.0000044 ETH)、ビットコインの推奨手数料は1 vBあたり2〜5 satでした。値は混雑で数十倍に動くので、送金前に現在値を見てください。
- 確定までの時間は、イーサリアムが約15分(ethereum.orgの説明。取得時点の最新ブロックと確定済みブロックの差は81ブロック・984秒)、ビットコインは高額なら6承認(約1時間)が目安です。
- 使い分けの基準は「第三者に記録を証明する必要があるか」です。証明が要る記録と高額の移転はオンチェーン、少額・高頻度の処理と消す可能性のあるデータはオフチェーンに置きます。
オンチェーンとは|取引をブロックチェーンの台帳に直接記録する方式
オンチェーンの取引は、台帳全体を持つフルノードがそれぞれ独立に同じ規則で検証し、合意されたものだけがブロックに記録されます(台帳の一部だけを持つライトノードは、フルノードが示すデータを照合する側です)。ビットコインやイーサリアムのような公開型のチェーンなら、誰でもフルノードを立てて内容を照合できます。参加者を限定するプライベートチェーンでは、閲覧も検証も許可された者に限られます。ブロックチェーンが通常のデータベースと構造面でどう違うかは、ブロックチェーンとデータベースの違いで比較しています。
取引が台帳に記録され確定するまでの流れ
オンチェーン取引は次の順で進みます。
- ウォレットが秘密鍵で取引に署名し、ネットワークへ送る(ブロードキャスト)。
- 取引は未承認の取引の待合所(メモリプール)に入り、手数料の高い順に選ばれやすくなる。
- ビットコインはマイナー、イーサリアムはバリデーターが取引をブロックにまとめ、チェーンへ連結する。
- 取引が覆らない状態になる(確定・ファイナリティ)。ビットコインは後続ブロックが積み重なるほど覆る確率が下がる確率的な確定、イーサリアムはバリデーターの投票で確定する。確定前なら、ブロックの組み替え(再編成)で取引が外れることがある。
「ブロックに入った」と「確定した」は別の段階です。イーサリアムは12秒のスロットと32スロットのエポックで時間を区切り、各エポックの最初のブロックをチェックポイントにします。バリデーターは2つのチェックポイントの組に投票し、ステーク総額の3分の2以上の票が集まると、新しい方が「正当化(justified)」され、すでに正当化されていた古い方が「確定(finalized)」に上がります。ethereum.orgは確定までを約15分と説明しています。2026年10月28日に公開ノードへ問い合わせると、最新ブロック26,292,894に対して確定済みブロックは26,292,813で、両者の差は81ブロック・タイムスタンプで984秒でした。これは取得した瞬間の差で、特定の取引を送ってから確定するまでを追った値ではありません。ビットコインは平均10分で1ブロックが見つかるよう採掘難易度が調整され、bitcoin.orgは高額の送金で6承認を最低限の目安としています。取引所の多くも、所定の承認数を待ってから入金を反映します。
オンチェーンのメリットとデメリット
メリットとデメリットは同じ性質の裏表です。多数のフルノードが独立に検証するから運営者を信頼しなくて済み、1ブロックに入る取引の量に上限があるから、需要が増えると手数料と待ち時間が増えます。
メリット:第三者による検証と改ざん耐性
最大の利点は、運営者を信頼しなくても、記録がプロトコルの規則どおりに作られたかを確かめられることです。フルノードは受け取ったブロックの署名と取引を自分で検証し、規則に反するブロックを受け入れません。確定した取引を書き換えるには、ビットコインなら後続ブロックを上回る計算量、イーサリアムならステークの大量の没収を覚悟する必要があり、実質的に改ざんできません。ただし検証できるのは「規則に沿って記録されたか」までで、記録された内容が現実に正しいか(たとえば送金の理由)は保証されません。
デメリット:手数料・確定待ち・履歴の公開
取引ごとに手数料がかかり、混雑すると上がります。確定までイーサリアムで約15分、ビットコインの6承認で約1時間かかるため、店頭決済には向きません。さらに、アドレスの取引履歴は永続的に公開されます。取引所で本人確認済みのアドレスと結び付けば、過去の入出金まで第三者にたどられます。誤送金も取り消せないので、送信先アドレスの確認ミスはそのまま損失になります。
オンチェーンの手数料の試算とブロックの観測値(2026年10月)
手数料と待ち時間は、取得した時刻の混雑で大きく変わります。ここでは2026年10月28日18時(UTC)に、イーサリアムの公開ノード(JSON-RPC)とビットコインの集計サイト mempool.space のAPIから取得した値を並べ、単純送金の手数料を試算しました。
| 項目 | イーサリアム | ビットコイン |
|---|---|---|
| ブロック番号 | 26,292,894 | 973,578 |
| 基本手数料 | 約0.18 gwei(直近20ブロック中央値) | — |
| 優先料・推奨手数料 | 約0.03 gwei(直近20ブロックの中央値) | 2〜5 sat/vB(mempool.spaceの推奨値) |
| 単純送金の手数料(試算) | 約0.0000044 ETH | 約280〜700 sat |
| ブロック容量の使用率 | 約54%(中央値) | 重み 3,995,105/4,000,000 |
| 最新と確定済みの差 | 81ブロック・984秒 | —(6承認の目安は約1時間) |
イーサリアムの単純送金は21,000ガスを使うので、基本手数料と優先料の合計約0.21 gweiを掛けると約0.0000044 ETHになります。ビットコインはSegWitアドレス(P2WPKH)の1入力2出力の送金が約141 vBなので、2〜5 sat/vBなら約280〜700 satです。どちらも取得時点の値から計算した試算で、実際に支払う額はウォレットが送信時に見積もります。
それでも「安い」と言い切れないのは、手数料が需要で決まるからです。イーサリアムの基本手数料はEIP-1559の規則で、ブロックの使用量が目標(上限の半分)を超えると1ブロックごとに最大12.5%ずつ上がります。基本手数料の部分は誰にも支払われずに焼却され、バリデーターが受け取るのは優先料だけです。満杯のブロックが30個(約6分)続けば、計算上は約34倍です。送金前にウォレットの見積もりを確認し、急がない取引は混雑が引くまで待つのが確実です。スマートコントラクトを呼ぶ処理は単純送金より多くのガスを使うので、同じ基本手数料でも何倍かの額になります。
オフチェーンとは|ブロックチェーンの外での処理とデータ保管
オフチェーンは、取引の処理やデータの保管をブロックチェーンの外で行う方式です。ライトニングネットワークのように最終結果だけを台帳に書き戻すもの、取引所の社内帳簿のように入出金以外は書き戻さないもの、NFTの画像のように台帳には置き場所だけを書くものがあります。台帳への書き込みを減らすので速く安く済みますが、外で処理された部分は誰でも検証できるわけではありません。どこまでを外に出し、何をオンチェーンで担保するかで、仕組みの安全性が変わります。
中央集権型取引所の残高と売買の記録先
身近なオフチェーンの例が、運営会社が口座を管理する中央集権型の暗号資産取引所です。取引所の口座で買った暗号資産は、取引所が管理するウォレットにまとめて保管され、利用者ごとの残高は取引所の社内帳簿に記録されます。取引所内の売買はこの帳簿の書き換えなので、ブロックチェーンのネットワーク手数料も承認待ちも発生しません(取引所が定める売買手数料は別にかかる場合があります)。ブロックチェーンに記録されるのは、外部ウォレットとの入出金だけです。一方、Uniswapのような分散型取引所(DEX)は、交換そのものをスマートコントラクトで行うのでオンチェーンに記録されます。
このため、取引所の残高を見ても、それがオンチェーンで自分の鍵に紐付いているわけではありません。破綻やハッキングの影響を受けるのは取引所の帳簿側です。長期保有する資産を自分で管理したい場合は、MetaMask(メタマスク)などのウォレットへ出金し、出金取引のトランザクションID(txid)をエクスプローラーで確認します。
ライトニングネットワークのオンチェーン取引とチャネル内の支払い
ビットコインのライトニングネットワークは、2者間で資金をロックした「チャネル」を開き、その中の支払いをオフチェーンで何度でもやり取りします。仕様(BOLT)では、チャネルを開くと2人の署名がそろわないと動かせない出力(2-of-2)をオンチェーンに作り、閉じるときに最終的な残高の配分をオンチェーンに公開します。双方が合意して閉じる協調閉鎖なら、チャネル内の支払いが何百回あっても、記録されるのは開く取引と閉じる取引の2回です。片方が応答しないときの強制閉鎖では、時間ロック後に資金を引き出す取引や、決済途中の支払い(HTLC)を解決する取引が追加でオンチェーンに出ます。チャネル内の支払いは数秒で終わります。mempool.space の集計(2026年8月30日時点)では、公開チャネルは32,512本、ノードは16,227、容量は約3,754 BTCで、チャネルの手数料設定の中央値は基本料0.5 sat+送金額の0.01%でした。送れる額は、自分の側に残っている残高と、相手までの経路上の各チャネルの空き容量で決まります。複数の経路に分けて送る方法もありますが、大きな支払いほど経路が見つからずに失敗しやすくなります。
サイドチェーン・レイヤー2との違い
サイドチェーンは、メインのチェーンとは別の合意形成を持つ独立したブロックチェーンです。資産をブリッジで移して取引し、記録はサイドチェーン側に残ります。メインチェーンから見ればオフチェーンで、安全性はサイドチェーン自体のバリデーターに依存します。
ロールアップ(レイヤー2)は、取引をまとめて処理し、データや正しさの証明をイーサリアム本体へ書き戻します。処理は外、検証の根拠は本体のチェーンに置く点で、サイドチェーンより本体の安全性に近い設計です。仕組みと手数料の内訳はブロックチェーンのレイヤー2で詳しく解説しています。
NFTの所有記録と画像・メタデータの保存場所
オンチェーンにあるのは所有者の記録と、画像の説明を書いたJSONの置き場所(URI)だけ、というNFTは珍しくありません。NFTの規格ERC-721は、任意の拡張として tokenURI という関数を定め、URIの先にメタデータのJSONを置けるようにしています。画像まで台帳に書き込むNFTもあり、保存場所はコントラクトの実装次第です。
2026年10月28日にBored Ape Yacht Clubのコントラクトへ tokenURI(1) を問い合わせると、返ってきたのは ipfs://QmeSjSinHpPnmXmspMjwiXyN6zS4E9zccariGR3jxcaWtq/1 でした。画像とメタデータは分散ストレージのIPFS上にあり、同じコントラクトに ownerOf(1) を問い合わせると持ち主のアドレスが返り、ブロックチェーンが保証するのは「1番のトークンの持ち主」と「このURI」までです。URIの先が誰にも保存されなくなれば、所有記録は残っても画像は表示できません。NFTを評価するときは、tokenURIの先がIPFSか、運営者のWebサーバーかを確認してください。IPFSとブロックチェーンの役割分担はIPFSとブロックチェーンの違いで整理しています。
オンチェーンとオフチェーンの違い比較表
| 観点 | オンチェーン | オフチェーン |
|---|---|---|
| 記録場所 | ブロックチェーン台帳 | 外部システム |
| 検証できる人 | 誰でも(公開型) | 処理した事業者・当事者 |
| 確定の仕組み | チェーンの合意 | 運営者・当事者の処理 |
| 手数料 | 毎回発生・混雑で変動 | ほぼ無料〜低額 |
| 取り消し | 確定後は不可 | 運営の規則による |
| 信頼する相手 | プロトコルの規則 | 運営者・相手方 |
| 代表例 | ウォレット間送金・DeFi | 取引所の売買・ライトニング |
オンチェーンデータとは|自分で読む方法と分析指標
オンチェーンデータは、ブロックチェーンに記録されたすべての情報です。アドレスの残高、取引の送り手と受け手、手数料、スマートコントラクトの実行結果などが含まれ、誰でも無料で読めます。この公開データから資金の流れや利用状況を読み解くのがオンチェーン分析です。
ブロックエクスプローラーでの取引状況の確認
イーサリアムならEtherscan、ビットコインならmempool.spaceの検索欄にトランザクションIDかアドレスを入れると、ブロック番号・承認数・手数料・送金先が表示されます。取引所から出金したのに着金しないときも、txidで「未承認のまま待合所にいるのか」「承認済みで受け取り側の反映待ちなのか」を切り分けられます。
JSON-RPCによるブロックと手数料履歴の取得
プログラムから読むときは、ノードのJSON-RPCを呼びます。イーサリアムのJSON-RPC仕様に沿って公開ノードへcurlで問い合わせると、上の表のイーサリアム側の元データ(ブロック番号・基本手数料・優先料の履歴)が返ります。ビットコイン側の値は mempool.space のAPIから別に取得しています。
# 最新ブロックの番号・基本手数料・ガス使用量を取得する
curl -s -X POST https://ethereum-rpc.publicnode.com \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{"jsonrpc":"2.0","id":1,"method":"eth_getBlockByNumber","params":["latest",false]}'
# 確定済み(finalized)ブロックを取得する(最新ブロックとの番号・時刻の差が分かる)
curl -s -X POST https://ethereum-rpc.publicnode.com \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{"jsonrpc":"2.0","id":1,"method":"eth_getBlockByNumber","params":["finalized",false]}'
# 直近20ブロック(0x14)の基本手数料と、各ブロックの優先料の中央値(50パーセンタイル)
curl -s -X POST https://ethereum-rpc.publicnode.com \
-H 'Content-Type: application/json' \
--data '{"jsonrpc":"2.0","id":1,"method":"eth_feeHistory","params":["0x14","latest",[50]]}'
ブロック番号や手数料などの数量は16進数の文字列で返ります。たとえば2026年10月28日に取得した最新ブロックの baseFeePerGas は 0xf7c8662 で、10進にすると259,819,106 wei=約0.26 gweiです。eth_feeHistory の gasUsedRatio(ブロック容量の使用率)だけは通常の小数です。baseFeePerGas は次のブロックの分まで含めて21件返るので、表の中央値は末尾を除いた20件で計算し、優先料は reward の20件の中央値、送金の試算は21,000ガスを掛けて出しています。公開ノードは無料ですが回数制限があり、業務で継続的に取得するなら自前のノードか有料のノード提供サービスを使います。
オンチェーン分析の代表指標と限界
暗号資産の市場分析でよく使われる指標は次の3つです。
- アクティブアドレス数:一定期間に送受信したアドレスの数。利用の広がりを見る。
- 取引所フロー:取引所のアドレスへの入金(インフロー)と出金(アウトフロー)。入金が増えると売り圧力の兆しとされる。
- MVRV:時価総額を、各コインが最後に動いた時点の価格で評価した総額(実現時価総額)で割った値。保有者全体の含み益の大きさを示す。
オンチェーンデータだけで分かることには限りがあります。金融庁の委託で株式会社クニエがまとめ、2023年6月30日に公表された「分散型金融システムにおけるオンチェーン/オフチェーンデータを活用した実態把握に関する研究」も、オンチェーンの取引記録にIPアドレス・Webトラフィック・制裁関連情報などのオフチェーンデータを組み合わせてDeFiの実態をつかむことを目的に掲げています。まず、アドレスと人は1対1ではありません。1人が多数のアドレスを使い、取引所は多数の利用者の資産を少数のアドレスにまとめます。さらに、取引所内の売買はオフチェーンなのでオンチェーンデータには現れません。指標は傾向を見る材料として使い、単独で売買を判断する根拠にはしないでください。集計済みの指標は Glassnode や Dune、DeFiの預かり資産は DefiLlama で確認できます。
オンチェーン金融とは|トークン化資産とDeFi
オンチェーン金融は、預金・株式・社債・不動産などの権利をトークンに置き換え、ブロックチェーン上で発行・保有・移転・決済する金融の仕組みです(第一ライフ資産運用経済研究所の解説の定義)。銀行や証券会社のシステム同士が情報を照合する代わりに、台帳を共有し、スマートコントラクトで決済を自動化します。
対象は大きく2つに分かれます。1つは既存の金融資産のトークン化で、法定通貨に連動するステーブルコイン、トークン化預金、株式や社債をデジタル化したセキュリティトークンが含まれます。米国債などで運用するBlackRockのファンドBUIDLは、2024年3月20日にイーサリアム上で提供開始され、その後SolanaやBNB Chainなど他のチェーンにも広がりました。もう1つはDeFi(分散型金融)で、交換や貸し借りの処理を、利用者とスマートコントラクトの間で直接行います。前者は発行体や金融機関が償還や管理の責任を負い、後者は窓口となる会社を介さない点が違います。ただしDeFiにも、パラメータの変更や緊急停止の権限を持つガバナンスや管理用の鍵が置かれていることが多く、「管理者がいない」とは限りません。
導入を検討する企業にとっての判断材料は、決済の速さよりも「誰がコントラクトを管理し、不具合時に止められるか」です。DeFiではコントラクトの脆弱性がそのまま資金の流出につながり、取り消しもできません。利用するプロトコルは、第三者の監査報告が公開されているか、管理者鍵を誰が持つかを確認してから選んでください。スマートコントラクトを書く側の基礎はSolidity入門で扱っています。
オンチェーンとオフチェーンの使い分け|判断基準と避ける場面
判断の軸は1つです。「その記録を、運営者を信頼しない第三者にも証明する必要があるか」。必要ならオンチェーン、不要ならオフチェーンを基本にします。
オンチェーンに載せるべき記録
高額の決済、監査で改ざんがないことを示したい記録、トークンの保有記録がこれに当たります。ERC-721のNFTなら ownerOf で誰でも持ち主のアドレスを確認できます。ただし台帳が証明するのは「このアドレスがこのトークンを持つ」までで、アドレスの持ち主が誰か、トークンが表す現実の権利が法的に移転したかは別の契約や制度で決まります。手数料と確定待ちを払っても、第三者が検証できる価値が上回る場面に使います。
オンチェーンに載せてはいけないデータ
個人情報や、後で消す可能性のあるデータは載せません。台帳に書いた内容は削除できず、全ノードに複製されて残り続けます。契約書の本文はオフチェーンのデータベースに置き、オンチェーンにはそのハッシュ値だけを記録すると、本文を公開せずに「改ざんされていない」ことを証明できます。ただしハッシュは暗号化ではありません。氏名や電話番号のように候補が限られる値は、総当たりで元の値を割り出されます。個人に関わる値には、秘密の鍵を混ぜる鍵付きハッシュ(HMAC)などを使い、鍵を破棄すれば照合できなくなる設計にします。秒単位で発生するゲーム内の行動ログや、少額の都度課金もオンチェーンには向きません。
オンチェーンとオフチェーンの組み合わせと記録の照合
取引所やライトニングネットワークのように、実際のサービスの多くは両方を組み合わせています。自社で設計するときは、オフチェーンの帳簿の各行にオンチェーン取引のtxidを持たせ、入出金ごとに突き合わせられるようにします。食い違いの原因は、ブロックの再編成で取引が外れた、承認待ちのまま帳簿に先に反映した、手数料不足で取引が滞留した、などに分かれます。確定(イーサリアムならfinalized、ビットコインなら所定の承認数)までは帳簿を「仮」にしておき、確定後に突き合わせて補正する手順を最初に決めておきます。
よくある質問
オンチェーンは英語で何と書きますか?
on-chain(onchain)と書きます。ブロックチェーンの上で処理・記録するという意味で、反対語は off-chain(オフチェーン)です。
オンチェーン化とは何を指しますか?
従来のシステムやオフチェーンで管理していた記録を、ブロックチェーンの台帳に記録する形へ移すことです。証券や預金をトークンにする「トークン化」もオンチェーン化の一種です。台帳に書いた内容は消せないため、証明が必要な記録に絞って行います。
取引所での売買はオンチェーンで記録されますか?
中央集権型取引所では記録されません。売買は社内帳簿で処理され、ブロックチェーンに残るのは外部ウォレットとの入出金だけです。Uniswapのような分散型取引所(DEX)での交換はオンチェーンに記録されます。
金融における「オンチェーン」とは何ですか?
預金・株式・社債などの権利をトークンにして、ブロックチェーン上で発行・移転・決済することを指します。ステーブルコインやセキュリティトークンが代表例で、窓口となる会社を介さずスマートコントラクトで交換や貸し借りを行うDeFiも含みます。
オンチェーンデータはどこで確認できますか?
ブロックエクスプローラーで無料で確認できます。イーサリアムはEtherscan、ビットコインはmempool.spaceでtxidやアドレスを検索します。指標をまとめて見るならGlassnodeやDune、プログラムから取得するならノードのJSON-RPCを使います。