LaTeX(ラテフ・ラテック)は、Donald E. Knuthが作った組版プログラムTeXの上で動く文書作成システムです。テキストファイルに\sectionや$...$といった命令を書き、コンパイルしてPDFを得ます。この記事では、公式が示す読み方、TeXとの違い、2026年10月時点の版、日本語文書の最小例から数式・図表・参考文献・エラーの直し方までを扱います。コード例はすべてTeX Live(Debian 13のパッケージ)で実際にコンパイルして出力を確かめたものです。
まとめ
- 読み方:LaTeX Projectの公式サイトは「Lah-tech(ラーテック)」または「Lay-tech(レイテック)」と書いています。日本では「ラテフ」「ラテック」が通用し、どれも誤りではありません。
- TeXとの違い:TeXは組版エンジンとその言語、LaTeXはその上に載せた命令集(マクロ体系)です。素のTeXには
\sectionすらありません。 - 現在地:現行版はLaTeX2e(最新リリースは2026年6月1日)、配布パッケージはTeX Live 2026(2026年3月1日公開)です。
- 始め方:インストールしないならOverleafかCloud LaTeX、手元ならTeX LiveのLuaLaTeXと
ltjsarticleクラスで日本語が組めます。 - LaTeX形式:MarkdownやChatGPTで見る「LaTeX形式の数式」は、LaTeXの数式記法だけをKaTeXやMathJaxが表示したものです。
以下、読み方と仕組みを先に押さえ、そのあと実際に手を動かす順に説明します。
LaTeXの読み方:ラテフ・ラテック・レイテックの根拠
正解は1つに決まっていません。作者が発音を指定しなかったためです。
LaTeX ProjectとTeX FAQが示す発音
LaTeXを保守するLaTeX Projectの紹介ページは、LaTeXを«Lah-tech»または«Lay-tech»と発音し、「blech」や「Bertolt Brecht」と韻を踏むと説明しています。カタカナにすると「ラーテック」「レイテック」です。
英語圏のQ&A集TeX FAQは、作者のLeslie Lamportは発音を推奨したことがないとしたうえで、多くの人が「Lay TeX」か「Lah TeX」と読むと書いています。後半のTeXは、プログラムのTeXと同じ読み方です。LaTeX2eは本来末尾がε(イプシロン)ですが、ほとんどの人は「ラテック・ツー・イー」と読みます。
日本で「テフ」「ラテフ」と書かれる理由
末尾のXはアルファベットのエックスではなく、ギリシャ文字のχ(カイ)です。TeX FAQの発音の項によれば、英語話者はスコットランド語lochの「ch」(国際音声記号の[x])に近い音で読み、難しければkで代用します。「テックス(ks)」とは読みません。名前は、Knuthが『The TeXbook』で説明したとおり、技術・技芸を意味するギリシャ語に由来します。
[x]はドイツ語Bachの「ch」と同じ摩擦音で、日本語にはありません。カタカナではハ行の音が近く、日本語の解説サイトTeX WikiはTeXを「テック」または「テフ」、LaTeXを「ラテック」「ラテフ」と表記し、大学関係者には「テフ」派が多いとしています。日本語の会話なら「ラテフ」で通じます。海外の研究者と話す場面では「ラテック」「レイテック」を使う方が確実です。
LaTeXとは:テキストに命令を書いてPDFを組む文書作成システム
LaTeXでは、本文と命令を書いたテキストファイル(拡張子.tex)をコンパイルして、組版済みのPDFを出力します。Wordのように画面上の見た目を直接整えるのではなく、「ここは節見出し」「ここは数式」と意味を指定し、余白や書体は文書クラス(文書の型)に任せます。
LaTeX ProjectのTeamページによれば、LaTeXは1985年にLamportが最初に開発し、現在はLaTeX Projectが保守・開発しています。LaTeX Project Public License(LPPL)で配布される自由ソフトウェアで、費用はかかりません。
向いているのは、数式の多い論文やレポート、章・図・式の番号を自動で振り直したい長い文書、学会や論文誌が.texのテンプレートを配っている投稿原稿です。プレプリントサーバーのarXivは投稿されたLaTeXソースを自前でコンパイルしており、対応するTeX Liveは2023と2025で、既定は2025です(2026年10月確認)。
TeXとLaTeXの違い:エンジン・マクロ体系・配布パッケージの3層
TeXとLaTeXの関係は、プログラミング言語の処理系と、その言語で書かれたライブラリの関係に近いものです。名前に「TeX」が付くものは、次の3層のどれかに当てはめると整理できます。
TeXはKnuthの組版エンジン、LaTeXはLamportの命令集
TeXは、Knuthが1977年後半から1978年前半に設計・実装した組版プログラムと、その入力言語です(TeXのソースtex.web冒頭の記述)。版番号は円周率に近づける方式で、Knuthの公式ページが示す現行版は3.141592653です。
LaTeXは、TeXの基本命令(プリミティブ)を組み合わせて作った\sectionや\begin{figure}などの命令集、つまりマクロ体系です。素のTeX(plain TeX)に\sectionが無いことは、次の3行をtexコマンドで処理すると確かめられます。
Hello, \TeX!
\section{Intro}
\bye
$ tex plain.tex
! Undefined control sequence.
l.2 \section
{Intro}
同じ\sectionも、LaTeXの文書に書けば節見出しになります。「TeXで論文を書く」と言う人の多くは実際にはLaTeXを使っています。LaTeXだけに当てはまる話の主語を「TeX」にすると不正確になる、という点だけ覚えておけば十分です。
pLaTeX・upLaTeX・LuaLaTeXの違い
同じLaTeXでも、どのエンジンの上で動かすかで名前が変わります。日本語の文書で出てくるのは次の4つです。
| 名前 | 土台のエンジン | 日本語 | PDFまで | 代表的なクラス |
|---|---|---|---|---|
| pLaTeX | pTeX | 対応 | DVI→dvipdfmx | jsarticle |
| upLaTeX | upTeX | 対応(Unicode) | DVI→dvipdfmx | jsarticle・jlreq |
| LuaLaTeX | LuaTeX | LuaTeX-jaで対応 | 直接PDF | ltjsarticle・jlreq |
| pdfLaTeX | pdfTeX | 別パッケージが必要 | 直接PDF | article |
pLaTeXはアスキーが開発した日本語版の流れをくみ、CTANでは元のアスキー版から分岐したコミュニティ版として配布されています。新しく書き始めるなら、PDFを直接出せるLuaLaTeXとLuaTeX-ja(CTAN登録版20261004.0)を選びます。研究室や学会のテンプレートがpLaTeX・upLaTeX前提なら、エンジンはテンプレートに合わせます。pLaTeX用のjsarticleをそのままLuaLaTeXに通すと、次のエラーで止まります。
! LaTeX Error: This file needs format `pLaTeX2e'
but this is `LaTeX2e'.
TeX Live・MacTeX・MiKTeXは配布パッケージ
エンジン、マクロ、フォント、追加パッケージを一式でインストールできるようにまとめたものがディストリビューションです。TeX Users Groupが配るTeX Liveが標準的で、最新のTeX Live 2026は2026年3月1日に公開されました。macOSにはTeX Liveを包んだMacTeX、WindowsにはTeX LiveのほかMiKTeXがあります。どれを入れても、中に入っているのは上の表のエンジンとLaTeXです。
LaTeXのバージョンと2026年10月時点の現在地
| 項目 | 2026年10月時点 | 確認先 |
|---|---|---|
| TeX | 3.141592653 | Knuth公式 |
| LaTeX | LaTeX2e(2026-06-01リリース) | LaTeX News 43号 |
| TeX Live | 2026(2026-03-01公開) | tug.org |
| LuaTeX-ja | 20261004.0 | CTAN |
| jlreq | 2026-07-17 | CTAN |
| arXivの既定 | TeX Live 2025 | arXiv |
LaTeX2eは1994年6月1日に正式リリースされた版で、30年以上たった今も現行版です。名前は変わらず、LaTeX Newsの一覧のとおり6月と11月のリリースで中身が更新されていきます。
「LaTeX3」という別製品を探す必要はありません。LaTeX Projectの説明によれば、LaTeX2eと並ぶ別のフォーマットを出す構想は取り下げられ、2018年にUTF-8が既定の入力エンコーディングになり、2020年にL3プログラミング層がLaTeX本体へ統合されました。古い入門書にある\usepackage[utf8]{inputenc}は、いまのLaTeXでは書かなくても動きます。
LaTeXの使い方:環境を用意して日本語PDFを出すまで
環境の選び方:OverleafとCloud LaTeXの無料枠、TeX Live
最初の1本を書くだけなら、ブラウザで使えるサービスが早いです。Overleafのプラン上限表では、無料プランのコンパイル時間の上限は10秒(有料は240秒)です。料金ページによれば、無料プランで1プロジェクトに招待できる共同編集者は1人です。図の多い卒業論文・修士論文や、3人以上で書く原稿は無料枠に収まりにくくなります。Cloud LaTeXはアカリクが運営する日本語対応のサービスで、日本語の設定をせずにテンプレートから書き始められます。
毎日書く人、ネットにつながらない場所で書く人、図や章が多く10秒を超える文書を扱う人は、手元にTeX Live(macOSならMacTeX)を入れます。
日本語の最小文書をLuaLaTeXでコンパイルする手順
次の内容をmain.texとしてUTF-8で保存します。ltjsarticleはLuaTeX-jaに含まれる日本語用の文書クラスです。
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage{amsmath}
\title{LaTeXの最小例}
\author{山田太郎}
\date{2026年10月17日}
\begin{document}
\maketitle
\section{はじめに}\label{sec:intro}
本文を書きます。式\eqref{eq:euler}は第\ref{sec:intro}節で使います。
\begin{equation}
e^{i\pi} + 1 = 0 \label{eq:euler}
\end{equation}
\end{document}
コンパイルはlatexmkに任せます。式や節の番号を参照する\refは1回のコンパイルでは確定しないため、latexmkが必要な回数だけ自動で繰り返します。
latexmk -lualatex main.tex
毎回オプションを付けたくなければ、同じフォルダに.latexmkrcを置きます。$pdf_mode = 4がLuaLaTeXでPDFを作る指定で、以後はlatexmk main.texだけで済みます。
$pdf_mode = 4;
$lualatex = 'lualatex -interaction=nonstopmode -synctex=1 %O %S';
検証環境(TeX Live 2025/dev、LuaHBTeX 1.18.0、LaTeX2e 2024-11-01 patch level 2、latexmk 4.86)では、タイトルと日付のあとに「式 (1) は第 1 節で使います」と番号が埋まったPDFが出力されました。
upLaTeXテンプレートのコンパイルとPDF変換
テンプレートがupLaTeX前提なら、upLaTeXでDVIファイルを作り、dvipdfmxでPDFに変換します。クラスオプションのuplatexとdvipdfmxが、エンジンと変換ソフトの指定です。
\documentclass[uplatex,dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
upLaTeXで組んだ日本語の文書です。
\end{document}
uplatex main.tex
dvipdfmx main.dvi
LaTeXの数式の書き方:インライン・別行立て・揃え
文中の数式は$で囲み、独立した行に置く数式は\[と\]で囲みます。複数行を等号で揃えるときはamsmathのalign環境を使い、&の位置で縦が揃います。全行の番号を消す場合はalign*環境を使います。alignの特定の行だけ番号を消す場合は、その行に\notagを付けます。
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage{amsmath,amssymb}
\begin{document}
文中の数式は $a^2 + b^2 = c^2$ のように書きます。
\[
\sum_{k=1}^{n} k = \frac{n(n+1)}{2}, \qquad
\int_{0}^{\infty} e^{-x^2}\,dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2}
\]
\begin{align}
f(x) &= (x+1)^2 \\
&= x^2 + 2x + 1
\end{align}
\[
A = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{pmatrix}, \quad
\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1
\]
\end{document}
上付きは^、下付きは_で、2文字以上は{}で囲みます(e^{-x^2})。分数は\frac{分子}{分母}、総和と積分は\sumと\int、行列はpmatrix環境です。alignの2行には(1)(2)の番号が自動で付きます。
図表と参考文献の書き方
figure・table環境と\label・\refによる番号の自動管理
図はfigure環境、表はtable環境で囲み、\captionのあとに\labelを置きます。本文からは\refで番号を呼ぶので、図を1枚差し込んでも後ろの番号と参照がすべて振り直されます。
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage{graphicx}
\usepackage{booktabs}
\begin{document}
図\ref{fig:sample}と表\ref{tab:result}を参照します。
\begin{figure}[htbp]
\centering
\includegraphics[width=0.6\linewidth]{example-image-a}
\caption{サンプル画像}\label{fig:sample}
\end{figure}
\begin{table}[htbp]
\centering
\caption{実験結果}\label{tab:result}
\begin{tabular}{lrr}
\toprule
手法 & 精度 & 時間 [s] \\
\midrule
A & 0.92 & 1.3 \\
B & 0.88 & 0.7 \\
\bottomrule
\end{tabular}
\end{table}
\end{document}
example-image-aはmweパッケージ付属の見本画像です。見つからない場合はmweを導入するか、手元の画像ファイル名に置き換えます。自分の図に差し替えるときはfigures/result.pngのようにパスを書きます。罫線は縦線を引かず、booktabsの\toprule・\midrule・\bottomruleの3本にすると論文らしい表になります。
BibTeXとbiblatex+Biberの違いと参考文献の出し方
参考文献は、文献情報を.bibファイルに書き、本文で\citeしたものだけを一覧にします。一覧を作る道具は2系統あります。
- BibTeX:昔からある方式。学会のテンプレートが
.bstファイルを同梱しているならこちらを使います。CTANの説明どおりUnicodeの並べ替えを知らないため、日本語の文献を扱うときは日本語版のpBibTeX・upBibTeXを使います。 - biblatex+Biber:一覧の書式をLaTeXの命令で指定する方式です(biblatex)。BiberはUTF-8に完全対応し、並べ替えを細かく設定できます。テンプレートの指定が無ければこちらが扱いやすいです。
biblatexの例です。refs.bibを同じフォルダに作り、次の内容を保存します。
@book{lamport1994,
author = {Leslie Lamport},
title = {{\LaTeX}: A Document Preparation System},
edition = {2},
publisher = {Addison-Wesley},
year = {1994}
}
次のLaTeX文書をmain.texとして保存します。
\documentclass{ltjsarticle}
\usepackage[backend=biber,style=numeric]{biblatex}
\addbibresource{refs.bib}
\begin{document}
\LaTeX{}の解説書\cite{lamport1994}を引用します。
\printbibliography[title=参考文献]
\end{document}
latexmk -lualatexはBiberの実行も自動で挟みます。[title=参考文献]を付けないと、ltjsarticleでも見出しが英語の「References」になりました。
LaTeXのコンパイルエラー・参照警告と対処
LaTeXのエラーは!で始まる行と、その下のl.行番号を読めば大半は場所が分かります。次の3つは、実際に再現させたときに出たメッセージです。
| メッセージ | 再現した原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| ! Missing $ inserted. | 本文に x_1 |
$x_1$ と数式で囲む |
| ! LaTeX Error: File `○○.sty’ not found. | 未導入のパッケージ | 名前の綴りを確認し導入する |
| Reference `fig:none’ on page 1 undefined | 存在しないラベル | \label の名前と一致させる |
1つ目は、_や^が数式の外で使われたときに出ます。ファイル名や変数名をそのまま書きたいなら\_と書きます。2つ目は致命的で、PDFは作られません。全部入り(scheme-full)でも、まずファイル名の綴りと検索パスを確認します。配布テンプレート独自のスタイルファイルが必要な場合は、そのファイルも用意します。3つ目は警告で、PDFは出力されますが、該当箇所が「図??」と表示されます。もう一度コンパイルしても??が消えなければ、ラベル名の不一致を疑います。
LaTeX形式とは:Web・Markdown・生成AIで使われる数式記法とKaTeX・MathJax
「LaTeX形式で書いて」と言われる場面の多くは、文書全体ではなく、LaTeXの数式記法だけを指しています。Markdownエディタ、Notion、ChatGPTの回答、Wikipediaの数式などで見る$\frac{a}{b}$のような書き方です。数式の表示方式はサービスによって異なります。KaTeXやMathJaxをブラウザで動かす方式のほか、サーバー側でMathMLやSVGに変換して配信する方式もあります(Wikipediaが使うMediaWikiのMath拡張はMathoidによるサーバー側変換に対応)。どちらの場合も、文書をTeX Liveでコンパイルしているわけではありません。
- KaTeX:
katex.renderに数式と描画先の要素を渡して表示します(KaTeXのAPI説明)。最新版は2026年10月1日公開の0.19.0です。VS Codeの標準Markdownプレビューも数式描画にKaTeXを使っています(Markdown All in Oneの使い方:目次・表整形の設定とVS Code標準との差分)。 - MathJax:公式ドキュメントは、TeX入力を「LaTeXマクロの一部をブラウザのJavaScriptで実装したもの」と説明しています。最新版は4.1.3です。
実装できているのはLaTeXの「一部」です。KaTeX 0.19.0のrenderToStringで試すと、\frac・\sum・aligned環境は描画できた一方、\label{eq:euler}と\sectionは「Undefined control sequence」で止まりました。一方、MathJaxは自動の式番号付けを有効にすれば\label・\eqrefによる式の相互参照に対応します。節見出しや参考文献を含む文書全体をLaTeXで組版する場合は、LaTeXエンジンでPDFを作ります。ChatGPTなどの生成AIが出した数式を論文に貼るときは、\[ \]や$$などの区切りを整えたうえで、式中のコマンドがLaTeXと読み込んだパッケージで使えるか確認し、コンパイルして表示を確かめます。
LaTeXを選ばない方がよい場面:WordやTypstで済むケース
LaTeXの強みは、数式と番号の自動管理、そして投稿先が配るテンプレートです。この3つのどれも必要ない文書なら、LaTeXを選ぶ理由はほとんどありません。
Wordの方が向くのは、提出先が.docxを指定している書類、変更履歴を使って数式を書かない人と何度も赤入れを往復する原稿、見た目を1ページずつ手で調整したいチラシや案内状です。LaTeXで書いた原稿を.docxに変換すると数式や相互参照が崩れやすく、最初から相手の形式で書く方が早く終わります。Markdownで書いてWordやPDFに変換したいなら、Pandocの使い方|Markdownからdocx・PDF変換の手順と日本語出力の詰まり方の方法もあります。
テンプレートの指定が無く、数式は多いがLaTeXのエラー読みに時間を取られたくない場合は、2023年に公開されたTypstが候補になります。投稿先がLaTeXのソースを指定する場合は、その指定に合わせます。arXivはWordなどLaTeX以外で作成したPDFも受け付けますが、PDF投稿のガイドでは、TeX・LaTeXから作ったPDFは原則として受け付けず、ソースの提出を求めています。違いはTypst(タイプスト)とは?LaTeXとの違い・使い方・料金を初心者向けに解説で整理しています。
よくある質問
LaTeXとはゴムのことですか?
同じ綴りですが、別のものです。ゴム手袋などの素材は英語でlatex(ラテックス、天然ゴムの乳液)と書き、この記事の文書作成システムLaTeXとは関係がありません。TeX FAQも、LaTeXはゴムの木の樹液(lay teks)と同じには読まない、と明記しています。文書作成システムを指すときは、大文字と小文字を交ぜたLaTeXと書くのが慣例です。
LaTeXは無料で使えますか?
無料です。LaTeX本体はLaTeX Project Public License(LPPL)で配布される自由ソフトウェアで、TeX Live・MacTeX・MiKTeXも無償で入手できます。費用が発生するのはOverleafなどオンラインサービスの有料プランで、Overleafの無料プランはコンパイル10秒・共同編集者1人までという上限があります。
TeXやLaTeXは時代遅れですか?
開発は止まっていません。LaTeX2eは2026年6月1日にもリリースされ、アクセシビリティ対応のタグ付きPDFを出す機能の整備が進んでいます。arXivはTeX Live 2025を既定に使い、多くの学会・論文誌も.texのテンプレートで原稿を受け付けています。ただし、テンプレート指定の無い新規の文書では、Typstのような後発の選択肢と比べて選ぶ時代になっています。
.texファイルは何で開けますか?
.texはただのテキストファイルなので、メモ帳やVS Codeなどどのテキストエディタでも開けます。中身の命令を組版してPDFとして見るには、TeX Liveなどの環境かOverleafのようなオンラインサービスでコンパイルする必要があります。Overleafは.texを含むフォルダをzipにまとめてアップロードすれば、そのままプロジェクトとして開けます。
LaTeXの学習は初心者には難しいですか?
最初に覚える命令は少なく、\documentclass・\section・$による数式・figure・\citeの5種類で卒業論文の骨格は書けます。つまずきやすいのは環境構築とエラーの読み方です。最初はOverleafかCloud LaTeXで書き始め、エラーが出たら!で始まる行とl.行番号を見る習慣をつけると、学習の負担はかなり下がります。