SPIRALとは?CRM構築の可否とver.1・WebTools(旧ver.2)の違い・料金

SPIRALは、スパイラル株式会社(旧パイプドビッツ)が提供する国産のローコード開発プラットフォームです。Webフォーム、会員向けサイト、業務データベース、メール配信を1つの基盤で構築でき、延べ14,000社超、延べ200以上の金融機関に導入されています(同社ver.1製品ページ・セキュリティページの表記/時点の明示なし)。ただし製品構成は2026年に動きました。2026年7月7日、「SPIRAL ver.2」は「SPIRAL WebTools」へ名称が変わり、ローコード開発プラットフォームだったver.2は実務担当者向けのノーコードアプリ作成ツールとして位置づけ直されています。ver.1とは互換性のない別製品です。この記事では社名・製品名の現在地、2製品の選び分け、料金の課金軸、API、セキュリティ認証、そして「SPIRALでCRMを作れるのか」を公式情報で確認して整理します。

まとめ

  • 提供元は「スパイラル株式会社」。2023年6月1日にパイプドHD・パイプドビッツなどグループ7社が合併して現社名になり、2022年10月のMBOで上場は廃止済み。「パイプドビッツ社が提供」という記述は現在は誤り。
  • 2026年7月7日に「SPIRAL ver.2」は「SPIRAL WebTools」へ改称。公式の位置づけも、ローコード開発プラットフォームからノーコードアプリ作成ツールへ変わった。ver.1とは「互換性のない別製品」と公式が明記しており、バージョンアップの関係ではない。
  • ver.1=エンジニア向けのローコード開発基盤、WebTools=実務担当者の内製向けノーコード。「誰が作り、誰が保守するか」で決まる。ver.1からWebToolsへの移行はデータ移行ではなく作り直しになる。
  • 料金は入口が同額でも課金軸が違う。どちらも初期100,000円・月額50,000円〜(税別)だが、ver.1はDBのレコード数に応じた月額スライド、WebToolsはプラン上限(ユーザー5・アプリ20・データ容量100MB・API月10万リクエスト)方式。
  • 「SPIRAL CRM」という製品は存在しない。顧客情報管理は公式サイト上の事例カテゴリで、実体はデータベースとフォーム・認証エリアを組み合わせた自作アプリ。営業支援の標準機能を求めるならSalesforce系のほうが早い。

SPIRALという名前が指すもの、提供元スパイラル株式会社の現在地

同名異義の切り分け(ローコード製品・開発プロセス・文化施設)

検索結果で「SPIRAL」は最低3つの意味に割れます。第一に本記事が扱うローコード開発プラットフォームのSPIRAL。第二にバリー・ベームが1988年に提唱した反復型開発プロセスのスパイラルモデル。第三に東京・表参道の複合文化施設スパイラル(ワコールアートセンター運営、spiral.co.jp)です。「spiral 開発」で検索すると2番目の開発プロセスが主に出てくるため、製品を調べるときは「SPIRAL ローコード」「SPIRAL ver.1」のように限定語を足すほうが早く着地します。

製品情報の掲載先も分散しています。コーポレートサイトとver.1の製品・料金情報はspiral-platform.co.jp、WebTools(旧ver.2)の製品・料金情報はspiral.pi-pe.co.jp、開発者向けの仕様はknowledge.spirers.jpと、3系統のドメインに分かれています。同じ「DB」「API」という語でも中身がver.1とWebToolsで違うため、仕様を確認するときはどのドメインのどの製品の話かを必ず見てください。ドメインに残るpi-pe.co.jpは旧社名パイプドビッツの名残であって、現在の社名とは一致しません。

パイプドビッツからスパイラル株式会社への変遷

提供元の社名は変わっています。2000年4月に株式会社サハラとして設立、同年12月のMBOで独立し、2001年1月に株式会社パイプドビッツへ商号変更。2006年12月に東証マザーズへ上場し、2015年9月に持株会社パイプドHDを設立して親会社として上場しました。2022年10月のMBOで非公開化し、2023年6月1日にグループ7社(パイプドHD、パイプドビッツ、フレンディット、美歴、VOTE FOR、アイラブ、スパイラル)を合併してスパイラル株式会社となっています。現在「パイプドビッツ」「パイプドHD」という会社は存在せず、東証にも上場していません。2023年より前に書かれた解説記事の多くは旧社名のままなので、稟議書や提案書に会社情報を書き写す前に公式の沿革ページで裏を取ってください。

SPIRAL ver.1とSPIRAL WebTools(旧ver.2)は別製品

2026年7月7日の改称は、製品カテゴリの再定義

公式は2026年7月7日付で「SPIRAL ver.2」の名称を「SPIRAL WebTools」へ変更し、同日から提供を開始しました。単なる呼び名の変更ではありません。ver.2時代は「ローコード開発プラットフォーム」と称していた製品が、改称後はノーコードアプリ作成ツールとして再定義されています。公式の線引きは「ローコードで高い生産性で開発するエンジニア向けのver.1」と「内製開発を目指す実務担当者向けのWebTools」で、両者は互換性のない別製品だと明記されています。番号が大きいほうが新しい後継版という読み方は成立しません。ver.1の提供終了(EOL)は本記事の執筆時点で告知されておらず、ver.1の製品ページは現在も新規導入とトライアルを受け付けています。

この線引きは実務に直結します。ver.1で動いている資産をWebToolsへ「バージョンアップ」する経路は用意されておらず、移行はデータ移行ではなく作り直しになります。既存のver.1環境を持つ企業が「新しいほうへ上げよう」と考えるのは、この製品に関しては危険な発想です。ノーコードとローコードのどちらまで踏み込むかで悩む場合の判断軸はノーコードとは?ローコードとの違い・できること・限界を実務目線で解説で整理しています。

選定基準は「誰が作り、誰が保守するか」

観点 SPIRAL ver.1 SPIRAL WebTools(旧ver.2)
公式カテゴリ ローコード開発プラットフォーム ノーコードアプリ作成ツール
想定利用者 エンジニア 実務担当者(内製)
提供開始 2001年(SLA導入2001年12月) 2020年11月25日(ver.2として)
課金軸 DBレコード数による月額スライド プラン上限+オプション追加
API ver.1独自のAPI系統 REST API(api.spiral-platform.com)
相互の関係 互換性のない別製品(公式明記)。移行は再構築

判断はシンプルです。要件が固まらないフォームや会員サイトを事業部門が自分で回したいならWebTools。外部システムとの連携やデータ設計が込み入っていて、情報システム部門か開発ベンダーが作り込むならver.1。両方に手を出すと運用ノウハウが二重になるので、社内標準としてはどちらか一方に寄せるほうが保守は軽くなります。

SPIRALでCRM・顧客管理システムは作れるか

「SPIRAL CRM」という製品は存在しない

結論から書くと、SPIRAL CRMという名前の製品・エディションは公式に存在しません。公式サイトで「顧客情報管理」は目的別の事例カテゴリとして扱われており、会員管理システムやポイント管理システム、継続的な顧客管理システムといった導入事例がそこに束ねられています。SPIRALにおけるCRMとは、買えばすぐ使える機能パッケージではなく、データベース・フォーム・認証エリア・メール配信を組み合わせて自分で組む顧客管理アプリのことです。

この違いは見積りに直結します。Salesforceのように商談パイプライン、活動履歴、レポートが最初から用意されている製品と比べると、SPIRALでは同等の画面を自分で設計する工数が発生します。逆に、既製CRMの項目定義に業務を合わせられない会員制サービスやキャンペーン運用、個人情報を大量に扱うフォーム基盤では、必要な項目だけを持つ軽いデータベースを自社仕様で持てる利点が勝ちます。

SalesforceやkintoneではなくSPIRALを選ぶべきでない場面

SPIRALを選ぶべきでないのは、営業支援の標準機能をすぐ使いたい場合です。商談管理・売上予測・レポートを既製で求めるなら、CRM/ERP製品を選ぶほうが立ち上がりは早い(選定軸はERP/CRM導入とは?Salesforce・SAP・Dynamicsの選定軸と進め方を解説で整理しています)。SPIRALはあくまで「作る」ための基盤であり、CRMの完成品ではありません。この前提を外すと、実装工数を丸ごと見落とした見積りになります。

反対にSPIRALが向くのは、フォーム受付から会員認証、メール配信、データ蓄積までを1つの基盤で完結させたいケースです。とくに個人情報を扱う会員基盤で、プライバシーマークやISO/IEC 27001の取得実績が社内の説明責任の材料になる場面では選ぶ価値があります。ローコード製品全体の中での位置づけを比較したい場合はローコード開発の市場動向とOutSystemsの位置付けも参考になります。

料金は入口が同額、課金軸が別

SPIRALの価格は公開されています。ver.1とWebToolsで初期費用100,000円・月額50,000円〜(税別)という入口は同じですが、月額の決まり方がまったく違います。ver.1はDBに格納するレコード数で月額がスライドし、WebToolsはプラン上限+オプション追加で決まります。

項目 WebToolsのスタンダードプラン上限 追加オプション(税別)
ユーザー 5 5ユーザー +10,000円/月
ライトユーザー 10 10ライトユーザー +5,000円/月
APIエージェント 1 1エージェント +5,000円/月
サイト / アプリ 1 / 20
データ容量 / ファイル容量 100MB / 10GB
APIリクエスト 月間10万

WebToolsの最低契約期間は2か月で、以後は月次自動更新。全機能を試せる無料トライアルも用意されています。ここで効いてくるのがデータ容量100MBという上限で、添付ファイルではなくレコード本体の容量を指します。数十万件規模の顧客レコードを想定するなら、この上限とプラン設計を先に確認してください。

ver.1側は、レコード数の帯で月額が上がる従量に近い体系です。おおむね1万件までが月額50,000円、1万件超〜1.5万件で75,000円、20万件を超える帯では30万円台後半まで上がります(機能カスタマイズやバージョンアップに追加費用はかからない体系)。大量のレコードを長期に持ち続ける会員基盤では、この帯が総額を決めます。価格は改定されるため、稟議に使う数字は公式の料金ページで最新版を確認してください。

開発とデータ連携の実像(版で仕様が違う)

ver.1のデータベースは8種類に分かれる

ver.1のデータベースは1種類ではありません。公式ナレッジサイトでは、通常DB・履歴DB・トランザクションDB・仮想DB(フィルタ型/連携型/集合型)・STOPDB・ステップアンケートDBの8種類が定義されています。顧客マスタは通常DB、応募や申込のログはトランザクションDB、配信停止の管理はSTOPDBといった具合に、テーブルの性格ごとに型が用意されているのが特徴です。RDBのテーブル設計をそのまま持ち込むのではなく、この分類に合わせてデータモデルを引き直す作業が初期設計の山場になります。WebTools側はこの8分類ではなく、フィールド型(15種)とDBトリガーを組み合わせる別構成なので、ver.1向けの設計資料をそのまま流用できません。

なお1DBあたりのレコード数の上限値そのものは公式に明示されていません。ver.1については前掲のとおり料金がレコード数の帯で規定されるため、規模の目安はむしろ料金表から読むことになります。大量データを扱う要件では見積り前に問い合わせるのが安全です。

WebToolsのREST APIとAPIエージェントの権限分離

WebToolsの外部連携はREST APIで行います。認証はAPIキーをHTTPヘッダーのBearerトークンとして渡す方式で、キーの主体はAPIエージェント(またはユーザー)です。APIエージェントにはグループ権限でデータベースやフィールド、操作の範囲を割り当てられるため、「参照だけ許す連携」「特定DBにだけ書き込む連携」を分離できます。呼び出しにはAPIキーに加えてアプリID・DBIDなどの識別子が必要です。

curl -X GET \
  -H "Authorization: Bearer $SPIRAL_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  "https://api.spiral-platform.com/v1/apps/{appId}/dbs/{dbId}/records"

正確なパスとパラメータは公式APIリファレンス(docs.spiral-platform.com)で確認してください。前掲のとおりAPIリクエストはスタンダードプランで月間10万件が上限なので、他システムからの同期をポーリングで組むと上限に近づきます。更新契機を絞るか、カスタムAPI機能のWebhookで受け側に寄せる設計が現実的です。ver.1はこれとは別のAPI系統(認証方式も別)を持つため、ver.1環境の連携を設計するときにWebToolsのAPIリファレンスを読んでも噛み合いません。

SalesforceやkintoneとつなぐならAPIかiPaaS

SalesforceやkintoneとのネイティブコネクタはSPIRAL公式には見当たりません。連携はREST APIを直接叩くか、iPaaSを挟むのが実務上の選択肢になります。公式ナレッジサイトの開発者向け記事にkintoneとAPI連携するサンプルプログラムが掲載されており、これが最も確実な出発点です。SaaS間をAPIでつなぐ際の設計・失敗パターンはShopifyとkintoneのAPI連携を活用したモールECサイト構築の手順で扱っている論点がそのまま当てはまります。

稟議で問われるセキュリティ認証の実データ

個人情報を扱う基盤を社内承認に乗せるときは、機能ではなく認証と運用体制が問われます。公式が開示している事実は次のとおりです。会社単位の認証とサービス単位の認定が混在しているため、区別して引用してください。

  • プライバシーマーク[10825283(01)](2024年8月7日取得/会社)
  • ISO/IEC 27001:2022・JIS Q 27001:2023[IS 90515](2022年版への移行完了は2024年12月28日付/会社)
  • ISO/IEC 27017:2015[CLOUD 702661]、CSA STAR CERTIFICATION 2021[STAR 613242](クラウドセキュリティ/会社)
  • ISO/IEC 20000-1:2018[ITMS 513019]、ISO 9001:2015[FS 501308](会社)
  • ASPIC「クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示認定」=ASP/SaaS(2008年5月)、IaaS/PaaS(2012年12月)、マイナンバー管理サービス(2017年12月)。SPIRAL ver.1の認定番号はIP0001-1212(サービス単位)
  • ver.1は24時間365日の監視、ファイアウォールとIDS/IPS・WAFによる防御、DBサーバをインターネットに直接接続しないセグメント構成
  • ver.1は2001年12月からSLAを導入し、月間稼働率は管理画面のSLA月次報告で開示
  • 第三者機関(ブロードバンドセキュリティ社)の脆弱性診断で最高評価「A」(2025年10月時点)

一方で、政府調達で参照されるISMAPクラウドサービスリストへの登録や、LGWAN-ASPとしての登録は公式ページ上で確認できませんでした。自治体・官公庁案件でこれらが調達要件になっている場合は、導入事例の多さを根拠にせず、登録の有無を直接確認してください。稼働率の保証値(99.9%など)も公式Webページには数値が出ておらず、SLA文書の取り寄せが必要です。データセンターの所在やバックアップ体制を要件に書く場合も同様に、公式回答を取ってから記載してください。

導入前に潰しておきたい落とし穴

  • ネット上の解説記事の大半が古い。「パイプドビッツが提供」「ver.2が最新版」という記述は、それぞれ2023年6月と2026年7月で事実でなくなりました。レビューサイトや比較メディアの評判記事も改称前に書かれたものが多く、製品カテゴリ(ローコード/ノーコード)の前提からずれています。二次情報のまま社内資料を作ると初回の打ち合わせで前提が崩れます。
  • ver.1とWebToolsは非互換。「今のver.1をWebToolsへ移行」は再構築を意味します。移行コストを機能差分だけで見積もらないこと。
  • 課金軸の違いが総額を分ける。ver.1はレコード数、WebToolsはユーザー数・アプリ数・データ容量・APIリクエスト。PoCで足りたプランが本番で上限に当たるパターンが典型なので、上限超過時の追加費用まで含めて総額を出しておきます。
  • CRMは「作る」もの。営業支援の標準機能を期待して導入すると、実装工数の見誤りになります。求める画面が既製CRMにあるなら、そちらを選ぶほうが安く済みます。

よくある質問

SPIRALとは何ですか?

スパイラル株式会社が提供する国産のローコード開発プラットフォームです。Webフォーム、会員認証付きサイト、業務データベース、メール配信を、プログラミング量を抑えて構築できます。同名の「スパイラルモデル」(反復型の開発プロセス)や、表参道の文化施設スパイラルとは無関係です。

SPIRALを提供しているのはどんな会社ですか?

スパイラル株式会社です。前身は株式会社パイプドビッツで、2015年に持株会社パイプドHDを設立して東証に上場していましたが、2022年10月のMBOで非公開化し、2023年6月1日にグループ7社が合併して現在の社名になりました。

SPIRAL ver.2はなくなったのですか?

なくなったのではなく、2026年7月7日に「SPIRAL WebTools」へ名称が変わり、ノーコードアプリ作成ツールとして位置づけ直されました。ver.1は名称も提供も継続しており、公式は両者を互換性のない別製品としています。ver.2という表記の資料は改称前のものと考えてください。

SPIRALでCRMは作れますか?

作れますが、「SPIRAL CRM」という製品を買うわけではありません。データベース・フォーム・認証エリア・メール配信を組み合わせて自社仕様の顧客管理アプリを構築する形になります。商談管理やレポートなど営業支援の標準機能が必要なら、既製のCRM製品のほうが立ち上がりは早いです。

SPIRAL WebTools(旧ver.2)の料金はいくらですか?

初期費用100,000円・月額50,000円〜(税別、スタンダードプラン)です。ユーザー5・ライトユーザー10・APIエージェント1・アプリ20・データ容量100MB・API月間10万リクエストといった上限があり、超える分はオプション追加になります。最低契約期間は2か月です。

SPIRAL ver.1の料金体系は何が違いますか?

入口は同じく初期費用100,000円・月額50,000円〜(税別)ですが、月額がDBに格納するレコード数の帯でスライドします。1万件までが月額50,000円、そこから帯が上がるごとに月額が増え、20万件超では30万円台後半の帯になります。機能カスタマイズやバージョンアップの追加費用はかからない体系です。

関連記事

資料請求

RELATED POSTS 関連記事