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Amazon Pinpointとは?2026年10月終了の全体像と移行先の選び方を実装者目線で解説

Amazon Pinpointは、メール・SMS・プッシュ通知・音声などのチャネルをまたいで顧客へメッセージを送るAWSのカスタマーエンゲージメント基盤です。ただし2026年10月30日にサポート終了が予定され、新規受付は2025年5月20日で止まっています。この記事では、Pinpointの定義とマルチチャネル配信の仕組み、終了で廃止される機能と存続する機能の境界、メールはAmazon SES・SMS/プッシュはAWS End User Messaging・キャンペーンはAmazon Connectという機能別の移行先、料金の考え方、そして新規採用の可否と既存ユーザーの移行手順までを、実装者の目線で判断できる形に整理します。

まとめ:Amazon Pinpoint終了を前提とした採用可否と移行の要点

結論から言うと、Amazon Pinpointを新規に採用する判断は原則として見送りが妥当です。AWSは2026年10月30日でPinpointのサポートを終了すると告知し、新規顧客の受付を2025年5月20日で停止しました。終了後はコンソールとキャンペーン・ジャーニー・セグメント・分析といったリソースへアクセスできなくなります。

一方で、Pinpointが担っていた配信そのものが消えるわけではありません。SMS・MMS・音声・モバイルプッシュ・OTPの各APIは「AWS End User Messaging」という名前で存続します。メール配信はAmazon SES、キャンペーンやジャーニー・配信分析はAmazon Connectやサードパーティのエンゲージメント基盤へ、というのがAWSの推奨する移行経路です。

実装者が取るべき動きは明確です。既存ユーザーは、送信APIの呼び出し先をEnd User Messagingへ切り替え、メールはSESへ寄せ、キャンペーン運用の代替を2026年10月までに用意する。これから配信基盤を新設するなら、Pinpointを飛ばして最初からSESとEnd User Messagingの組み合わせで設計する。以降の章で、機能・料金・移行判断を順に掘り下げます。

Amazon Pinpointの定義とマルチチャネル配信の全体像

まずPinpointが「何をするサービスなのか」を、送信の下回りと運用機能の二層に分けて押さえます。ここを分けて理解しておくと、後述する終了後の機能分割がそのまま腑に落ちます。

メール・SMS・プッシュ・音声を束ねるマルチチャネル配信の全体像

Pinpointは、単一のサービスから複数チャネルへメッセージを送るための入り口です。扱えるチャネルは、Eメール、SMSとMMS、モバイルプッシュ通知(Firebase Cloud MessagingやApple Push Notification service)、音声メッセージ、アプリ内メッセージ、そして任意のカスタムチャネルです。

送信の実体は、AWSの既存メッセージング基盤に乗っています。メールはAmazon SESのエンジン、SMSや音声はAmazonのメッセージング基盤を経由します。Pinpointは新しい配信網を作ったのではなく、複数チャネルへの送信を1つのAPIとコンソールから扱えるようにまとめた層だと捉えると誤解がありません。SESやSNS、SQSといった個々のメッセージング部品の役割分担はAWS SQS・SNS・SESの違いと使い分けで整理しています。

セグメント・キャンペーン・ジャーニーによる配信自動化の仕組み

Pinpointの価値は、送信そのものよりも「誰に・いつ・何を送るか」を制御する運用機能にありました。中心となる概念は次の4つです。

  • エンドポイント:メールアドレスや端末トークンなど、1つの連絡先を表す送信先の単位
  • セグメント:属性や行動データで絞り込んだ配信対象のグループ
  • キャンペーン:特定セグメントへ、指定した日時や条件でメッセージを一斉配信する仕組み
  • ジャーニー:開封や反応に応じて分岐する多段のシナリオ配信をGUIで組む機能

これらに加え、開封率・到達率・ジャーニーの通過状況を可視化する分析ダッシュボードを備えていました。まさにこの運用・分析の層が、2026年10月の終了で切り離される部分にあたります。

Amazon Connectの一機能としてのPinpointの位置づけ

Pinpointは元々、コンタクトセンター基盤であるAmazon Connectのアウトバウンド通信を支える部品として発展してきた経緯があります。顧客との対話全体をAmazon Connectが担い、その中の「送る」側面をPinpointが受け持つ構図です。この出自を知っておくと、終了後にキャンペーンやジャーニーの移行先としてAmazon Connectが名指しされる理由が自然に理解できます。単独の配信ツールというより、エンゲージメント基盤の送信レイヤーだった、という位置づけです。

2026年10月のサポート終了で変わる機能構成と移行判断の必要性

Pinpointを語るうえで避けて通れないのが、サポート終了という事実です。ここを曖昧にしたまま採用や設計を進めると、稼働直後に作り直しを迫られます。廃止される範囲と存続する範囲を、日付とともに正確に切り分けます。

2026年10月30日というサポート終了日と新規受付停止の経緯

AWSの告知によると、Amazon Pinpointのサポート終了日は2026年10月30日です。新規顧客の受付はそれに先立ち2025年5月20日で停止されており、この時点以降にアカウントで新たにPinpointを使い始めることはできません。終了日を過ぎると、Pinpointコンソールおよびエンドポイント・セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析といったリソースへアクセスできなくなります。日付が確定している以上、既存ユーザーにとって移行は「やるかどうか」ではなく「いつまでに終えるか」の問題になりました。

廃止される運用層とEnd User Messagingへ存続する送信層の境界

終了で消えるのは、マーケティング運用と分析のオーケストレーション層です。具体的には、ジャーニー(多段シナリオのビジュアルビルダー)、キャンペーン(一斉配信のスケジューリング)、セグメントとエンドポイント(対象管理とユーザーデータの保持)、配信分析ダッシュボードが対象になります。

逆に、送信そのもののAPIは「AWS End User Messaging」として存続します。SMS・MMS・音声のルーティング、モバイルプッシュ(FCM・APNs)、電話番号の検証、ワンタイムパスワード配信のAPIは終了の影響を受けません。つまり「送る配管は残り、配信を自動化・分析する運用機能が外れる」というのが境界線です。この線引きが、次章の機能別の移行先をそのまま決めます。

Amazon Pinpointの機能別に見る移行先サービスの対応関係

Pinpointが担っていた機能は、単一の後継サービスへ置き換わるのではなく、役割ごとに別々のAWSサービスへ分散します。AWSが推奨する対応関係を一覧にしたうえで、実装上の注意を機能別に補足します。

Pinpointの機能ごとに移行先サービスを一覧で押さえる対応表

まず全体像を表で示します。自社が使っている機能に対応する行だけを見れば、着手すべき移行先が特定できます。

Pinpointの機能 推奨される移行先
メール配信 Amazon SES
SMS・MMS・音声 AWS End User Messaging
モバイルプッシュ通知 AWS End User Messaging
セグメント・キャンペーン・ジャーニー Amazon Connect等
配信分析ダッシュボード Amazon Connect等

表の通り、送信系は既存のAWSメッセージング基盤へ、運用・分析系はAmazon Connectか外部のエンゲージメント基盤へ、という二方向に分かれます。

メール配信の移行先となるAmazon SESでの実装と初期設定

メールを送っていた場合の移行先はAmazon SESです。Pinpointのメール送信はもともとSESのエンジンを利用していたため、送信の下回り自体は大きく変わりません。移行作業の中心は、テンプレート管理・配信対象の抽出・送信スケジューリングといった、Pinpoint側で持っていた運用ロジックを自前またはSESの機能で組み直す点にあります。送信ドメインの認証(SPF・DKIM・DMARC)やサンドボックス解除、バウンス処理などSES固有の初期設定はAmazon SESの仕組みと実装で解説しています。

SMS・プッシュ・音声の移行先となるEnd User Messagingへの切り替え

SMS・音声・モバイルプッシュを使っている場合、送信APIの呼び出し先をAWS End User Messagingへ切り替えます。SMS・音声はEnd User Messaging(SMS and Voice)、プッシュはEnd User Messaging(Push)として提供され、電話番号やオリジネーティングID、FCM・APNsの資格情報といった設定資産は基本的に引き継げます。作業の実体は、Pinpointのプロジェクト単位の管理から、End User Messaging側のリソース単位の管理へ発想を移し、APIエンドポイントとSDKの呼び出しを差し替えることです。番号のプロビジョニングやなりすまし対策の設定は、End User Messaging側の管理画面へ移ります。

キャンペーンやジャーニーと分析機能の移行先となる基盤の選び方

最も作り直しが大きいのが、セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析です。AWS純正で受け皿になるのはAmazon Connectのアウトバウンドキャンペーン機能ですが、Pinpointのジャーニーとそのまま1対1では対応しません。ビジュアルなシナリオ設計や高度な行動トリガーを重視するなら、Braze・Customer.io・Iterableといった専業のエンゲージメント基盤を選ぶ判断も現実的です。ここは「送信の移し替え」ではなく「運用基盤の再選定」であり、要件定義からやり直す前提で計画します。

Amazon Pinpointの料金体系とコスト見積もりの考え方

料金はチャネルごとの従量課金が基本でした。移行後もこの構造は引き継がれるため、コスト見積もりの考え方を押さえておくと、移行先での予算試算にそのまま使えます。なお具体的な単価は改定されるため、金額は必ずAWSの公式料金ページで時点確認してください。

チャネル別の従量課金と無料利用枠で見る料金構造の全体像と内訳

Pinpointの課金は、送ったメッセージの種類と量に応じて積み上がる形でした。おおまかな内訳は次の通りです。

  • メール:送信数に対する従量課金(SESの単価体系に準拠)
  • SMS:1通あたりの料金に、通信事業者側のキャリア料金が上乗せされる
  • プッシュ通知:一定数までは無料枠があり、超過分が従量課金
  • ターゲット配信・分析:対象となる月間オーディエンス数に応じた課金で、少量までは無料枠あり

この構造は移行後も概ね保たれます。メールはSESの単価、SMSとプッシュはEnd User Messagingの単価へ読み替えれば、桁の大きく違わない試算が立てられます。

移行に伴う総コスト比較で見落としやすい運用基盤の再構築費用の項目

移行の予算を見積もるとき、送信単価だけを比較すると判断を誤ります。単価以外に効いてくるのは、キャンペーン運用基盤の乗り換え費用です。Amazon Connectや外部エンゲージメント基盤には、Pinpointには無かった月額や従量の課金体系があり、シナリオの作り込み工数も発生します。純粋な送信コストは横ばいでも、運用層の再構築コストが上乗せされる、という前提で総額を見ます。逆に、送信APIしか使っていない小規模用途なら、End User Messagingへの切り替えだけで済み、コスト影響はほぼ生じません。

新規採用を見送るべき理由と既存ユーザー向けの移行ロードマップ

ここまでの事実を踏まえ、採用と移行の判断を言い切ります。玉虫色の両論併記はしません。立場を取ったうえで、条件によって結論が変わる場面だけを明示します。

これから新規で採用すべきでない理由と例外を認める条件の見極め

2026年以降に配信基盤を新設するなら、Pinpointは採用しません。理由は単純で、新規受付は既に停止しており、仮に使えたとしても数年内に作り直しが確定しているためです。ゼロから作るのに寿命の尽きたサービスを選ぶ合理性はありません。

新設時の第一候補は、メールはAmazon SES、SMS・音声・プッシュはAWS End User Messaging、キャンペーン運用が要るならAmazon Connectや専業基盤という組み合わせです。例外として検討に値するのは、社内に大量のPinpoint前提の資産(テンプレート・ジャーニー定義・運用ノウハウ)が既にあり、終了日までの短期運用と割り切れるケースだけです。その場合でも、移行先を前提にした設計を並行して進めます。

既存ユーザーが終了日までに終えるべき移行作業の優先順位と手順

すでにPinpointを運用している場合、2026年10月30日を締め切りとして逆算します。優先順位を付けた手順は次の通りです。

  1. 棚卸し:どのチャネル(メール・SMS・プッシュ・キャンペーン・分析)を実際に使っているかを洗い出す
  2. 送信系の切り替え:SMS・音声・プッシュはEnd User MessagingへAPIを差し替える。ここは影響が小さく先に片付く
  3. メールのSES化:テンプレートと送信ロジックをSESへ移し、ドメイン認証とバウンス処理を再設定する
  4. 運用層の再構築:キャンペーン・ジャーニー・分析の代替をAmazon Connectか外部基盤で設計し直す。ここが最も工数がかかる
  5. 並行稼働と切り戻し検証:新旧を一定期間並走させ、到達率と配信数の差分を確認してから旧環境を停止する

急がなくてよいのは送信APIの差し替えで、逆に早く着手すべきは運用層の再選定です。要件定義を含むためリードタイムが長く、終了間際に始めると間に合いません。自社にAWSの設計・移行を担う体制が薄い場合は、AWS環境の設計・移行を外部に委託する選択肢も含めて、締め切りから逆算した計画を早めに固めることをおすすめします。

よくある質問

Amazon Pinpointの採用可否や終了・移行について、検索でよく調べられる質問に簡潔に答えます。

Amazon Pinpointはいつサポート終了しますか?

AWSの告知では、サポート終了日は2026年10月30日です。新規顧客の受付は2025年5月20日で既に停止しています。終了日を過ぎるとコンソールやキャンペーン・ジャーニー・セグメント・分析といったリソースにアクセスできなくなるため、既存ユーザーはそれまでに移行を終える必要があります。

Amazon PinpointとAmazon SESの違いは何ですか?

SESはメール送信に特化した配信エンジンで、Pinpointはそのメール機能を含む複数チャネル(SMS・プッシュ・音声など)を束ね、セグメントやキャンペーンで配信を自動化する上位の運用層でした。Pinpointのメール送信は内部でSESを使っています。終了後、メール配信はSESへ直接寄せる形が推奨されます。

Amazon Pinpointの代わりになるサービスは何ですか?

単一の後継はなく、機能ごとに分かれます。メールはAmazon SES、SMS・音声・モバイルプッシュはAWS End User Messaging、セグメント・キャンペーン・ジャーニー・分析はAmazon Connectまたはサードパーティのエンゲージメント基盤(Braze・Customer.io・Iterableなど)が推奨先です。

既存のキャンペーンやジャーニーはそのまま移行できますか?

送信系のAPIは設定資産を引き継ぎやすい一方、キャンペーンやジャーニーは移行先と1対1に対応しません。Amazon Connectや外部基盤で、シナリオを設計し直す前提になります。運用層の移行は要件定義から着手する工数の大きい作業と見込んでください。

Amazon Pinpointは無料で使えますか?

Pinpointの課金はチャネル別の従量制で、プッシュ通知やターゲット配信には一定数までの無料利用枠がありました。メールやSMSは送信量に応じた課金です。移行後もSESやEnd User Messagingで同様の従量課金が続くため、単価は公式の料金ページで時点確認してください。

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