29 人が閲覧(直近 30 日) インフラ・クラウド

CentOSとは?RHEL互換OSの終了とCentOS Stream・後継OSへの移行判断を実装目線で解説【2026年版】

CentOSとは?RHEL互換OSの終了とCentOS Stream・後継OSへの移行判断を実装目線で解説【2026年版】

CentOSは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のソースコードを再ビルドして作られた、無償で使えるLinuxディストリビューションです。RHELと同じ挙動を無料で得られることから、長くサーバー用途で広く使われてきました。しかしCentOS Linuxは開発が終了し、位置づけはRHELの上流にあたるCentOS Streamへと切り替わりました。本稿では、CentOSの出自と仕組み、CentOS LinuxとCentOS Streamの構造的な違い、サポート終了のスケジュールに加え、手元のサーバーがどの版かを確かめるコマンド、Rocky LinuxやAlmaLinuxへ移すための実行手順と移行判断までを、実装者の解像度で整理します。版番号と期日は2026年9月時点の公式情報で確認したものです。

まとめ—CentOS Linuxは開発終了、新規は後継OSへの移行が前提

先に結論を置きます。従来型のCentOS(CentOS Linux)はすでに開発が終わっています。CentOS Linux 8は2021年12月31日、CentOS Linux 7は2024年6月30日でサポートが終わり、セキュリティ更新は提供されません。現在「CentOS」を名乗って開発が続くのはCentOS Streamで、これはRHELの安定版クローンではなく、RHELの上流(開発版)という別の位置づけです。本番の安定運用をそのまま引き継ぐ用途には設計が合いません。

したがって実装者の判断は明快です。新規のサーバー構築でCentOS Linuxを選ぶ理由はなく、既存のCentOS資産はEOLを放置せず後継へ移すのが前提になります。移行先の主力は、RHEL互換を保つRocky LinuxとAlmaLinuxです。どちらも各メジャー版で10年のライフサイクルを掲げ、CentOSからの移行スクリプトを公式に用意しています。判断軸は、既存資産の互換性を保って延命するならRocky/AlmaLinux、この機会にクラウドや構成刷新まで踏み込むなら新規設計、と分けて考えるのが実務的です。ファイアウォールやストレージ用途の機器であればLinux以外も候補に入り、その場合はFreeBSDとは?Linuxとの違いと採用判断で保守期限の刻み方の差を確かめてください。

項目 要点(2026年9月時点)
CentOSの正体 RHELを再ビルドした無償OS
CentOS Linux 8 2021-12-31で終了
CentOS Linux 7 2024-06-30で終了
CentOS Stream RHELの上流・開発が継続
移行先の主力 Rocky Linux/AlmaLinux
8系からの移行 migrate2rocky等で置換
7系からの移行 ELevateで段階的に上げる

CentOSとは何か—RHEL互換の無償OSという出自と位置づけ

まず「何のためのOSだったか」を押さえます。CentOSの立ち位置を取り違えると、後の移行判断もぶれかねません。RHELとの関係を軸に、成り立ちと普及の理由を分けて見ていきます。

RHELのソースコードを再ビルドした無償互換クローンという出自

CentOSはCommunity ENTerprise Operating Systemの略で、その名の通りコミュニティが運営してきたOSです。Red Hatは商用のRHELを提供する一方、そのソースコードを公開しています。CentOSはこの公開ソースから商標などを取り除いて再ビルドし、RHELとほぼ同じ中身を無償で配布する「クローン」として成り立っていました。有償サポートは付かない代わりにライセンス費用がかからず、RHELと同じ操作・同じパッケージで動くため、検証環境から本番サーバーまで幅広く使われてきた経緯があります。土台のLinuxそのものの仕組みは、Linuxとは何かを実装目線で解説した記事と併せて押さえると理解が早まります。

CentOS LinuxとCentOS Streamの根本的な違い

混乱の元になりやすいのが、同じ「CentOS」でも2つの系統がある点です。従来のCentOS Linuxは、リリース済みのRHELを後追いで再ビルドした「下流の安定クローン」でした。RHELで検証を経た内容が流れてくるため、安定性が持ち味です。一方のCentOS Streamは、次期RHELになる前の変更が先に入る「上流の開発版」で、更新が継続的に流れ込むローリング型に近い性質を持ちます。CentOS公式もCentOS Streamの紹介ページで、RHEL開発の少し先を走り、FedoraとRHELの中間に位置する配布物だと説明しています。つまり両者は流れの向きが逆で、Streamは「RHELの一歩手前」を触るための位置づけです。この向きの違いが、本番採用の可否を分ける核心になります。

観点 CentOS Linux CentOS Stream
RHELとの関係 リリース後に再ビルド リリース前の上流
更新の流れ方 マイナー版ごとに固定 継続的に流入
向く用途 本番の安定運用 先行検証・開発
現状 7・8とも終了 9・10が提供中

yumやdnfによる運用のしやすさとCentOSが普及した背景

CentOSが根付いた実務上の理由は、RHEL系の運用ノウハウをそのまま無償で使える点にありました。パッケージ管理はyum、後継のdnfで統一され、RPM形式のパッケージを扱う流儀もRHELと共通です。商用サポートを持つ本番はRHEL、検証や社内サーバーはCentOS、といった使い分けが成り立ち、書籍や日本語の情報も厚く積み上がりました。設定ファイルの位置やサービス管理の作法がRHELと一致するため、学習と運用の資産を二重に持たずに済んだことが、長期の普及を支えた背景です。この「RHEL系の作法がそのまま通じる」性質は後継のRocky LinuxとAlmaLinuxにも引き継がれており、移行後もyum・dnf・systemctlといった手元の手順書はほぼそのまま使えます。

CentOSの現在地—7・8・Streamのサポート終了日程と放置リスク

採用判断の前に、CentOSが今どの状態にあるのかを事実で確認します。将来性と現時点の制約は分けて評価しなければなりません。まずはサポート終了の時系列から整理します。

CentOS Linux 7と8のサポート終了日と現在の扱い

2020年12月、CentOS Projectは公式ブログで、従来型のCentOS Linuxの提供を終えてCentOS Streamへ軸足を移す方針を公表しました。その結果、当時最新だったCentOS Linux 8は前倒しで2021年12月31日にサポートが終了しています(CentOS Linux 8のEOL告知)。長く使われたCentOS Linux 7も、2023年4月の公式告知どおり2024年6月30日にサポート期限を迎えました。サポート終了後は、公式のセキュリティ更新もバグ修正も提供されず、パッケージはアーカイブ用のvault.centos.orgへ移されています。つまり現在のCentOS Linuxは、動いてはいても更新が止まった状態にあり、新規構築の選択肢としては役目を終えています。

RHELの上流に移ったCentOS Streamという位置づけ

開発が続くCentOS Streamは、RHELの上流として提供されています。Stream 8は2024年5月31日でビルドを終えました。CentOSのダウンロードページでは、Stream 9の終了日を2027年5月31日(RHEL 9のフルサポート終了)、Stream 10を2030年5月31日(RHEL 10のフルサポート終了)と明記しています。Streamのサポートは下流のRHELより短く、RHELの「フルサポート期間」に揃えて打ち切られる点には注意が必要です。RHEL本体のライフサイクルの考え方は、Red Hatのライフサイクルポリシーで確かめられます。Streamは最新の変更を先取りできる反面、本番の安定版として長期固定したい用途には不向きです。開発・検証や、RHELの次の動きを早く把握したい場面には向く一方、無停止の基幹サーバーにそのまま据える判断は慎重に行うべきです。

版 サポート終了日 状態
CentOS Linux 7 2024-06-30 終了済み
CentOS Linux 8 2021-12-31 終了済み
CentOS Stream 8 2024-05-31 終了済み
CentOS Stream 9 2027-05-31 提供中
CentOS Stream 10 2030-05-31 提供中

サポートが切れたCentOSを本番で放置し続けることのリスク

EOLを迎えたCentOSを動かし続ける最大の問題は、新たな脆弱性が見つかっても公式の修正パッチが出ない点です。既知の欠陥が放置されたサーバーは、時間の経過とともに攻撃の入口になり得る状態です。加えて、監査やセキュリティ基準の観点でサポート切れOSの継続利用が指摘されるケースや、新しいミドルウェアが対象OSから外して動作保証しなくなるケースも出てきます。見落とされやすいのがリポジトリの問題で、ミラーから外れたCentOS 7や8では、設定を変えないとyum installそのものが失敗します。パッケージを1つ足すだけの保守作業ができなくなるわけです。先送りした期間が長いほど、移行時の検証範囲は広がり、作業量も増える傾向があります。EOLは期限ではなく、計画的に畳むための起点として扱うのが実装者の姿勢です。

手元のサーバーがCentOSか確かめる—os-releaseとrpmで版と系統を判定する

移行計画は、対象サーバーの棚卸しから始まります。「CentOSのはず」という記憶に頼らず、1台ずつコマンドで版と系統を確かめてください。CentOS LinuxとCentOS Streamは見た目が似ていますが、使える移行ツールが違うため、ここでの判定が後の手順を決めます。

/etc/os-releaseとrpmによるCentOS Linux・Streamの判定

最初に確認するのは/etc/os-releaseです。NAMEとVERSION_IDで系統とメジャー版が分かります。Streamの場合、表示される名前はNAME="CentOS Stream"です。あわせて、どのリリースパッケージが入っているかをrpmで確かめると、判定の取り違えを防げます。

cat /etc/os-release
cat /etc/centos-release
rpm -q centos-release centos-stream-release
uname -r
dnf repolist 2>/dev/null || yum repolist

読み方は次のとおりです。centos-releaseだけが入っていればCentOS Linux、centos-stream-releaseが入っていればCentOS Streamです。uname -rの値はカーネルの版で、7系なら3.10、8系なら4.18で始まるのが目安になります。OSの版とカーネルの版は別物なので、移行後に両方を比較できるよう、それぞれの値を控えておいてください。コマンドの使い分けとコンテナ内での注意点は、Linuxのバージョン確認でos-releaseとunameを使い分ける記事で詳しく扱っています。カーネルそのものの役割はカーネルとは何かを解説した記事が土台になります。

サーバーの版と系統の判定結果から使うべき移行ツールを決める早見表

判定した版と系統から、使う道具は次のように決まります。7系と8系でツールが分かれる点が最大の分岐です。

判定結果 主な移行手段
CentOS Linux 7 ELevateでEL8へ上げる
CentOS Linux 8 migrate2rocky等で置換
CentOS Stream 8 置換またはダウングレード
CentOS Stream 9 9系の置換スクリプト
CentOS Stream 10 almalinux-deployで置換

後継OSと移行先—Rocky LinuxとAlmaLinuxをどう選ぶか

ここからは移行先の選び方です。CentOS Linuxの受け皿として、RHEL互換をうたう後継が複数登場しました。それぞれの性格の違いと、移行の進め方の勘所を見ていきます。

RHEL互換を保つRocky LinuxとAlmaLinuxの違い

現在のCentOS Linuxからの主要な移行先は、Rocky LinuxとAlmaLinuxです。どちらもRHEL互換を目標に開発され、CentOSと同じRHEL系の操作感をそのまま引き継げます。Rocky Linuxは、CentOSがRed Hatの方針転換で終わった反省を踏まえ、特定企業に依存しないコミュニティ主導の運営を掲げます。AlmaLinuxはCloudLinux社の支援を受けつつ独立した財団が運営し、資金面の後ろ盾を持つ点が特徴です。2023年にRed HatがRHELのソース公開の方法を改めて以降、AlmaLinuxはRHELとのバグ単位の一致ではなくABI(アプリケーションから見た互換性)の一致を目標に据え直しました。通常の業務アプリでは差が出にくいものの、特定のパッチ適用状況まで揃えたい監査要件がある場合は、この方針の違いを把握しておくと判断がぶれません。

ライフサイクルは両者とも同じ日程で揃っています。Rocky Linuxのバージョン一覧とAlmaLinuxのリリースノートによれば、各メジャー版は約5年のアクティブサポートの後に保守期間へ入り、合計10年で終了します。AlmaLinuxは2026年5月に10.2と9.8を公開しており、2026年9月時点の最新は10系・9系ともこの版です。

メジャー版 アクティブ終了 サポート終了
8系 2024-05-31 2029-05-31
9系 2027-05-31 2032-05-31
10系 2030-05-31 2035-05-31

新規に建てるなら10系、既存アプリが9系までしか動作保証していないなら9系、というのが素直な選び方です。8系は保守期間に入っており、残りの年数が短いぶん、延命の受け皿としては次の移行を早めに計画に入れておく必要があります。

稼働中サーバーのインプレース移行と新規構築のどちらを選ぶかの判断

移行の進め方は大きく2通りです。ひとつは、稼働中のサーバーをそのまま置き換えるインプレース移行で、Rocky Linuxはrocky-toolsのmigrate2rocky、AlmaLinuxはalmalinux-deployという変換スクリプトを公式に提供しています。既存の設定やデータを保ったまま短時間で移せる反面、複雑な構成では想定外の不整合が残るリスクがあります。もうひとつは、新しいサーバーをまっさらに構築し、アプリケーションと設定を移す新規構築です。手間はかかりますが、構成の棚卸しと動作検証を伴うぶん、移行後の見通しが立てやすくなります。停止時間の許容度と構成の複雑さで、どちらを軸にするかを決めるのが定石です。仮想サーバーで動いているなら、移行前にスナップショットを取って戻り道を確保できるため、インプレース移行の失敗コストは下がります。この前提となる仕組みは仮想化技術とは何かを解説した記事で整理しています。

EOLを機にクラウド移行まで含めてサーバー構成を見直す選択肢

CentOSのEOLは、OSを差し替えるだけでなく、サーバー構成そのものを見直す好機でもあります。オンプレミスで長く運用してきた資産を、この機会にクラウドへ移し、可用性やスケールの仕組みごと再設計する判断も現実的です。AWSへ移すなら、稼働中のサーバーを複製して載せ替えるAWS Transform MGN(旧Application Migration Service)の対応OSと移行手順も選択肢に入ります。ただしサポート切れのOSをそのまま複製すれば、クラウド上にEOLのサーバーが増えるだけです。OS移行とクラウド移行のどちらを先に行うかは、順番まで含めて設計してください。単なるOS載せ替えで終えるか、クラウド前提の構成へ踏み込むかは、運用体制と今後の拡張計画で変わります。既存のCentOS資産をAWSなどのクラウドへ移す設計・構築を外部の開発力で進めたい場合は、インフラ構築(AWS・Google Cloud・Azure)で、移行方針の整理から実装までを相談できます。まず対象の棚卸しから始め、載せ替えと再設計の線引きを決めるのが安全な入口です。

CentOSから移行するコマンド—migrate2rockyとELevateの実行手順

ここでは各ツールの公式手順に沿って、実際に打つコマンドを示します。いずれも本番機でいきなり実行せず、スナップショットやバックアップを取ったうえで、同じ構成の検証機から試してください。各ツールの公式ドキュメントも、バックアップと切断されない端末からの実行を前提条件に挙げています。

CentOS 8やStreamのRocky Linux移行用migrate2rocky

migrate2rockyは、8系または9系のRHEL互換OSをRocky Linuxへ置き換えるスクリプトです。Rocky Linuxの移行ガイドによると、対象はCentOS・CentOS Stream・AlmaLinux・RHEL・Oracle Linuxの8系と9系で、10系とCentOS 7は対象外です。9系からの移行では、ファイル名がmigrate2rocky9.shに変わります。

curl -O https://raw.githubusercontent.com/rocky-linux/rocky-tools/main/migrate2rocky/migrate2rocky.sh
chmod u+x migrate2rocky.sh
sudo ./migrate2rocky.sh -r

-rが変換の実行を指示するオプションです。スクリプトはリポジトリ設定とリリースパッケージを差し替え、パッケージをRocky Linux版へ同期します。完了後に再起動し、前章の判定コマンドでNAME="Rocky Linux"になっていることを確かめます。Katelloなど外部のリポジトリ管理を使っている環境には既知の非互換があるため、実行前にmigrate2rockyのREADMEを読んでおくと安全です。

AlmaLinuxへ置き換えるalmalinux-deployとStreamからの戻し方

AlmaLinux側のalmalinux-deployは対象が広く、CentOS Linux 8(8.4以上)とCentOS Stream 8・9・10、RHEL、Rocky Linux、Oracle Linuxの8〜10系に対応しています。CentOS 7は対象に含まれません。

curl -O https://raw.githubusercontent.com/AlmaLinux/almalinux-deploy/master/almalinux-deploy.sh
sudo bash almalinux-deploy.sh
# CentOS Streamから安定版AlmaLinuxへ戻す場合
sudo bash almalinux-deploy.sh -d

Streamは上流の版なので、パッケージがAlmaLinuxの同じメジャー版より新しい場合があります。-d(--downgrade)はそうしたパッケージを安定版の版数へ下げながら置き換えるオプションです。StreamからRocky Linuxへ移す場合も考え方は同じで、上流から下流へ戻る移行は、パッケージの版が下がる前提で動作確認の範囲を決めます。

CentOS 7は置換でなくELevateでメジャー版を上げる

CentOS 7には上の2つのスクリプトが使えません。7系から先へ進む手段は、メジャー版の境をまたいでアップグレードするELevateです。ELevateはRed HatのLeappを土台にしたプロジェクトで、1回の実行で1段ずつ上げる設計になっています。CentOS 7から10系へ行くなら、8系、9系と段階を踏みます。ELevateのクイックスタートに沿ったAlmaLinux 8への手順は次のとおりです。

# 公式ミラーから外れたCentOS 7のリポジトリ定義を差し替える
sudo curl -o /etc/yum.repos.d/CentOS-Base.repo https://el7.repo.almalinux.org/centos/CentOS-Base.repo
sudo yum update -y
sudo reboot

sudo yum install -y http://repo.almalinux.org/elevate/elevate-release-latest-el$(rpm --eval %rhel).noarch.rpm
sudo yum install -y leapp-upgrade leapp-data-almalinux
sudo leapp preupgrade
# 事前チェックの報告を読み、阻害要因を解消してから本番の変換へ進む
sudo leapp upgrade
sudo reboot

要になるのはleapp preupgradeの報告です。古いカーネルモジュールや外部リポジトリ由来のパッケージなど、アップグレードを止める要因がここで列挙されます。報告を1件ずつ潰してからleapp upgradeへ進み、再起動後は専用の起動項目で変換が走ります。7系から8系への移行ではPythonの既定版やネットワーク設定の管理方式も変わるため、OSが起動した後にアプリケーション側の動作確認を必ず行ってください。

サーバー移行後に確かめる項目—版・リポジトリ・サービスの3点

どのツールで移しても、完了後の確認項目は共通です。まず/etc/os-releaseで名前と版が変わったこと、次にdnf repolistで移行先のリポジトリだけが有効になっていること、最後にsystemctl --failedで起動に失敗したサービスが無いことを見ます。移行前に同じコマンドの出力を保存しておけば、差分で抜け漏れを拾えます。ブートローダーとカーネルが入れ替わる作業なので、物理サーバーでは起動しなかった場合に備えて、コンソールに触れる人の立ち会いを前提に計画してください。

実務でCentOS系を採用すべき場面と、見送るべき場面を分ける判断軸

ここまでの事実を踏まえ、判断を言い切ります。CentOSという名前に一括りにせず、CentOS LinuxとCentOS Streamを分けて考えるのが要点です。

新規構築でCentOS Linuxを選ぶべきでない理由と代替

結論として、新規のサーバー構築でCentOS Linuxを選ぶ理由はありません。すでにサポートが終わり、セキュリティ更新が出ないOSを本番に据えるのは、リスクを自ら抱え込む選択です。RHEL系の操作感と互換性を保ちたいなら、素直にRocky LinuxかAlmaLinuxを選ぶのが妥当です。商用サポートと動作保証を最優先する基幹系なら、有償のRHEL本体を選ぶ判断もあります。いずれにせよ、無償のRHEL互換が欲しいという当初のCentOSの役割は、現在は後継OSが引き継いでいると捉えるのが正確です。

CentOS Streamが選択肢になる条件と、避けるべき用途

一方でCentOS Streamは、用途を絞れば選択肢になります。次期RHELの変更を早く検証したい開発環境や、RHELの動向を追う検証基盤、更新の新しさを許容できる社内向けの用途には向きます。逆に、無停止で長期間固定したい本番の基幹サーバーに、更新が継続的に流れ込むStreamをそのまま据えるのは避けるのが無難です。サポート期間もRHELのフルサポート終了で打ち切られるため、Stream 9は2027年5月末に次の移行が必要になります。安定を最優先するなら下流の安定版、つまりRHELやその互換であるRocky/AlmaLinuxを選び、Streamは上流を触る目的に限定する。この使い分けが、CentOS Streamとの正しい間合いです。

移行方式を決める3つの条件—停止時間・構成の複雑さ・残り年数

最後に、移行方式を決める条件を整理します。停止時間を数時間確保でき、構成が単純で、移行先の8系や9系の残り年数で足りるなら、インプレース移行が最短です。停止をほぼ許容できない、あるいは長年の手作業で設定が積み上がって誰も全体を説明できないなら、新規構築で並行稼働させてから切り替える方が安全です。CentOS 7のように2段以上のアップグレードが必要な場合も、段数が増えるほど失敗の分岐が増えるため、新規構築を第一候補に置くのが実務的な判断になります。

条件 推奨する方式
8系・構成が単純 インプレース置換
停止をほぼ許容できない 新規構築して切替
7系から10系へ上げたい 新規構築を優先
構成を誰も説明できない 棚卸し後に新規構築

UNIX系OSとの違いまで含めて全体像を掴みたい場合は、Unixとは何かとLinuxとの違いを解説した記事も参考になります。

よくある質問

CentOSの検討・移行でよく挙がる疑問を、実装者の視点で簡潔に整理します。

CentOSは今から新しく使い始めても大丈夫ですか?

従来型のCentOS Linuxは開発が終了し、サポートも終わっているため、新規利用は勧められません。RHEL系の無償OSが必要なら、後継のRocky LinuxかAlmaLinuxを選ぶのが実務的です。CentOS Streamは開発が続いていますが、RHELの上流という性質上、本番の安定運用より開発・検証向けと考えるのが妥当です。

CentOS LinuxとCentOS Streamは何が違いますか?

流れの向きが逆です。従来のCentOS Linuxは、リリース済みのRHELを後追いで再ビルドした下流の安定クローンでした。CentOS Streamは、次期RHELになる前の変更が先に入る上流の開発版です。安定性を重視するなら下流、最新の変更を先取りしたいなら上流、という性格の違いがあります。

CentOS Linux 7のサポートはいつ終わりましたか?

CentOS Linux 7は2024年6月30日にサポートが終了しています。それ以前にCentOS Linux 8が2021年12月31日で終わっており、いずれも現在は公式のセキュリティ更新が提供されません。CentOS Stream 8も2024年5月31日で終わりました。稼働中のサーバーがある場合は、後継OSへの移行を計画的に進める段階にあります。

CentOSからの移行先はどれを選べばよいですか?

RHELとの互換を保って延命したいなら、Rocky LinuxかAlmaLinuxが主力の選択肢です。どちらも各メジャー版で10年のライフサイクルを掲げ、CentOSからの移行スクリプトを公式に用意しています。商用サポートと動作保証を最優先する基幹系なら有償のRHEL本体、この機会に構成を刷新するならクラウド移行まで含めて検討する判断もあります。

稼働中のCentOSはそのまま移行できますか?

8系ならRocky Linuxのmigrate2rocky、AlmaLinuxのalmalinux-deployで、稼働中のサーバーをインプレースで移行できる場合があります。7系はこれらの対象外で、ELevateを使って8系へアップグレードする形になります。複雑な構成では不整合が残ることもあるため、事前のバックアップと検証機での試行は前提です。停止時間を確保できるなら、新規構築で作り直したうえで移す方が、移行後の見通しは立てやすくなります。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

この記事は以下の記事からリンクされています

資料請求

今日のトレンド記事 直近 24 時間で、いつもより多く読まれている記事

  1. 2026.10.23 テックブログ Renta!不正アクセスでサービス停止:再開未定の現状と運営側の停止判断・証拠保全・段階的再開
  2. 2026.10.21 テックブログ ふるさとチョイス不正アクセスで445万件流出:対象確認・パスワード変更と再開時期
  3. 2026.10.24 テックブログ カプコン不正アクセス:CAPCOM ID 1,177万件漏えいと196件の乗っ取りへの対処
  4. 2026.10.24 テックブログ ブラストメール不正アクセス:配信先288件の漏えいと利用企業の報告・通知の手順
  5. 2026.10.14 テックブログ ローソンID不正アクセス:215万件漏えいの対象確認と本物メールの見分け方

RELATED POSTS 関連記事

目次