「クリプトワークス(CRYPTO WORKS)」は、暗号資産の口座開設や銘柄選びを専任スタッフが手伝うとうたうサービスの名称です。2026年1月20日、青森県の十和田署は、「クリプトワークスの目黒」と名乗る男からの電話をきっかけに、県内の70代男性が現金1,250万円をだまし取られた特殊詐欺被害を発表しました。
この記事では、警察発表の内容、金融庁の登録一覧と無登録警告リストの照合結果、法人番号と公式サイトとされたドメインの現状を、公的機関の資料、報道、紹介記事、匿名投稿を区別して整理します。勧誘の電話を受けた人、すでに送金してしまった人が次に何をすればよいかも併せてまとめます。
まとめ:クリプトワークスについて確認できた事実
- 警察発表:十和田署は2026年1月20日、「クリプトワークスの目黒」を名乗る男の電話から始まった1,250万円の詐欺被害を公表した
- 金融庁登録:暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月1日現在・27業者)に、クリプトワークスの名称はない
- 運営会社:法人番号で引ける同名の法人は大阪市の合同会社で、紹介記事が名乗る運営者とは結び付けられない
- 公式サイト:紹介記事が公式として挙げる crypt-works.com は、2026年9月28日の whois 照会で登録が見つからない
- 判断:裁判所や行政が「クリプトワークス」を詐欺と認定した公表は見当たらない。ただし、この名称で電話勧誘を受けたら取引に応じず、画面共有アプリも入れないのが安全
十和田署が発表した「クリプトワークス」を名乗る詐欺の手口
東奥日報(2026年1月20日)が報じた十和田署の発表によると、被害の流れは次のとおりです。
| 時期 | 起きたこと |
|---|---|
| 2023年3月中旬 | 「クリプトワークスの目黒」から電話 |
| 同時期 | 画面共有アプリで大手金融機関の口座を開設 |
| 初回 | 50万円でイーサリアムを買い、指定アドレスへ送信 |
| 初回の後 | 「15万円の利益が出た」と告げられる |
| 同時期 | 別の男「小栗」が「Medifactが1年で10倍」と勧誘 |
| 2023年4月24日まで | 計4回・1,200万円を追加で振り込み |
| 2025年10月ごろ | 民間調査会社の報告で詐欺と指摘される |
勧誘文句は「銀行に預けるよりも暗号資産の方が安全でもうかる」でした。口座の開設も送金も被害者本人の名義と操作で進むため、本人は自分で投資しているつもりのまま、暗号資産だけが相手の指定アドレスへ移っていきます。最初に小さな利益を見せ、別の人物が値上がりを約束する銘柄を持ち込む流れは、国民生活センターが公表している暗号資産の投資詐欺の相談事例と同じ型です。
注意したいのは、この発表が「クリプトワークスと名乗った人物」による被害であり、特定の法人名を挙げていない点です。東奥日報の記事は被害の発表を伝えるもので、容疑者の逮捕には触れていません。
金融庁の登録一覧と無登録警告リストの照合結果(2026年9月時点)
暗号資産交換業者登録一覧に名称がないことの意味
金融庁が公表する「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年9月1日現在)には27業者が載っていますが、クリプトワークスやCRYPTO WORKSの名称はありません。資金決済法第2条第15項では、暗号資産の売買・交換だけでなく、その媒介・取次ぎ・代理も暗号資産交換業に含まれます。内閣総理大臣の登録(第63条の2)を受けずに営めば、第107条により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)の対象です。
「口座開設を手伝うだけのサポートだから登録は要らない」という説明は、手伝う範囲が手続きの案内にとどまる場合の話です。特定の銘柄を勧めて買わせ、指定のアドレスへ送らせる行為まで進めば、売買の媒介に当たる可能性があります。2026年6月1日からは、登録業者の委託を受けて媒介する「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の登録制度も始まりましたが、これも金融庁への登録が前提です。電話の相手が銘柄名と送金先を指定してきた時点で、どちらの登録を持っているのかを問うべき段階に入っています。
無登録警告リストの掲載範囲と安全性判断の限界
金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行っていた業者に警告書を出し、その名称を「暗号資産・電子決済手段関係」のページで一覧にして公表しています。2026年9月時点の国内業者版・海外業者版の一覧にも、クリプトワークスの名称はありません。
ただし、この一覧は金融庁が警告を出した時点の業者だけを載せたもので、金融庁自身も「掲載されていない者であっても、無登録交換業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と注記しています。国民生活センターも「無登録業者とは取引しないでください」と案内しており、確かめる順番は「登録一覧に載っているか」が先です。
運営会社と公式サイトを一次情報で確かめた結果
同名の法人と、紹介記事が名乗る運営者の食い違い
国税庁が法人番号を公表している同名の法人に、大阪市住吉区清水丘に本店を置く合同会社クリプトワークス(法人番号9120003021023)があります。一方、2026年3月31日にWantedlyへ投稿された紹介記事は、代表を田中祐介氏とする「専門チーム」だと説明し、「インターネット上に存在する同名の別サービス・別法人とは、運営母体も事業内容も異なります」と書いています。
つまり「クリプトワークス」という名前だけでは、どの法人が運営しているのかを特定できません。勧誘を受けたら、相手の法人名と法人番号を聞き、国税庁の法人番号公表サイトで本店所在地と一致するかを確かめてください。答えられない相手とは取引しないのが原則です。
公式サイトとされたドメインの現状
2023年12月5日公開のはてなブログの紹介記事は、ホームページURLとして crypt-works.com を挙げています。2026年3月31日公開のnoteとQiitaの紹介記事も、公式サイトとして同じドメインを案内しています。
ところが2026年9月28日に whois(ドメイン登録情報の照会)で crypt-works.com を調べると、結果は「No match」でした。紹介記事が公式サイトとして挙げるドメインは、登録そのものが切れています。紹介記事のURLだけを頼りにせず、契約書面などに記載された運営者名・所在地・問い合わせ先を確認してください。ドメインを失った後に第三者が同じ名前を取り直せば、偽の公式サイトも作れます。
運営側のメディアとして紹介される「CRYPTO WORKS NEWS」(cryptoworks.blog)は、紹介記事では公式ブログとして案内されていますが、勧誘者との関係は確認できません。
同じ日に集中した紹介記事と「詐欺ではない」系記事の読み方
「クリプトワークス」で検索すると、Qiita・note・Zenn・Wantedly・アメーバブログなどにサービス名を冠したアカウントの紹介記事が並びます。このうちWantedly(9時20分)、Qiita(9時22分)、note(12時25分)の3本は、いずれも2026年3月31日の公開です。Qiitaの投稿者名は「cryptoworks2025」で、同じQiitaには「詐欺ではない理由」をタイトルに掲げる記事もあります。
サービス名や関係者を名乗るアカウントの記事は、独立した第三者の評価と区別して読んでください。名称や公開日が共通するだけでは、投稿者と運営者の関係までは確定できません。こうした記事が検索結果の上位を占めていても、登録一覧・法人番号・警察発表という公的な情報の代わりにはなりません。
評判・口コミに共通する被害報告の型と確かめ方
Yahoo!知恵袋には2024年3月5日、「クリプト」から電話で「必ず儲かる」と勧められ、海外の取引所で「メデイーファクトコイン」(原文表記)を買ったが、1,330万円の出金を頼むと売れないと言われた、という相談が投稿されています。詐欺被害の情報を集める掲示板「詐欺被害ジャパン」にも、AnyDeskやTeamViewerで遠隔操作された、「バイナンスに上場する」と説明されたコインを買った、出金できない、といった2023年8月以降の書き込みが並びます。
これらは匿名の投稿で、個々の事実は検証されていません。十和田署の事例と投稿に出てくる流れを並べると次のようになります。すべてが同一の事件で確認された事実ではないため、自分が受けている勧誘に当てはまるかを確かめる目安として使ってください。
- 面識のない相手からの電話で始まる
- 画面共有・遠隔操作アプリの導入を求められる
- 最初に少額の利益を見せ、追加の入金を促す
- 「上場予定」「1年で10倍」など値上がりを約束する銘柄を勧める
- 国内の登録業者ではない取引所やアドレスへ送らせる
- 出金しようとすると売れない・引き出せない
口コミを読むときは、評価の良し悪しより、この型に当てはまる具体的な記述があるかを見てください。1つでも自分の状況に当てはまるなら、相手の名称が何であれ取引を止める理由になります。
勧誘を受けたとき・送金してしまったときの対処
電話勧誘・画面共有要求への初動対応
- 電話で勧められた銘柄は買わず、その場で折り返しの約束もしない
- AnyDesk・TeamViewerなどの画面共有・遠隔操作アプリを、相手の指示で入れない
- すでに入れた場合は、アプリを終了・削除し、取引所と銀行のパスワードを変え、二段階認証を設定し直す
- 相手の名乗った法人名・電話番号・送金先アドレスを控えておく
画面共有中は、残高や認証コードが相手に見えています。信頼させてから操作を誘導する手口はソーシャルエンジニアリングの典型です。不審な勧誘者との画面共有はその場で中止し、相手の指示で送金したり認証コードを見せたりしないでください。
送金後の相談先と「返金できる」とうたう業者への注意
送金してしまったら、警察(相談専用電話 #9110 または最寄りの警察署)と消費者ホットライン188へ相談し、振込に使った銀行口座があれば金融機関にも連絡します。暗号資産の取引に関する相談は、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811、IP電話からは03-5251-6811、平日10時から17時)でも受け付けています。
被害の後は「調査すれば返金できる」とうたう業者に注意してください。国民生活センターの消費者トラブルFAQは、探偵業者は調査結果を報告できても、代理人として返金交渉をすることはできず、「被害金を回復する」と説明する探偵業者との契約は避けた方がよいと案内しています。返金の交渉を任せるなら弁護士、刑事手続きなら警察が相手です。
国民生活センターによると、2025年度の暗号資産に関する相談は、2026年5月31日現在で8,132件です(消費生活センター等からの経由相談を除く)。一人で抱え込むほど追加の送金を求められやすくなるため、早めに第三者へ相談してください。
サポート業者を介さずに暗号資産を始める場合の手順
口座開設で分からないことは、電話やSNSで声をかけてきた相手ではなく、利用する登録業者の公式窓口に聞いてください。口座開設の対象者や本人確認の方法は業者ごとに異なるため、手順は各業者の公式案内に従います。
- 金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」で、使う業者が載っているか確かめる
- 業者の公式アプリを、アプリストアで提供元を確認してから入れる
- 本人確認と二段階認証の設定を、画面を誰とも共有せずに済ませる
- 最初は失っても困らない少額で、売買と出金を一度ずつ試す
登録業者を選ぶだけでは防げない被害もあります。十和田署の事例のように、正規の口座で買った暗号資産でも、相手が指定するアドレスへ送った時点で取り戻すのは難しくなります。送金先を指定してくる相手には応じないでください。
よくある質問
クリプトワークスは詐欺ですか?
裁判所や行政が「クリプトワークス」を詐欺と認定した公表は見当たりません。一方、2026年1月に十和田署は、クリプトワークスを名乗る男の電話から始まった1,250万円の詐欺被害を発表しています。この名称で電話勧誘を受けたら、取引には応じないでください。
クリプトワークスは金融庁に登録されていますか?
クリプトワークス、CRYPTO WORKSの名称は、金融庁の暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月1日現在・27業者)に載っていません。運営法人が特定できないため、名称以外で照合するには相手に法人名と法人番号を確かめる必要があります。
クリプトワークスの関係者は逮捕されたのですか?
十和田署の発表は被害の公表で、逮捕には触れていません。この記事の執筆時点(2026年9月28日)で、クリプトワークスの名称に関わる逮捕を伝える報道や警察の発表は見つけられませんでした。
クリプトワークスニュース(CRYPTO WORKS NEWS)とは何ですか?
クリプトワークスの運営側メディアとして紹介されているサイト(cryptoworks.blog)です。サイトの運営主体と、電話で勧誘する人物との関係は確認できません。
画面共有アプリを入れてしまいました。どうすればよいですか?
アプリを終了・削除し、取引所・銀行・メールのパスワードを変えて二段階認証を設定し直してください。送金してしまった場合は、警察(#9110)と消費者ホットライン188へ相談し、振込先の金融機関にも連絡します。