Apple Business Manager(ABM)とは?できること・料金・MDMとの違い【2026年Apple Businessへ統合】

Apple Business Manager(ABM/エービーエム)は、iPhone・iPad・MacなどのAppleデバイスと法人用のアカウントを、企業や教育機関がまとめて管理するためのApple公式のWebポータルです。同じ「ABM」でもマーケティング用語のアカウントベースドマーケティング(ABM)とは別物で、本記事はAppleのデバイス管理を指します。2026年4月にはApple Business Manager・Apple Business Essentials・Apple Business Connectが「Apple Business」へ統合されました。ここでは現行のApple Business(旧ABM)として、できること・料金・MDMとの違い・登録手順・2026年の変更点を一次情報で整理します。

まとめ:Apple Business Manager(ABM)の要点

  • ABMはAppleデバイスの自動登録・アプリ/ブック配布・法人用Apple Accountの発行を担う管理ポータル。利用は無料で、法人・教育機関のみ(登録にD-U-N-Sナンバーが必須)。
  • ABM単体では端末に設定を強制できない。パスコード必須化やアプリ制限などのポリシー適用はMDMが担い、ABMはMDMと連携して使うのが前提。
  • 用語の刷新に注意。DEP→自動デバイス登録(ADE)、VPP→Apps and Books、Managed Apple ID→Managed Apple Accountへ改称済み。
  • 2026年3月24日発表、4月14日に「Apple Business」へ統合。基本的なデバイス管理が無償化され、旧Apple Business Essentialsの月額課金は廃止された。

Apple Business Manager(ABM)の定義とできること

ABMは、Appleが法人・教育機関向けに提供するデバイスとアカウントの管理ポータルです。担うのは大きく3つ、Appleデバイスをゼロタッチで管理サービスへ登録すること、業務アプリと書籍を一括購入・配布すること、そして法人が管理する専用のApple Accountを発行することです。これらをブラウザ上のポータル(business.apple.com)から集中管理します。

ABMが担う3つの役割

1つ目はデバイスの自動登録で、購入した端末を箱から出した瞬間に管理下へ組み込みます。2つ目はApps and Booksによるアプリ・書籍の一括調達とライセンス管理です。3つ目は業務用のManaged Apple Accountの発行で、私用のApple Accountと業務データを分離します。個々の端末を手作業で設定する運用から、組織単位のポリシー運用へ切り替えるのがABMの狙いです。

利用条件は法人・教育機関のみ(D-U-N-Sナンバーが必須)

ABMの登録には、企業の識別に使うD-U-N-Sナンバー(ダンズナンバー)が必要です。個人では登録できず、法人格または教育機関であることが前提になります。日本国内の法人はD-U-N-Sナンバーを無料で取得でき、未取得の場合はDun & Bradstreet経由で申請します。

マーケティング用語のABMとの違い

検索では「ABM」が2つの意味で混在します。本記事のAppleデバイス管理に対し、BtoBマーケティングの文脈では特定企業を狙い撃つアカウントベースドマーケティング(ABM)を指します。同じ綴りでも領域がまったく異なるため、Apple製品・デバイス・iPad・MDMといった語が並ぶ検索がApple Business Managerの意図です。

ABMの料金|利用は無料、費用がかかるのはどこか

Apple Business Managerそのものは無料です。ポータルの登録・利用に月額や初期費用は発生しません。費用が発生するのはABMの外側、つまり実際に端末へポリシーを適用するMDM製品の利用料や、Apps and Booksで購入する有料アプリの代金です。旧来はデバイス管理を行うために、サードパーティのMDM契約か、有料のApple Business Essentials(端末あたり月額のサブスクリプション)が必要でした。

2026年4月のApple Business統合により、基本的なデバイス管理機能が無償で組み込まれ、旧Apple Business Essentialsの月額課金は廃止されました。小規模なApple中心の環境では、追加のMDM契約なしで最低限の管理が始められる余地が広がっています。料金体系は変更が続くため、最新の条件はApple公式で確認してください。

ABMとMDMの違い|ABM単体でできること・できないこと

ABMとMDM(モバイルデバイス管理)は役割が分かれます。ABMは端末を管理サービスへ登録し、アカウントとアプリを供給する「入口」を担い、MDMは登録後の端末にポリシーを配信して制御する「運用」を担います。ABMだけを契約しても、パスコードの強制やアプリのインストール制限といった設定は端末へ配信できません。実際の管理はMDMと接続してはじめて機能します。MDMの仕組みや選び方はMDMとは?モバイルデバイス管理の仕組みとEMM/UEMの違いで詳しく解説しています。

領域 ABM(Apple Business) MDM
デバイス登録 自動デバイス登録(ADE)で割り当て ABMから受け取り管理下に組み込む
アカウント発行 Managed Apple Accountを発行 発行不可(ABMに依存)
アプリ調達 Apps and Booksで一括購入 配布・インストール制御を実施
ポリシー適用 不可 パスコード必須化・機能制限などを配信
リモートロック/消去 不可 MDMコマンドで実行

つまり「ABMで登録・供給し、MDMで制御する」が基本形です。2026年のApple Businessでは基本的な管理機能が標準搭載されたため、単純な構成なら専用MDMなしでも運用できる場面が出てきましたが、複雑な条件付き制御やクロスプラットフォーム管理が必要なら専用MDMの併用が引き続き現実的です。

ABMの主要機能(ADE・Apps and Books・Managed Apple Account)

ABMの機能は名称の刷新が続いており、古い呼称のまま説明している情報も多く残っています。現行の正式名称で押さえておきます。

現行名称 旧名称 役割
自動デバイス登録(ADE) DEP 端末を自動でMDMへ登録・ゼロタッチ展開
Apps and Books VPP アプリ・書籍の一括購入とライセンス管理
Managed Apple Account Managed Apple ID 法人が管理する業務用Apple Account

自動デバイス登録(ADE、旧DEP)

ADE(Automated Device Enrollment)は、Appleまたは正規販売店で購入した端末を、電源を入れた時点で自動的に管理サービスへ登録する仕組みです。かつてのDEP(Device Enrollment Program)が2019年にABMへ統合され、現在はADEと呼ばれます。管理者が端末に触れずに初期設定を配れるため、遠隔地の従業員へ直送しても即座に業務利用を始められます。

Apps and Books(旧VPP)

Apps and Booksは、有料・無料アプリや書籍をまとめて購入し、ライセンスをユーザーやデバイスへ割り当てる機能です。旧称のVPP(Volume Purchase Program)が統合されました。割り当てたライセンスは回収して別の端末へ再配布でき、退職や機種変更のたびに買い直す無駄を防ぎます。

Managed Apple Account(旧Managed Apple ID)

Managed Apple Accountは、企業が発行・管理する業務専用のApple Accountです。2024年にManaged Apple IDから改称されました。Microsoft Entra IDやGoogleなどのIDプロバイダと連携(フェデレーション)でき、既存の社内アカウントでサインインする運用や、シングルサインオンに対応します。私用のApple Accountと分離することで、業務データの持ち出しリスクを抑えます。

ABMの導入手順(登録からMDM連携まで)

ABMの立ち上げは、ポータル登録と本人確認、MDMとの接続、端末の割り当てという流れで進みます。

登録から運用開始までの流れ

まずD-U-N-Sナンバーを確認・取得し、business.apple.comから組織情報を入力して登録します。Appleによる本人確認(担当者への電話確認を含む)を経てポータルが有効になります。次に利用するMDMをABMに接続し、サーバートークンを交換して連携を確立します。以降はADEで購入端末をMDMサーバーへ割り当て、Apps and Booksで必要なアプリを購入・配布し、Managed Apple Accountを発行して従業員へ渡します。端末が届いた従業員は電源を入れるだけで、設定済みの状態から業務を開始できます。

つまずきやすいポイント

登録直後は権限を持つ管理者が限られるため、担当者の異動に備えて管理者ロールを複数用意しておくと停止リスクを避けられます。ADEで割り当てできるのはApple/正規販売店経由で購入し、購入時にABMへ紐づいた端末に限られる点も要注意です。市販の端末を後から手動で登録する場合はApple Configuratorを使いますが、ゼロタッチにはなりません。

2026年「Apple Business」への統合と無償化された標準デバイス管理

Appleは2026年3月24日、Apple Business Manager・Apple Business Essentials・Apple Business Connectの3サービスを統合し、単一の「Apple Business」へ移行すると発表しました。新プラットフォームは2026年4月14日に始動しています。検索やベンダー記事で「Apple Business(旧称Apple Business Manager)」という表記が増えているのはこのためです。

何が変わったか

最大の変化は、これまで有料のApple Business Essentialsに含まれていた基本的なデバイス管理が、Apple Business本体へ無償で組み込まれた点です。旧Business Essentialsの月額課金は2026年4月14日以降廃止されました。あわせて、設定とアプリをひとまとめにした「Blueprints」が導入され、端末や従業員グループ単位でゼロタッチ展開を適用できるようになりました。

自社にとっての判断基準

小規模でApple製品中心、かつ標準的な設定で足りる組織なら、専用MDMを契約せずApple Businessの標準管理から始める選択が現実的になりました。一方で、細かな条件分岐を伴うポリシー、WindowsやAndroidを含む混在環境、詳細な監査・コンプライアンス要件がある場合は、引き続き専用MDMを併用すべきです。無償化は「MDM不要」を意味するのではなく、最低ラインの管理を誰でも始められるようにした変更だと捉えるのが妥当です。移行期は仕様の更新が続くため、正式な提供範囲はApple公式で確認してください。

よくある質問

「ABM」とマーケティングのABMは同じものですか?

別物です。本記事のABMはApple Business Manager(Appleのデバイス管理)を指し、BtoBマーケティングのABMは特定企業を狙うアカウントベースドマーケティングを指します。綴りは同じでも領域が異なります。

Apple Business Managerは無料ですか?

ポータルの登録・利用は無料です。費用が発生するのはMDM製品の利用料やApps and Booksで購入する有料アプリの代金です。2026年4月からは基本的なデバイス管理も無償化されました。

個人でも登録できますか?

できません。登録には法人または教育機関であることと、D-U-N-Sナンバーが必要です。個人向けのサービスではありません。

ADEとDEPは何が違いますか?

名称の違いで、実体はほぼ同じ自動登録の仕組みです。旧称のDEPが2019年にABMへ統合され、現在は自動デバイス登録(ADE)と呼ばれます。

ABMだけでデバイス管理は完結しますか?

従来はABM単体ではポリシーを適用できず、MDMとの連携が前提でした。2026年のApple Business統合で基本的な管理は標準搭載されましたが、高度な制御には引き続きMDMが必要です。

関連記事

資料請求

RELATED POSTS 関連記事