UGCとCGMの違いとは?VOC・eWOMとの関係と使い分けを解説
UGCとCGMは混同されやすいが、指しているものの階層が違う。UGC(ユーザー生成コンテンツ)は一般ユーザーが投稿した口コミ・写真・動画といった「コンテンツそのもの」を指し、CGM(消費者生成メディア)はそのUGCが集まって成り立つ「メディア(場)」を指す。食べログや@cosmeはCGM、そこに書き込まれた1件のレビューがUGC、という関係になる。さらに企業が集める顧客の声=VOCとも役割が分かれる。この記事では3つの違いを比較表で整理し、マーケティングでの使い分けと、活用時に見落とされがちな景品表示法まわりの注意点まで踏み込む。
まとめ:UGC・CGM・VOCの違い(結論の早見表)
先に結論を示す。3語は「コンテンツ/メディア/企業が集める声」という別のレイヤーを指しており、対立概念ではない。UGCはCGMの中身であり、VOCはそれらを企業側の視点で捉え直したものだ。
| 用語 | 正式名称 | 指すもの | 具体例 | 主な作り手 |
|---|---|---|---|---|
| UGC | User Generated Content | コンテンツ(投稿1件) | レビュー、SNS投稿、写真、動画 | 一般ユーザー |
| CGM | Consumer Generated Media | メディア(投稿が集まる場) | 食べログ、@cosme、価格.com | 消費者の集合 |
| VOC | Voice of Customer | 企業が集める顧客の声 | アンケート、問い合わせ、レビュー分析 | 企業(収集する側) |
| IGC | Influencer Generated Content | インフルエンサーが作る投稿 | PR投稿、タイアップ動画 | インフルエンサー |
| eWOM | electronic Word of Mouth | ネット上の口コミ全般 | 星評価、コメント、拡散 | 一般ユーザー |
- UGCは「点」=ユーザーが作った1件1件のコンテンツ。
- CGMは「面(箱)」=そのUGCが蓄積されてメディアになったもの。UGCはCGMの構成要素にあたる。
- VOCは「企業視点」=UGCやアンケートから顧客の声を拾い、製品改善につなぐ活動を指す。
UGCとは:一般ユーザーが作る「コンテンツ」
UGCは、企業ではなく一般のユーザーが自発的に作って公開したコンテンツを指す。SNSの投稿、レビューサイトの口コミ、YouTubeやTikTokの動画、ブログ記事などが該当する。作り手が広告主でないため商業的な意図が薄く、購入検討者から「本音」として受け取られやすいのが特徴だ。「ユーザー生成コンテンツ」「UGC」「ucg」と表記ゆれで検索されるが、指す対象は同じである。
「UGC動画」「UGC広告」という言い方も広がった。これは実在ユーザー風の一人称レビュー動画を広告クリエイティブに使う手法を指し、制作会社が用意する台本ベースの映像も含む点で、純粋なユーザー投稿とは線引きが曖昧になりつつある。広告に転用する場合は後述の許諾と表示ルールが関わる。
CGMとは:UGCが集まる「メディア」
CGMは、消費者の投稿によって内容が成り立つメディアやサービスそのものを指す。食べログ、@cosme、価格.com、Yahoo!知恵袋、クックパッド、X(旧Twitter)やInstagramのようなSNSがCGMにあたる。運営元がコンテンツを書くのではなく、集まったUGCがコンテンツの主体になっている点が普通のオウンドメディアと異なる。
つまりCGMは「器」、UGCは「中身」だ。1件のレビューはUGCで、そのレビューが数万件集まって検索・比較できる状態になった食べログはCGM、と押さえると混同しない。CGMマーケティングという場合は、こうした消費者主導メディア上で自社が話題にされる状態をどう設計するか、という文脈で使われる。
UGCとCGM・VOCの違いを見分ける
UGCとCGMの違い:コンテンツか、メディアか
両者の違いは階層である。UGCは投稿という「コンテンツ」、CGMはそれが集積した「メディア」を指す。ほとんどのUGCは何らかのCGM上に置かれるが、自社ECの商品ページに顧客写真を掲載するようにCGMの外で使われるUGCもある。逆にCGMという入れ物だけあってUGCが集まらなければ機能しない。数えられる単位がUGC、その集合が生む場がCGM、と考えると使い分けを誤りにくい。
UGCとVOCの違い:公開が前提か、企業が拾うか
UGCは第三者に向けて公開されることを前提にユーザーが発信するのに対し、VOC(顧客の声)は企業が改善のために収集する声を指す。同じ人物の同じ意見でも、SNSに書けばUGC、その内容を企業がサポート窓口やレビュー分析で拾い上げればVOCになる。UGCは「拡散して認知や購買に効く」もの、VOCは「集約して製品・サービス改善に効く」もの、と効かせどころが違う。
IGC・eWOMとの違い(混同しやすい周辺用語)
UGCの近くには周辺用語がいくつかある。IGC(インフルエンサー生成コンテンツ)は、フォロワーを持つ発信者が作る投稿を指し、一般ユーザーが作るUGCとは影響力の源泉と費用構造が異なる。誰の発信を主役にするかで施策設計が変わるため、影響力の担い手を扱うオピニオンリーダーとは何かを解説した記事もあわせて押さえたい。eWOM(電子クチコミ)はネット上の口コミ全般を指す上位概念で、UGCの多くはeWOMの一種と捉えられる。用語は増えているが、「誰が作り、どこに置かれ、誰の視点で捉えるか」で分類すれば整理できる。
UGC・CGMをマーケティングで使い分ける手法
UGCを集めて掲載・広告に使う流れ
UGCを施策に載せる基本は、生成・収集・許諾・掲載の4段階で回すことだ。ハッシュタグ企画やレビュー投稿特典で投稿を促し(生成)、指名検索やタグで拾い(収集)、投稿者に二次利用の許可を取り(許諾)、ECの商品ページやSNS広告に載せる(掲載)。この許諾を飛ばして無断転載すると著作権・肖像権のトラブルになりやすいため、収集より前に許諾フローを決めておくのが実務上の要点になる。UGCを広告素材やメール、店頭POPへ横展開すれば、1件の投稿を複数チャネルで使い回せる。
CGM上で話題にされる状態をつくる
CGMマーケティングは、自社が消費者主導メディアで自然に語られる状態を設計する取り組みだ。食べログや@cosmeのようなCGMは、レビュー数と評価が検討中のユーザーに直接効く。ここで効くのが社会的証明で、「多くの人が使っている」という状態が次の投稿と購買を呼ぶ。この群集心理はバンドワゴン効果を解説した記事で詳しく扱っている。話題が一気に広がる設計を狙うならバイラルマーケティングの基本やバズマーケティングの手法も参考になる。
UGCで失敗しないための注意点
UGCは制御できないコンテンツである以上、運用側にリスク管理が要る。まず前提として、レビュー母数が二桁に満たない立ち上げ期のECでは、UGCを前面に出すより先に件数の確保を優先すべきだ。わずかな声を「お客様の声」として大きく見せると、かえって実績の乏しさが伝わり不信を招く。とくに日本では2023年10月1日から、広告であることを隠して第三者の感想を装う「ステルスマーケティング」が景品表示法の禁止行為(不当表示)に指定された。企業が金銭や商品を提供して書かせたレビューを、対価の存在を伏せてUGCとして見せると規制対象になり得る。特典付きでUGCを募る施策では「PR」「提供」などの明示が前提だと考えておきたい。
あわせて、ネガティブ投稿や誤情報が拡散した際の火消し、無断転載による著作権・肖像権、化粧品・健康食品なら薬機法上の表現も見落とせない。UGCを「無料で集まる好意的な声」とだけ捉えると、炎上や法的トラブルで得た信頼を一度に失う。集める前に、掲載基準・許諾・表示ルールを社内で決めておくことが、UGCで成果を出すための前提になる。
よくある質問
UGCとCGMはどちらが上位の概念ですか?
CGMが上位の入れ物で、UGCはその中身にあたります。消費者の投稿(UGC)が集まってメディア(CGM)になるため、UGCはCGMを構成する要素と捉えると整理しやすいです。
UGC動画やUGC広告とは何を指しますか?
ユーザーの一人称レビュー風の動画を広告クリエイティブに使う手法を指します。実際のユーザー投稿に加え、制作会社が台本を用意して撮る「UGC風」素材も含まれ、広告転用時は許諾と、対価がある場合の表示(ステマ規制)に注意が必要です。
UGCとインフルエンサー投稿(IGC)の違いは?
UGCは一般ユーザーが自発的に作る投稿、IGCはフォロワーを持つインフルエンサーが作る投稿です。IGCはリーチと制作品質が高い一方で費用と広告色が伴い、UGCは信頼されやすい反面コントロールしにくい、という違いがあります。
UGCを集めるツールは何を基準に比較すればよいですか?
投稿の収集範囲(SNS・レビューの対応先)、二次利用の許諾取得機能、ECサイトへの掲載連携、投稿のモニタリング精度が主な比較軸です。自社が使うCGM・SNSに対応しているかを最初に確認すると絞り込めます。
VOCとUGCは同じデータとして扱えますか?
重なる部分はありますが目的が違います。UGCは公開・拡散して認知や購買に効かせるもの、VOCは社内で集約して製品改善に効かせるものです。同じレビューでも、見せるならUGC、分析するならVOCとして扱います。