ゴルフ練習場の事業計画書は、飲食店や美容室のテンプレートをそのまま使うと数字の組み方がずれます。売上の上限が「打席数×営業時間」で決まり、屋外の打ちっぱなしなら土地と防球ネットの鉄柱、インドアならシミュレーターと内装が投資の中心になるためです。この記事では、日本政策金融公庫の創業計画書の記入欄に沿って、売上式・損益分岐点稼働率・立地の法令・融資制度の現行条件を、ゴルフ練習場の数字に当てはめて説明します。
まとめ:ゴルフ練習場の事業計画書で押さえる要点
- 売上は「打席数×営業時間×稼働率×1時間あたり単価」で積み上げる。公庫の参考資料もサービス業の売上を「客単価×設備単位数×回転数」で予測する形を示している。
- 計画書の中心は損益分岐点稼働率。設例(インドア3打席・会員制)では、固定費88万円と変動費率4%だけを考慮すると、採算ラインの会員62人に対応する稼働率は29.5%。元金返済と生活費を加えた概算は41.9%で、利息・税金等は別途必要になる。
- 屋外型とインドア型では投資の重心が違う。屋外型は土地・鉄柱・ネット、インドア型はシミュレーター・内装・賃料。両方を併設するハイブリッド型は両方の投資を抱える。
- 全国の屋外練習場は2,259施設(2026年1月30日現在・JGRA)で減少が続く。インドアは2,541施設だが、調査方法の変更で前年比は比べられない。
- 立地は用途地域で先にふるい落とす。ゴルフ練習場は低層・中高層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域に建てられず、第一種住居地域では3,000平方メートル以下に限られる。
- 高さ15mを超える防球ネットの鉄柱は建築基準法上の工作物で、確認申請の対象になる。2019年の台風では市原市の練習場で鉄柱13本が民家側へ倒れた。点検と強風時の運用を計画書に書く。
- 公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は限度額7,200万円、設備資金の返済期間は20年以内。土地取得を伴う屋外型は、この枠と自己資金だけでは届かない規模になりやすい。
以下、業態の選び方から順に、計画書のどの欄に何を書くかまで説明します。
屋外打ちっぱなしとインドアで変わる計画書の前提
ゴルフ練習場の計画書は、最初に業態を決めないと投資額も固定費も確定しません。全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の2025年度全国練習場施設数調査(2026年1月30日現在)では、屋外(アウトドア)が2,259施設で前年から41減、インドアが2,541施設、合計4,800施設です(JGRA 調査研究委員会)。インドアの前年比は1,029増ですが、JGRAは2025年度から調査方法を変えたためインドアの前年対比に大きな差が出ていると注記しており、この増加分をそのまま新規開業の数とは読めません。屋外が減り続けている傾向は、2021年10月末の屋外2,395施設(JGRA調査の報道)と比べても確かめられます。開業形態を選ぶ際は、必要な土地・物件と設備の見積もりを業態別に比較します。施設総数の増減だけでは、新規開業の構成比や業態を選んだ理由までは分かりません。
| 項目 | 屋外打ちっぱなし | インドア(シミュレーター) |
|---|---|---|
| 投資の中心 | 土地・鉄柱・防球ネット・打席棟 | シミュレーター・内装・空調 |
| 主な固定費 | 地代・ナイター照明の電力・人件費 | 店舗賃料・空調の電力・機器リース |
| 売上の上限 | 打席数×営業時間(打席数が多い) | 打席数×営業時間(打席数が少ない) |
| 天候の影響 | 雨天・猛暑・強風で来場が落ちる | 受けにくい |
| 主な法令の確認 | 用途地域・鉄柱の工作物確認 | 用途地域・テナントの用途変更 |
計画書には、選んだ業態とその理由を「商圏の顧客層」と「確保できる物件」の2点から書きます。業態の選択理由が資金の都合だけだと、面談で需要の根拠を問われたときに答えられません。
屋外型:土地・鉄柱への投資と長期修繕費
屋外型は打席数を多く取れる一方、初期投資には土地の取得費や鉄柱・防球ネットの建設費がかかり、開業後には地代、設備の減価償却費、照明の電気料金などが発生します。鉄柱とネットは数十年使う設備なので、計画書には建設費だけでなく、ネットの張り替えや鉄柱の塗装・点検をいつ、いくらで行うかを修繕計画として載せます。後述する2019年の倒壊事故を踏まえ、鉄柱の安全性と維持管理費は、計画書と近隣説明に具体的に示しておきます。
既存の練習場を承継・取得する場合は、鉄柱の確認申請時の図書が残っているかを最初に確かめます。市原市の倒壊事例では、確認申請時の設計図書が保存期限を過ぎて市に保管されていませんでした。図書が無い鉄柱は、構造の診断費用を投資計画に含めておく必要があります。
インドア型:シミュレーターの調達方法と初期投資
インドア型の投資は、シミュレーター(弾道計測器とソフト)、打席ブースと防球の内装、空調、入退室・予約システムで構成されます。中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、2023年7月12日公開の記事で、シミュレーターのレンタル例として1台月額40,000〜70,000円ほど、保証金300,000〜500,000円ほどを紹介しています(J-Net21「インドアゴルフ練習場」)。購入すれば初期投資が膨らみ、レンタル・リースなら月々の固定費が増えます。購入した設備は原則として減価償却します。レンタルは賃借料として計上しますが、リースは契約内容や適用する会計・税務上の扱いによって、資産計上と減価償却が必要になる場合があります。
中古機を使う場合は、ソフトのライセンスが譲渡できるか、メーカー保守の対象に入るかを見積もりの段階で確認します。保守が受けられない機器は、故障時に打席を止めるリスクとして計画書のリスク欄に書きます。
ハイブリッド型:併設による追加投資と回収期間
屋外打席の一部にシミュレーターを入れる、屋外練習場の隣にインドア棟を建てるといったハイブリッド型は、天候の弱点を補える反面、土地・鉄柱の投資とシミュレーター・空調の投資を両方抱えます。新規開業でいきなり併設するより、既存の屋外練習場が稼働の低い打席をシミュレーター打席へ置き換える形の方が、投資額と効果を測りやすくなります。新規でハイブリッド型を選ぶなら、併設部分だけの売上と費用を分けて示し、併設しない場合と比べて回収期間が短くなる根拠を計画書に書きます。説明用の設例として、併設部分の追加投資が300万円、併設で増える月間の営業キャッシュフローが10万円なら、単純回収期間は30か月です。この30か月がシミュレーターの更新時期より短いかどうかが判断の目安になります。
市場分析に書く数字:施設数の推移と商圏の需要
市場分析の欄では、全国の傾向と商圏内の競合を分けて書きます。全国の傾向は、前の章で示したJGRAの施設数(屋外は減少)と、ゴルフをする人の割合で示します。総務省の2021年社会生活基本調査では、10歳以上で過去1年に「ゴルフ(練習場を含む)」をした人の割合(行動者率)は6.9%で、2016年の7.9%から1.0ポイント下がりました(社会生活基本調査 生活行動に関する結果)。年代別では男性は60〜64歳の16.1%、女性は20〜24歳の5.7%が最も高く、男性11.7%に対して女性は2.3%です。商圏の男女・年齢階級別人口に、それぞれ対応する全国の行動者率を掛けて合計すると、地域差を考慮する前の参考人数を試算できます。ただし、練習場の利用者数や自店の会員数を直接示すものではありません。
練習場に絞った数字は、日本生産性本部の「レジャー白書2026」速報版にあります。2025年の「ゴルフ(練習場)」の参加率は3.7%、参加した人の年間平均活動回数は19.6回、年間平均費用は34.4千円でした(レジャー白書2026 速報版)。1回あたりに直すと約1,760円、月に1.6回ほどです。客単価と来場頻度を置くときは、この平均から大きく外れていないかを確かめ、外れるなら会員制で頻度が上がる理由などを書き添えます。
商圏の競合は、近隣の練習場の打席数・料金表・営業時間を一覧にし、平日夜と土日の混み具合を実際に見て書きます。公庫の担当者が知りたいのは「商圏にどれだけの練習需要があり、競合で満たされていない時間帯はどこか」です。たとえば屋外型が近くにあっても、早朝・深夜や雨天に使える施設が無ければ、インドアの無人24時間営業に需要の隙間があると説明できます。逆に、競合がいないこと自体は需要がある証拠になりません。競合不在の理由(人口が少ない、用途地域で建てられない)を確かめてから書きます。
立地を決める前に確かめる法令:用途地域と防球ネットの鉄柱
ゴルフ練習場は、用途地域によっては建てられません。物件の申込みや土地の手付けの前に、用途地域と建築の可否を確かめ、計画書の立地欄に結果を書きます。
用途地域:建てられない地域と第一種住居地域の3,000平方メートル
建築基準法施行令130条の6の2は、第二種中高層住居専用地域と工業専用地域に建築してはならない運動施設として「スキー場、ゴルフ練習場及びバッティング練習場」を挙げています(建築基準法施行令)。第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域は建てられる建築物を列挙する方式で、ゴルフ練習場はそこに含まれません。第一種住居地域では、建築基準法別表第二(ほ)項四号により、その用途の床面積の合計が3,000平方メートルを超えるものが建てられません(建築基準法)。
インドア型を既存のテナントに入れる場合も、用途地域の制限は同じようにかかります。加えて、ゴルフ練習場は施行令115条の3が挙げる「スポーツの練習場」として建築基準法別表第一の特殊建築物に当たります。店舗や事務所から用途を変える場合、その用途に供する部分の床面積が200平方メートルを超えると、法6条1項1号と法87条により用途変更の確認申請が必要です。物件を決める前に、自治体の建築指導課で用途地域と用途変更の要否を確認し、その結果を計画書に書いておくと、面談で開業時期の根拠を説明できます。
防球ネットの鉄柱:高さ15m超は工作物として確認申請の対象
建築基準法施行令138条1項2号は、高さが15メートルを超える鉄柱などを、建築基準法88条により確認申請等の規定が準用される工作物に指定しています。屋外練習場の防球ネットを支える鉄柱は多くがこれに当たります。
2019年9月の台風15号では、千葉県市原市のゴルフ練習場で防球ネットの鉄柱が隣接する住宅側へ倒れました。国土技術政策総合研究所と建築研究所の現地調査報告によると、北西側の鉄柱16本のうち13本が倒壊し、柱脚のアンカーボルトが破断していました。管理者の話として、台風接近時に鉄柱に取り付く鉛直面のネットを下ろしていなかったことも記録されています(現地調査報告(令和元年12月13日))。
屋外型の計画書には、次の3点を書きます。鉄柱の点検の頻度と委託先、強風時にネットを下ろす運用手順(ネットの昇降装置が無ければ設置費用)、施設賠償責任保険の加入です。近隣に住宅がある場合は、周辺への被害防止策と事故時の対応を説明できるよう、この3点を具体化します。
売上計画:打席数・営業時間・稼働率による売上試算
公庫の参考資料「売上高の計算方法について」は、サービス業の売上予測を「客単価×設備単位数(席数)×回転数」の形で示しています(日本政策金融公庫の参考資料)。ゴルフ練習場では設備単位数が打席数に当たり、回転数は打席の稼働時間を平均利用時間で割って求めます。時間単価で計算する場合は、次の式に組み替えます。
月間売上 = 打席数 × 1日の営業時間 × 営業日数 × 稼働率 × 1打席1時間あたりの売上
屋外型の「1打席1時間あたりの売上」は、打席料とボール代を、来場者の平均滞在時間で割って出します。ボール1球単位で課金する練習場は、平均打球数×1球単価を1回あたりの客単価にします。インドア型の会員制は、会員数×月会費で売上を出し、打席の予約枠で上限を確かめます。
稼働率:時間帯別・季節別の設定と加重平均
稼働率を1日平均の一つの数字で置くと、計画書の説得力が落ちます。平日昼・平日夜・土日祝で稼働率を分け、加重平均で月の稼働率を出します。屋外型は、雨天日と猛暑日、冬季の日没の早さで来場が落ちるため、月ごとの稼働率を変えておきます。前年の気象データ(気象庁の過去の気象データ)から、商圏の雨天日数を月別に拾っておくと根拠になります。
平日昼の稼働の低さは、法人向けの福利厚生プラン、シニア向けの平日会員、ジュニアスクールで埋める計画を書けます。その場合も、施策ごとに見込む会員数と単価を分けて書き、売上の何割をどの施策で取るのかを示します。
会員制とレッスン:収入源別の売上・委託料
インドア型では、月会費制(打ち放題・回数制)が売上の中心になりやすく、そこにレッスン料とスポット利用を足す構成が一般的です。計画書の「取扱商品・サービス」の欄では、月会費・レッスン・スポット利用・物販の売上シェアを書き分けます。レッスンをインストラクターへの業務委託で行う場合は、委託料を売上連動の変動費にするか、固定の報酬にするかで損益分岐点が変わります。説明用の設例では、レッスン料5,000円に対して委託料を売上の40%とすれば1回2,000円の変動費、月額10万円の固定報酬とすれば実施回数にかかわらず月10万円の固定費です。開業直後のようにレッスン件数が読めない時期は売上連動の方が赤字幅を抑えられ、件数が月50回(固定報酬10万円÷1回2,000円)を超えると固定報酬の方が安くなります。
損益分岐点稼働率と資金繰りの計算例
損益分岐点の計算式そのものは損益分岐点の計算方法:5つの計算式と決算書からの求め方、エクセルの式と複数商品の計算例【2026年版】で説明しているので、ここではゴルフ練習場の数字への当てはめだけを示します。数値はすべて説明用の設例で、実際の計画では見積書と近隣施設の料金表で置き換えます。
設例:インドア3打席・会員制の損益分岐点稼働率
| 前提(設例) | 数値 |
|---|---|
| 打席数×営業時間×営業日数 | 3打席×14時間×30日=1,260打席時間 |
| 月会費 | 15,000円 |
| 会員1人の月間利用 | 6回×1時間 |
| 固定費(月) | 880,000円 |
| 内訳 | 賃料40万・機器リース18万・人件費15万・光熱費8万・システム等7万 |
| 変動費率 | 4%(決済手数料など) |
損益分岐点売上は 880,000円÷(1-0.04)=約917,000円で、月会費15,000円なら会員62人です。62人×6時間=372打席時間なので、損益分岐点稼働率は372÷1,260=29.5%になります。会員制では採算を決めるのは会員数で、稼働率は「何人まで入会させても予約が取れるか」の上限を決めます。月6回の利用は練習場参加者の平均(月1.6回ほど)よりかなり多いので、平日夜と土日に予約が集中したときに枠が足りるかを、時間帯別に確かめておきます。
ただし損益分岐点は利益ゼロの点で、借入の元金返済と経営者の生活費は賄えません。借入1,500万円を10年で返す元金12.5万円と、生活費25万円を足すと、必要な売上は(880,000+375,000)÷0.96=約1,307,000円、会員88人、稼働率41.9%です。この41.9%は、元金均等返済・据置期間なしとして、利息・税金・社会保険料・設備更新資金などを別途考慮する前の概算です。計画書ではこれらの支出と減価償却費などの非現金費用を整理して必要会員数を再計算し、月次の会員数推移と資金残高を示します。
個人事業と法人で変わる人件費の書き方
上の設例は個人事業を前提に、経営者の生活費を利益から払う形で計算しました。公庫の参考資料と創業計画書の様式も、個人営業の場合は人件費に事業主分を含めない(家族従業員の分は含める)としています。法人で開業する場合は、代表者の役員報酬が固定費に入り、損益分岐点稼働率そのものが上がります。どちらで開業するかで計画書の損益の行が変わるので、面談の前に固定費の扱いを揃えておきます。
設備更新・修繕:支払時期と必要資金の計画
修繕・交換の時期は、設備の状態、利用頻度、保守契約によって異なります。開業直後から必要な保守・消耗品交換と、将来の大規模な修繕・更新を分けて計画します。屋外型ならネットの張り替えと鉄柱の塗装、インドア型ならシミュレーターの更新と打席マットの交換です。設備の取得や資本的支出は原則として減価償却の対象ですが、通常の維持管理・原状回復は修繕費になります。月次の資金繰り表には、費用計上の時期とは別に、契約上の支払時期と金額を更新予定月に入れ、そこから逆算して毎月の積立額を決めておきます。作り方は資金繰り表の作り方:エクセルで組む5手順と入金予定日の計算式、自動化の判断【2026年版】を参照してください。
公庫の創業計画書の記入例(ゴルフ練習場版)
日本政策金融公庫の創業計画書の様式には「お客さまご自身が作成された計画書をご提出いただいても結構です」と書かれていますが、記入欄の順に書くと面談で聞かれる項目を漏らしにくくなります(創業計画書の様式)。様式の記入欄は10あり、ゴルフ練習場で各欄に書く内容は次のとおりです。
| 記入欄 | ゴルフ練習場で書く内容 |
|---|---|
| 1 創業の動機 | 商圏の練習需要と、競合で満たされていない時間帯 |
| 2 経営者の略歴等 | 練習場・ゴルフ用品店の勤務歴、指導資格、店舗運営の経験 |
| 3 取扱商品・サービス | 月会費・レッスン・スポット利用の売上シェア、競合と販売戦略 |
| 4 従業員 | 受付・インストラクターの人数(3か月以上の継続雇用予定) |
| 5 取引先・取引関係等 | シミュレーターの調達先、ボール・ネットの仕入先 |
| 6 関連企業 | 経営している会社があれば記入 |
| 7 お借入の状況 | 経営者個人の借入(住宅ローン等) |
| 8 必要な資金と調達方法 | 見積書に基づく設備資金と、数か月分の運転資金 |
| 9 事業の見通し(月平均) | 創業当初と軌道に乗った後の売上・経費・利益 |
| 10 自由記述欄 | 鉄柱の点検体制や近隣への説明など、強みと懸念への対応 |
「事業の見通し」欄には、前の章の稼働率の計算を根拠として添えます。創業当初と軌道に乗った後の2段階を、見込める会員数と費用の根拠から記入します。創業当初が赤字になる場合は、その不足額と継続期間を運転資金に反映します。記入欄の書き方の一般論は、同じ設備型サービス業のパーソナルジムの事業計画書の書き方|公庫の創業計画書の記入例と会員数から組む収支計画【2026年版】で詳しく説明しています。
融資制度の現行条件と、開業費用の平均との差
公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人が対象で、融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金10年以内(うち据置期間5年以内)です。利用には、適正な事業計画を策定していることが条件として示され、創業計画書の提出等で内容が確認されます(日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」)。
公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査では、公庫融資先の新規開業企業を対象とした業種横断の集計で、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円となっており、資金調達額の平均1,219万円のうち自己資金は279万円(22.9%)でした(2025年度新規開業実態調査)。インドア型でも複数打席の内装と機器をそろえると、この平均を上回りやすく、土地を取得する屋外型は桁が変わります。平均より大きい投資を申し込むほど、自己資金の額と、見積書・稼働率の根拠の厚さが審査で問われます。
融資面談の前に点検する計画書の欠陥
- 稼働率を1日平均の一つの数字で置き、時間帯・季節の差を書いていない
- 損益分岐点だけを示し、返済と生活費を賄える稼働率を示していない
- 用途地域と用途変更の要否を確かめずに物件を決めている
- 屋外型で、鉄柱の点検・強風時のネット運用・賠償保険の記載が無い
- シミュレーターの保守条件と更新時期を書かず、設備の更新費が資金繰りに入っていない
- 競合がいないことを需要の根拠にしている
これらは、収支・開業日程・運営リスクの根拠を説明するための確認項目です。計画書をエクセルで事業計画書を作成する具体的な手順と必要シートの全体像のようにシートで組んでおくと、稼働率を変えたときの損益と資金繰りの変化を面談の場で示せます。
よくある質問
ゴルフ練習場の事業計画書はどこから書き始めればいいですか?
業態(屋外・インドア)と立地を先に決めます。投資額と固定費がこの2つで決まるため、売上計画や資金計画を先に作ると後で全部作り直すことになります。立地は用途地域で建てられるかを確かめてから決めます。
インドアゴルフの損益分岐点は会員何人くらいですか?
固定費と月会費で変わります。この記事の設例(3打席・固定費88万円・月会費15,000円)では、損益分岐点が会員62人(稼働率29.5%)、元金返済と生活費を加えた概算は88人(41.9%)でした。ただし、利息・税金等は別途見込む必要があります。自分の見積もりの固定費を当てはめて計算します。
ゴルフ練習場の開業に日本政策金融公庫の融資は使えますか?
新規開業・スタートアップ支援資金の対象になりえます。限度額は7,200万円、設備資金の返済期間は20年以内です。審査では創業計画書の内容が確認されるため、稼働率と見積書の根拠を添えて申し込みます。
防球ネットの鉄柱に確認申請は必要ですか?
高さが15メートルを超える鉄柱は建築基準法施行令138条1項2号の工作物に当たり、確認申請等の対象になります。既存の練習場を取得する場合は、確認申請時の図書が残っているかを確かめます。
住宅地でインドアゴルフを開業できますか?
用途地域によります。ゴルフ練習場は低層・中高層住居専用地域と田園住居地域、工業専用地域には建てられず、第一種住居地域では床面積3,000平方メートル以下に限られます。テナントに入る場合も同じ制限がかかるので、物件の申込み前に自治体の建築指導課で確認します。