幼児教育事業の事業計画書は、書き始める前に「どの業態で開くか」を決めないと数字が置けません。保育の実態がない習い事型の幼児教室では、認可外保育施設としての届出は通常不要で、月謝売上は在籍数×月謝で計算します。週の開催回数だけで届出要否は決まりません。ところが、英語プリスクールのように平日に毎日4時間以上預かる形にすると、認可外保育施設として届出の対象になり、配置基準や面積基準が人件費と物件を縛ります。
この記事では、保育の実態がなく届出の要らない幼児教室と、届出が要る通年型のプリスクールを中心に、届出要否の判定基準、使える公費、日本政策金融公庫の創業計画書への書き方、在籍数と月謝から損益分岐を出す設例を順に示します。託児所・認可保育所・幼稚園として開く場合は、それぞれの専用記事で扱っています。
まとめ:幼児教育事業の事業計画書で押さえる要点
幼児教室・知育教室・リトミック・幼児向け英語教室は、保育の実態がなければ認可外保育施設の届出対象には通常なりません。ただし、短時間という理由だけで対象外とは判断できません。計画書の中心は、受け入れ枠(教室数×コマ数×1コマの定員)と、退会を差し引いた在籍数の積み上げです。
幼稚園以外で幼児教育を目的とする施設でも、乳幼児が保育されている実態があれば児童福祉法の対象になります。こども家庭庁の通知は、少なくとも1日4時間以上・週5日・年間39週以上、施設で親と離れることを常態としている場合を「保育されている」と考えるとしています。この形のプリスクールは、事業開始から1か月以内に認可外保育施設の届出が必要です。
通年型の施設には公費の入口が2つあります。無償化の対象施設としての確認を受ければ、保育の必要性の認定を受けた3〜5歳児は2026年10月から月40,300円まで利用料が無償化されます。無償化の対象にならない3歳以上児には、実施している市町村で「多様な集団活動事業の利用支援」があり、2026年度の上限は月20,000円です。
融資の申込みは公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」(融資限度額7,200万円)が中心です。創業計画書の10欄のうち、取扱商品・サービスの欄に料金表と売上シェアを、事業の見通しの欄に在籍数×月謝の計算式を書きます。
幼児向けの英語教室で2か月を超え総額5万円を超える契約を結ぶと、特定商取引法の特定継続的役務提供に当たり、法定書面の交付とクーリング・オフ(8日)への対応が必要です。料金体系を決める段階で契約期間と前受金の額を確認します。
業態の選択で変わる幼児教育事業の計画書の前提
「幼児教育事業」は法令上の区分ではありません。同じ未就学児向けの事業でも、どの業態で開くかで、開業手続き・収入源・計画書の読み手が変わります。
| 業態 | 開業の手続き | 主な収入 | 計画書の読み手 |
|---|---|---|---|
| 幼児教室(保育の実態がない習い事型) | 認可外保育施設の届出は通常不要 | 月謝・入会金・教材費 | 金融機関 |
| 英語プリスクール等(通年・毎日型) | 認可外保育施設の届出 | 保育料(公費の対象になり得る) | 金融機関・届出先 |
| 託児所(認可外保育施設) | 認可外保育施設の届出 | 保育料 | 金融機関・届出先 |
| 認可保育所・小規模保育事業 | 市区町村の公募・認可 | 委託費・給付費 | 市区町村 |
| 幼稚園・認定こども園 | 都道府県等の認可 | 施設型給付・保育料 | 都道府県・市区町村 |
託児所として一時預かりや月極保育を行う場合は「託児所の事業計画書の書き方|届出と配置基準から組む人件費・収支計画【2026年版】」で、配置基準からの人件費の逆算を扱っています。認可保育所は自治体の公募に合わせて計画書を作るため「開業を目指す事業者が保育園の事業計画書で最初に押さえる全体像」を、幼稚園は「幼稚園事業計画書が開園認可と資金調達で果たす役割と作成の基本知識」を参照してください。以下はこの表の上2行、教室型とプリスクール型を前提に進めます。
認可外保育施設の届出が要る預かり時間の線引き
児童福祉法59条の2第1項は、認可を受けずに保育を目的とする施設を設置した者に、事業開始の日から1か月以内の届出を求めています。届出は1日に保育する乳幼児が1人以上なら必要で、少人数であることは除外の理由になりません。
幼児教室やプリスクールがこの「保育を目的とする施設」に当たるかについて、こども家庭庁の「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」は、幼児教育を目的とする施設でも乳幼児が保育されている実態があれば法の対象になるとしたうえで、プログラム内容・活動頻度・提供時間・対象年齢などで判断するとしています。そのうえで、少なくとも1日4時間以上、週5日、年間39週以上、施設で親と離れることを常態としている場合は、保育されているものと考えられると示しています。
計画書への落とし方は次のとおりです。
- 週1回60分のクラス制で、保護者が送迎する習い事型:保育の実態がなければ通常は届出対象外。保育の実態がないことを担当課に確認できた場合に限り、計画書には「認可外保育施設に該当しない運営形態」と運営時間を明記する。
- 平日9時〜14時に毎日通わせる通年型のプリスクール:4時間・週5日・39週の目安に当たるため、認可外保育施設として届出をする前提で、配置基準・面積基準・設備を計画に入れる。
- 週3日・1日5時間など目安の一部だけを満たす形:通知は個別判断としているため、物件の契約前に都道府県(指定都市・中核市は市)の認可外保育施設の担当課へ事前相談し、相談日と回答を計画書の添付資料に残す。
届出の対象になると、指導監督基準に沿った保育従事者の配置(3歳児20人・4歳以上児30人につき1人以上など)や、保育士・看護師の比率が人件費の下限を決めます。配置の計算方法は託児所の記事で設例として示しています。
通年型プリスクールが使える無償化と多様な集団活動事業
認可外保育施設として届け出た通年型の施設には、保護者負担を軽くする公費が2種類あります。どちらも施設の売上が増える制度ではなく、保護者が施設を選ぶ理由になる制度です。計画書では料金表の横に、保護者の実質負担額として書きます。
| 制度 | 対象の子ども | 月額上限 |
|---|---|---|
| 無償化(施設等利用給付) | 保育の必要性の認定を受けた3〜5歳児 | 40,300円(2026年10月〜) |
| 同上 | 保育の必要性の認定を受けた住民税非課税世帯の0〜2歳児クラス | 45,700円(2026年10月〜) |
| 多様な集団活動事業の利用支援 | 無償化等を受けていない満3歳以上児 | 20,000円(2026年度) |
ここでいう3〜5歳児は満3歳になった後の最初の4月1日から就学前まで、0〜2歳児はそれ以前の年度年齢区分です。無償化の上限は2026年9月までは3〜5歳児37,000円、0〜2歳児42,000円で、こども家庭庁の2026年度予算資料に示されたとおり、10月から引き上げられました。対象施設になるには、届出に加えて市区町村の確認を受け、指導監督基準を満たす必要があります。
多様な集団活動事業の利用支援は、いわゆる幼稚園類似施設を利用する満3歳以上児の利用料を市町村が支援する事業です。対象施設の要件は、満3歳以上の利用幼児に対する標準的な開所時間がおおむね1日4時間以上8時間未満・週5日以上・年間39週以上で、無償化等の給付を受けている3歳以上児が全体のおおむね半数を超えないことなどです。上限額は月20,000円ですが、施設の過去3年間の平均月額利用料が20,000円を下回る場合はその平均額が上限になります。実施するかどうかと細かな基準は市町村が決め、同じ予算資料によると2023年度に実施したのは137市区町村にとどまります。出店予定地の市町村が実施しているかを要綱で確認してから計画に入れます。
公庫の創業計画書に幼児教育事業の数字を落とす方法
日本政策金融公庫の創業計画書は、1創業の動機、2経営者の略歴等、3取扱商品・サービス、4従業員、5取引先・取引関係等、6関連企業、7借入の状況、8必要な資金と調達方法、9事業の見通し(月平均)、10自由記述欄の10欄で構成されています。融資制度は新規開業・スタートアップ支援資金が中心で、融資限度額は7,200万円です。
幼児教育事業で審査担当者が数字の根拠を確認するのは、主に3・4・9の欄です。
略歴と取扱商品・サービス欄に書く指導経験と料金表
略歴の欄には、幼児教育に関わった経験を勤務先ごとに年月で書きます。教えた年齢層、担当したクラス数と人数、教室運営に関わった範囲(集客・保護者対応・カリキュラム作成)を数字で示すと、在籍数の見込みが絵空事でないことの裏付けになります。幼児教室の開業に法定の資格はありません。一方、届出対象のプリスクールで1日に6人以上を保育する場合は、保育従事者のおおむね3分の1以上を保育士または看護師とします。5人以下の施設では、保育士・看護師以外の従事者に所定の研修の受講が義務付けられるなど基準が異なるため、施設規模に応じた資格者・研修修了者の採用予定をこの欄か従業員の欄に書きます。
取扱商品・サービスの欄には、コースごとの対象年齢・時間・月謝と売上シェアを書きます。
| コース(設例) | 対象 | 頻度 | 月謝(税込) | 売上シェア |
|---|---|---|---|---|
| 親子クラス | 1〜2歳 | 週1回50分 | 9,900円 | 20% |
| 知育クラス | 3〜5歳 | 週1回60分 | 13,200円 | 55% |
| 受験準備クラス | 4〜5歳 | 週1回60分 | 16,500円 | 25% |
入会金・教材費・季節講習など月謝以外の収入は別の行に分けます。月謝を年齢で変える理由(1クラスの定員が違う、講師の人数が違う)も1文添えると、料金設定の根拠を問われたときに答えられます。
同じ3の欄には「許認可(許可・届出等)」と「競合・市場など自社を取り巻く状況」の記入枠もあります。届出対象のプリスクールは届出の予定時期を、教室型は担当課に相談して届出対象外と確認した日付を許認可の枠に書きます。後の章で示す商圏と競合の調査結果は、競合・市場の枠に要約します。
事業の見通し欄の在籍数×月謝の計算式
事業の見通しの欄は「創業当初」と「1年後又は軌道に乗った後」の2時点で、売上高・売上原価・人件費・家賃・支払利息・その他経費を書き、計算根拠を添える形式です。幼児教室なら、売上高の根拠は「在籍数×平均月謝」の1行で示せます。軌道に乗った後の在籍数は、次の章で示す受け入れ枠と退会率から出した数字にし、何か月目に到達するかも書きます。借入元金の返済は経費に入れず、利益と減価償却費の合計から返せるかを別に確認します。
様式は公庫の各種書式ダウンロードページで入手でき、様式自体に「この書類に代えて、お客さまご自身が作成された計画書をご提出いただいても結構です」と書かれています。月次の推移や設例の表はエクセルで作り、創業計画書には要点だけを転記するのが効率的です。シートの組み方は「エクセルで事業計画書を作成する具体的な手順と必要シートの全体像」にまとめています。
在籍数と月謝から組む幼児教室の収支計画の設例
教室型の幼児教育事業は、売上の上限が「枠」で決まり、実際の売上が「在籍数」で決まります。以下は、教室1室・講師1〜2人で始める知育教室の設例です。家賃や時給は地域で大きく違うため、自分の見積もりに置き換えてください。
受け入れ枠を決める教室数・コマ数・定員
週1回通う生徒だけの教室では、受け入れられる生徒数の上限は「週のコマ数×1コマの定員」です。設例では、平日は幼稚園・保育所の降園後に、入退室と準備の時間を含む1時間枠を15時〜18時に3コマ×5日、土曜は5コマで週20コマ、1コマの定員を6人とし、上限は120人とします。
定員を増やせば枠は広がりますが、幼児のクラスは1人の講師が見られる人数に限りがあり、親子クラスは保護者の席も要ります。上限を広げる手段は、定員より先に「午前の未就園児クラスを足す」「2室目を借りる」のどちらかで考えます。午前の需要を確認できていない段階では、夕方と土曜で損益分岐に届く計画を基本とし、午前は上振れ要因として扱います。未就園児の体験申込などで需要を確認できれば、午前の在籍見込みも計上します。
退会率と月間入会数から積み上げる在籍数
在籍数は「前月の在籍数−退会数+入会数」で毎月積み上げます。設例では、毎月の退会率を在籍数の3%、月間入会数を開業から3か月は8人、その後は5人と置きます。
| 経過月 | 入会 | 退会(3%) | 月末在籍 | 枠の稼働率 |
|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 8人 | 0人 | 8人 | 7% |
| 3か月目 | 8人 | 0人 | 24人 | 20% |
| 6か月目 | 5人 | 1人 | 36人 | 30% |
| 12か月目 | 5人 | 2人 | 58人 | 48% |
| 24か月目 | 5人 | 3人 | 91人 | 76% |
退会数は前月末の在籍数の3%を四捨五入して積み上げています。この置き方では、月5人の入会と3%の退会が釣り合う在籍数は約167人で、枠の120人を超えるため、いずれ枠が埋まる計算です。逆に、4か月目以降の入会が月3人に落ちると、24か月目の在籍は58人にとどまります。入会数の根拠は体験レッスンの申込数と入会率(例:体験10人のうち5人が入会)に分け、体験を集める広告費と結び付けて書きます。
幼児教室には年度替わりの退会もあります。年長児は3月に卒業し、4月の入園・進級で通う曜日が合わなくなる家庭も出ます。月次の退会率とは別に、3月に年長児の人数分を一度に減らしておくと、4月の資金繰りの落ち込みを見落としません。
損益分岐の在籍数と開業資金の目安
設例の月額固定費は、家賃15万円、パート講師の人件費30万円、広告費5万円、水道光熱・保険・予約管理システムなど5万円の合計55万円とします。売上に比例する費用は教材費で、在籍1人当たり月1,000円と置きます。平均月謝を12,000円(税抜)とすると、1人当たりの限界利益は11,000円です。
| 条件 | 計算 | 損益分岐の在籍数 |
|---|---|---|
| 固定費のみ | 55万円÷11,000円 | 50人 |
| 経営者の生活費30万円を含む | 85万円÷11,000円 | 78人 |
| 平均月謝10,000円に下げた場合 | 85万円÷9,000円 | 95人 |
個人事業として開業する場合、事業の見通しの利益から経営者の生活費と借入の返済を払います。そのため、固定費を賄う50人に加え、生活費まで賄う78人への到達時期を示します。ただし、78人の計算には借入元金の返済や税負担を含めていないため、返済可能性は別途確認します。上の積み上げでは、50人に届くのが10か月目、78人に届くのが19か月目です。入会が月3人に落ちると、3年たっても78人に届きません。計画書を出す前に、月謝・入会数・固定費のどれを動かすかを決めておきます。計算式の考え方は「損益分岐点の計算方法:5つの計算式と決算書からの求め方、エクセルの式と複数商品の計算例【2026年版】」で詳しく扱っています。
運転資金は「固定費の3か月分」のような目安ではなく、損益分岐に届くまでの赤字の累計から決めます。設例では月末在籍者全員から満額の月謝を受け取り、卒業による追加退会や借入返済・税負担を含めない前提で、生活費を除く収支不足の累計が9か月目に191万4,000円で最大になります。開業資金は、保証金(家賃6か月分)90万円、内装150万円、机・遊具・教材の初期在庫50万円、開業前の広告30万円に、この不足額を賄う運転資金200万円を加えた520万円です。固定費3か月分の165万円では足りません。経営者の生活費は、19か月目まで事業の利益から十分に出ないため、自己資金とは別に手元に残しておきます。資金繰り表の組み方は「資金繰り表の作り方:エクセルで組む5手順と入金予定日の計算式、自動化の判断【2026年版】」を参照してください。
料金表と契約書に効く特定商取引法と消費税の扱い
料金体系は収支計画の前提であると同時に、契約と税務の前提にもなります。計画書の段階で次の2点を決めておくと、開業後に料金表を作り直さずに済みます。
幼児向け英語教室の長期契約と特定継続的役務提供
特定商取引法の特定継続的役務提供には「語学の教授」が含まれ、年齢の限定はありません。幼児向けの英語教室でも、契約期間が2か月を超え、入会金・受講料・教材費などの総額が5万円を超える契約は対象になります(特定商取引法施行令別表第四、消費者庁「特定継続的役務提供」)。対象になると、契約前の概要書面と契約時の契約書面の交付が必要で、消費者は書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができます。語学教室の役務提供開始後の中途解約では、提供済みの役務の対価に、5万円または契約残額の20%のいずれか低い額を上限とする解約損害金を加えた額まで請求できます。
一方、幼稚園や小学校の入学試験対策(いわゆるお受験)は、特定継続的役務の「学習塾」から明示的に除かれています。知育教室や受験準備クラスは、名称を問わず語学の教授に当たらなければ対象外です。英語コースだけ長期一括払いにする設計は、書面と解約精算の事務が増えるため、支払方法と契約期間を分けて設計します。月謝払いや短期契約への分割でも、教材購入や更新条件などにより実質的に長期契約へ拘束される場合は、特定継続的役務提供の対象になり得ます。
月謝の消費税と保育料の非課税の違い
消費税の非課税は、学校教育法上の学校・専修学校・各種学校などの授業料や、認可外保育施設のうち指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設の保育料(国税庁 質疑応答事例「認可外保育施設の利用料」)などに限られます。幼児教室の月謝はこれに当たらないため、課税売上です。料金表の月謝が税込か税抜かを計画書で統一し、売上高と消費税の納付額を混ぜないようにします。届出をしたプリスクールで証明書の交付を受ける場合は、保育料は非課税、保護者が選択して追加利用する英語講座や教材の販売は課税というように、項目ごとに分けて請求できる料金表にしておきます。
商圏と競合から在籍数の根拠を作る手順
在籍数の見込みは、商圏の未就学児の人数と、競合の料金・空き状況から逆算します。手順は次の4つです。
- 教室から徒歩・自転車で通える範囲の町丁別の0〜5歳人口を、市区町村が公表する住民基本台帳の年齢別人口で集計する。
- 同じ範囲の幼児教室・英語教室・プリスクールについて、対象年齢・曜日・月謝・定員を公式サイトで集め、同じ年齢・同じ頻度で並べる。
- 競合の体験レッスンの予約画面で、平日夕方と土曜の空き枠を確認する。空きが少ない曜日・年齢は追加調査の候補にする。公開枠の制限や講師不足でも予約枠は少なくなるため、募集状況や待機の有無も確認する。
- 商圏人口に対する目標在籍数の比率を出し、競合の在籍規模と比べて過大でないかを確かめる。
未就園児の預け先の環境も変わっています。2026年度から、0歳6か月から満3歳未満の子どもを保護者の就労にかかわらず月一定時間預けられる「こども誰でも通園制度」が、子ども・子育て支援法に基づく給付として全国の自治体で実施されています。利用可能時間は国の制度では原則月10時間で、2026・2027年度は経過措置として市町村が月3時間以上10時間未満に設定することもできます。1〜2歳の親子クラスを主力にする計画では、地域の保育所がこの制度の受け皿を始めていないかを競合調査の項目に加えます。
審査で突かれる幼児教育事業計画書の失敗パターン
次の項目に1つでも当てはまる計画書は、融資面談で根拠を問われたときに答えに詰まります。
- 受け入れ枠を計算せずに目標在籍数を置き、週のコマ数と定員から見て入りきらない数字になっている。
- 入会数だけを積み上げ、退会と年度末の卒業を差し引いていない。
- 平日に毎日4時間以上預かる運営なのに、認可外保育施設の届出と配置基準を前提にしていない。
- 無償化や多様な集団活動事業の上限額を、施設の売上が増える要素として売上高に足している。
- 英語コースを長期一括払いにしているのに、特定継続的役務提供の書面とクーリング・オフを想定していない。
- 経営者の生活費を考えずに、固定費だけの損益分岐で「1年目に黒字」と書いている。
このうち届出の見落としは、開業後に配置基準を満たすための採用や、面積・避難設備の改修が必要になり、計画の前提そのものが崩れます。運営時間を決めた段階で担当課に相談し、届出の要否を確定させてから物件を契約してください。英語教室に特化して開く場合の論点は「英会話教室の事業計画書が開業審査と融資成否を左右する根本理由」でも扱っています。
よくある質問
幼児教室を開業するのに資格や許可は必要ですか?
保育の実態がない習い事型の幼児教室なら、法定の資格も許可も要らず、個人で始める場合は税務署への開業届を出します。ただし、親と離れる時間が1日4時間以上・週5日・年間39週以上の形にすると保育されているものと考えられ、認可外保育施設として事業開始から1か月以内の届出と、保育人数に応じた配置が必要です。5人以下の施設では、所定の研修修了者を配置できる基準もあります。
英語プリスクールは認可外保育施設の届出が必要ですか?
名称では決まらず、実態で判断されます。通年型でも、毎日の利用が数時間というだけでは判断できません。親と離れる時間が1日4時間以上・週5日・年間39週以上なら、通知上は保育の実態があると考えられ、届出の対象になります。目安の一部だけを満たす場合は個別判断になるため、物件を契約する前に都道府県または指定都市・中核市の担当課へ相談してください。
プリスクールは幼児教育・保育の無償化の対象になりますか?
届出をした認可外保育施設が市区町村の確認を受けていれば、保育の必要性の認定を受けた3〜5歳児は月40,300円(2026年10月から)まで無償化の対象です。認定を受けていない3歳以上児は、市町村が多様な集団活動事業の利用支援を実施していて施設が要件を満たせば、月20,000円を上限に支援を受けられます。
幼児教室の月謝に消費税はかかりますか?
かかります。消費税が非課税になる授業料は学校教育法上の学校・専修学校・各種学校などに限られ、幼児教室の月謝は課税売上です。届出をしたプリスクールが指導監督基準を満たす旨の証明書を受けた場合は保育料が非課税になりますが、保護者が選択して追加利用する英語講座や教材の販売は課税です。
公庫の創業計画書は様式どおりに書かないといけませんか?
公庫の様式を使うのが基本ですが、自分で作った事業計画書を代わりに出すこともできます。その場合も、創業の動機・経歴・料金表・必要な資金と調達方法・事業の見通しという様式の項目は網羅し、在籍数×月謝の計算根拠と月次の資金繰りを添えます。