介護保険料は、納めた全額が社会保険料控除の対象です。ただ「確定申告でいくら戻るか」は納め方で分かれます。課税される年金から天引きされた介護保険料は、毎月の源泉徴収の計算ですでに差し引かれているため(所得税法203条の5第1号)、確定申告でそのぶんがもう一度戻るわけではありません。申告で控除が増えるのは、納付書・口座振替で払った分、遺族年金など非課税の年金から天引きされた分、どこにも計上していない分です。未計上の介護保険料が年7万4,700円あり、全額を控除できる課税所得がある場合、所得税率5%から20%・住民税所得割10%での減税額は合計約1万1千〜2万3千円です。所得税の還付額は源泉徴収済みの税額などによって異なります。
まとめ:介護保険料の確定申告で押さえる5点
- 介護保険料は全額が社会保険料控除の対象で、上限はない(所得税法74条1項・2項3号)。証明書の添付も要らない。
- 課税年金からの天引き分は、月々の源泉徴収の計算に組み込み済み。確定申告でも源泉徴収票の金額を入力して計上するが、その分がもう一度戻るわけではない。
- 申告で控除が増えるのは、納付書・口座振替で払った分、非課税年金から天引きされた分、どこにも計上していない分。年74,700円なら所得税3,813円から15,254円に住民税7,470円が加わる。
- 年金天引き分は本人の控除で固定される。介護保険料には口座振替へ切り替える制度がなく、子や配偶者の控除には移せない。
- 令和8年分は12月の精算で、年金収入214万円未満(65歳未満は164万円未満)の人の年金の所得税がゼロになる。11月までに引かれた分は12月に精算され、引かれていない税金は戻らない。
介護保険料の確定申告でいくら戻るか:年金天引きと納付書払いの差
介護保険料の控除は、所得から差し引く所得控除です。戻る金額は「控除が増えた分×税率」で決まり、その年に払った税金が上限になります。まず、自分の介護保険料がどの経路で納められたかを確認してください。
課税年金から天引きされている人:月々の源泉徴収ですでに反映済み
65歳以上で年金が年18万円以上ある人は、介護保険料が年金から天引き(特別徴収)されます。所得税法203条の5第1号は、公的年金等の支払いの際に社会保険料が控除される場合、その社会保険料を差し引いた残額の年金が支払われたものとみなして源泉徴収税額を計算すると定めています。天引きされた介護保険料は、毎月の所得税を計算する時点ですでに年金額から除かれているということです。日本年金機構もよくある質問で、年金から特別徴収される社会保険料は「源泉徴収税額を算出する際に控除される」とし、特別徴収されていない社会保険料の控除には確定申告が必要と答えています。
このため、年金以外に所得がない人が確定申告をしても、介護保険料のぶんが二重に戻ることはありません。確定申告での還付や納付は、1年分の税額と、すでに源泉徴収された税額との差で決まります。差が出る理由は、医療費控除や生命保険料控除の追加、源泉徴収で見ていない扶養親族の控除、源泉徴収に使う基礎的控除額と年間の基礎控除の違いなどです。確定申告をするなら、公的年金等の源泉徴収票の「社会保険料の額」は必ず入力します。入れ忘れると年間の税額の計算で介護保険料の控除が抜け、還付が減るか納付が生じます。
住民税も同じ考え方です。年金の支払者が市区町村へ出す公的年金等支払報告書には、年金から差し引いた介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料が載ります。芦屋市の案内は、年金収入のみの人に住民税の申告義務はないとしたうえで、医療費控除や「年金から天引きされた社会保険料以外に支払った社会保険料」の控除は本人の申告が必要としています。課税年金からの天引き分は申告しなくても住民税に入り、申告で上乗せされるのは天引き以外の分です。
納付書・口座振替・非課税年金から納めた人:年額×税率の目安
年金が年18万円未満の人、65歳になった年度、転入した直後などは、納付書や口座振替による普通徴収になります。この分は年金の源泉徴収にも公的年金等支払報告書にも入っていないので、申告すると控除が増えた分だけ税金が下がります。遺族年金・障害年金など非課税の年金から天引きされた分も、源泉徴収票が出ないため同じ扱いです。働いている人は、普通徴収分を年末調整で書けば給与の源泉徴収で反映されます。
第9期(令和6年度から令和8年度)の第1号保険料の基準額は、全国加重平均で月6,225円です(厚生労働省「介護保険制度の概要」)。実際の保険料は所得段階で上下します。基準額を12倍した年74,700円を全額申告した場合の目安は次のとおりです。
| 課税所得 | 所得税率 | 所得税の減少 | 住民税の減少 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000円以上195万円未満 | 5.105% | 3,813円 | 7,470円 | 11,283円 |
| 195万円以上330万円未満 | 10.21% | 7,627円 | 7,470円 | 15,097円 |
| 330万円以上695万円未満 | 20.42% | 15,254円 | 7,470円 | 22,724円 |
所得税率は復興特別所得税(2.1%)を含めた値、住民税所得割は標準税率10%です。控除で課税所得が下の区分へまたぐ場合は、またいだ部分を低い税率で計算します。保険料は市区町村で差が大きく、厚生労働省の集計では最高が大阪市の月9,249円、最低が東京都小笠原村の月3,374円でした。自分の年額を当てはめてください。
具体例で確かめます。65歳以上・単身・年金収入250万円で、65歳になった年度のため介護保険料74,700円を納付書で払い、ほかの所得控除は無いものとします。雑所得は公的年金等控除110万円を引いて140万円、令和8年分の基礎控除は104万円です。介護保険料を入れない場合の課税所得は36万円で所得税は18,378円(復興特別所得税込み)、入れると28万5千円で14,549円になり、差は3,829円です。還付額そのものは、この年税額と源泉徴収済みの税額との差で決まります。住民税は課税所得が97万円から89万5千円に下がり、所得割が約7,500円減ります。合計は約1万1,300円で、上の表の1行目とほぼ同じです。
還付の上限と令和8年分の214万円ライン
所得税の還付は、その年に源泉徴収された税額と予定納税額の合計を超えません。国税庁もNo.2030で、源泉徴収された所得税や予定納税をした所得税がない人は「申告しても還付される所得税額はありません」としています。年金から引かれた所得税が2,000円しかなければ、計算上の減少額が3,813円でも戻るのは2,000円までです。住民税は還付ではなく、翌年度の税額が下がる形で反映され、6月ごろに届く税額決定通知で確かめられます。
日本年金機構の2026年6月17日の案内によると、令和8年度税制改正で、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額は205万円未満から214万円未満へ、65歳未満は155万円未満から164万円未満へ引き上げられました。令和8年分は11月の支払いまで改正前の基礎的控除額で源泉徴収し、12月の支払い時に1年分を精算して、払いすぎた分は原則として還付されます。65歳以上で年金収入214万円未満、年金以外の所得も予定納税もない人は、精算後の源泉徴収税額がゼロになるため、介護保険料をどう申告しても所得税は戻りません。その場合でも住民税がかかる水準(単身・1級地で65歳以上155万円超)なら、住民税側では控除が効きます。確定申告が必要かどうかは年金受給者が確定申告しないとどうなる?令和8年分は12月の精算後も申告が要る人がいるで判定できます。
社会保険料控除の根拠条文と控除を受ける人
所得税法74条1項は、自己または生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合に、その支払った金額を所得から差し引くと定めています。金額の上限も所得に対する割合の制限もありません。介護保険料が対象になるのは同条2項3号の「介護保険法の規定による介護保険の保険料」です。なお「介護保険料控除」という名前の控除はなく、正式には社会保険料控除の一部です。条文が「支払った場合」と書くため、控除を受けるのは名義人ではなく実際に払った人で、納め方によって答えが変わります。
年金天引き(特別徴収)は本人だけの控除
年金から天引きされた介護保険料を支払ったのは、年金受給者本人です。国税庁タックスアンサーNo.1130のQ5は、扶養している妻の年金から介護保険料が特別徴収されている事例について「その社会保険料を支払ったのは妻になります。したがって、あなたが支払った社会保険料ではありませんから、あなたの社会保険料控除の対象にはなりません」と答えています。同居して生活費を出していても、扶養に入れていても結論は変わりません。
家族が普通徴収分を払った場合の負担者基準
普通徴収の納付書を実際に払った人が、控除を受ける人です。介護保険法132条2項・3項は普通徴収の保険料について世帯主と配偶者に連帯納付義務を課しており、世帯主が家族の分をまとめて納めることは制度に組み込まれています。子が生計を一にする親の納付書を払ったのであれば、子の社会保険料控除に入れられます。口座振替の場合は引き落とし口座の名義人が支払った人で、親の口座から落ちている分を子の申告には入れられません。
口座振替への切り替えで家族に付け替えられない理由
後期高齢者医療保険料は、市区町村に申し出れば年金天引きを口座振替に切り替えられます。国税庁もNo.1130のQ6・Q7で、生計を一にする配偶者の保険料を口座振替で払えば払った側の控除になると答えています。保険料額の決まり方は後期高齢者医療制度の保険料はいくら?令和8年度の年収別早見表(単身・夫婦)と都道府県別の料率・軽減で解説しています。
介護保険料では、本人の希望で年金天引きを口座振替に切り替えることはできません。介護保険法131条は135条による特別徴収の場合を除き普通徴収によると定め、135条1項は対象となる第1号被保険者の保険料の全部を「特別徴収の方法によって徴収するものとする」としています。国税庁の確定申告の手引きも、口座振替で家族の控除にできる例に国民健康保険料と後期高齢者医療保険料だけを挙げています。親の介護保険料を子の控除に回す前提で節税額を見積もるのはやめてください。
納めた介護保険料の金額を確認する書類
控除額は年度の賦課額ではなく、1月から12月に実際に払った金額です。納め方ごとに、見る書類が違います。
| 納付の状況 | 確認する書類 | 届く時期 |
|---|---|---|
| 65歳以上・課税年金から天引き | 公的年金等の源泉徴収票 | 翌年1月 |
| 65歳以上・非課税年金から天引き | 市区町村の納付済額のお知らせ | 翌年1月下旬ごろ |
| 65歳以上・納付書または口座振替 | 市区町村の納付済額のお知らせ | 翌年1月下旬ごろ |
| 40歳から64歳・会社の健康保険 | 給与の源泉徴収票 | 翌年1月末まで |
公的年金等の源泉徴収票では「社会保険料の額」欄に、年金から天引きされた社会保険料の合計が入ります。介護保険料と後期高齢者医療保険料などの内訳は摘要欄に載りますが、再発行分と準確定申告用の源泉徴収票には内訳が印字されません。遺族年金や障害年金など非課税の年金から天引きされている人には、源泉徴収票そのものが届きません。新宿区は「介護保険料納付済額確認書」を翌年1月下旬に送ると案内しています。名称は自治体ごとに違うので、届かなければ介護保険の担当課に発行を頼んでください。
40歳から64歳の会社員は、介護保険料が健康保険料と一体で給与から引かれ(協会けんぽの令和8年度の料率は1.62%で労使折半)、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に合算されて年末調整で控除済みです。国民健康保険の人も、介護分を含む国保料の総額をそのまま控除に入れます(国民健康保険料は社会保険料控除で全額控除|確定申告・年末調整の書き方と証明書不要の理由【令和8年分】)。
65歳以上の確定申告書の書き方(第一表・第二表)
介護保険料に、控除証明書の添付や提示は要りません。国内の社会保険料で証明書が要るのは国民年金保険料と国民年金基金の掛金で、令和9年1月1日以後に提出する令和8年分以後の確定申告では、これも明細書の記載で代えられます(年末調整では代えられません)。
書面の申告書では、第一表の「所得から差し引かれる金額」の社会保険料控除欄に合計額を書き、第二表の社会保険料控除欄に内訳を書きます。第二表の欄は「保険料等の種類」「支払保険料等の計」「うち年末調整等以外」の3つです。
公的年金等の源泉徴収票に載っている社会保険料は、源泉徴収票の分として1行にまとめて「支払保険料等の計」へ転記します。納付書・口座振替で払った介護保険料と非課税年金から天引きされた介護保険料は、別の行に「介護保険料」と書き、金額を「支払保険料等の計」に入れます。そのうち年末調整で控除していない額を「うち年末調整等以外」にも入れます。「うち年末調整等以外」は、源泉徴収票に載っていない金額だけを書く欄です。後期高齢者医療保険料や国民健康保険料を自分で払っている年は、行を分けておくと市区町村の通知と突き合わせやすくなります。
e-Taxの作成コーナーでの入力手順
以下は令和7年分の公開案内を基にした入力手順です。令和8年分の画面では表示名などが変わる場合があります。介護保険料は、源泉徴収票に記載された分と、それ以外の分で入力先を分けます。e-Taxの操作案内も「源泉徴収票に記載のある社会保険料控除の額については、給与所得、公的年金等の雑所得の画面で入力します」としています。作成コーナーのよくある質問「介護保険料を支払った場合」も、それ以外の介護保険料は「社会保険料控除」から入力するよう案内しています。
- 収入の種類で「公的年金、企業年金など」を選び、「収入・所得の入力」の「公的年金等」から「+公的年金等を入力する」に進む。支払者を選んで、源泉徴収票の支払金額・源泉徴収税額・社会保険料の額を転記する。年金天引きの介護保険料はここで入る。
- 所得控除の入力で「社会保険料控除」を開き、源泉徴収票に載っていない介護保険料だけを種類「介護保険料」として追加する。対象は、納付書・口座振替で払った分と非課税年金から天引きされた分のうち、いずれも年末調整で控除されておらず、源泉徴収票に記載されていない金額。
- 計算結果の画面で、社会保険料控除の合計が「源泉徴収票の社会保険料の額+手順2で追加した額」になっているか確かめる。市区町村の通知には特別徴収分と普通徴収分の両方を載せるものがあり、通知の合計をそのまま足すと重複する。
手順1で入った金額を手順2でもう一度入れると二重控除になります。提出後に気づいたときは、申告期限内なら申告書を出し直し、期限後なら修正申告で直します。
年末調整での書き方(65歳以上で働く人)
65歳以降も会社で働く人は、本人が納付書・口座振替で払った介護保険料や、本人の非課税年金から天引きされた介護保険料を年末調整で申告できます。生計を一にする家族の普通徴収分を本人が支払った場合も対象です。令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の社会保険料控除欄に、「社会保険の種類」に介護保険料、「保険料支払先の名称」に住所地の市区町村名、「保険料を負担することになっている人」に自分の氏名と続柄(本人)、「あなたが本年中に支払った保険料の金額」にその年の1月から12月に払う額を書きます。給与から引かれた社会保険料は書く必要がなく、証明書の添付も要りません。
課税年金から天引きされた介護保険料は、年金の源泉徴収と公的年金等支払報告書ですでに計上されています。年末調整にも重ねて書くと、源泉徴収や住民税の段階で二重に数えられるおそれがあるため、課税年金の天引き分は確定申告で公的年金等の源泉徴収票から1回だけ入れるのが確実です。遺族年金・障害年金など非課税年金からの天引き分は源泉徴収票が出ないので、上のとおり年末調整に書けます。扱いに迷うときは、勤務先の担当者か税務署に確認してください。
65歳以上で年金収入が130万円以下なら年金の雑所得は20万円以下に収まり、給与1か所だけの人は確定申告をしなくてよいことが多くなります。それでも、年末調整で書き漏れた普通徴収分や、どこにも入っていない控除は還付申告で取り戻せます。手続きの違いは還付申告とは?確定申告との違いと会社員が出すべき5つの場面・5年の期限にまとめています。
介護サービス費・おむつ代・要介護認定で使える別の控除
介護保険料とは別に、介護サービスの利用料、おむつ代、要介護の状態にも使える控除があります。
介護サービスの自己負担と医療費控除
介護保険施設の自己負担は、介護老人保健施設と介護医療院なら介護費・食費・居住費の全額、特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)なら同じ3つの2分の1が医療費控除の対象です(国税庁No.1125)。在宅の介護サービスは、種類で扱いが3つに分かれます(国税庁タックスアンサーNo.1127)。訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーション・短期入所療養介護といった医療系サービスは、それだけで医療費控除の対象です。訪問介護(生活援助中心型を除く)・訪問入浴介護・通所介護・短期入所生活介護などの福祉系サービスは、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合にだけ対象になります。生活援助中心型の訪問介護、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与は原則として対象外です。ただし介護福祉士等による喀痰吸引等を受けた場合は、支払額の10分の1が対象になる例外があります。
対象になる金額は、事業者が発行する領収証に医療費控除の対象額として書かれているのが基本です。高額介護サービス費の払い戻しを受けた場合は、それで補われた介護サービス費から差し引いて計算します。特別養護老人ホームの施設サービス費だけに対する払い戻しは、その2分の1を差し引きます(No.1125の注3)。医療費控除は医療費の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満ならその5%)を超えた部分が控除額なので、病院代と合わせて集計してください。計算と申告の手順は医療費控除とは?対象・計算・申告方法と令和9年分の胃腸薬追加で解説しています。
おむつ代とおむつ使用証明書
おむつ代は、傷病でおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受け、おむつが必要と認められる場合に、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば医療費控除の対象になります(国税庁No.1122)。要介護認定を受けている人は、おむつ使用証明書の代わりに、市町村が主治医意見書の内容を確認した書類か主治医意見書の写しでも足ります。以前は2年目以降に限られていましたが、令和6年10月の取扱い改正で、おむつを使った年に受けていた要介護認定と、それに連続する認定の有効期間(その年以降の分)を合算して6か月以上あり、主治医意見書が所定の記載を満たしていれば、1年目から使えるようになりました。確認書類の名称と申請方法は市区町村ごとに違うので、介護保険の担当課に問い合わせてください。
要介護認定者の障害者控除対象者認定書
要介護認定を受けただけでは、障害者控除の対象になりません(国税庁No.1185)。障害者控除の対象は所得税法施行令10条に限定列挙されていて、要介護認定はそこに入っていないためです。対象になるのは、65歳以上で障害の程度が知的障害者や身体障害者に準ずるとして市町村長等の認定を受けた人です。多くの市区町村は、要介護認定の資料をもとに申請を受けて「障害者控除対象者認定書」を出しています。控除額は障害者27万円、特別障害者40万円で、同一生計配偶者または扶養親族が特別障害者で、納税者本人・その配偶者・生計を一にするその他の親族のいずれかと同居を常況としている場合は75万円です(No.1160)。住民税の控除額と年収別の減税額は障害者控除で住民税はいつから・どれくらい安くなる?控除額と年収別の減税額にまとめています。
申告で変わらない保険料段階と変わる高額介護サービス費
介護保険料を申告しても、翌年度の介護保険料や住民税非課税の判定は変わりません。判定に使う所得が違うためです。
第1号被保険者の保険料段階(介護保険法施行令38条)は、世帯の市町村民税の課税状況と前年の合計所得金額・公的年金等の収入金額で決まります。住民税の非課税限度額も、利用者負担割合(1割・2割・3割、施行令22条の2)も合計所得金額が基準です。社会保険料控除は合計所得金額を動かさないので、どれも変わりません。
効くのは高額介護サービス費です。住民税課税世帯の月額の負担上限(世帯単位)は原則44,400円で、同じ世帯の65歳以上の人の課税所得が380万円以上690万円未満なら93,000円、690万円以上なら140,100円に上がります(介護保険法施行令22条の2の2第2項・第5項・第6項)。ここでの課税所得は地方税法314条の2の所得控除を引いた後の金額です。境目のすぐ上にいる世帯は、社会保険料控除を正しく申告すると区分が下がり、月々の上限が実際に変わります。
「介護医療保険料控除」との違い
名前が似ている「介護医療保険料控除」は生命保険料控除の区分の1つで、民間の保険会社の医療保険や介護保険が対象です。控除額に上限(新契約で所得税4万円・住民税2.8万円)があり、保険会社の控除証明書が要り、申告書では生命保険料控除欄に書きます。両方払っている人は、発行元が市区町村か保険会社かで振り分けてください。計算は生命保険料控除はいくら戻る?令和8年分の計算式と23歳未満の子がいる6万円特例で扱っています。
よくある質問
介護保険料の確定申告をしないとどうなりますか?
課税年金からの天引き分は月々の源泉徴収と住民税に反映済みなので、介護保険料を二重に控除することはできません。ただし、源泉徴収と年間の税額計算では控除額や税率が異なるため、年金以外の所得や追加の控除がなくても還付が生じる場合があります。納付書・口座振替や非課税年金から納めた分は、年末調整などで入れていなければ控除が抜けたままです。5年以内なら還付申告で取り戻せ、申告済みの年は更正の請求で直します。
65歳以上で年金から天引きされている場合、確定申告は必要ですか?
天引き分の控除のためだけなら要りません。源泉徴収の対象となる公的年金等の収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下なら確定申告不要制度の対象です(国税庁No.1600)。外国の年金など源泉徴収されない公的年金等がある人は使えません。医療費控除などで還付を受けたいときは申告でき、源泉徴収票の社会保険料の額をそのまま入力します。
親の介護保険料を子の確定申告で控除できますか?
親の年金から天引きされている分はできません。支払ったのは親本人で、口座振替に切り替えて付け替える制度も介護保険料にはありません。控除できるのは、親が普通徴収で、生計を一にする子が納付書を払ったか、子の口座から振り替えた場合だけです。
妻の介護保険料を夫の確定申告で控除できますか?
妻の年金から天引きされている分はできません(国税庁No.1130のQ5)。妻が夫と生計を一にしており、妻の普通徴収の介護保険料を夫が納付書で払ったか夫の口座から振り替えた場合は、夫の控除になります。妻が64歳以下で夫の健康保険の被扶養者なら、妻自身の介護保険料の負担はありません。
e-Taxで介護保険料はどこに入力しますか?
年金天引き分は「公的年金等の雑所得」の画面で源泉徴収票の社会保険料の額として入れ、源泉徴収票に載っていない分だけを「社会保険料控除」の画面で追加します。両方に同じ金額を入れると二重控除です。
過去の分をさかのぼって申告できますか?
還付申告は翌年1月1日から5年間出せ、令和3年分は2026年12月31日が期限です。還付申告済みの年の入れ忘れは更正の請求で、原則として還付申告書を出した日から5年以内です(国税庁No.2030)。