アウトプレースメント(再就職支援)とは、人員削減で離職する従業員の再就職活動を、企業が費用を負担して外部の事業者に支援させる仕組みです。導入を検討する段階で必要になるのは、サービスの一般論ではなく、何人辞めるとどの手続きが義務になるのか、いくらかかって助成金はどこまで戻るのか、委託先に何を確認すべきかという3点です。ここでは労働施策総合推進法と職業安定法の条文、厚生労働省の助成金ガイドブックを根拠に、その3点を順に整理します。
まとめ:アウトプレースメントの要点
- アウトプレースメントは、離職者を送り出す企業が支援会社に費用を払う契約形態です。職業安定法第32条の3第2項により、有料職業紹介事業者は求職者から職業紹介の手数料を徴収できないため、支援の対価は委託した企業が負担する形になります。
- 1か月以内に1事業所で常時雇用する労働者30人以上が離職する事業規模の縮小等を行うときは、労働施策総合推進法第24条により再就職援助計画の作成が義務づけられ、ハローワーク(公共職業安定所長)の認定が必要です。
- 同法第27条の大量離職届も30人が基準ですが、第24条第3項の認定を申請した日に第27条第1項の届出をしたものとみなされます(同条第5項)。二重に出す必要はありません。
- 費用の一部は早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)で戻ります。ただし再就職支援分の支給額は、委託総額または60万円(中小企業かつ訓練200時間以上なら80万円)のいずれか低い方が上限です。
- 受給要件は、人員削減を行う組織の単位で、事業活動を示す指標が対前年比10%以上減少しているか、経常利益が赤字であることです。いずれも今後3年以内の見込みで判定できるため、全社が黒字でも対象になる場合があります。
- 委託先は職業安定法第30条第1項の許可を受けた職業紹介事業者である必要があります。許可の有無は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。
以下では、誰が何を負担する仕組みなのか、人数によって何が義務になるのか、助成金の算定はどこで間違えやすいのかを順に見ていきます。
アウトプレースメントの定義と制度上の位置づけ
アウトプレースメントは、事業規模の縮小や事業所の閉鎖などで離職を余儀なくされる従業員に対し、企業が再就職支援会社と契約し、その費用を企業側が負担して支援を受けさせる仕組みです。日本語では再就職支援サービスと呼ばれ、社内制度としては転進支援制度やキャリア支援制度などの名称が使われることもあります。対象者一人ひとりにキャリアカウンセリングを行い、応募書類の作成支援、求人紹介、面接対策、再就職後のフォローまでを一定期間提供するのが一般的な形です。
背景にあるのは、労働施策総合推進法第6条第2項の努力義務です。同項は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うよう「努めなければならない」と定めています。罰則を伴う義務ではありませんが、厚生労働省の助成金ガイドブックもこの規定を挙げて、事業主が離職者の再就職活動を援助することが必要だと説明しています。アウトプレースメントは、この努力義務に応える手段を外部の専門事業者に委託する方法、という位置づけになります。
人員削減による離職は、離職全体から見れば一部です。厚生労働省の令和7(2025)年雇用動向調査では、2025年1年間の離職者数は705万2,600人、離職率は13.7%でした。離職理由別に見ると、経営上の都合や出向を含む「事業所側の理由」による離職率は0.9%で、前年から0.1ポイント上昇しています。一方、「個人的理由」による離職率は10.2%で0.5ポイント低下しました。
費用を企業が負担する仕組み
アウトプレースメントで支援料を負担するのは、退職する本人ではなく退職を求める企業側です。土台にあるのが、職業安定法第32条の3第2項の規定です。同項は有料職業紹介事業者について「求職者からは手数料を徴収してはならない」と定めています(求職者の利益のために必要と認められる場合として厚生労働省令で定めるときは例外があります)。職業紹介の対価を本人から取れない以上、再就職支援会社の収益は委託元の企業から受け取る費用で成り立ちます。なお、この規定が直接規律するのは職業紹介の手数料であり、支援サービス全体の費用をどちらが負担するかは企業と支援会社の契約で決まります。実務では企業が全額を負担する形が前提になっています。
転職エージェントとの違い
一般の転職エージェントは、求人企業から成功報酬を受け取り、転職を希望する個人を無料で支援します。アウトプレースメントは、支援対象者を送り出す側の企業が費用を払う点が異なります。誰が費用を払うかが違えば、支援の設計も変わります。
| 比較軸 | アウトプレースメント | 転職エージェント |
|---|---|---|
| 費用の負担者 | 離職者を送り出す企業 | 採用する求人企業 |
| 対象者の決まり方 | 再就職援助計画や求職活動支援書の対象者として企業が決める | 本人が自ら登録する |
| 支援の期間 | 企業と支援会社の契約で定めた期間 | 登録から転職決定まで |
| 支援の範囲 | 求人紹介に加えてキャリア相談や訓練、心理面の支援まで含むことが多い | 求人紹介と選考対策が中心 |
もっとも、職業紹介を行う以上、職業安定法第30条第1項の許可が必要である点は共通です。契約しようとしている法人がその許可を持っているかは、後述のとおり公開情報で確認できます。
30人以上の離職で義務になる手続き
アウトプレースメントを検討する場面では、支援サービスの契約より先に、法律上の手続きが動きます。人数の基準はいずれも30人ですが、数え方は制度ごとに違います。
再就職援助計画(労働施策総合推進法第24条)
同法第24条第1項は、相当数の労働者が離職を余儀なくされる事業規模の縮小等を行おうとするとき、事業主に再就職援助計画の作成を義務づけています。その「相当数」を具体化しているのが同法施行規則第7条の2で、経済的事情による事業規模の縮小等であって、一の事業所において常時雇用する労働者について1か月の期間内に30人以上の離職者を生ずることとなるもの、と定めています。数えるのは常時雇用する労働者で、経済的事情による縮小等が前提です。
手続きの要点は3つです。第一に、規則第7条の3により、計画は最初の離職者が生ずる日の1か月前までに作成しなければなりません。様式は様式第1号です。第二に、法第24条第2項により、作成にあたっては過半数労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴く必要があります。第三に、法第24条第3項により、作成した計画は公共職業安定所長に提出して認定を受けなければなりません。計画で定める措置の内容が再就職の促進を図る上で適当でないと認められた場合、安定所長は変更を求めることができ、事業主がそれに応じなければ認定しないことができます(同条第4項)。
30人未満の場合でも、任意で再就職援助計画を作成することは可能です。厚生労働省のガイドブックは「1か月に30人未満の事業規模の縮小等を行おうとする場合でも、任意で『再就職援助計画』の作成が可能です」と明記しています。
大量離職届(同法第27条)と二重提出を避けるみなし規定
同法第27条第1項は、一定期間内に相当数の離職者が発生する大量雇用変動について、厚生労働大臣への届出を義務づけています。施行規則第8条はこれを、一の事業所において1月以内の期間に、自己の都合または自己の責めに帰すべき理由によらないで離職する者の数が30以上となる場合としています。日雇いや6か月以内の期間を定めて雇用されている者、試用期間中の者、常時勤務に服することを要しない者は、この人数から除かれます。自己都合による退職が重なっただけでは、この届出の対象になりません。届出は規則第9条により、大量雇用変動がある日(離職日が複数に分かれる場合は最後の離職が生じる日)の少なくとも1か月前に、大量離職届(様式第2号)を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に提出して行います。
基準が同じ30人であるため両方出すのかと迷いやすいところですが、法第24条第5項が「第三項の認定の申請をした事業主は、当該申請をした日に、第二十七条第一項の規定による届出をしたものとみなす」と定めています。再就職援助計画の認定を申請していれば、大量離職届を別途提出する必要はありません。逆に、計画の作成義務がある場合に大量離職届だけで済ませることはできません。
45歳以上の離職予定者については、もう一つ書面があります。高年齢者雇用安定法第17条に基づく求職活動支援書で、解雇等により離職することとなっている45歳以上70歳未満の労働者のうち、再就職を希望し支援書の交付を希望する人に対して、事業主が講じようとする再就職援助の内容等を記載して交付するものです。高年齢層の雇用に関する事業主の義務は高年齢者雇用安定法とは?65歳義務と70歳努力義務を人事システム設定へ翻訳で整理しています。
アウトプレースメントの支援内容
再就職支援会社が提供する支援は契約によって幅がありますが、助成金の対象措置という観点で整理すると輪郭がはっきりします。厚生労働省が助成対象としているのは、職業紹介事業者への再就職支援の委託、求職活動のための休暇付与、教育訓練施設等への職業訓練の委託の3種類です。実際のサービスは、このうち1番目を軸に次のような内容で構成されます。
- キャリアカウンセリング:専任のコンサルタントが職務経歴の棚卸しと希望条件の整理を行います。退職を告げられた直後は心理的な動揺が大きいため、初期の面談は方向性の確認と同時に心理面の支えを兼ねます。
- 応募書類の作成支援:職務経歴書の書き方を実務レベルで詰めます。社内でしか通じない用語を、社外の採用担当者に伝わる表現に置き換える作業が中心になります。自分の職業能力を社外基準で説明する力についてはエンプロイアビリティとは?厚生労働省の定義・3要素・チェックシートの中身も参考になります。
- 求人の紹介:職業紹介事業者として求人を紹介します。助成金では、対象者が委託先の支援を全く受けずに自分で再就職先を見つけた場合や、支援開始より前に内定を得ていた場合は助成対象外とされています。支援を実際に利用したかどうかが問われるということです。
- 職業訓練:再就職に必要な技能を身につける訓練を、教育訓練施設等に委託して実施します。公共職業訓練を併用する選択肢もあり、その仕組みはハロートレーニング(職業訓練)とは?対象者・無料の仕組みと給付金・就職率を実データで解説にまとめています。
- グループワーク:同じ立場の対象者が集まって行う研修です。助成金では3回以上の実施が加算の条件になっています。
支援期間は契約で定めるもので、助成金の期限とは別です。助成金の側は、離職から6か月以内(45歳以上は9か月以内)に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として再就職が実現することを求めています。契約期間がこの期限より短い場合も長い場合もあるため、両方を並べて確認します。
費用と早期再就職支援等助成金
委託費用の相場について、公的機関が公表している統計はありません。主要な再就職支援会社も料金表を公開しておらず、問い合わせに応じた個別見積もりの形を取っています。対象者の年齢、支援期間、訓練の有無で金額が変わるためです。助成金の上限額は公表されていますが、これは助成の限度額であって、サービスの価格を示すものではありません。
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の助成額と上限
この助成金は、令和6年4月1日に名称が変わりました。以前は労働移動支援助成金(再就職支援コース)と呼ばれていたもので、現在の正式名称は早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)です。古い解説記事が旧名称のままになっていることがあるため、資料を探すときは現在の名称で当たる必要があります。
再就職支援分の助成率を掛ける対象は、委託総額そのものではありません。ガイドブックは、委託総額から訓練実施にかかる委託費用とグループワーク加算額を差し引いた額に、次の率を掛けると定めています。かっこ内は45歳以上の対象者に適用される率です。
| 区分 | 中小企業事業主 | 中小企業事業主以外 |
|---|---|---|
| 再就職支援(通常) | 1/2(45歳以上は2/3) | 1/4(45歳以上は1/3) |
| 再就職支援(特例) | 2/3(45歳以上は4/5) | 1/3(45歳以上は2/5) |
| 訓練加算 | 訓練の委託費用の2/3(訓練時間に応じた上限あり) | |
| グループワーク加算 | 3回以上の実施で1万円 | |
特例区分は通常区分と選べるものではなく、条件を満たした場合だけ適用されます。委託契約において、委託開始時の支払額が委託料の2分の1未満であること、職業紹介事業者が訓練を実施した場合にその経費を負担すること、無期雇用(パートタイムを除く)かつ離職時の賃金の8割以上で再就職が実現したときに委託料を5%以上多く支払うことを定めており、かつ実際にその条件で再就職が実現した場合が対象です。
訓練加算の上限は、訓練時間が10時間以上100時間未満なら15万円、100時間以上200時間未満なら30万円、200時間以上なら50万円です(中小企業以外は順に10万円、20万円、30万円)。そして総額には別の上限があります。ガイドブックは、これらの合計額について「委託総額または60 万円(中小企業事業主であって、訓練加算の訓練時間数が200 時間以上の場合は、80 万円)のいずれか低い方を上限額とします」と定めています。助成率だけを見て委託費用の半分が戻ると考えると、見積もりが狂います。1年度1事業所あたり500人分という上限もあります。
求職活動のための休暇を与えた場合は、再就職が実現したときに休暇1日あたり5,000円(中小企業事業主は8,000円)が180日分を上限に助成され、離職日の翌日から1か月以内に再就職が実現した場合は1人につき10万円が加算されます。ここでいう休暇は、労働基準法第39条の年次有給休暇として与えられるものを除いた、求職活動のための休暇です。職業訓練を教育訓練施設等に委託して実施した場合は、経費助成として委託費用の3/4が支給され、上限は訓練時間に応じて中小企業が15万円・30万円・50万円、中小企業以外が10万円・20万円・30万円です。あわせて賃金助成として1時間あたり960円(中小企業以外は480円)が支給されます。
助成金の受給要件と不支給になる条件
実務で最初に確認すべきなのは、助成率ではなく事業主の要件です。ガイドブックは、人員削減を行う組織において次のいずれかに該当することを求めています。ここでいう組織は、事業部門、事業所、事業部、企業等のいずれの単位でも構わないとされています。
- 生産量(額)、販売量(額)または売上高等の事業活動を示す指標が、対前年比10%以上減少していること。判定は再就職援助計画の認定日等を基準とした直前3か月の平均で見ることが原則ですが、直近1年間の平均で見ることや、今後3年以内に対前年10%以上減少の傾向となる見込みであっても差し支えないとされています。
- 直近の決算における経常利益が赤字であること、または今後3年以内に赤字となる見込みがあること。
判定の単位が組織ごとであり、将来の見込みでも足りるため、全社の決算が黒字であることだけで対象外にはなりません。縮小する事業部門の売上が10%以上減っていれば要件に当たります。自社がどの単位でどちらの指標を使うのかを、申請前に労働局へ確認しておくのが確実です。
この要件の当てはめが問題になりやすいのは、近年の人員削減の形が変わっているためです。東京商工リサーチが2026年4月30日に公表した集計では、2025年度に早期・希望退職募集が判明した上場企業は46社(前年度51社)、募集人数は2万781人で前年度の8,326人の約2.5倍に急増しました。このうち直近決算の最終損益が黒字の企業が32社(構成比69.5%)を占め、募集人数では1万6,908人と全体の81.3%に達しています。ただし東京商工リサーチが見ているのは決算の最終損益であり、助成金が見るのは人員削減を行う組織単位の経常利益や事業活動指標です。指標も単位も違うため、黒字企業が多いことから受給の可否は判断できません。
規模による要件もあります。中小企業以外の事業主の場合、職業紹介事業者への委託による再就職支援の対象者が30人以上であることが必要です。
申請の入口は2つあります。再就職援助計画を作成してハローワークの認定を受ける経路と、求職活動支援基本計画書を作成して管轄の労働局に提出し、個々の対象労働者に求職活動支援書を交付する経路です。いずれも、再就職支援を職業紹介事業者に委託して行う旨を記載し、その内容について労働組合等から同意を得ることが条件になっています。
もう一つ、委託先の選び方によって受給できなくなる規定があります。ガイドブックは、委託契約を締結した職業紹介事業者から退職コンサルティングを受けた事業主、およびその会社等と連携した職業紹介事業者に委託したことを承知していた事業主を、受給できない事業主として挙げています。退職コンサルティングとは、対象者が具体的に決まる前の段階で、職業紹介事業者やその連携先が解雇・退職勧奨・希望退職募集の実施を提案したり、対象者の選定基準を含む制度設計を支援したり、面接方法を含む実施方法を助言したりすることを指し、「それが法令違反に該当するか否か、有料であるか否か、契約を交わしているか否か」を問わないとされています。ただし、人員削減の働きかけを伴わない形で行われる再就職支援サービスの説明や助成金の情報提供は、退職コンサルティングに含まれません。相談の内容と時期を分けて記録しておくことが、実務上の備えになります。
対象者の側の要件もあります。継続雇用期間が1年以上であること、事業所へ復帰の見込みがないこと、委託契約日等の時点で再就職先が未定であること、職業紹介事業者から退職勧奨を受けたと受け止めていないこと、申請事業主から退職強要を受けたと受け止めていないことなどが求められます。
アウトプレースメント導入の効果と負担
導入の是非は、企業側の利益と負担を並べて判断することになります。
| 観点 | 得られるもの | 負担・限界 |
|---|---|---|
| 退職者との関係 | 再就職の道筋を示したうえで退職を求められる | 支援を受けること自体を拒む対象者がいる。本人の承諾が助成の要件でもある |
| 法的リスク | 再就職援助の内容を計画として示せるため、努力義務への対応を説明しやすい | 支援を付ければ退職勧奨が適法になるわけではない。自由な意思決定を妨げる勧奨は違法な権利侵害に当たる場合がある |
| 在職者への説明 | 退職者に何を提供するかを制度として示せる | 支援の有無とは別に、人員削減の理由や範囲の説明が必要になる |
| 費用 | 要件を満たせば助成金で一部が戻る | 再就職支援分の上限は1人60万円(条件により80万円)。要件を満たさなければ全額自社負担 |
| 成果 | 再就職先の決定までコンサルタントが伴走する | 再就職を保証する契約ではない。助成金も再就職が実現しなければ支給されない |
デメリットとして挙げられることの多い「利用を拒否される」という点は、助成金の対象者要件にも表れています。職業紹介事業者の行う再就職支援を受けることについて本人が承諾していることが条件とされており、制度上も本人の意思が前提です。中高年層を支援する際の世代背景については今の50代は何世代?特徴と「ゆでガエル世代」との10年のズレも参考になります。事業再編の局面で人員計画を立てる際の論点はターンアラウンドマネージャーとは何か?企業再生を担うプロフェッショナル人材の役割と概要をわかりやすく解説で扱っています。
再就職支援会社の選び方
比較検討では、公開情報だけで確認できることと、個別に問い合わせないと分からないことを分けて進めると早くなります。
1. 有料職業紹介事業の許可があるか(公開情報)。職業安定法第30条第1項は、有料の職業紹介事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めており、無許可の事業は同法第64条第1号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。助成金も職業紹介事業者への委託であることが前提のため、許可がなければ支援内容の巧拙以前に選択肢から外れます。許可番号は厚生労働省職業安定局が運営する人材サービス総合サイトの職業紹介事業所検索で確認できます。契約する法人と許可を受けている法人が一致しているかも、ここで照合します。
2. 公表されている実績(公開情報)。職業安定法第32条の16第3項は、有料職業紹介事業者に対し、紹介により就職した者の数、そのうち無期雇用で就職した者から離職した者の数、手数料に関する事項の情報提供を義務づけています。提案書に書かれた成功率ではなく、この義務に基づく公表値を見ます。ただし公表値は事業所単位の前年度実績で、無期雇用で就職した人に限った離職者数であるなど集計範囲が決まっているため、自社の対象者にそのまま当てはまる数字ではありません。
3. 対象者の年齢層と職種の支援実績(個別照会)。助成金が45歳以上で助成率を上げ、再就職の期限も6か月から9か月に延ばしているのは、中高年の再就職に時間がかかるという前提があるためです。自社の対象者に近い層での実績を具体的に聞きます。
4. 契約前の相談の範囲(自社の記録)。前述のとおり、対象者が決まる前に人員削減の進め方そのものを提案・設計してもらうと、助成金の受給資格を失います。助成金を使う予定があるなら、どの段階で誰にどこまで相談したかを記録しておきます。
5. 料金体系(個別照会)。期間を定めたパッケージ型と、再就職の決定時に支払う成功報酬型があります。助成金は委託総額から訓練分とグループワーク加算分を差し引いた額に助成率を掛け、そのうえで総額の上限が適用されるため、内訳が分かる見積もりをもらって自社負担額を計算します。
よくある質問
アウトプレースメントは何人から必要になりますか?
サービスの利用自体に人数要件はなく、1人からでも委託できます。義務が生じるのは手続きの側で、経済的事情による事業規模の縮小等により、1事業所で常時雇用する労働者が1か月の期間内に30人以上離職する場合は、労働施策総合推進法第24条の再就職援助計画の作成と公共職業安定所長の認定が必要になります。助成金については、中小企業以外の事業主は委託対象者が30人以上であることが要件です。
再就職援助計画と大量離職届は両方出す必要がありますか?
不要です。労働施策総合推進法第24条第5項により、再就職援助計画の認定申請をした事業主は、申請日に第27条第1項の大量離職届を提出したものとみなされます。再就職援助計画の作成義務がない場合でも、自己都合等によらない離職者が1か月以内に30人以上となるときは、大量離職届(様式第2号)を最後の離職が生じる日の少なくとも1か月前に提出します。この人数には日雇いや試用期間中の者などは含みません。
費用はいくらかかりますか?
公的な統計はなく、支援会社も料金表を公開していないため、見積もりで確認するほかありません。助成金の上限は1人あたり60万円(中小企業で訓練200時間以上の場合は80万円)ですが、これは助成の限度額であって相場を示すものではありません。助成率は企業規模と対象者の年齢、区分によって変わるため、見積もりの内訳に自社の条件を当てはめて自己負担額を計算します。
退職する本人に費用の負担はありますか?
企業が委託した支援サービスの費用を本人が負担することはありません。職業安定法第32条の3第2項により、有料職業紹介事業者は求職者から職業紹介の手数料を徴収してはならないとされています(求職者の利益のために必要と認められるとして厚生労働省令で定めるときを除く)。ただし、これは職業紹介の手数料についての規定です。面接に行く交通費や、支援の契約に含まれない講座の受講料などは、本人の負担になることがあります。
黒字の会社でも助成金は使えますか?
使える場合があります。早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)の要件は、人員削減を行う組織(事業部門、事業所、事業部、企業等のいずれの単位でもよい)において、事業活動を示す指標が対前年比10%以上減少しているか、経常利益が赤字であることです。いずれも今後3年以内の見込みで判定できるため、全社決算が黒字でも、縮小する部門の売上が10%以上減っていれば要件に当たります。どの単位でどの指標を使うかは、申請前に管轄の労働局に確認してください。