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MinerUとは?PDFをMarkdown化する使い方と4.0の新コマンド【4.0.12で実測】

MinerUとは?PDFをMarkdown化する使い方と4.0の新コマンド【4.0.12で実測】

MinerUは、PDF・画像・Word・PowerPoint・ExcelなどをLLMやRAGが読みやすいMarkdown・JSONに変換する、OpenDataLab(上海AI Lab)製のオープンソース文書パーサです。2026年9月16日に公開された4.0で、コマンドがmineru-kit parseに、解析品質と処理速度の選び方が--tier(flash/basic/standard/advanced)に変わり、3.x向けに書かれたmineru -p input.pdf -o outputの手順はそのままでは使えなくなりました。この記事では、最新の4.0.12をGPUの無いMac(Intel Core i9-9880H・メモリ16GB)に入れ、日本語の表・スキャンPDF・数式ページを実際に変換した結果をもとに、導入から使い分け、Difyとの連携、ライセンス条件までを整理します。

まとめ:MinerU 4.0の要点

  • MinerUはPDF・画像・Office文書などをMarkdown/JSONに変換するOSS。表・数式・読み順を保つため、RAGの取り込み前処理に向く。
  • 最新は4.0.12(2026年10月11日)。導入はuv pip install -U "mineru>=4.0,<5"で、Python 3.10〜3.14に対応する。3.xのmineru[all]やmineru[core]は使わない。
  • 変換はmineru-kit parse 入力 -o 出力.md --tier standard。PDFと画像はflash・basic・standard・advancedの4段階、Office系はflashのみで処理される。
  • GPUなしのMacでの実測では、テキストPDF1ページのflashが約16秒、basicでスキャンPDF1ページが約19秒、VLMを使うstandardは3分半以上。basicでも表はMarkdown表、数式はLaTeXで出たが、OCRで「売上」が「壳上」に化ける誤認識があった。
  • ライセンスはApache 2.0をベースにしたMinerU Open Source License。商用利用は可能だが、月間アクティブユーザー1億人超または月間売上2,000万米ドル超の場合は別途ライセンスが必要で、オンラインサービスとして提供するならMinerUの使用を明示する義務がある。

MinerUとは:LLM向けに文書を構造化するOpenDataLabのパーサ

MinerUは、大規模言語モデルInternLMの事前学習データを作る過程で生まれた文書解析ツールで、GitHubのopendatalab/MinerUで開発されています。2026年10月18日時点でスター数は約8.2万です。テキストを抜き出すだけのライブラリと違い、ページを見出し・本文・表・図・数式などのブロックに分け、ヘッダー・フッター・ページ番号を除いたうえで、人が読む順に並べ直して出力します。2段組みの論文でも左段と右段の文章が混ざりにくいのはこのためです。

4.0のREADMEによると、入力はPDF・画像に加え、DOC/DOCX、PPT/PPTX、XLS/XLSX、RTF、ODT/ODS/ODP、EPUB、OFD、HTML/MHTML、CSV/TSVに対応します。PDFと画像はモデルを使う解析ができ、Office系やEPUBなどは文書内部の構造を直接読む方式(ネイティブ解析)で処理されます。変換した文書はLangChainでRAGを構築する手順|v1.3系のコード例とlangchain-classic移行で扱うような検索拡張生成の取り込み層に渡す、というのが典型的な使い方です。

MinerU 4.0の変更点:3.xのコマンド・設定・APIの対応表

4.0は、コマンドの入口・依存パッケージの組み合わせ・設定ファイル・HTTP APIがまとめて変わった大きな改版です。公式の3.xから4.0への移行ガイドに載っている対応関係を表にしました。ネット上の日本語解説の多くは、2026年10月時点でもこの表の左列の書き方のままです。

用途 3.xまでの書き方 4.0の書き方
1ファイルを変換 mineru -p input.pdf -o output mineru-kit parse input.pdf -o output.md
フォルダを一括変換 mineru -p ./docs -o output mineru-kit parse ./docs -o ./out --format zip
CPUだけで動かす -b pipeline --tier basic
WebUIを起動 mineru-gradio mineru-kit webui
モデルを事前取得 mineru-models-download -m all mineru-kit models download --tier standard
追加パッケージ mineru[core]/mineru[all] 標準/mineru[torch]/mineru[full]
設定ファイル ~/mineru.json ~/.mineru/config.yaml
HTTP API /file_parse・/tasks /v1/uploads→/v1/parse/jobs

3.xの-b(バックエンド指定)は4.0.12のmineru-kit parse --helpには無く、4.0のアルファ版にあった--backendも削除されました。変更履歴ではpipelineは--tier basic、hybrid-auto-engineは--tier standard、vlm-auto-engineは--tier advancedに読み替えるよう案内されています。古いmineru.jsonは読み込まれず、3.xで保存した結果JSONも4.0のParseResultで読める保証はありません。運用中の取り込み処理がある場合は、別の仮想環境で4.0を動かして出力を比べてから切り替えてください。AMD製GPUや各社のアクセラレータ向けの構成は、現時点ではmineru<4に留まるよう公式に案内されています。

MinerUのインストール手順と動作要件(Windows・Mac・Linux)

uvでのインストールとPython 3.10〜3.14の対応範囲

4.0.12がPyPIで要求するPythonは3.10以上3.15未満です。WindowsにもmacOSにもインストーラー形式の配布は無く、Pythonパッケージとして入れます。公式のクイックスタートどおり、uvで仮想環境を作ってから入れる手順が確実です。

pip install uv
uv venv .mineru --python 3.12
source .mineru/bin/activate          # Windows PowerShellは .\.mineru\Scripts\Activate.ps1
uv pip install -U "mineru>=4.0,<5"      # 本記事と同じ版で再現するなら "mineru==4.0.12"
mineru version --json

検証環境のMacでは、この標準パッケージだけで仮想環境が528MBになり、mineru version --jsonは"mineru_version": "4.0.12"を返しました。標準パッケージには、表やOCR用の小さいモデルをCPUで動かすONNX Runtimeと、VLM(画像を読める言語モデル)を動かすllama.cppが入っています。NVIDIA製GPUで速度を出したいときはmineru[full]を、PyTorchで小さいモデルを動かしたいときはmineru[torch]を追加します。Apple Silicon(M1以降)のMacはPyTorchが最初から入るため[full]は不要で、WindowsでGPUを使う場合はGPU版のPyTorchを別に入れる必要があります。

tierごとのメモリ・GPU要件

必要なメモリとGPUは、使うtierとモデルの実行方式で決まります。READMEの表をまとめると次のとおりです。

tier 実行方式 モデル容量 最低メモリ GPU
flash(文字情報・ネイティブ解析) モデル不要 0 記載なし 不要
basic ONNX 約0.8GB 2GB 不要
basic PyTorch 約0.8GB 8GB 推奨
standard/advanced ONNX+llama.cpp 約2GB 8GB 不要(Vulkan推奨)
standard/advanced PyTorch+vLLM等 約3GB 16GB 必須(VRAM 8GB以上)

実測では、basicで取得されたONNXモデルが839MB、standardで追加されたVLM(MinerU2.5-Pro-2605-1.2BのGGUF版)が1.2GBで、表の数字とほぼ一致しました。NVIDIA製GPUで使う場合はVolta世代以降・空きVRAM 8GB以上が目安です。Docker配布はNVIDIA環境向けのみ更新済みで、それ以外の環境向けのイメージは更新待ちとされています。

モデル取得元のModelScopeへの切り替えとオフライン準備

モデルは初回の変換時に自動でダウンロードされ、~/.mineru/modelsに保存されます。取得元は既定のautoだとHugging Faceを先に試し、つながらなければModelScopeを使います。社内ネットワークでHugging Faceがつながらない場合や、オフライン環境へ持ち込む場合は、次のように取得元を指定して事前にダウンロードしておきます。

export MINERU_MODEL_SOURCE=modelscope        # PowerShellは $env:MINERU_MODEL_SOURCE = "modelscope"
mineru-kit models download --tier standard
mineru-kit models verify --tier standard
export MINERU_MODEL_SOURCE=local              # 以後はダウンロードせず手元のモデルだけを使う

検証環境では、初回実行後に~/.mineru/config.yamlへsource: huggingfaceが書き込まれていました。自動で選ばれた取得元が設定ファイルに保存される仕様のため、ネットワーク環境を変えたときは設定ファイルの値も確認してください。

MinerU CLIでのPDFからMarkdownへの変換

mineru-kit parseの基本と出力形式

1ファイルを変換する最小のコマンドは次のとおりです。PDFに対して--tierを省略するとstandardが使われ、PDFは全ページが対象になります。

mineru-kit parse report.pdf -o report.md --tier standard
mineru-kit parse report.pdf -o report.md --tier basic -p 1-5,8     # 1〜5ページと8ページだけ
mineru-kit parse scan.pdf -o scan.md --tier basic --ocr-mode ocr   # 文字情報を無視してOCRする
mineru-kit parse ./docs -o ./out --format zip                     # フォルダ一括。-o はディレクトリ

-f/--formatで選べる出力はmarkdown(既定)・middle_json・zipの3種類です。注意したいのは、Markdownを1ファイルで出力すると、図や表の画像がdata:image/jpeg;base64,…の形で本文に埋め込まれる点です。論文3ページの変換で268KB、画像1枚だけの入力では73KBのMarkdownになりました。そのままRAGに入れると、画像の文字列がチャンクを埋めてしまいます。画像を別ファイルに分けたいときは--format zipを使うか、Markdownから画像行を取り除いてから分割してください。

4つのtierの選び方

4.0では、精度と速度を--tierで選びます。公式のtierの説明と実測をもとにすると、次のように選ぶのが無難です。

  • flash:文字情報付きのPDFやOffice文書は、モデルを使わずに文字情報や内部構造を直接読みます。スキャンPDFや画像には、軽量なFlash OCRが使われます。Word・Excel・PowerPoint・EPUB・HTMLは、どのtierを指定してもこの方式です。PDFでは表や見出しの構造が崩れやすいため、検索用インデックスやプレビューに限って使います。
  • basic:レイアウト検出・OCR・表・数式の小さいモデルを使います。VLMを使わないためCPUだけで現実的な速度が出ます。GPUの無いPCで日常的に使うならこれが基準です。
  • standard:basicの小さいモデルにVLMを組み合わせます。段組みが複雑な資料や、図表の多い資料向けです。GPUかApple Siliconが無いと時間がかかります。
  • advanced:standardと同じモデルで推論を増やします。難しい文書で精度が上がる代わりに最も遅く、明示的に指定したときだけ使われます。

mineru parse(文書ライブラリ)との違い

4.0にはmineru-kit parseとは別に、mineru parseというコマンドもあります。こちらはmineru server startで起動する文書ライブラリを通す方式で、解析結果をキャッシュし、検索(mineru search)やページ単位の続き読みができます。AIエージェントに文書を少しずつ読ませる用途向けで、既定ではPDFの先頭10ページしか解析しません。1本のPDFを丸ごとMarkdownにしたいだけならmineru-kit parseを使い、mineru parseを使うなら--pages allを付けてください。READMEには、AIエージェントにMinerUを使わせるためのSkillをnpx skills add opendatalab/MinerU --skill mineru --global --yesで入れる手順も載っています。

GPUなしのMacでMinerU 4.0.12を動かした実測結果

ここからは、Intel Core i9-9880H・メモリ16GB・GPUなしのmacOSで、4.0.12を使って変換した結果です。入力は、見出し・3行3列の表・箇条書きを含む日本語1ページの資料(Chromeで書き出した文字情報付きのPDF、同じページを画像化したスキャンPDFとJPEG、LibreOfficeで作ったDOCX)と、数式を含む英語論文(Attention Is All You Needの4ページ目)です。時間はコマンドの起動から終了までの実時間で、初回はモデルのダウンロード時間を含みます。計測中は同じマシンで別の処理も動いていたため、時間は目安として見てください。

入力 tier 実時間 最大メモリ 結果
日本語DOCX flash 5.9秒 – 見出し・表・箇条書きとも正確
日本語テキストPDF flash 15.8秒 – 見出しと表の構造が崩れる
日本語テキストPDF basic 26.8秒(初回) 630MB 見出しは正確、表のセルが結合
日本語スキャンPDF basic 18.7秒 – 表は正確、「売上」を「壳上」と誤認識
透過PNG basic 7.2秒 – 文字を読まず画像1枚として出力
英語論文3ページ basic 12.5秒 989MB 見出し・段落・参照番号まで正確
数式を含む論文1ページ basic 48.4秒(初回) 1.59GB 数式をLaTeX化、式番号も保持
日本語スキャンPDF standard 4分11秒(初回)/3分33秒 2.55GB 表は正確、見出しと表見出しの「売上」が「壳上」
数式を含む論文1ページ standard 2分35秒 2.98GB 数式の関数名を\textで正しく出力

日本語の表とスキャンPDFの変換精度

結果が最も分かれたのは日本語の表です。DOCXをflashで変換すると、Wordの表構造をそのまま読むため、| 地域 | 売上(百万円) | 前年比 |から始まる正確なMarkdown表になりました。一方、同じ内容のテキストPDFをflashで変換すると、見出しの「1. 地域別売上」が通常の段落になり、表は「地域 売上(百万円) 前年比東日本 1,240 +8.2%」のように1行へ流し込まれました。basicに上げると見出しは##として認識されましたが、表は「東日本1,240」のように地域名と数値が1つのセルに結合されたHTML表になりました。

意外だったのは、文字情報を持たないスキャンPDFの方が表の再現が正確だった点です。OCRを通したbasicの出力は3行3列のMarkdown表になり、「12.5%」「+21.4%」などの数値もすべて正しく読めていました。ただし表見出しの「売上(百万円)」は「壳上(百万円)」と、簡体字に近い字形に化けました。同じページの本文中の「売上」は正しく読めており、誤りが出たのは表見出しでした。3.4の変更履歴には、pipelineバックエンド(4.0のbasicに相当)のOCR言語の選択肢から日本語を外し、中国語(ch)モデルに統合したと書かれています。日本語の帳票や表を取り込むときは、変換後に数字だけでなく項目名も目で確認する工程を残してください。

透過PNGの検証例:文字を読まずJPEG変換で改善

macOSのsipsでPDFから書き出したPNG(アルファチャンネル付き)をbasicで変換すると、--ocr-mode ocrを指定しても文字を1文字も読まず、ページ全体が画像1枚としてMarkdownに埋め込まれました。同じ画像をJPEGに変換して入力すると、スキャンPDFと同じく表まで正しく文字に起こされました。今回の検証で確認できたのはこの1枚の例ですが、画像書き出しのPNGを入力して文字が出てこないときは、背景が透過になっていないかを確認し、JPEGに変換して再試行してみてください。

数式はLaTeX、式番号はtagで保持

論文の数式ページをbasicで変換すると、注意機構の式が\operatorname { A t t e n t i o n } ( Q , K , V ) = \operatorname { s o f t m a x } ( \frac { Q K ^ { T } } { \sqrt { d _ { k } } } ) V\tag{1}というLaTeXのブロック数式になり、本文中の変数も$d _ { k }$のようなインライン数式として出力されました。式番号が\tag{1}で残るため、RAGの回答で「式(1)」を参照させやすくなります。一方で、関数名が「A t t e n t i o n」のように1文字ずつ空白で区切られるため、数式を文字列検索する場合は空白を除く前処理が必要です。このページは数式認識モデルの初回ダウンロードを含めて48.4秒、最大メモリは1.59GBでした。

Intel MacのCPU実行で見たstandardの処理時間と精度

VLMを使うstandardは、GPUの無いIntel Macでは実用的な速度になりませんでした。日本語スキャンPDF1ページの変換は、VLMモデル(1.2GB)の初回ダウンロードを含めて4分11秒、モデル取得済みの2回目でも3分33秒かかり、最大メモリは2.4〜2.6GBでした。数式ページは2分35秒・2.98GBです。basicの約19秒と比べると10倍以上です。

精度はbasicより常に上がるわけではありません。数式は、basicで「A t t e n t i o n」と1文字ずつ区切られていた関数名が、standardでは\text {Attention} (Q, K, V) = \text {softmax} (\frac {Q K ^ {T}}{\sqrt {d _ {k}}}) V\tag{1}と読みやすいLaTeXになりました。一方、日本語のスキャンPDFでは、basicでは正しかった章見出しまで「1. 地域別壳上」と誤認識し(2回実行して2回とも同じ結果)、箇条書きの先頭は\- 為替は…のようにエスケープされた記号になりました。GPUが無い環境では、日本語の業務文書はbasicで処理し、数式の多い論文だけstandardに回す使い分けが現実的です。

Python SDK・HTTP API・WebUIからのMinerUの呼び出し

Python SDKのparse()での変換とJSONの保存・復元

Pythonから使うときは、mineru.parserのparse()を呼びます。文書ライブラリを起動せずに1回で変換が終わる方式で、次のコードは検証環境の4.0.12で動作を確認しました。

from pathlib import Path
from mineru.parser import parse, ParseResult

# Office文書はflashを明示する(ネイティブ解析)
result = parse("report.docx", tier="flash")
Path("report.md").write_text(result.markdown(), encoding="utf-8")

# PDFはページ範囲を1始まりで指定できる
r2 = parse("paper.pdf", tier="basic", page_range="1-3")
Path("paper.json").write_text(r2.to_json(), encoding="utf-8")
restored = ParseResult.from_json(r2.to_json())   # JSONから復元できる

to_json()の出力はmetadata・pages・schema・schema_versionなどをキーに持つ構造化データで、ページやブロックの位置情報を残したままチャンク分割に使えます。READMEに載っているDoclibClientは文書ライブラリ用のクライアントで、先にmineru server startでサーバーを起動しておく必要があります。

mineru-kit api-serverでのHTTP API起動と認証

社内システムやワークフローツールから呼び出す場合は、解析用のHTTPサーバーを立てます。

mineru-kit api-server --host 0.0.0.0 --port 8000 --tier standard --api-key "長いランダム文字列"

4.0のAPIは、ファイルを/v1/uploadsへ送り、/v1/parse/jobsで解析ジョブを作り、完了を待って/v1/filesから結果を受け取る非同期の流れです。起動後はhttp://サーバー:8000/docsでOpenAPIの画面を確認できます。3.xの/file_parseは廃止されましたが、自前で立てたサーバーには互換用の/v1/file_parseが用意されています。127.0.0.1以外で待ち受けるときは、--api-keyで鍵を設定してください。3.x以前のAPIサーバーには認証機能がありませんでした。PythonからはMinerUApiParser(api_url="http://127.0.0.1:8000", tier="standard")で同じサーバーに接続できます。--api-key付きで起動したサーバーには、環境変数MINERU_API_KEYに同じ鍵を設定するか、api_key=引数で鍵を渡します。

WebUI・オンライン版mineru.net・MCPサーバー

ブラウザで試すなら、mineru-kit webui --server-name 127.0.0.1 --server-port 7860でGradio製のWebUIがローカルに立ちます。インストールせずに試したい場合は、公式のオンライン版mineru.netが使えます。ただしオンライン版やAPIを使うと文書がMinerUの公式サーバーへアップロードされます。4.0のローカル版は既定では手元で解析し、公式サービスへ自動でアップロードすることはありません。外部へ送るのは、--remoteや--remote-urlを付けたとき、またはconfig.yamlでリモートのVLMサーバー(model.vlm.server_url)を設定したときです。機密文書を扱うときは、これらが未設定であることをmineru config showで確認してください。

mineru.netのAPIは2系統あります。トークン不要の「Agent Lightweight Extract API」は1ファイル10MB・20ページまでで、表と数式の認識を切った軽量モデルでMarkdownだけを返します。トークンを取得して使う通常のAPIは1ファイル200MBまでですが、ページ数の上限と1日の最優先枠は、API管理画面のドキュメントでは200ページ・1日1,000ページ、ドキュメントサイトでは600ページ・1日2,000ページと、2026年10月18日時点で公式の記載が食い違っています。大量に流す前に、自分のアカウントでmineru usageを実行して上限を確認してください。Claude DesktopやCursorから使う公式MCPサーバーmineru-open-mcpは、MINERU_API_TOKENを設定しなければ会員登録不要の無料のFlashモードで動きます。数十ページを超える資料をエージェントに読ませるなら、トークンを設定するか、ローカルのmineruを使う方が確実です。

DifyとMinerUの連携:公式プラグイン0.6系と4.0の接続先

DifyのマーケットプレイスにはDify公式(langgenius)のMinerUプラグインがあり、2026年10月18日時点の最新版は0.6.1、インストール数は約22.8万件です。接続先は「MinerU Official API」(mineru.netのトークンを使う)と「Local Deployment」(自前のMinerUサーバー)から選べます。

4.0のサーバーにつなぐときに詰まりやすいのは次の2点です。1つ目に、4.xに対応したのはプラグイン0.6.0からで、古いプラグインのままMinerUを4.0に上げると/file_parseが404を返して止まります。2つ目に、Base URLにはmineru-kit api-serverで立てた解析APIのアドレスを入れます。WebUI(7860番)やmineru-kit vlm-serverのOpenAI互換サーバーは別物で、指定しても動きません。リクエストはDifyのプラグインデーモンから送られるため、MinerUがプラグインデーモンと同じホストで動いている場合を除き、localhostや127.0.0.1ではなくMinerUサーバーのIPアドレスを指定します。API鍵を付けてサーバーを起動した場合は、プラグインのAPI Token欄に同じ鍵を入れます。

MinerUのライセンスと商用利用の条件

MinerUは3.1.0(2026年4月18日)で、AGPLv3から独自のMinerU Open Source Licenseへ移行しました。Apache License 2.0をベースに、次の追加条件が付いています。

  • 商用利用に別途のライセンスは原則不要。ただし、自社と関連会社の合算で月間アクティブユーザーが1億人を超えるか、月間の総売上が2,000万米ドルを超える場合は、使い続ける前にMinerU Teamから商用ライセンスを取得する必要がある。
  • MinerUを使ったオンラインサービスを第三者に提供する場合、製品画面か公開ドキュメントの目立つ位置に、MinerUを使用していることを明示する義務がある。
  • 上の2つに違反すると、ライセンスと付与された権利は通知なしに自動で終了する。

AGPLv3では、改変したMinerUをネットワーク越しに利用させる場合、その利用者に対応するソースコードを入手できる機会を提供する必要がありました(第13条)。新しいライセンスではこの義務がなくなりました。一方で、社内向けの取り込み処理でも外部の顧客に画面を提供する形なら表示義務の対象になりえます。PyPIのメタデータ上もLicenseRef-MinerU-Open-Source-Licenseと独自ライセンスで登録されており、GitHub上のライセンス判定は「Other」です。社内の利用許可リストがSPDXのApache-2.0で判定している場合は、そのままでは通らない点にも注意してください。3.1.0より前のバージョンを使い続ける場合は、そのバージョンに付いているAGPLv3が適用されます。

Docling・Marker・PyMuPDF4LLMとの使い分け

PDFをMarkdownに変換するOSSは、MinerUのほかにも選択肢があります。社内の検証記事とあわせて、選び分けの基準を整理しました。

ツール 向く文書 ライセンス 弊社の解説
MinerU スキャンPDF・数式・表・中国語混在 Apache 2.0+追加条件 本記事
Docling Office文書と社内文書の一括変換 MIT Doclingとは?
Marker 書籍・論文の高精度変換 Apache-2.0+重みは有償条件あり Markerの使い方
PyMuPDF4LLM 文字情報付きPDFを高速に変換 AGPL-3.0/商用 PyMuPDF4LLMの使い方

MinerUを選ぶ理由になるのは、スキャン資料のOCR、数式のLaTeX化、段組みの読み順復元を1つのコマンドで処理できる点です。逆に、文字情報付きのPDFを大量に速く変換したいなら、GPU不要のレイアウト解析を内蔵したPyMuPDF4LLMが比較候補になります。弊社の検証では、PyMuPDF4LLM 1.28.2の仮想環境は約252MBで、MinerU 4.0.12の標準パッケージ(528MB)の半分以下でした。Word・Excel中心であれば、MinerUもflashの内部構造読み取りになるため、DoclingやMarkItDown(マークイットダウン)とは|PDF・Word・ExcelをMarkdownに変換する使い方とインストール【0.1.8】が比較候補になります。出力の差は、同じ文書で見出し・表・画像の残り方を比べて判断してください。スキャン文書の文字認識だけが目的で、表や読み順が要らない場合は、Tesseractとは?読み方・日本語の精度・商用利用とPSM/OEM設定【5.5.3で実測】のようなOCRエンジン単体の方が依存関係は小さくなります。

採用を見送るべきなのは、GPUの無いサーバーで数千ページ規模の資料を毎日standardで処理する計画や、表の項目名まで誤りが許されない帳票の自動入力です。前者は処理時間が見合わず、後者は前章の「壳上」のような誤認識を人が確認する工程が必要になります。PDFの取り込みからチャンク分割・検索精度の評価までまとめて設計したい場合は、RAG構築支援のような外部の支援を使う方法もあります。長い報告書を章や節の階層のまま検索させたいときは、MinerUの解析結果を入力に使うBookRAGの構成も参考になります。

MinerUに関するよくある質問

MinerUは無料で商用利用できますか?

はい。MinerU Open Source Licenseのもとで無料で利用でき、商用利用にも原則として別途の契約は要りません。ただし、関連会社を含めて月間アクティブユーザー1億人超または月間売上2,000万米ドル超の場合は商用ライセンスが必要で、オンラインサービスとして提供する場合はMinerUの使用を明示する義務があります。

WindowsやMacで動きますか?デスクトップアプリはありますか?

Windows・macOS・Linuxで動きます。デスクトップアプリやインストーラーは無く、Python 3.10〜3.14の環境にuv pip install -U "mineru>=4.0,<5"で入れます。画面で操作したい場合はmineru-kit webuiでブラウザ用の画面を起動するか、オンライン版のmineru.netを使います。

mineru.netのオンライン版は無料で使えますか?

mineru.netのAPIは、トークン不要の軽量APIなら1ファイル10MB・20ページまで無料で使えます。トークンを使う通常のAPIは1ファイル200MBまで対応しますが、ページ数の上限と1日の最優先枠は公式ページによって記載が異なるため、mineru usageや管理画面で確認してください。いずれも文書が公式サーバーへ送られるため、機密文書はローカル版で処理してください。

3.xの「mineru -p」コマンドが動かないのはなぜですか?

4.0でコマンドの入口が変わったためです。1ファイルの変換はmineru-kit parse input.pdf -o output.md、CPUのみの指定だった-b pipelineは--tier basicに置き換えます。追加パッケージもmineru[all]やmineru[core]ではなく、標準パッケージかmineru[torch]・mineru[full]を使います。

MinerUは日本語のOCRに対応していますか?

対応しています。本記事の検証では、日本語のスキャンPDFから本文と表をbasicで正しく文字起こしできました。ただし表見出しの「売上」が「壳上」に化けるなど、中国語の字形と取り違える誤認識が出たため、項目名や固有名詞は変換後に確認する前提で使ってください。今回の検証では透過PNGの文字を読まず画像として出力したため、同じ症状が出たらJPEGに変換して再試行してください。

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