MARS-1(マルスワン)は、国鉄が指定席の予約を手作業からコンピュータに移すために作った座席予約システムの試作機です。国鉄の鉄道技術研究所が論理設計を、日立製作所が回路設計と製作を担当し、1960年に東海道本線の特急で予約業務を始めました。JRの「みどりの窓口」で使われているMARS(マルス)は、このMARS-1から続くシステムです。
この記事では、情報処理学会のコンピュータ博物館、IEEE Milestoneの提案書、鉄道情報システム(JRシステム)の公式ページなどの一次情報をもとに、MARS-1の仕組み、航空会社の予約システムとの違い、現在のMARS 505までの系譜を整理します。完成年月や当初の座席数は出典によって数字が違うため、違いを表にまとめました。
まとめ:MARS-1の要点
- 正式名称はMagnetic-electronic Automatic Reservation System 1。国鉄の鉄道技術研究所の穂坂衛らが計画・設計し、1958年に日立製作所へ発注され、戸塚工場で製作されました。
- 1960年に東海道本線の特急の座席予約で運用を始めました。IEEE Milestoneの銘板では、当初の処理能力は1日3,600席・15日先までの予約です。
- 中央装置はトランジスタ約1,000個、ダイオード約4,500個、真空管70本で構成され、座席の記録には磁気ドラムを使いました。中央装置は2系統を並列に動かして結果を照合し、誤りを検出しました。
- 米国の航空会社が便ごとの予約人数を管理していたのに対し、MARS-1は座席の位置まで管理しました。情報処理学会はこの点を「世界でも初めて」と評価しています。
- 1964年のMARS 101で切符の自動発券が始まり、系譜は2020年からのMARS 505へ続きます。現在のMARSは1日平均150万枚以上を発券し、稼働率99.999%を掲げています。
- 2008年に電気学会の「でんきの礎」、2009年に情報処理学会の情報処理技術遺産、2025年5月20日にIEEE Milestoneに認定されました。中央処理装置は鉄道博物館が所蔵しています。
- 完成年月(1959年7月か11月か)、運用開始月(1960年1月か2月か)、当初の座席数、磁気ドラムの容量は出典によって違います。年まで書くなら「1960年」で全出典が一致します。
MARS-1とは:国鉄の指定席予約を機械化した最初のシステム
MARS-1は、国鉄が実際の予約業務に使った最初の座席予約システムです。JRシステムは「手作業による予約販売業務をコンピュータ化するための試作機」と位置づけています。予約を受けると中央装置が空席を探して座席を確保し、結果を駅の窓口装置へ返しました。切符そのものを機械で発行するようになるのは、後継のMARS 101からです。
回転台帳と電話で座席を割り当てていた導入前の予約業務
1950年代後半、高度経済成長で長距離列車の指定席の需要が増え、主要駅の窓口は混雑していました。当時の指定席は、担当者が回転テーブルに載せた予約台帳を確認し、空席の状況を電話で駅に伝える方式で管理されていました(日立が紹介している『日本国有鉄道百年写真史』の写真による)。
IEEE Milestoneの提案書は、この方式の問題を3点挙げています。電話で受けて台帳に手書きするため時間がかかること、多数の申込みを同時にさばけず座席の割り当てに融通が利かないこと、人為的な誤りによる二重予約(ダブルブッキング)が起きやすいことです。MARS-1は、この3点をコンピュータで解消するために作られました。
MARS-1の開発経緯:穂坂衛の着想・Bendix G-15での研究・日立での製作
発案者は鉄道技術研究所の穂坂衛です。穂坂は1952年にフルブライト留学生としてMITへ渡り、帰国後にコンピュータで座席予約を処理する構想をまとめました。着想の逸話としては、2026年5月の記念講演を報じたMONOistの記事が、鉄道総研グループのジェイアール総研情報システムの後藤浩一社長の話を伝えています。1955年の研究室旅行で座れずに車内を眺めていた穂坂に「座席の乗客の頭がビットに見えた」のがきっかけだといわれている、という内容です。講演資料や本人の回想そのものは公開されていないため、言い伝えとして読むのが妥当です。
開発の流れは次のとおりです。
- 1956年:自動制御研究室が発足し、国鉄本社の電気局通信課と座席予約システムの提案を始める
- 1957年:米国製の真空管式コンピュータBendix G-15を輸入し、大野豊らがリアルタイム処理の技術を研究
- 1958年:国鉄が日立製作所と開発契約を結び、戸塚工場で谷恭彦らが製作
- 1959年3月:東京駅に設置され、現地調整のあと8月から各種試験
穂坂らはBendix G-15でマイクロプログラミングの技術を学びましたが、MARS-1のハードウェアとソフトウェアは独自に設計しています。
1960年1月に始まった運用と当初の対象列車
IEEE Milestoneの提案書が引用する日本鉄道電気技術協会『マルス発展史』(2013年4月)によると、MARS-1は1960年1月18日から東海道本線の特急の予約に使われ始め、同年6月に2本が追加されました。電気学会「でんきの礎」の解説では、当初の列車は電車特急「こだま」で、6月に「つばめ」が加わっています。
予約を入力する窓口装置は、東京駅、上野駅、有楽町駅、新橋駅、渋谷駅、新宿駅、横浜駅など9か所に10組が置かれました。1961年2月には大阪駅と名古屋駅でも運用が始まり、MARS-1は1963年10月まで使われています。
情報処理学会によると、稼働率は初期の10か月が99.86%、その後は99.95%以上でした。穂坂のプロフィールページは、この予想以上の信頼性と性能を受けて、国鉄が全国の多数の列車を対象にした予約業務全体のコンピュータ化の研究にすぐ着手したと記しています。
MARS-1の仕組み:磁気ドラムに座席を記録した中央装置
1950年代の米国にはIBM 701(1952年発表)のような大型の計算機がありましたが、主な用途は科学技術計算でした。『マルス発展史』も、国内外の機種を調べた結果「当時の機種は科学技術計算用が主であった」と記しています。IEEE Milestoneの提案書は、汎用機の代表であるIBM System/360の発売が1964年だったことを挙げ、多数の端末から同時に予約を受けるリアルタイムシステムの部品を自分たちで作る必要があったと説明しています。
中央装置の部品構成と真空管が残った理由
情報処理学会コンピュータ博物館の解説によると、中央装置1台はトランジスタ1,000個、ダイオード4,500個、真空管70本で構成されていました。論理回路はダイオードによるAND-ORゲートと、クロックに同期する静的なフリップフロップが中心です。トランジスタ化した回路の中に真空管が残ったのは、当時は大電力用のトランジスタがなかったためです。
磁気ドラムの座席ファイルと900ビットのレジスタ
座席の記録には磁気ドラムを使いました。ドラムは直径300mm、長さ300mm、回転数は毎分3,000回転(1回転20ミリ秒)で、200トラックのうち10トラックをレジスタとして使っています。座席ファイルの容量は、情報処理学会の機種解説では40万ビット、同学会の情報処理技術遺産のページと日立の2009年のリリースでは60万ビットです。
空席の検索と更新を速くするため、1列車の各座席が空いているかどうかを示す900ビットのレジスタを2個使いました。これらのレジスタは、磁気ドラムの表面を遅延線として使う「再生循環レジスタ」として作られています。データをドラム上で循環させて保持する方式で、高価なフリップフロップの数を大幅に減らせました。
0.15秒の処理目標と二重系の照合による誤り検出
IEEE Milestoneの提案書によると、1日3,600席を15日先まで予約するために、中央装置での平均処理時間を0.15秒、入力と出力を含めた全体の処理時間を3秒以内にする必要がありました。この速度を出すため、トランジスタの静的回路と磁気ドラムを組み合わせています。
接続された各駅の窓口から予約が来るため、高い信頼性も必要でした。情報処理学会の解説では、誤りの検出を3段構えで行っています。
| 対象 | 方式 |
|---|---|
| 窓口との通信 | パリティチェック |
| 中央装置 | 2系統を並列に動かして結果を照合 |
| 座席ファイルの更新 | レコードのサムチェック |
提案書は、2系統の単純な論理回路で構成したことで、片方が故障しても残りの系統で動き続けられたと説明しています。予約の受付を止めないための冗長化は、現在の基幹システムでも同じ考え方で設計されます。稼働率などの要件を数値で決める手順は非機能要件の6大項目を数値化する解説で扱っています。
公衆回線を使えず鉄道電話で結んだ窓口との通信
当時の日本では、日本電信電話公社の公衆電話回線をデータ伝送に使うことが認められていませんでした。そこで国鉄は、自前の通信網である鉄道電話の回線を使って、東京駅の中央装置と各駅の窓口装置を結びました。データ通信のための回線を自前で持っていたことが、鉄道会社がオンラインシステムを先に実現できた条件の一つです。
出典で食い違うMARS-1の年月と数値
MARS-1について書かれた資料を読み比べると、完成年月や当初の座席数が出典ごとに違います。どれかが誤りというより、「完成」「設置」「試験開始」「営業開始」のどの時点を指すか、「処理能力」と「発売した座席数」のどちらを書くかが資料によって違うと考えられます。
| 項目 | 記述 | 出典 |
|---|---|---|
| 完成 | 1959年7月 | 鉄道総研・JRシステム・日立(2026年) |
| 完成 | 1959年11月 | 日立ニュースリリース(2009年) |
| 運用開始 | 1960年1月18日 | マルス発展史(ETHW提案書が引用) |
| 運用開始 | 1960年1月 | 情報処理学会(穂坂衛のページ)・電気学会 |
| 運用開始 | 1960年2月 | 情報処理学会(機種解説)・日立(2009年) |
| 当初の列車 | 特急「こだま」4個列車 | JRシステム |
| 当初の列車 | 「こだま」、6月から「つばめ」 | 日立(2009年) |
| 当初の列車 | 「つばめ」「はと」 | 情報処理学会(機種解説) |
| 座席数 | 2,320座席の発売を開始 | JRシステム |
| 座席数 | 1日3,600席・15日先まで | IEEE銘板・情報処理学会 |
| 磁気ドラム容量 | 40万ビット | 情報処理学会(機種解説) |
| 磁気ドラム容量 | 60万ビット | 情報処理学会(技術遺産)・日立(2009年) |
| 窓口装置 | 東京地区10か所 | 情報処理学会(機種解説) |
| 窓口装置 | 9か所に10組 | 電気学会「でんきの礎」 |
| MARS 501の稼働 | 2004年 | JRシステム(MARS紹介ページ) |
| MARS 501の稼働 | 2002年10月 | JRシステム(会社沿革) |
| MARS 501の稼働 | 2002年 | 情報処理学会 |
表で使った主な出典は次のとおりです。
- JRシステム「旅客販売総合システム MARS(マルス)」/同 会社概要・沿革
- 情報処理学会コンピュータ博物館「MARS-1」(機種解説)/同 情報処理技術遺産「MARS-1」/同 穂坂衛
- ETHW「MARS-1 — First Automated Railway Booking System, 1960」(IEEE Milestoneの提案書と銘板文)
- 電気学会「でんきの礎」マルス1/みどりの窓口の先がけ(PDF)
- 日立ニュースリリース(2009年2月23日)/鉄道総研・JRシステム・日立のお知らせ(2026年5月27日・PDF)
引用するときの判断は次のとおりです。
- 年だけを書く:運用開始は「1960年」と書けば、すべての出典と一致します。IEEE Milestoneの銘板もこの書き方です。
- 月まで書く:どの出典に従ったかを必ず併記します。『マルス発展史』を引用したETHWの提案書では、運用開始日を1960年1月18日としています。
- 座席数を書く:3,600席は1日に扱える量、2,320座席は実際に発売を始めた座席数として書かれています。「3,600席を発売した」と混ぜて書かないようにします。
- 窓口装置の数を書く:「10か所」と「9駅」は設置場所数の記述が異なり、「9か所に10組」という説明だけでは一致したとは判断できません。装置の組数と設置場所の数を区別します。
MARS-1と航空会社の予約システムの違い
オンライン予約は航空会社のほうが早く始めました。IEEE Milestoneの提案書は、アメリカン航空が1953年に導入したMagnetronic Reservisor(TMR)を比較対象に挙げています。TMRは便ごとに予約済みの席数を記録するだけで、どの座席が空いているかは管理していませんでした。
提案書が挙げるMARS-1との主な違いは次の4点です。
| 観点 | TMR(航空) | MARS-1(鉄道) |
|---|---|---|
| 記録する単位 | 便ごとの予約数 | 座席1つずつの状態 |
| 座席の指定 | なし | 窓側や隣り合う席を割り当て |
| 途中駅 | 直行便のため不要 | 途中駅からの乗降を処理 |
| 乗り継ぎ | 対応しない | 乗り継ぐ列車の座席も予約 |
さらに鉄道には、乗車日の15日前の決まった時刻に予約の受付が始まり、アクセスが集中するという事情がありました。航空会社の本格的なオンライン予約は、アメリカン航空とIBMのSABREです。IBMの社史によると、1953年に両社の担当者が大陸横断便で隣り合わせたことが開発の起点で、全米60都市の予約窓口1,100か所を結んで稼働したのは1964年です。MARS-1の運用開始より4年後にあたります。
そのため「MARS-1は世界初のオンライン予約システム」と書くのは言い過ぎです。情報処理学会の評価は「列車で座席位置まで含めた予約管理を実現したのは世界でも初めて」、IEEEの銘板は「最初の自動化された鉄道予約システム」です。紹介するときは「鉄道で」「座席の位置まで」という範囲を付けて書くのが正確です。
1件の予約を受けて空席を確かめ、確保し、結果を返すまでを即座に終える処理は、現在ではOLTP(オンライントランザクション処理)と呼ばれます。考え方はOLTPとOLAP・DWHの違いの解説、二重予約を防ぐ仕組みはトランザクションの分離レベルとACIDの解説で扱っています。
MARS-1から現在のMARS 505までの系譜
MARS-1は1964年に後継のMARS 101へ役割を引き継ぎました。JRシステムの公式ページと情報処理学会コンピュータ博物館の解説をもとに、主な世代を整理します。
| 稼働年 | 世代 | 主な変化 |
|---|---|---|
| 1960 | MARS 1 | 試作機。東海道本線の特急 |
| 1964 | MARS 101 | プログラム内蔵の実用機。自動発券 |
| 1965 | MARS 102 | みどりの窓口の開設。新幹線も利用 |
| 1968 | MARS 103 | 専用機から汎用機へ |
| 1969 | MARS 201 | 団体旅行の予約専用 |
| 1972 | MARS 105 | 1日70万席。予約期間を最大2か月に |
| 1975 | MARS 150・202 | 電話予約、団体・企画商品 |
| 1985 | MARS 301 | 旅客販売総合システムへ統合 |
| 1993 | MARS 305 | 超大型汎用機2台・ホットスタンバイ |
| 2002 | MARS 501 | ICカード定期券、自販機型のMV端末 |
| 2020 | MARS 505 | ネット販売・チケットレス・インバウンド |
MARS 101は1964年2月23日に使用を始めました。情報処理学会によると、当初は4列車2,400座席で、翌1965年3月には72列車32,000座席に広がっています。1965年10月にMARS 102が加わり、全国152駅に「みどりの窓口」が開設されました。1972年9月のMARS 105は、新幹線の博多延長と東北・上越新幹線の開業に備えて作られ、1日70万席で稼働を始め、1974年10月には140万席に増強されています。1985年のMARS 301は、指定券だけでなく普通乗車券や定期券、団体・企画商品までを扱う「旅客販売総合システム」になりました。1987年の国鉄分割民営化で、MARSの開発と運営はJRシステムが引き継いでいます。
MARS 305の運用開始は、JRシステムの会社沿革では1993年2月です。MARS 501は、JRシステムのMARS紹介ページでは2004年、同社の会社沿革では2002年10月の運用開始とされ、情報処理学会も2002年としています。上の表では会社沿革の年を採りました。
現在のMARSの処理規模
JRシステムの公式ページによると、MARS 505には駅やみどりの窓口の端末約5,600台と旅行会社の端末約2,700台、合わせて約8,300台がつながっています。同社の英語版サービス紹介では約10,000台としており、集計の時点が違うとみられます。1日平均の発券枚数は150万枚以上で、ピーク時には毎秒250コールを受け、平均6秒で1枚を発券できます。
MONOistが報じた記念講演の内容では、JRシステムの金子正美上席執行役員が、2025年度は1日平均1,060万件のアクセスがあり、1日平均100億円を扱い、2008年度以降の稼働率は99.999%以上だと説明しています。この年度別の数値はJRシステムの公式ページには載っていないため、報道ベースの値として扱ってください。
えきねっと・e5489などのネット予約とMARSの関係
MARSは、みどりの窓口の端末だけでなく、大手旅行会社のホストコンピュータや駅の券売機ともオンラインでつながっています。JRシステムは、MARS 505の機能強化の目的として「JR各社のインターネット販売、チケットレス乗車等の施策」への対応を挙げています。JR東日本のえきねっとやJR西日本のe5489は、このJR各社のインターネット販売にあたるサービスです。
窓口とネットで同じ座席を二重に売らないためには、共通の在庫情報に対する予約確定処理の競合を制御する必要があります。在庫を集約しても、同じ空席を同時に確保できる実装では二重予約を防げません。MARS 301以降のMARSは、在庫管理サブシステム(SRS)を持つ構成です。在庫を1か所に集め、そのうえで確定処理の競合を制御するという順序は、自社で予約システムを作る場合にも出発点になります。設計の進め方は予約システム開発の進め方の解説で扱っています。
MARS-1の評価と実物:情報処理技術遺産とIEEE Milestone
MARS-1は、国内の「でんきの礎」と「情報処理技術遺産」、国際的なIEEE Milestoneで歴史的な技術として顕彰・認定されています。
でんきの礎と情報処理技術遺産、鉄道博物館の中央処理装置
電気学会は2008年の第1回「でんきの礎」に、MARS-1を「みどりの窓口の先がけ」として選びました。顕彰先は鉄道博物館(さいたま市大宮区)で、中央処理装置、制御盤、入出力装置の写真が載っています。
情報処理学会は2009年2月23日に情報処理技術遺産の認定制度を始め、2008年度分として23件を認定しました。MARS-1は「国鉄座席予約システム」としてその1件に入り、認定証の授与式は2009年3月2日に国立科学博物館で開かれています。日立の2009年のリリースでは、所有者は東日本旅客鉄道です。後継のMARS-101の中央装置群と端局装置も2009年度の情報処理技術遺産で、こちらは国立科学博物館が所蔵しています。展示の状況は、見学前に各館で確認してください。
2025年のIEEE Milestoneと銘板の設置場所
MARS-1は2025年5月20日にIEEE Milestoneに選定されました。IEEE Milestoneは、開発から25年以上たち、社会や産業の発展に大きく貢献した技術を表彰する制度で、1983年に創設されています。日本の認定は2026年2月までに66件で、八木・宇田アンテナや東海道新幹線も含まれます。
銘板の文言は「1960年、日本国有鉄道は最初の自動化された鉄道予約システムであるMARS-1を導入した」で始まります。当初の1日3,600席・15日先までの予約に加え、後継機を含むMARSの発展として、1965年の新幹線への対応と1991年の1日100万枚以上の販売が記されています。2026年5月18日には東京都港区のTAKANAWA GATEWAY Convention Centerで贈呈記念式典が開かれ、鉄道総合技術研究所、JRシステム、日立製作所の3者に銘板が贈られました。
ETHWの提案書は、銘板の設置場所をJRシステム(東京都国分寺市光町)の展示室の入口ホールとし、展示室に入るには許可が必要だと書いています。複製を国立科学博物館と鉄道博物館に置く予定とも記されています。いずれも提案時点の計画なので、見学する場合は事前に確認してください。
よくある質問
MARS-1の「MARS」は何の略ですか?
Magnetic-electronic Automatic Reservation Systemの略で、「1」は最初の機械であることを示します。読みはマルスワンです。磁気ドラム(magnetic)と電子回路(electronic)で予約を自動処理する仕組みが名前に表れています。
MARS-1の実物はどこで見られますか?
中央処理装置は鉄道博物館(さいたま市大宮区)が所蔵しています。後継のMARS-101は国立科学博物館(東京・上野)の所蔵です。IEEE Milestoneの提案書では、銘板をJRシステムの展示室(国分寺市)に設置する計画とされています。現在の設置状況と見学条件は、訪問前に確認してください。
MARS-1はいつから使われましたか?
1960年です。月は出典によって1月と2月に分かれ、日本鉄道電気技術協会『マルス発展史』を引用したETHWの提案書では、運用開始日を1960年1月18日としています。1964年にMARS 101へ引き継がれました。
マルスは現在もJRで使われていますか?
使われています。2020年からMARS 505が稼働中で、JRシステムのMARS紹介ページでは接続端末数を約8,300台としています。1987年の国鉄分割民営化以降、開発と運営は鉄道情報システム(JRシステム)が引き継ぎました。
MARS-1は世界初のオンライン予約システムですか?
範囲を付ければ正しい表現です。航空会社ではアメリカン航空が1953年に予約数を管理する電子システムを導入しており、オンライン予約全体で世界初とはいえません。情報処理学会は、列車で座席の位置まで含めた予約管理を実現した点を世界初と評価しています。