業務システム

Built on Workdayとは?PwCコンサルティングの国内展開とMarketplace掲載アプリの中身

Built on Workdayとは?PwCコンサルティングの国内展開とMarketplace掲載アプリの中身

Built on Workdayは、Workdayのパートナー企業がWorkdayプラットフォーム上で目的特化型のアプリを開発し、Workday Marketplaceで配布・販売できるようにするプログラムです。Workdayが2024年6月5日に発表し、日本では2026年1月27日にワークデイが国内での本格展開を始めました。続く2026年3月3日、PwCコンサルティングが「国内初のサービスパートナー」として日本市場向けの展開を始めると発表しています。

出典:Workday(2024年6月5日)、ワークデイ(2026年1月27日)、PwCコンサルティング(2026年3月3日)

この記事では、プログラムの仕組み、PwCコンサルティングの発表で確定している内容と書かれていない内容、PwCがすでにMarketplaceに掲載している海外向けアプリの中身を、一次情報に絞って整理します。

まとめ:Built on WorkdayとPwC国内展開の要点

  • 仕組み:パートナーが人事・財務領域のアプリを開発し、Workday Marketplaceで提供・販売します。アプリはWorkdayのコアアプリケーションと同じプラットフォーム上で動きます。
  • 国内の動き:2026年1月27日にワークデイが国内本格展開を開始し、3月3日にPwCコンサルティングが国内初のサービスパートナーとして参入しました。
  • PwCの初回リリース:部門やツールごとに分かれていた人材評価とフィードバックを集めて可視化し、育成に使う仕組みを目指すと発表しています。提供開始日と価格は発表に書かれていません。
  • 既存アプリの傾向:PwCがMarketplaceに掲載しているアプリには、英国のHMRCやSMCRなど特定の国の制度を前提にしたものが目立ちます。日本での利用可否は、各アプリの対象制度、対応言語、提供地域、契約条件を確認して判断します。
  • 判断の起点:Workdayを使っていない企業は対象外です。Workday利用企業は、標準機能の設定で足りないかを先に確かめ、そのうえで日本版アプリのMarketplace掲載と保守の分担を確認します。

以下、仕組み、PwCの発表内容、既存アプリ、導入前の確認事項の順に説明します。

Built on Workdayの仕組みと国内展開までの経緯

パートナー製アプリをWorkday Marketplaceで配布する仕組み

Workdayの2024年6月5日の発表は、Built on Workdayを「partners to easily build, centrally manage, and market trusted finance and HCM apps」を可能にするプログラムと説明しています。一度作ったアプリを多くの顧客に配る「build once, distribute to many」という考え方で、パートナーはコストを比例して増やさずに収益を伸ばせる、というのがWorkday側の位置づけです。

対象領域として同じ発表は、財務、人事プロセス、計画、給与、スキル、ワークフォース管理、支出管理に加え、金融、ヘルスケア、高等教育、公共、小売などの業種向けソリューションを挙げています。日本語の公式ページは、Built on Workdayアプリが「コア アプリケーションと同じ信頼性の高いプラットフォーム上で稼働する」ため、統合されたユーザー体験と一貫したガバナンスが得られると説明しています。

2024年6月の発表から2026年3月のPwC参入までの時系列

日付 出来事 出典
2024年6月5日 Workday DevCon 2024でBuilt on Workdayを発表 Workday newsroom
2024年6月 一部のアーリーアダプターのパートナーに同月中の提供開始を予定と発表 同上
2024年後半 参加パートナーを拡大する予定と発表 同上
2025年8月21日 PwCがヘルスケア・金融・プロフェッショナルサービス向けアプリの開発拡大を発表 PwC
2026年1月27日 ワークデイが国内で本格展開を開始 ワークデイ
2026年3月3日 PwCコンサルティングが国内初のサービスパートナーとして展開開始を発表 PwCコンサルティング

2026年1月27日のワークデイの発表は、パートナーが作るアプリの例として、業界特有のコンプライアンスレポート、高度にカスタマイズした出張・経費精算の拡張、特殊な要件に対応するタレントマネジメントを挙げています。同じ発表には、国内で参画するパートナーとしてコーン・フェリー・ジャパン、チームスピリット、PwCコンサルティングの3社のコメントが載っています。

Workday Extendで自社開発する場合との違い

Workday Extendは、顧客企業が自社の要件に合わせた人事・財務アプリを作るための開発基盤です。Workdayの開発者向けページ「Workday Build」は「Create custom HR and finance apps that meet your unique needs with Workday Extend.」と説明しています。Workdayの導入ガイド「Workday Extend: a Jump-Start Guide」では、EssentialsとProfessionalの2つのプランが示されています。Extendは自社の要件に合わせて作る道具で、Built on Workdayはパートナーが作ったアプリを買って入れる仕組み、という分担になります。

顧客側にExtendのライセンスが要るかどうかについて、Workday自身の公開ページに明記された記述は確認できませんでした。WorkdayパートナーのIntecrowdは「These apps do not require an Extend license, as the runtime is included in the subscription.」と説明しています。ライセンスの扱いは契約で決まるため、購入前にWorkdayかパートナーへ書面で確認するのが確実です。Marketplace経由で購入したアプリは、インストールと使用の前にWorkdayの「Built on Workday 規約」に同意する必要があると、Workdayの日本語サイト規約に書かれています(出典:Workday サイト規約、Intecrowd)。

PwCコンサルティングの2026年3月3日発表の内容

PwCの「国内初」「国内唯一」の対象範囲

発表の見出しにある「国内初」は、Built on Workdayアプリのサービスパートナーとして日本で初めて、という意味です。本文中の「国内唯一」には条件が付いています。原文は、Workdayの導入支援から運用・保守、さらにBuilt on Workdayアプリの開発・提供までを「一体で担う国内唯一のサービスパートナー」という書き方です。Built on Workdayに参加している日本の企業がPwCだけ、という意味ではありません。実際、1月27日のワークデイの発表には、職務・スキルデータの活用を掲げるコーン・フェリー・ジャパンと、勤怠などの「TeamSpirit」とWorkday HCMの連携を掲げるチームスピリットも国内の参画パートナーとして名を連ねています。

初回リリースの対象:人材評価とフィードバックの統合

初回リリースについて発表は、部門やツールごとに分断され、十分に活用されていなかった人材評価やフィードバックを統合的に収集・可視化し、人材育成や能力開発に活用できる仕組みの実現を「目指します」と書いています。製品名、提供開始日、価格、対応する評価手法は発表に含まれていません。

参考になるのは、PwCがすでにMarketplaceに掲載している「360 Feedback」です。上司、マトリクス組織の上司、同僚、直属の部下からフィードバックを集める360度評価のアプリで、初回リリースと領域が重なります。ただし、日本の初回リリースがこのアプリの日本版なのかどうかは、発表には書かれていません。

提供価値として挙げているのは次の3点です。

  • 周辺システムやツールとの統合による、ITコストと運用負荷の最適化
  • グローバルで統一された人材マネジメント基盤と、日本独自の要件への対応の両立
  • WorkdayのAIプラットフォーム上でのデータ活用による、人材マネジメントの高度化と意思決定の迅速化

評価データをWorkdayの外の表計算やサーベイツールで管理している企業が主な対象と読めます。評価制度そのものの設計や、評価システムの選び方は人事評価システムの比較で扱っています。

PwCの開発方針:既存アプリの日本向け対応と国内固有課題への対応

今後の計画として発表は2つを挙げています。1つは、PwCがグローバルで展開しているBuilt on Workdayアプリの日本版の開発です。もう1つは、日本のWorkdayユーザー企業が直面する人材マネジメントや人事業務の日本特有の課題に対応するアプリを、ワークデイとの協議を通じて順次開発することです。あわせて、情報発信や活用事例の共有を通じて、国内のパートナーとユーザー企業のエコシステムを広げるとしています。

PwCがWorkday Marketplaceに掲載している既存アプリ

PwCは2025年8月21日に、ヘルスケア、金融サービス、プロフェッショナル・ビジネスサービス向けのアプリを開発してWorkday Marketplaceに掲載する提携拡大を発表しています。2026年3月の国内発表も、グローバルで提供しているアプリの詳細としてMarketplaceを案内しています。2026年10月8日にMarketplaceのアプリページで確認できた、提供元がPwCのアプリは次のとおりです(すべてのPwC製アプリを網羅した一覧ではありません。出典:Workday Marketplaceの各アプリページ、PwC(2025年8月21日))。

アプリ名 対象業務 前提にする制度・仕組み
360 Feedback 多面評価の収集 上司・同僚・部下からの評価
Segregation of Duties and Sensitive Access 職務分掌と機密アクセスの監視 Workdayのセキュリティ設定
Unified Incentive Compensation Manager インセンティブ報酬の計算 報酬プランと計算用データ
Financial Services Remuneration Regulations 金融業の報酬規制対応 金融業の報酬規制
Financial Services Regulation Compliance 金融業の責任者制度対応 SMCR
P11D 給付の申告書作成と提出 英国HMRC
Right to Work 就労資格の確認 就労資格の定期確認
Works Council Suite 従業員代表機関との協議管理 Works Council
Security Suite Workdayの権限申請と監査 Workdayのセキュリティ設定
Recurring Time Off Scheduler 定期的な休暇申請 Workdayの休暇残高
Automated No Show Process No Show処理の自動完了 Workdayの業務プロセス
Interview Scheduler 面接日程の調整 Workdayの採用
Benefits+ 福利厚生の拡張 Workdayの福利厚生

目立つのは、特定の国の制度に結びついたアプリです。P11Dは英国の歳入関税庁(HMRC)のゲートウェイと連携して、P11DとP11D(b)のデータをWorkdayから直接提出する機能をうたっています。Financial Services Regulation Complianceは英国の金融業向け制度であるSMCRへの対応を自動化するアプリです。こうしたアプリは、そのままでは日本の制度に当てはまりません。ただし、PwCの発表は、日本版開発の理由を海外制度への対応に限定していません。

一方、360 Feedback、Security Suite、Recurring Time Off Schedulerのように、特定の国の制度名を前提にしていないアプリもあります。日本版がどの順番で出るかは発表に書かれていないため、検討する企業はPwCに個別に確認する必要があります。

Marketplaceにはほかのパートナーのアプリも並んでいます。2026年10月8日時点では、KPMGのKPMG Separation of Duties(Workday上での職務分掌の分析)、CloudRockのWorkplace Adjustment Passport(職場での配慮の申請)、Makse GroupのPaid When Paid(顧客からの入金に合わせた仕入先への支払い)などを確認できます。

日本企業が導入を検討するときの確認事項

PwC国内向けアプリの提供・価格・掲載・保守の確認事項

2026年3月3日の発表とMarketplaceの掲載内容からは、次の情報がわかりません。導入の検討に入る前に、PwCコンサルティングかワークデイに確認する必要があります。

  • 提供開始日:初回リリースは「実現を目指します」という表現で、日付は示されていません。
  • 価格と契約の相手:アプリの料金、Workdayの契約との関係、PwCの導入支援の費用は発表にありません。
  • 日本版のMarketplace掲載:2026年10月8日に確認したPwCのアプリページは英語で、日本の制度を対象にしたものは見当たりませんでした。
  • 契約と保守の分担:Built on Workday規約、アプリの利用契約、PwCの導入支援契約の関係と、アプリの不具合、Workday本体の更新への追従、テナント固有の設定を誰がどこまで受け持つかです。

Built on Workdayアプリを選ばないほうがよい場面

Workdayを導入していない企業には、そもそも対象になりません。Built on WorkdayアプリはWorkdayのプラットフォーム上で動くことが前提だからです。人事システムの選定から始める段階なら、人事管理システムの機能と種類や、SAP SuccessFactorsのような他社スイートとの比較が先になります。

Workday利用企業でも、要件がWorkdayの標準機能と設定で満たせるなら、アプリを足す理由はありません。追加のアプリでは、既存契約との関係と、提供パートナーが担うサポート範囲の確認が必要です。既存アプリの設定では満たせない自社固有の要件があり、開発・保守の予算と体制を確保できる場合は、Extendによる個別開発を検討します。開発は認定パートナーにも依頼できます。Built on Workdayアプリが効くのは、複数のWorkday利用企業に共通し、標準機能では満たせない要件を、既存アプリの機能と設定で満たせる場面です。日本特有の制度や商習慣への対応は、その一例です。

よくある質問

Built on Workdayとは何ですか?

Workdayのパートナー企業が、人事・財務領域の目的特化型アプリをWorkdayプラットフォーム上で開発し、Workday Marketplaceで提供・販売できるようにするプログラムです。Workdayが2024年6月5日に発表しました。

Built on Workdayアプリを使うのにWorkday Extendのライセンスは必要ですか?

Workday自身の公開ページでは明記を確認できませんでした。パートナーのIntecrowdは、ランタイムがアプリのサブスクリプションに含まれるためExtendライセンスは不要と説明しています。契約条件で変わりうるため、購入前にWorkdayかパートナーへ確認してください。

PwCコンサルティングのBuilt on Workdayアプリはいつから使えますか?

2026年3月3日の発表には提供開始日が書かれていません。初回リリースは人材評価とフィードバックの統合を「目指す」とされている段階です。日程はPwCコンサルティングに確認してください。

Workday Marketplaceとは何ですか?

Workdayの公式製品や機能拡張、パートナーが開発したアプリ、外部システムとの連携コネクターを探して導入するための場です。Built on Workdayのアプリもここで提供・販売されます。

PwC以外にBuilt on Workdayアプリを出しているパートナーはありますか?

あります。2026年10月8日時点のWorkday Marketplaceには、KPMG、CloudRock、Makse Groupなどのアプリが掲載されています。国内では、2026年1月27日のワークデイの発表にコーン・フェリー・ジャパンとチームスピリットが参画パートナーとして登場しています。

関連記事

お気に入りに入れた記事の一覧

資料請求

RELATED POSTS 関連記事

目次