Tera Termの最新バージョンは、2026年9月4日公開の5.7.0です(同梱のSSHモジュールはTTSSH 3.7.0)。いま4系や5.6.1以前を使っているなら、更新を急ぐ理由があります。2026年7月15日の5.6.2で修正されたTTSSH2のメモリ境界外アクセスの脆弱性(JVN#65294474)について、TeraTerm Projectは4系向けの修正予定はないと明記しています。
この記事では、GitHubのリリース情報と公式マニュアルをもとに、直近の版の変更点、インストール済みバージョンの確認方法、x64・x86・arm64の選び方、4系と5系の違い、移行でつまずきやすい箇所を順に整理します。
まとめ:Tera Termの最新バージョンと確認・更新の要点
- 最新版は5.7.0(2026年9月4日)。直前の安定版は5.6.2(2026年7月15日)です。
- 5.6.1以前と4系には既知の脆弱性があります。TTSSH2 3.6.1以前が対象で、5.6.2で修正済み、4系は修正予定なしです。
- バージョン確認はメニューの[Help]→[About Tera Term]。SSHモジュールの版は[Help]→[About TTSSH]で確認します。
- ダウンロードは公式GitHubのReleasesから。64ビット版Windowsならx64、Arm搭載PCならarm64を選びます。
- PuTTY形式(.ppk)のDSA・RSA・ECDSA鍵を使う場合は5.7.0に既知の不具合があります。公式の変更履歴に、5.7.0から鍵が正しく読み込まれない問題が未公開版の修正として載っています。該当する場合は5.6.2にとどめるか、鍵をOpenSSH形式に変換してから更新します。
- 4系から5系へは上書きではなく並行導入が安全です。5系はTERATERM.INIをUTF-16LE(BOM付き)に変換するため、4系と設定ファイルを共有すると文字化けすることがあります。
Tera Term 5.7.0の変更点とリリース履歴
Tera Termの版番号は「x.y.z」の3桁で、公式Q&Aによるとzが0の版(5.7.0など)が定期リリース、zが1以上の版(5.6.1、5.6.2など)が定期リリースから作られた安定版リリースです。直近7回のリリースは次のとおりです。
| 版 | 公開日 | TTSSH | 種別 | 主な変更 |
|---|---|---|---|---|
| 5.7.0 | 2026-09-04 | 3.7.0 | 定期 | シリアル送信サイズ制限・インストール範囲の選択 |
| 5.6.2 | 2026-07-15 | 3.6.2 | 安定 | TTSSH2の脆弱性(JVN#65294474)を修正 |
| 5.6.1 | 2026-04-28 | 3.6.1 | 安定 | ブロードキャストの改行コード・背景画像の色を修正 |
| 5.6.0 | 2026-02-28 | 3.6.0 | 定期 | PQCハイブリッド鍵交換・ダム端末・バイナリ受信 |
| 5.5.2 | 2026-01-21 | 3.5.2 | 安定 | 鍵交換失敗時のクラッシュなどを修正 |
| 5.5.1 | 2025-11-17 | 3.5.1 | 安定 | 鍵再交換後の切断・SCP低速化を修正 |
| 5.5.0 | 2025-09-16 | 3.5.0 | 定期 | curve25519-sha256鍵交換・Unicode 17.0 |
公式Q&Aでは、定期リリースは原則として2月末・8月末、安定版はセキュリティ上の問題や大きな不具合が見つかった場合に公開すると説明されています。公式の変更履歴には開発中の「5.8.0 not released yet」の節もありますが、未公開の版なので導入の判断には使いません。
5.7.0で変わった操作とインストーラー
5.7.0の主な変更は次の4点です。
- シリアル送信時の送信サイズ制限を実装(issue #1000)
- TeraTerm Menuのメモリ上のパスワード保護を強化(issue #1293)
- TTXttyrec・TTXttyplayの録画・再生機能を強化
- インストーラーで「全てのユーザー用にインストール」と「現在のユーザー用にインストール」を選べるようになった(issue #1156)
管理者権限のないPCへ入れる場合は、最後の「現在のユーザー用」が選択肢になります。細かい変更では、Shift+左クリックによる選択範囲の拡張・縮小の挙動が変わり、WebP画像を背景に読み込めるようになりました。不具合修正には、4.103から続いていた「マクロの受信待ちに待ち時間が入り応答が遅くなる」問題も含まれます。
一方で、5.7.0(TTSSH 3.7.0)には既知の不具合があります。公式の変更履歴の未公開版(TTSSH 3.8.0)の節に「PPK 形式の秘密鍵(DSA, RSA, ECDSA)が正しく読み込まれない問題を修正した。3.7.0 (Tera Term 5.7.0)からの不具合。」と記載されています。PuTTYgenで作った.ppk形式のDSA・RSA・ECDSA鍵で公開鍵認証をしている場合、修正版が出るまでは5.6.2を使い続けるか、鍵をOpenSSH形式に変換してから5.7.0へ上げてください。
5.6.2で修正されたTTSSH2の脆弱性(JVN#65294474)
TeraTerm Projectのセキュリティ勧告「TTSSH2 のメモリ境界外アクセスの脆弱性」(2026年7月15日公開)によると、TTSSH2 1.00 alpha1から3.6.1に、悪意あるサーバーや中間攻撃者から送られたパケットでメモリ境界外アクセスが起きる脆弱性がありました。Tera Termの版でいえば、UTF-8 TeraTerm Pro 2.05から5.6.1までが対象です。
影響として勧告が挙げるのは、隣接するメモリ領域の内容がサーバーへ送信される可能性と、Tera Termの予期しない動作や異常終了です。境界外への書き込みは一時的な「\0」の書き込みと元の値の書き戻しに限られ、攻撃者が内容を任意に制御できるものではないとされています。対応方法は「Tera Term 5系の最新版を利用」で、4系向けの修正予定はありません。
5.6.0で入ったPQCハイブリッド鍵交換とシリアル機能
5.6.0(TTSSH 3.6.0)では、耐量子暗号(PQC)と従来の楕円曲線暗号を組み合わせたハイブリッド鍵交換方式mlkem768x25519-sha256とsntrup761x25519-sha512(@openssh.com付きの名前も含む)に対応しました。OpenSSH 10.0ではクライアントの既定の鍵交換がmlkem768x25519-sha256になっています。接続先のOpenSSHが新しく、Tera Termも5.6.0以降であれば、同じ方式で鍵交換できます。ハイブリッド方式の考え方はハイブリッド暗号方式の仕組みとPQC移行の解説で扱っています。
同じ5.6.0では、組み込み機器やネットワーク機器を扱う人向けの変更が多く入りました。
- Terminal IDに「dumb」を追加し、ダム端末のエミュレーションに対応
- シリアルポート設定でRTS・DTRの制御信号のlow/highを切り替えられ、RTS・DTRのフロー制御も設定可能に
- 高ビットレートのシリアル接続で受信データが欠落しにくくなった
- バイナリデータを受信してファイルに保存する機能([File]→[Receive file…]とマクロコマンド
recvfile)を追加 - Unicodeのコードポイントごとに文字幅を指定できるようになった
インストール済みTera Termのバージョン確認方法
Tera Termを起動し、メニューの[Help]→[About Tera Term…]を開くと本体の版が表示されます。SSHで接続しているなら、[Help]→[About TTSSH]も見てください。TTSSHの版に加え、5.6.0以降は接続中の鍵交換方式について、DHグループや楕円曲線の情報まで表示されるようになりました。PQC方式で接続できているかはここで確かめられます。
判定の目安は次の2つです。
- 本体が5.6.1以前(TTSSHが3.6.1以前)なら、JVN#65294474の対象です。
- 本体が4.xなら4系です。4系の最終版は4.108(2023年12月18日公開、TTSSH 2.94)で、以後の更新はありません。
Tera Termのダウンロードとアップデート手順
配布元は公式GitHubリポジトリ(TeraTermProject/teraterm)のReleasesページです。5.7.0のページには、アーキテクチャごとのインストーラー(.exe)、ポータブル版(.zip)、デバッグ用シンボル(_pdb.zip)、チェックサム(.sha256sum・.sha512sum)が並んでいます。通常の利用で_pdb.zipは不要です。
x64・x86・arm64の選び方
公式マニュアルの動作環境ページには、各版の動き方が次のように書かれています。
| 配布ファイル | ネイティブで動くWindows | WOW64経由で動くWindows |
|---|---|---|
| x64 | x64(64ビット版) | Windows 11以降のARM64版 |
| x86 | x86(32ビット版) | x64版・ARM64版 |
| arm64 | ARM64版 | なし |
一般的なWindows 10・11のPCならx64、Snapdragon搭載などArm系のPCならarm64を選んでください。x86を選ぶのは32ビット版Windowsのときだけで十分です。対応OSはWindows 7、8、8.1、10、11と、Windows Server 2012・2012 R2です。
インストーラー版とポータブル版の違い
設定ファイルの置き場所が違います。インストーラー版は%APPDATA%\teraterm5にTERATERM.INIなどの設定ファイルを置き、動作ログやダンプは%LOCALAPPDATA%\teraterm5に置きます。ポータブル版はttermpro.exeと同じフォルダにportable.ini(中身は空でよい)を置くことでポータブル動作になり、設定ファイルもexeのあるフォルダに置きます。USBメモリから起動する用途や、インストールせずに試す用途はポータブル版が向いています。
ダウンロードファイルのSHA256照合手順
社内配布用に取得する場合は、同じページのteraterm-5.7.0.sha256sumと照合すると、取得したファイルが公開ハッシュ値と一致するか確認できます。ただし、ファイルと照合元のハッシュ値が両方差し替えられた場合は検出できません。PowerShellでダウンロード先のフォルダを開き、次のコマンドを実行します。別のフォルダから実行する場合は、ファイル名を保存先のフルパスに置き換えてください。
Get-FileHash .\teraterm-5.7.0-x64.exe -Algorithm SHA256
表示されたハッシュ値を、.sha256sumの該当行(*teraterm-5.7.0-x64.exeの行)と見比べます。コマンドプロンプトならcertutil -hashfile teraterm-5.7.0-x64.exe SHA256でも同じ値が得られます。
5系どうしのアップデートとwinget
5.x系の中での更新は、新しいインストーラーを実行して上書きします。設定は%APPDATA%\teraterm5に残るので、上書き後もそのまま引き継がれます。
wingetのパッケージIDはTeraTermProject.teraterm5です。
winget upgrade --id TeraTermProject.teraterm5 -e
ただし2026年9月26日時点で、winget-pkgsに登録されている最新は5.6.2で、5.7.0はまだありません。wingetで更新しても5.7.0にはならないので、急ぐ場合はGitHubから直接取得してください。
アンインストールの手順
インストーラー版は、コントロールパネルの「プログラムと機能」から削除するか、インストール先のunins000.exeを実行します。公式マニュアルは、その後にコントロールパネルの「フォント」から「Tera Special」フォントを削除するよう案内しています。ポータブル版はフォルダを削除します。Tera Specialフォントを手動で導入していた場合はそのフォントも削除し、TeraTerm Menuがレジストリに設定を保存していた場合は該当設定(HKEY_CURRENT_USER\Software\ShinpeiTools\TTermMenu)も削除します。
Tera Term 4系と5系の違い
4系と5系の差は、見た目より中身が大きいです。公式マニュアルの比較ページと変更履歴から、実務で差が出る項目を抜き出しました。
| 項目 | 4系(4.108) | 5系(5.7.0) |
|---|---|---|
| 最終・最新の公開日 | 2023-12-18 | 2026-09-04 |
| JVN#65294474 | 修正予定なし | 5.6.2で修正済み |
| Unicode対応 | 単一言語のみ | 多言語を同時表示 |
| curve25519-sha256 | 非対応 | 5.5.0で対応 |
| PQCハイブリッド鍵交換 | 非対応 | 5.6.0で対応 |
| 配布アーキテクチャ | 1種類 | x86・x64・arm64 |
| LogMeTT・TTLEditor・Collector | 同梱 | 5.0で削除 |
| 動作環境 | Windows 7より前も対象 | Windows 7以上 |
4系が「単一言語」なのは、内部でUnicode(UCS-2)とMBCSを相互変換していたためです。例えば、日本語を表示する設定では中国語を同時に表示できないなど、多言語の混在表示に制約がありました。5.0(2023年10月15日)で内部処理がUnicode化され、この制約がなくなっています。
4.108が最終版になった経緯
4系の最後の更新は4.108で、OpenSSHの「strict key exchange」拡張に対応し、Terrapin攻撃(CVE-2023-48795)への対策を入れた版です。5.0と4.107が同じ2023年10月に、5.1と4.108が同じ2023年12月にGitHubで公開されて以降、4系の新版は出ていません。
SSHの鍵交換方式の差
SSH接続で問題になりやすいのはこの差です。TTSSHがcurve25519-sha256に対応したのは3.5.0(Tera Term 5.5.0、2025年9月)で、PQCハイブリッド方式は3.6.0(5.6.0)からです。4系のTTSSH 2.94はどちらにも対応していません。サーバー側で鍵交換方式を新しいものに絞っていると、4系からは鍵交換の段階で接続できなくなります。サーバー側の設定の考え方はSSH接続の仕組みと安全な運用設定、OpenSSHの版の確認はOpenSSHの最新バージョン確認とアップデート手順を参照してください。
LogMeTT・TTLEditor・Collectorの削除
4系のインストーラーに同梱されていたLogMeTT(マクロによる自動操作を支援するランチャー)、TTLEditor(マクロ編集ツール)、Collectorは、5.0の変更履歴に「LogMeTT, TTLEditor, Collector を削除した」と記載されています。公式の移行ガイドは、これらはソースが公開されておらずオープンソースライセンスでもないことを理由に挙げています。5系のインストーラーには含まれないため、これらを業務手順に組み込んでいる場合は、5系への移行前に代わりの手順を決めておく必要があります。マクロ(.ttl)自体は5系でもテキストファイルとして編集・実行できます。
4系を使い続けてよい条件と、移行でつまずく箇所
結論からいえば、SSH接続に使っている4系は5系へ移すべきです。JVN#65294474はSSH接続で受信するパケットの処理にある脆弱性で、4系には修正が出ません。一方、ネットワークにつながない検証機でシリアル接続だけに使っている4系は、この脆弱性の経路を通りません。その場合は、マクロや手順書の改修が済むまで移行を後回しにする判断もありえます。
公式の変更履歴とQ&Aから、移行前に確認したい4点を挙げます(5.7.0のPPK鍵の不具合は前述のとおりです)。
TERATERM.INIの4系との共有による文字化けリスク
公式Q&Aによると、5系は4系のTERATERM.INIを読み込めますが、読み込んだ際にUTF-16LE(BOM付き)に変換します。4系もOSの文字コード変換を通じてUnicode版のiniファイルを読み書きできますが、ANSIとUnicodeの間で変換できない文字は化けます。並行運用する間は、4系と5系で別々のINIを持たせ、5系のINIは%APPDATA%\teraterm5側に置いたままにしてください。
5.7.0でのコマンドライン・マクロ指定認証情報のUTF-8送信
TTSSH 3.7.0(Tera Term 5.7.0)では、RFC 4252に準拠するため、コマンドラインやマクロコマンドで指定したユーザー名とパスワードをUTF-8で送信するよう修正されました。ASCII文字だけのアカウントなら影響はありません。日本語などの非ASCII文字をユーザー名やパスワードに含み、マクロで自動ログインしている環境では、5.7.0へ上げたときにログインの挙動が変わる可能性があるので、本番の前に検証機で試してください。
ペースト文字列のログ二重記録と設定による回避
クリップボードから貼り付けた文字列が、ログに二重に記録されることがあります。5.3で追加された設定BracketedControlOnly=onをTERATERM.INIの[Tera Term]セクションに設定すると、改行などを含まない文字列を貼り付けたときの二重記録がなくなります。ログを証跡として提出する運用では、移行時にこの設定を入れておくと差分確認の手間が減ります。
5.7.0での別フォルダからのプラグイン読み込み制限
5.7.0では、TERATERM.INIのPluginセクションにファイル名を直接書いてttermpro.exeのあるフォルダ以外からプラグインを読み込む方法が使えなくなりました。プラグインファイル名の扱いも、8.3形式の短いファイル名から通常の長いファイル名に変わっています。独自プラグインを別フォルダに置いている場合は、Tera Termのフォルダへ移してから5.7.0へ上げてください。
Tera Termのライセンスと商用利用
Tera Term本体とTTSSHは三条項BSDライセンスで配布されています(同梱のCygTerm+のみGPL v2)。公式Q&Aには、実行プログラムやソースコードの商用利用について「まったく問題ありません。連絡も不要です」と書かれています。社内PCへの一括導入や、業務手順書にスクリーンショットを載せることも許可されています(TeraTerm Projectによる承認・提携があると誤認させる表示は不可)。
海外拠点へ配布する場合は輸出規制に注意します。Tera Termには米国製のモジュールが含まれ、ECCN 5D002(暗号ソフトウェア)として米国輸出管理規則(EAR)の対象になる場合がある、と公式Q&Aは説明しています。日本国外でのダウンロードは再輸出とみなされるため、利用者自身の判断で法令を確認する必要があります。
よくある質問
Tera Termは無料で使えますか?
無料です。三条項BSDライセンスで配布されており、公式Q&Aは商用利用も「まったく問題ありません。連絡も不要です」としています。
Tera Term 5と4の違いは何ですか?
5系は内部処理がUnicode化され、多言語を同時に表示できます。SSHではcurve25519-sha256(5.5.0)とPQCハイブリッド鍵交換(5.6.0)に対応しました。4系は4.108(2023年12月)で更新が止まっており、JVN#65294474の修正予定もありません。
Tera Termの最新バージョンはいくつですか?
2026年9月26日時点では5.7.0(2026年9月4日公開)が最新です。最新版はGitHubのTeraTermProject/teratermのReleasesページで確認できます。
Tera Term ProとTera Termは違うものですか?
Tera Term Pro 2.3は原作者の寺西高氏が開発したオリジナル版です。現在のTera Termは、TeraTerm Projectがこれを引き継いで開発しているもので、ライセンスも修正BSDライセンスに変わっています。
MacでTera Termは使えますか?
Tera TermはWindows専用で、公式の動作環境にmacOSはありません。Macでは標準のターミナルか、別のターミナルアプリを使います。候補の比較はMacのターミナルアプリiTerm2の解説を参照してください。