Unity 6.3 LTSは、2025年12月4日(日本時間)に公開されたUnity 6シリーズの長期サポート版で、エディターのバージョン番号は6000.3です。サポートは2027年12月まで続き、2026年10月17日時点の最新パッチは6000.3.26f1(10月8日公開)です。6.0 LTSの通常サポートは2026年10月で終了するため、延長サポートのないプロジェクトは6.3への移行を進める時期です。Unity EnterpriseとUnity Industryでは、6.0 LTSも1年延長されます。この記事では、6.6・6.7 LTS・Unity 7との選び方、6.2から増えた機能、パッチの履歴と番号の調べ方、対応OSとC#のバージョン、インストール手順、6.0・6.2から上げるときに壊れやすい箇所を、Unity公式のリリース情報とマニュアルに沿って整理します。
まとめ:Unity 6.3 LTSの要点と選び方
- サポート期限:2027年12月まで。Unity EnterpriseとUnity Industryは1年延長されて計3年。
- 2026年10月時点の位置づけ:LTSの現行版は6.3。6.0 LTSは10月でサポート終了。Supported版は6.6(
6000.6.6f1)が最新で、次期LTSの6.7はベータ中、Unity 7.0はアルファが始まった。 - 選び方:出荷間近・長期運用のタイトルは6.3 LTSに固定する。これから開発を始めて2027年以降に出すなら、6.6で始めて6.7 LTSへ上げる道もある。
- 主な新機能:Platform Toolkit、Box2D v3ベースの低レベル2D物理API、URPとHDRPで共通化したRender Graph、UI ToolkitのSVG標準対応、Windows・macOSのスクリーンリーダー対応。
- 対応環境:エディターはWindows 10 21H1以降・macOS Ventura 13以降・Ubuntu 22.04/24.04。C#は9.0、.NETの既定はAPI互換レベル .NET Standard 2.1。
- 移行の要注意点:URP Compatibility Modeの削除、
[SerializeField]のプロパティ付与がコンパイルエラーに、パッチごとに変わるAndroidの同梱ツール(6000.3.26f1でAGP 9.1.1)。6.0からなら6.1・6.2の変更も合わせて当たる。
Unity 6の版の体系と6.3 LTSの位置づけ
Unity 6からは、2022.3 LTSのような年号の命名をやめ、6.0、6.1…と版を刻んでいます。エディターの内部番号は6000.3.26f1のように「6000.マイナー.パッチ」で、末尾のfは正式版、bはベータ、aはアルファを表します。「6.3」は製品名上の系列名、「6000.3」はエディターのバージョン系列です。検索で見かける「6.3.10」のような書き方は正式な番号ではなく、HubやCLIでパッチを指定するときは6000.3.10f1のような完全なバージョン番号を使います。
LTSとSupportedリリースのサポート期間の違い
Unity 6の正式版は2系統あります。公式のサポートページでは、Supported版もLTSと同じQAテストを通った本番利用可能な版と位置づけられており、違いはサポートの長さです。
| 系統 | 公開頻度 | サポート期間 | 該当する版 |
|---|---|---|---|
| LTS(長期サポート) | 年1回 | 2年(Enterprise・Industryは3年) | 6.0、6.3、6.7(予定) |
| Supported(アップデート) | 年に数回 | 次の版が出るまで | 6.1、6.2、6.4、6.5、6.6 |
Supported版のサポートは原則として次の版の公開までですが、切り替え直後に旧系列のパッチが公開される場合もあります。実際、6.4のパッチは6.5公開直後の6000.4.12f1(2026年6月17日)が最後で、6.5も6.6公開後の6000.5.11f1(9月2日)以降は出ていません。Supported版を選ぶ場合は、数か月ごとに次の版へ上げ続ける前提になります。
Unity 6.0〜6.7とUnity 7のリリース履歴
Unity公式リリースAPIの公開日時(日本時間に換算)をもとにした一覧です。
| 版 | 系統 | 初回の正式版 | 状態(2026年10月17日時点) |
|---|---|---|---|
| 6.0 | LTS | 2024年10月17日(6000.0.23f1) | 2026年10月でサポート終了(最新6000.0.85f1) |
| 6.1 | Supported | 2025年4月24日 | サポート終了 |
| 6.2 | Supported | 2025年8月13日 | 6.3公開でサポート終了 |
| 6.3 | LTS | 2025年12月4日 | 2027年12月までサポート(最新6000.3.26f1) |
| 6.4 | Supported | 2026年3月19日 | サポート終了(最終6000.4.12f1) |
| 6.5 | Supported | 2026年6月16日 | サポート終了(最終6000.5.11f1) |
| 6.6 | Supported | 2026年9月1日 | サポート中(最新6000.6.6f1) |
| 6.7 | LTS(予定) | 未公開 | ベータ(6000.7.0b5) |
| 7.0 | 未定 | 未公開 | アルファ(7000.0.0a10) |
6.6の公開告知(Unity Discussions)は、6.6をUnity 6ファミリー最後のSupported版とし、次を6.7 LTSと位置づけています。6.7 LTSは2026年末の公開予定です(Unity公式「Render pipelines strategy for 2026」)。その先のUnity 7は、公式のUnity 7ページで「2027年初め」の公開予定とされ、Unity 6系列の直接の続きで、6.xの間の更新と同じ感覚で上げられるよう設計すると説明されています。2026年10月5日にはUnity 7.0の公開アルファが始まり、週2回のペースでビルドが出ています。
6.3 LTS・6.6・6.7 LTSの選定基準
判断の軸は「制作がどの段階にあり、出荷後に何年保守するか」です。
- ライブ運用中、または制作環境を固定する段階:6.3 LTSに固定します。公式もLTSを「制作する版を固定しようとしている開発者やライブサービスのゲーム」向けと案内しています。ただしサポートは2027年12月で切れるため、その後も運用を続けるなら、期限までに次のLTSへ上げる作業を保守計画に入れておきます。
- 6.0 LTSで運用中:6.0のサポートは2026年10月までです(Enterprise・Industryは1年延長)。延長契約が無ければ、次に乗る先は6.3 LTSです。6.7 LTSの公開を待つ手もありますが、年末予定の版を待つ間はパッチが届かない期間になります。
- 制作初期で、出荷までに版を上げる余裕がある新規開発:6.6で始め、6.7 LTSの正式版が出たら上げて固定する選択肢があります。6.6は6.7が出ればパッチが止まるため、2026年末以降に6.7 LTSへの移行作業を組み込めるチームに限ります。
- ベータの6.7、アルファの7.0:本番プロジェクトでは使いません。公式もアルファ・ベータ版を開く前にプロジェクトのバックアップを強く勧めています。
注意したいのは、Unity Hubの「推奨」表示です。2026年10月17日時点で、Unity公式リリースAPIで推奨(recommended)フラグが付いているのはSupported版の6000.6.6f1で、6.3 LTSではありません。LTSを入れたい場合は、Hubの一覧で6000.3系を明示的に選ぶ必要があります。
逆に、6.3 LTSを選ばないほうがよいのは、6.4以降に入った機能が企画の前提になっている場合です。LTSは新機能を追加せず、バグ修正とプラットフォーム更新だけを受け取ります。
HDRPとBuilt-inレンダーパイプラインの今後
Unityの「Render pipelines strategy for 2026」によると、開発の重心はURPです。HDRPは新機能の予定がなく、Nintendo Switch 2への対応と安定性の維持に絞った保守になります。廃止の予定は示されていませんが、新しい描画機能はURP側に入ると考えて選びます。Built-inレンダーパイプラインは6.5で正式に非推奨となり、新規タイトルでの使用は勧められていません。ただし少なくとも6.7 LTSまでは提供され、その6.7 LTSのサポートにより2028年末(Enterprise・Industryは2029年)まではBuilt-inも公式サポートの対象になります。6.3 LTSでもBuilt-inはそのまま使えるため、Built-inを使っていることだけを理由に6.3への移行を避ける必要はありません。個々のアセットやシェーダーが6.3で動くかは、プロジェクトごとに確認が必要です。
6.2から6.3で増えた主な新機能
既存プロジェクトの作り方に影響が大きいものを分野別に絞ります。全体は公式マニュアルのNew in Unity 6.3とリリースノートで確認できます。
Platform Toolkitと対応プラットフォーム
Platform Toolkitは、アカウント管理・セーブデータ・コントローラーの所有者・実績といった、プラットフォームごとに実装が分かれがちな機能を1つのAPIで扱うための仕組みです。エディター上でのテストにも対応します。公開告知では、Android(Google Play サービス)、iOS(GameKit)、Nintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation 5、Windows(GDK・Steam)、Xbox One、Xbox Series X|Sが対象として挙げられています。プラットフォーム面では、Unity 6シリーズとしてNintendo Switch 2に発売日から対応したほか、Android XR向けにOpenXR: Android XRパッケージ1.1でフェイストラッキングなどが加わりました。
2D物理と2D描画:Box2D v3の低レベルAPI
UnityEngine.LowLevelPhysics2D名前空間に、Box2D v3を組み込んだ低レベル2D物理APIが追加されました。マルチスレッドでの性能改善と決定性の向上が特徴で、既存のRigidbody2Dベースの物理を置き換えるものではなく、物理オブジェクトを直接作って独自に管理するための追加APIです。また、2D URPの2D RendererでMesh RendererとSkinned Mesh Rendererをスプライトと同じシーンで描けるようになり、対応シェーダーを使えば3Dモデルが2Dライトの影響を受け、2D > Mask Interactionを有効にすればスプライトマスクとも連動します。スプライトアトラスの無駄を組み込みのレポートで洗い出すSprite Atlas Analyserも加わりました。
グラフィックス:Render Graphの共通化とビルド時間の短縮
URPとHDRPが同じRender Graphのコンパイラーとバックエンドを使うようになりました。Render Graph Viewerは実機(モバイルやMeta Quest 3などのXR)で動くプレイヤーに接続して、描画パスの結合状況をリアルタイムに見られます。ビルド時間に効くのは、Graphics設定の新しいShader Build Settingsで、キーワード単位でシェーダーバリアントを制限・除外できる点です。新規プロジェクトと新しく作るLighting Settingsアセットでは、ライトベイクの既定がOpenCLベースのGPU Lightmapperに変わりました。新しいシーンではライトマップの詰め方が、UVの外接矩形でなく実際の形で詰めるxAtlasになり、ライトマップを小さくできます(既存シーンはレイアウトが変わらないよう旧方式のまま)。ただし、xAtlasのパッキング処理は遅くなる場合があり、処理時間はシーンの規模にも左右されます。URPのBloomには低負荷のKawaseとDualフィルタが加わっています。
Shader GraphではURPのカスタムライティング、URP・HDRPの地形シェーダー、UI Toolkit向けシェーダーを作れるようになり、新規アセットをテンプレートから作れるようになりました。6.3でのShader Graphの作り方とノードの使い方はUnity Shader Graphの使い方で解説しています。
UI Toolkit:SVGの標準対応とUSSフィルタ
Vector GraphicsパッケージがUI Toolkitに統合されたコアモジュールになり、SVGを追加パッケージなしでVector Imageとして読み込めます(SVGのSprite作成やUGUIでの利用には従来どおりパッケージが必要です)。USSでは、要素のサブツリーにぼかし・グレースケール・セピアなどをかけるfilterと、CSSと同等のaspect-ratioが使えるようになりました。UIの自動テスト用にUI Test Frameworkパッケージも提供されています。UI Toolkitのスクロール表示の組み方はUnity UI ToolkitのScrollViewの使い方を参照してください。
開発ツール・アクセシビリティ・音声・通信の機能更新
- Profiler:保存したキャプチャを一覧から切り替えられるCaptures Listが付き、毎回ファイルを読み込み直す必要がなくなった。Highlightsモジュールには、CPUとGPUの所要時間と、時間を多く使ったカテゴリを示す詳細ペインが加わった。Webビルドにも端末のIPアドレスで接続できる。
- スクリーンリーダー:従来のAndroid・iOSに加え、WindowsのナレーターとmacOSのVoiceOverに対応。
- Scriptable Audio Pipeline:Burstでコンパイルしたscriptable processorsで、オーディオ処理を独自に差し込めるようになった。
- エディター:メインツールバーの配置変更とプリセット保存、ツールバーからのQuality切り替え、新しいHierarchyウィンドウ(プレビュー)。検索のインデックス管理ウィンドウは削除され、設定はPreferencesのIndexing項目へ移った。
- 通信:
UnityWebRequestが既定でHTTP/2を使うようになった(Android・Windows・macOS・Linuxなど)。基本的な使い方はUnityWebRequestの使い方を参照。
Unity 6.3のパッチ履歴と最新パッチ番号の調べ方
6.3 LTSのパッチはおおむね2週間ごとに出ます。CIや複数人の開発でエディターをそろえるときは、パッチ番号と、その版を一意に指すchangeset(コミットの短縮ハッシュ)を合わせて記録します。
直近のパッチとchangeset
| パッチ | 公開日(日本時間) | changeset |
|---|---|---|
| 6000.3.26f1 | 2026年10月8日 | de8167e7440c |
| 6000.3.25f1 | 2026年9月24日 | e1dba0a9aba4 |
| 6000.3.24f1 | 2026年9月10日 | 4e7b9b5b6244 |
| 6000.3.23f1 | 2026年8月26日 | 09d2ecc7fb28 |
| 6000.3.22f1 | 2026年8月13日 | 1c726e1fb402 |
| 6000.3.17f1 | 2026年6月4日 | cf0352b38e81 |
パッチはバグ修正が中心ですが、Androidの同梱ツールはLTSの途中でも上がります。6000.3.17f1でGradleが9.1.0、AGP(Android Gradle Plugin)が9.0.0になり、6000.3.25f1で同梱のGradleが9.3.1へ、6000.3.26f1でAGPが9.1.1へ更新されました(各版のリリースノートのChanges欄)。Androidを出しているプロジェクトは、パッチを上げるたびにビルドを通し直します。
Hubのディープリンクとリリース情報のAPI
Unity Hubはunityhub://6000.3.26f1/de8167e7440cのような「版番号+changeset」のリンクで、その版のインストール画面を直接開けます。Hubの一覧に出てこない古いパッチを入れるときに使います。最新の番号は、Unity公式のリリースAPIで確認できます。以下はcurlとjqを導入済みの環境で、Bashなどのシェルから実行する例です。
# 6.3系の新しいパッチ5件を、公開日時(UTC)とchangesetつきで表示
curl -s "https://services.api.unity.com/unity/editor/release/v1/releases?limit=5&order=RELEASE_DATE_DESC&version=6000.3" \
| jq -r '.results[] | "\(.version) \(.releaseDate) \(.shortRevision)"'
# 2026年10月17日の実行結果
# 6000.3.26f1 2026-10-08T13:38:24.193Z de8167e7440c
# 6000.3.25f1 2026-09-24T12:52:52.227Z e1dba0a9aba4
# 6000.3.24f1 2026-09-10T14:47:57.906Z 4e7b9b5b6244
# 6000.3.23f1 2026-08-26T14:35:12.727Z 09d2ecc7fb28
# 6000.3.22f1 2026-08-13T06:39:34.704Z 1c726e1fb402
releaseDateはUTCなので、日本時間は9時間足します。versionを6000.6に変えれば6.6系、stream=LTSを付ければLTSだけに絞れます。limitは25までで、26以上を渡すと400エラー(limit must be <= 25)が返ります。各要素のunityHubDeepLinkには上のHub用リンクが、recommendedにはHubの推奨かどうかが入っています。
Unity 6.3の対応OSと.NET・C#のバージョン
エディターの動作要件
| OS | 対応バージョン | CPU | グラフィックスAPI |
|---|---|---|---|
| Windows | 10 21H1以降(x64)/11 21H2以降(Arm64) | SSE2対応x64、Arm64 | DX10〜12、Vulkan |
| macOS | Ventura 13以降 | SSE2対応Intel、Apple M1以降 | Metal |
| Linux | Ubuntu 22.04、24.04 | SSE2対応x64 | OpenGL 3.2以降、Vulkan |
メモリは最低8GBが推奨です(System requirements for Unity 6.3)。LinuxはGnomeデスクトップ(X11またはWayland)が前提で、Windows on ArmではVulkanとCPUライトマッピングが使えません。Apple Silicon機でもCPUライトマッピングは非対応で、GPUライトマッピングだけが使えます。また公式の動作要件では、Apple Silicon機はApple Silicon版・Intel版どちらのエディターを使う場合もRosetta 2が必要とされています。
ビルド先の最低要件
6.3でAndroidの最低対応バージョンが7.1(API 25)に上がりました。iOS・iPadOS・tvOSは15以降でXcode 16以降、Windowsプレイヤーは10 21H1以降、macOSプレイヤーはMonterey 12以降です。家庭用ゲーム機向けのビルドはWindows版のエディターでのみ行えます。
.NET API互換レベルとC#のバージョン
6.3のC#コンパイラーはRoslynで、言語バージョンはC# 9.0です。ただしC# 9.0の中でも、init専用セッター、共変戻り値型、モジュール初期化子などは非対応で、使うとコンパイルエラーになります。recordはUnityのシリアライズ対象にできません。.NETのAPI互換レベルは「.NET Standard 2.1」(既定)と「.NET Framework 4.8(+.NET Standard 2.1のAPI)」の2択で、Project Settings > Player > Other Settings > Configurationの「Api Compatibility Level」で切り替えます。.NET Core向けにビルドしたマネージドプラグインは、どちらの互換レベルでも非対応です。
新しいC#が使える時期は、まだ決まっていません。Unityが2026年10月5日に公開したCoreCLRの進捗報告では、Unity 7.0の最初のアルファはMonoを外したCoreCLRのエディターですが、対象は引き続きC# 9と.NET Standard 2.1です。.NET 10とC# 14に対応したエディターを出す方針は変えていないものの、公開日は約束できないとしています。6.3 LTSを使う限り、C# 10以降の構文は使えない前提で書きます。
Unity 6.3 LTSのインストール手順
Unity Hubでの6.3 LTSの選択とインストール
- Unity Hubを起動し、左メニューの「Installs」から「Install Editor」を開く。
- 一覧から
6000.3で始まるLTSの版を選ぶ(推奨表示は6.6なので取り違えに注意)。 - モジュール選択で、ビルド先(Android Build Support、iOS Build Supportなど)と、日本語で使う場合はLanguage packsの日本語を追加する。
- インストール後、Hubの「Projects」から新規作成するか、既存プロジェクトのエディター版を6000.3系に切り替えて開く。
エディター表示を日本語に切り替える手順(Preferences > Languagesの設定)はUnityを日本語化する方法(Unity 6対応)にまとめています。
Unity CLIでのバージョン指定インストール
チーム全員やCI環境で同じパッチ番号をそろえたいときは、コマンドラインから入れます。Unity Hub 3.18.0以降、従来のHub CLI(-- --headlessを付ける方式)は非推奨になり、新しいスクリプトや自動化には単体で動くunityコマンド(Unity CLI)を使うよう案内されています。Unity CLIも公式リファレンス上は実験的機能の扱いで、Hubを入れないCI環境ではインストールスクリプトで導入します。CLI自体の動作要件はエディターと異なり、macOSは14以降、LinuxはUbuntu 22.04以降かRHEL 9(glibc 2.34以上)です。macOS 13のマシンではHubの画面から入れます。
# Unity CLIの導入(macOS・Linux。WindowsはPowerShellで irm https://unity.com/install.ps1 | iex)
curl -fsSL https://unity.com/install.sh | bash
# 導入を確認。見つからない場合はターミナルを開き直すか、インストール先をPATHに追加
unity --version
# 6.3系の最新パッチを、Android(子モジュール込み)と日本語パックごと入れる(Apple Silicon機)
unity install 6.3 -a arm64 -m android language-ja --cm
# パッチ番号まで固定する場合
unity install 6000.3.26f1 -c de8167e7440c -a arm64
# 入れ済みのエディターにiOSのモジュールを追加
unity install-modules -e 6000.3.26f1 -m ios
版の指定にltsと書くと「その時点で最新のLTS」が入るため、6.7 LTSの公開後は6.7になります。6.3に留めたい場合は6.3(その系列の最新パッチ)か完全なバージョン番号を書きます。-aはmacOS専用のオプションで、Apple Silicon機ではarm64を明示します(旧Hub CLIでは省略するとIntel版のx86_64が入る仕様でした)。-cはリリース一覧に無い版を入れるときに必要なchangesetで、値は上のパッチ表かリリースAPIのshortRevisionで分かります。モジュールの追加は、HubかCLIで入れたエディターにしかできません。
6.0・6.2から6.3へ上げるときのBreaking Changes
公式の移行ガイドは版ごとに分かれています。6.2からならUpgrade to Unity 6.3だけで済みますが、6.0 LTSから上げる場合は、間の6.1と6.2の変更もまとめて受けます。実際にビルドが止まりやすいものを影響の出方で分けます。
6.0 LTSから上げるときに6.1・6.2で受ける変更
Upgrade to Unity 6.1とUpgrade to Unity 6.2に載っている変更です。6.0から6.3へ一気に上げると、次の変更と6.3の変更が同時に出ます。
- URPのシェーダーキーワード(6.1):
_FORWARD_PLUSが_CLUSTER_LIGHT_LOOPに置き換わった。自作シェーダーで参照していれば書き換える。 - URPのAfterRendering(6.2):このタイミングに差し込んだパスは、常にバックバッファーへの最終ブリットの後に実行されるようになった。中間テクスチャーに描く従来の動きを保つには、イベントを
AfterRenderingPostProcessingに変える。この書き換えは6.0でも有効なので、移行前に済ませておける。 - URPの
SetupRenderPasses(6.2):非推奨になった。Scriptable Renderer Featureで使っていれば、Render GraphとAddRenderPassesで書き直す。6.3ではCompatibility Modeも既定で外れるため、6.0の段階でRender Graphへ移しておくのが安全。 - UI Toolkitの
VisualElement.transform(6.2):非推奨。設定はstyle.translate・style.rotate・style.scale、読み取りはresolvedStyleの同名プロパティへ移す。 - Android(6.1):既定のGradleが8.11、AGPが8.7.2に上がった。カスタムGradleテンプレートは作り直しを検討する(6.3のパッチでさらにGradle 9系へ上がる)。
- そのほか(6.1):Package ManagerやAsset Storeなどを開くWindowメニューがサブメニューへ移り、独自のショートカットが外れる。
Rigidbody.SetDensityは非推奨でRigidbody.massへ。PVRTC圧縮は非推奨でASTCかETCへ。Windowsの自動グラフィックスAPIの既定はDirectX 12になったが、古い版から上げたプロジェクトは元の設定を引き継ぐ。
C#のコンパイルとUSSの読み込みが失敗する変更
[SerializeField]がフィールド専用に:プロパティやメソッドに付けているとコンパイルエラーになる。- Multiplay Hostingの削除:Multiplayer Servicesの既定が2.0.0になり、関連APIを呼ぶコードはコンパイルできない(サービス自体も2026年3月31日で停止予定と案内されていた)。
- Netcode for GameObjects 1.x の非推奨:2.xでは
NetworkTransform.Updateをオーバーライドできない。非権限側の補間などの処理は、非権限インスタンスでだけ呼ばれるNetworkTransform.OnUpdateへ移す。権限側の処理は、INetworkUpdateSystemを実装した別クラスに分け、権限の取得・喪失に合わせてNetworkUpdateLoopへ登録・解除する。 - USSパーサーの更新:以前は見逃されていた構文エラー(括弧の過不足など)が検出され、そのUSSファイルは読み込まれなくなる。
自動実装プロパティのバッキングフィールドをシリアライズしたい場合は、field:ターゲットを付けます。
// 6.3ではコンパイルエラー(プロパティにSerializeFieldは付けられない)
[SerializeField] public int Hp { get; set; }
// バッキングフィールドに付ける書き方なら通る
[field: SerializeField] public int Hp { get; private set; }
ビルド済みDLLの再コンパイルが必要な型変更
Scene.handleの型がintからSceneHandleへ、グローバルイルミネーション関連のinstanceIDフィールドがEntityId型へ変わりました。どちらもintと暗黙変換できるため、C#のソースはそのまま通ります。問題になるのはアセットストア製品などのビルド済みDLLで、MissingFieldExceptionが出ます。ソースがあれば最新のUnityEngine.dllに対して再コンパイルし、無ければ配布元の6.3対応版を待ちます。アクセシビリティのAccessibilityRoleとAccessibilityStateも内部型がintからbyteに変わったため、同じく再コンパイルが必要です。
描画とビルド設定の変更
- URP Compatibility Modeの削除:6.0で非推奨だった互換モードのコードが、既定ではコンパイル対象から除外された。まだ使っているプロジェクトは、6.0〜6.2の段階でRender Graphへ移してから6.3へ上げる。スクリプト定義シンボル
URP_COMPATIBILITY_MODEで一時的に戻せるのは変換作業用で、6.4では使えなくなる。 - Android:6.3のパッチでGradleとAGPが9系へ上がった(上のパッチ履歴の章を参照)。カスタムGradleテンプレートや古いサードパーティSDKは手直しが要り、独自のAndroidプラグインには一意の
namespaceの宣言が必要になった。Android 16の大画面対応では、Player設定の「App Category」をGameにすると従来の向き・サイズ固定を保てる。 - テクスチャ:Legacy ETC圧縮が削除され、既定のETC設定へ自動で置き換わる(見た目がピクセル単位では一致しない場合がある)。
既存プロジェクトを6.3で開く手順
- プロジェクトをバージョン管理にコミットするか、フォルダごと複製してバックアップを取る。
- 6.2より前の版からの場合は、上の6.1・6.2の変更点に当たる箇所を先に直す(URPの
AfterRenderingやRender Graphへの移行は旧版のうちに済ませられる)。 - Hubでエディター版を6000.3系に切り替えて開き、API Updaterの自動書き換えを確認してから受け入れる。
- Package Managerで、エラーや警告が出ているパッケージ(6.3で追加された「Errors and Warnings」表示)を先に更新する。
- 対象プラットフォームごとにビルドし、上のBreaking Changesに該当する箇所を潰す。
エディターに統合されたAI機能のUnity AIは、6000.0.76f1以降の6.0か6.3以降で使え、プロジェクトをUnity Cloudにリンクして利用条件に同意する必要があります。料金体系や使い方はUnity AIとは?料金(クレジット制)・使い方で扱っています。6.0から6.3への移行やゲームアプリの開発体制について相談したい場合は、ゲームアプリ開発の支援も行っています。
よくある質問
Unity 6.3 LTSのサポート期限はいつまでですか?
2027年12月までです。Unity EnterpriseとUnity Industryの契約では1年延長され、計3年になります。6.0 LTSの通常サポートは2026年10月で終わります。
「6000.3」と「6.3」は同じものですか?
同じです。Unity 6ではマーケティング上の名称が「6.3」、エディターの内部バージョンが「6000.3」です。6000.3.26f1なら6.3系の26番目のパッチで、末尾のf1は正式版を意味します。
Unity 6.3の.NETとC#のバージョンは?
C#の言語バージョンは9.0で、コンパイラーはRoslynです。.NETのAPI互換レベルは.NET Standard 2.1(既定)か.NET Framework 4.8から選びます。2026年10月に始まったUnity 7.0のアルファもC# 9と.NET Standard 2.1のままで、.NET 10とC# 14に対応する時期は公表されていません。
Unity 6.0 LTSと6.3 LTSの違いは何ですか?
最大の違いはサポート期限で、6.0は2026年10月、6.3は2027年12月までです。機能面では、6.1〜6.3で入ったPlatform Toolkit、Box2D v3ベースの2D物理API、URP・HDRP共通のRender Graph、UI ToolkitのSVG標準対応などが6.3にだけあります。6.0からは6.1・6.2の変更点も合わせて受けるため、URPの自作パスやGradleテンプレートを先に点検します。
Unityの最新バージョンはいくつですか?
2026年10月17日時点で、LTSの最新は6.3(6000.3.26f1)、Supported版の最新は6.6(6000.6.6f1)です。次のLTSとなる6.7はベータ版(6000.7.0b5)、Unity 7.0はアルファ版(7000.0.0a10)が公開されています。パッチは6.3が約2週間ごと、6.6はほぼ毎週出るため、最新の番号はUnity HubかUnity公式のリリースAPIで確認してください。