Strands Agentsとは何か?その概要や特徴を最新情報を交えてエンジニア向けにわかりやすく解説
目次
- 1 Strands Agentsとは何か?その概要や特徴を最新情報を交えてエンジニア向けにわかりやすく解説
- 2 TypeScript版Strands Agentsの特徴と最新アップデート情報:Python版からの変更点とメリットを詳しく解説
- 3 TypeScript SDKを使った開発環境の準備:必要な前提条件とセットアップ手順をわかりやすく解説
- 4 Strands Agents TypeScript SDKのインストール手順:npmやBunを使った導入方法を詳しく説明
- 5 TypeScriptプロジェクトの作成と初期設定:tsconfig.jsonやpackage.jsonの設定ポイントを徹底解説
- 6 シンプルなエージェントを作成して動かしてみる:TypeScript SDKで初めてのAIエージェント開発に挑戦
- 7 外部ツールとの連携とAmazon Bedrock AgentCoreへのデプロイ:MCPプロトコル活用と本番環境への展開方法を解説
Strands Agentsとは何か?その概要や特徴を最新情報を交えてエンジニア向けにわかりやすく解説
Strands Agentsは2025年にAWSからオープンソースとして公開されたAIエージェント開発フレームワークです。大規模言語モデル (LLM) を用いたエージェントの高度な振る舞いを、簡潔なコードで実現できるよう設計されています。本節では、Strands Agentsとは何か、その目的や特徴について最新情報を交えて解説します。
Strands Agentsとは?AWSが開発したオープンソースAIエージェント基盤の概要について解説
Strands Agentsは、AWSが提供するAIエージェント構築用のオープンソース・フレームワークです。その最大の特徴は、複雑なエージェントの動作をモデル駆動型で構築できる点にあります(後述)。従来、エージェントを作るには手動でワークフローをコードに記述したり、LLMの出力に応じて細かな制御を行う必要がありました。Strands Agentsを利用すれば、エージェントの思考やツール実行のロジックを大部分LLMに委ねつつ、開発者は必要なツールやルールだけを定義するだけで高度なエージェントを実装できます。2025年5月にPython SDKがオープンソース公開され、続いて同年12月にはTypeScript SDKも公開されました。AWS公式のGitHubリポジトリ上で開発が進められており、誰でも無償で利用・拡張することが可能です。
モデル駆動型アプローチによるエージェント開発:その仕組みとメリットからStrands Agentsのユニークな特徴を探る
Strands Agentsが採用するモデル駆動型アプローチでは、エージェントの具体的な実行手順を事前にハードコーディングするのではなく、LLM自身の推論によって動的に判断させる点がポイントです。エージェントは内部で「思考→ツール選択→ツール実行→思考…」というループを繰り返しながら、最終的な回答を導き出します。開発者はエージェントに利用させたいツールや制約、ゴールを定義するだけで、あとはLLMがどのツールをいつ使うかを決定します。このアプローチにより、状況に応じた柔軟な問題解決が可能になり、従来の決め打ちシナリオでは対処しきれない要求にも対応できるようになります。
また、Strands AgentsはMCP (Model Context Protocol)による外部ツール連携や、複数のモデルプロバイダーへの対応など、他のエージェントフレームワークにはない高度な特徴を備えています。例えば、会話型エージェントにウェブ検索や電卓など外部サービスを簡単に統合でき、Amazon BedrockやOpenAIなど様々なAIモデルを切り替えて利用することも可能です。こうした柔軟性と拡張性の高さが、Strands Agentsのユニークな強みと言えるでしょう。
TypeScript版Strands Agentsの特徴と最新アップデート情報:Python版からの変更点とメリットを詳しく解説
2025年12月、Strands Agentsに待望のTypeScript SDKが追加されました。ここではTypeScript版ならではのメリットや、最新アップデートによる機能強化について解説します。Python版との違いや注意点も確認しておきましょう。
TypeScript版のメリット:型安全性とモダンな開発体験で得られる利点
TypeScript版SDKの大きな利点の一つは、型安全性を活かせる点です。コードに静的な型が付くことで、エージェントのメソッドやツールの入出力定義にミスがあればコンパイル時に検出できます。複雑なAIエージェント開発では、型による検証がバグの早期発見に役立ちます。また、Visual Studio CodeなどモダンなIDEでのオートコンプリートやドキュメント表示が充実し、開発体験が向上します。TypeScript SDKはPromiseベースで設計されており、async/await構文による非同期処理が可能です。これにより、エージェントの実行を待ち受ける処理もシンプルに記述できます。さらに、Strands Agentsをフロントエンド(ブラウザ)やクラウド環境(AWS Lambda、Edgeデバイスなど)でも実行しやすくなりました。AWS CDKを使ってバックエンドからフロントエンドまでオールTypeScriptで構築することもでき、JavaScriptエコシステムとの親和性の高さがTypeScript版ならではのメリットと言えるでしょう。
Python SDKとの違い:未サポート機能とプレビュー版における制約を解説
現時点のTypeScript SDKはプレビュー版であり、Python版SDKと比較して未実装の機能や制約があります。例えば、Python版で利用できる一部の高度なマルチエージェント機能やフック機構がTypeScript版ではまだ提供されていない場合があります。また、TypeScript SDK自体が積極的に開発中のため、将来的に破壊的変更(Breaking Change)が発生する可能性があります。公式ドキュメントでも本番環境で利用する際には注意が必要とされています。Python版に比べドキュメントやサンプルコードが現時点では少ないため、最新情報を追いながら開発を進める姿勢が重要です。ただし、これらの制約は今後の開発によって解消されていく見込みです。TypeScript版の普及とともに、コミュニティからのフィードバックを受けて機能拡充や安定化が進むでしょう。
最新アップデート情報:エッジデバイス対応やステアリング機能、評価機能など注目の新機能を紹介
Strands Agents SDKにはTypeScript対応と同時期に、いくつかの新機能が追加されています。第一に、エッジデバイス対応の強化です。小型デバイス上でもエージェントを動作させられるよう、ローカルモデル(例:Llama.cpp)を利用可能になり、入出力のストリーミング処理もサポートされました。これによりインターネット接続がない環境やIoTデバイス上でのエージェント利用も現実的になります。第二に、ステアリング (Steering) 機能の追加があります。これはエージェントの実行途中で介入し、望ましい方向へ誘導するための仕組みです。あらかじめ用意したモジュール的なプロンプトをエージェントの思考プロセスに挿入し、過度に逸脱したり不適切な応答を避けるよう調整できます。ワークフローをガチガチに決めずとも、ステアリングにより柔軟なガードレールを敷くことが可能です。最後に、エージェント評価 (Evaluations) 機能がプレビュー提供されています。これは開発者がエージェントの応答品質を定量的に評価し、改善を測定できる仕組みです。自動テストのように様々なシナリオでエージェントを走らせて結果を検証できるため、デプロイ前に問題を洗い出しやすくなります。これらのアップデートにより、Strands Agentsはより幅広い環境で動作し、制御と品質管理の面でも一段と強化されています。
TypeScript SDKを使った開発環境の準備:必要な前提条件とセットアップ手順をわかりやすく解説
TypeScript SDKを使ってエージェント開発を始めるにあたり、まずは開発環境を整えます。ここでは必要なソフトウェアやツールのインストール、そしてAWSモデルを利用するための資格情報の設定について説明します。事前準備をしっかり行うことで、後の開発をスムーズに進められます。
Node.jsとTypeScriptの環境構築:対応バージョンとインストール方法
まずはNode.jsの最新LTS版(バージョン20以上)を用意します。Node.jsは公式サイトからインストーラーを入手できるほか、開発者向けには nvm (Node Version Manager) 等で簡単に管理できます。インストール後、ターミナルでnode -vおよびnpm -vを実行し、Node.jsおよびnpm(Nodeに同梱)のバージョンを確認しましょう。npmはパッケージ管理ツールで、Strands Agents SDKの導入に使用します。次に、TypeScript本体(コンパイラ)のセットアップです。グローバルにTypeScriptをインストールする場合はnpm install -g typescriptを実行し、tsc -vでバージョンを確認してください。ただし必須ではなく、後述のプロジェクト内の設定でもTypeScriptコンパイラは利用可能です。開発にはVS Codeなどのエディタを用いると便利です。これでJavaScript/TypeScriptを扱う基盤が整いました。
AWS認証情報の設定:Bedrockモデル利用に必要なクレデンシャルの準備方法を解説
Strands Agentsのデフォルト設定では、AIモデルとして Amazon Bedrock 上のAnthropic Claude 4が使用されます。そのため、このモデルを呼び出すためのAWS認証情報(クレデンシャル)を事前に設定しておく必要があります。まずAWSアカウントを用意し、Bedrockサービスへのアクセス権限を持つIAMユーザーまたはロールを準備します。Bedrockは現在一部リージョンで提供されているサービスで、利用には事前の有効化手続きが必要な場合があります。認証情報の設定方法はいくつかありますが、開発環境では以下の方法が一般的です。
- 環境変数に設定: ターミナルで
AWS_ACCESS_KEY_IDとAWS_SECRET_ACCESS_KEY(必要に応じてAWS_SESSION_TOKENも)を適切な値でエクスポートします。例えば Linux/Mac ならexport AWS_ACCESS_KEY_ID="AKIA..."のように設定できます。 - AWS CLIで設定: 事前にマシンにAWS CLIをインストールし、
aws configureコマンドでアクセスキーとシークレットキーを入力して設定ファイルに保存します。これによりプログラム実行時に自動で認証情報が読み込まれます。 - IAMロールを使用: EC2やLambda上で実行する場合は、それらに適切なIAMロールを付与することで環境変数を設定しなくても認証が行われます。
ローカル開発で簡単なのは環境変数による設定です。いずれの場合も、Claude 4を呼び出すために bedrock:InvokeModel など Amazon Bedrock へのアクセス権が付与された資格情報であることを確認してください。もしBedrockが利用できない場合、Strands Agentsは OpenAI API など他のモデルプロバイダーも選択可能ですが、その場合は別途APIキーの設定が必要になります。
Strands Agents TypeScript SDKのインストール手順:npmやBunを使った導入方法を詳しく説明
準備が整ったら、Strands AgentsのTypeScript SDKパッケージをプロジェクトに導入しましょう。パッケージマネージャとして一般的なnpmのほか、最近注目されている高速なBunでもインストール可能です。それぞれの方法を順に説明します。
npmによるSDKインストール手順:パッケージの取得とプロジェクトへの追加
Strands AgentsのSDKはnpm経由で公開されています。既にNode.js環境にはnpmが含まれているため、ターミナルで以下のコマンドを実行するだけでSDKを追加できます。
npm install @strands-agents/sdk
上記のコマンドにより、プロジェクトのpackage.jsonに@strands-agents/sdkが依存関係として追加され、node_modules配下にSDKのライブラリがインストールされます。インストールされるパッケージには、エージェントで利用可能なビルトインツールも含まれています。例えば、シェルコマンドを実行するbashツールやHTTPリクエストを送るツールなどが同梱されており、@strands-agents/sdk/vended_tools/bashからインポートして使うことができます。まずはコアSDKだけ入れておけば問題ありません。
Bunでの高速セットアップ:bun installによる迅速なSDK導入方法
BunはNode.js互換の高速JSランタイムで、独自のパッケージマネージャを備えています。npmの代わりにBunを使っている場合も、同様にStrands Agents SDKを導入できます。新規に依存関係を追加するにはbun addコマンドを使用します。
bun add @strands-agents/sdk
上記コマンドにより、package.jsonにSDKが追記され、Bunの管理下でパッケージがインストールされます。Bunは依存解決やインストールが非常に高速なため、大規模プロジェクトでも素早くセットアップできる利点があります。なお、既にpackage.jsonに依存関係が記載されている場合は、bun installを実行することで一括インストールも可能です。
TypeScriptプロジェクトの作成と初期設定:tsconfig.jsonやpackage.jsonの設定ポイントを徹底解説
SDKの導入が完了したら、実際にエージェントを構築するTypeScriptプロジェクトを作成します。ここではプロジェクトのディレクトリ構成を整え、TypeScriptの設定ファイルやスクリプトを用意していきます。
npm initでのプロジェクト作成:パッケージ設定とディレクトリ構成
まず作業ディレクトリを用意しましょう。任意のフォルダ名で新規ディレクトリを作成し(例: my-agent)、その中で以下のコマンドを実行してNode.jsプロジェクトを初期化します。
npm init -y
このコマンドにより、カレントディレクトリにpackage.jsonファイルが生成されます。-yオプションを付けることで対話的な質問をスキップし、デフォルト値で初期化します。生成されたpackage.jsonにはプロジェクト名やバージョンなどが記載されています(必要に応じて後から編集可能です)。次に、ソースコード用のディレクトリを作成します。通常、srcディレクトリを用意し、その中にTypeScriptファイルを配置します。
mkdir src
上記のようにsrcフォルダを作成したら、そこにエージェントのコードファイルを置きます。例えばsrc/agent.tsというファイル名で、エージェントのエントリポイントとなるコードを書いていくとよいでしょう。
TypeScript導入と型定義の追加:tsconfig.jsonの生成と@typesのインストール手順
続いて、TypeScriptのコンパイラ設定ファイルを用意します。プロジェクトルートで次のコマンドを実行すると、デフォルト設定のtsconfig.jsonが生成されます。
npx tsc --init
このファイルにはTypeScriptのコンパイルオプションが記述されており、必要に応じて編集します。Strands Agentsのプロジェクトでは、以下のような設定を確認するとよいでしょう。
- target:
ES2022以上 (コンパイル出力のECMAScriptバージョン) - module:
ESNext(モジュールシステム。"type": "module"をpackage.jsonに指定する場合。CommonJSを使うならcommonjsに設定) - moduleResolution:
nodeまたはbundler(モジュール解決方法。Node.js環境では通常nodeを使用) - outDir:
./dist(コンパイルされたJSファイルの出力先ディレクトリ) - rootDir:
./src(ソースコードのルートディレクトリ) - strict:
true(厳格な型チェックを有効化) - esModuleInterop:
true(CommonJSモジュールのインポート互換性を有効化) - include:
["src"](コンパイル対象のディレクトリ) - exclude:
["node_modules"](除外対象)
なお、TypeScript本体およびNode.js用の型定義をプロジェクトに追加していない場合、開発依存としてインストールしておきます。
npm install --save-dev typescript @types/node
これにより、プロジェクト内でTypeScriptコンパイラ (tsc) やNode.jsの型定義が利用可能になります。以上でTypeScriptの設定は完了です。
package.json設定とスクリプト活用:ビルド・実行スクリプトの追加と調整
Node.jsでTSを実行するには、CommonJS形式かES Module形式かを統一する必要があります。前述のとおり、tsconfigでmodule: ESNextとした場合は、package.jsonに"type": "module"を追記し、ファイル拡張子も.ts/.jsのままでimport/export構文が使えるようにします。逆にCommonJSで書く場合はmodule: commonjsとし、require文を使う形になります(この場合"type"指定は不要)。本記事ではモダンなES Moduleスタイルで進めます。
次に、package.jsonにビルドや実行のスクリプトを追加しておくと便利です。以下は一例です。
{ "type": "module", "scripts": { "build": "tsc", "start": "node dist/agent.js" } }
上記の設定により、npm run buildでTypeScriptコードをコンパイルし、npm startでビルド済みのエージェントプログラムを実行できるようになります(エントリポイントがsrc/agent.tsで、コンパイル後にdist/agent.jsとして出力されることを想定)。開発中は、都度ビルドせずにnpx tsx src/agent.tsで直接TypeScriptを実行したり、nodemon等のツールで変更時に自動再起動する運用も可能です。プロジェクトの基本設定が整ったら、いよいよエージェントのコードを実装していきましょう。
シンプルなエージェントを作成して動かしてみる:TypeScript SDKで初めてのAIエージェント開発に挑戦
それでは、簡単なエージェントを実際に作成し、動作を確認してみましょう。ここでは、文字列中に特定の文字が何回出現するか数えるシンプルな文字カウンター・エージェントを例に、Strands Agents SDKの使い方を紹介します。
カスタムツールの実装例:文字カウンター機能でStrands Agentsを拡張する
まず、エージェントに組み込むカスタムツールを実装します。Strands Agentsでは、関数をツールとして定義し、エージェントに持たせることができます。以下のコードは、文字カウンター機能をツール化した例です。
import { tool } from "@strands-agents/sdk"; import z from "zod";
const letterCounter = tool({ name: "letter_counter", description: "Count occurrences of a specific letter in a word (case-insensitive).", // 入力のバリデーションスキーマをZodで定義 inputSchema: z.object({ word: z.string(), // 調べる単語 letter: z.string() // カウントしたい文字(1文字) }).refine(data => data.letter.length === 1, { message: "letterは一文字で指定してください" }), callback: ({ word, letter }) => { const lowerWord = word.toLowerCase(); const lowerLetter = letter.toLowerCase(); let count = 0; for (const char of lowerWord) { if (char === lowerLetter) count++; } return '${letter}'は「${word}」に${count}回含まれます。; } });
このコードでは、tool関数でツールを定義しています。nameでツールの識別名を、descriptionで人間向けの説明を与えます。inputSchemaには、このツールが受け付ける入力の型をZodスキーマで指定します。上記では、word(文字列)とletter(一文字の文字列)を受け取り、letterが1文字であることをrefineで検証しています。callbackには実際の処理を行う関数を記述します。ここでは、単語中の指定文字をカウントして結果メッセージを文字列で返しています。
Agentオブジェクトの生成とメッセージ処理:invokeメソッドでエージェントに質問を投げる
次に、エージェント本体を作成し、先ほどのツールを組み込んでみましょう。以下のコードでは、Agentクラスを使ってエージェントを初期化し、質問を投げかけています。
import { Agent } from "@strands-agents/sdk";
// エージェントにツールを組み込んで初期化 const agent = new Agent({ tools: [ letterCounter ] });
// 質問をエージェントに投げて実行 const question = "文字列 'Strawberry' に含まれる 'r' の数を教えて。"; const result = await agent.invoke(question);
// 結果のメッセージを取得 console.log(result.lastMessage);
上記では、Agentクラスを使ってエージェントを初期化しています。コンストラクタのオプションでtoolsプロパティに先ほど定義したカスタムツール(letterCounter)を渡しています。これでエージェントはこのツールを利用できるようになりました。次に、agent.invoke(...) メソッドでエージェントに質問を投げかけます。ここでは「’Strawberry’に含まれる’r’の数を教えて」という日本語の質問を与えています。Strands Agentsでは、この質問を受け取ったエージェントが自律的に推論し、必要に応じてツール(今回で言えば文字カウンター)を呼び出します。その結果がresultオブジェクトに返されます。result.lastMessageにはエージェントからの最終的な回答メッセージが含まれているため、それをコンソールに表示しています。
エージェントの実行と出力確認:tsxを用いたスクリプト起動と結果のログ確認
準備ができたら、このエージェントプログラムを実行してみましょう。開発時には先ほど設定したnpmスクリプトを使っても構いません。例えばコンパイル後にnpm startで実行すれば、エージェントが起動します。TypeScriptのまま直接実行したい場合は、次のようにtsx(TypeScript実行ツール)を用いる方法も便利です。
npx tsx src/agent.ts
上記コマンドを実行すると、エージェントが起動し、コンソール上に推論の過程と最終的な回答が出力されます。Strands Agentsはデフォルトでエージェントの思考過程をリアルタイム表示する設定(printer: true)になっているため、LLMがどのようにツールを選択し、実行しているかがログとして確認できます。例えば、本例のエージェントを実行すると以下のようなログが表示されるでしょう(内容は簡略化しています)。
... Reasoning: ユーザの質問を分析しています ... Tool selected: letter_counter ... Tool output: 'r'は「Strawberry」に2回含まれます。 ... Final Answer: 'r'は「Strawberry」に2回含まれます。
最後の行がエージェントからの回答です。今回の質問に対して、エージェントは内部で文字カウンターツールを呼び出し、その結果を用いて「’r’は「Strawberry」に2回含まれます。」と答えています。このように、自作のツールを組み込んだエージェントが正しく動作することを確認できました。なお、推論ログの表示を抑制したい場合は、Agent生成時にprinter: falseを指定することでオフにできます。
外部ツールとの連携とAmazon Bedrock AgentCoreへのデプロイ:MCPプロトコル活用と本番環境への展開方法を解説
最後に、Strands Agentsをさらに発展させ、外部システムとの連携や本番環境へのデプロイについて触れておきます。MCPというプロトコルを用いることでエージェントの能力を拡張したり、AWSのAmazon Bedrock AgentCoreを利用してエージェントをスケーラブルにデプロイすることも可能です。
MCPで広がるエージェントの能力:外部ツール連携の仕組みとメリットを解説
MCP (Model Context Protocol) は、エージェントが外部のツールサーバーと通信するためのオープンなプロトコルです。Strands AgentsはこのMCPに対応しており、エージェントの能力をシステム外部まで拡張できます。例えば、社内のデータベース検索ツールや他のAIサービスなどをMCPサーバーとして用意し、エージェントがそれらにクエリを投げることが可能です。MCPでは標準化されたメッセージ形式を通じて、エージェントが「ツール名」や「入力」を送信し、サーバー側で処理した「出力」を受け取ります。Strands Agentsのエージェントから見ると、あたかも自分の内蔵ツールを使うかのように外部機能を呼び出せるわけです。この仕組みにより、一つのエージェントでは実装しきれない多彩な機能(計算、検索、他システムとの連携など)を必要に応じて利用できるようになります。また、複数のエージェント間でツールを共有したり、別々に開発されたエージェント同士をMCP経由で連携させることも可能です。MCP対応により、Strands Agentsは単体のフレームワークに留まらず、異なるサービス間をつなぐハブとして機能し得るのです。
Amazon Bedrock AgentCoreとは:エージェントを大規模運用するためのプラットフォーム
Amazon Bedrock AgentCoreは、AWSが提供するマネージドなエージェント実行基盤です。開発したエージェントをこのプラットフォーム上にデプロイすることで、スケーラブルかつセキュアに本番運用することができます。AgentCoreはエージェント専用に設計されたホスティングサービスであり、自前でサーバーやコンテナを管理することなく、AWS上でエージェントを継続稼働させられます。エージェントの負荷に応じてスケーリングしたり、実行状況のモニタリングやログ収集、エラー時のリカバリなども標準でサポートされます。特に企業利用のシナリオでは、単にエージェントを動かすだけでなく、その品質や安全性を監視しつつ運用することが重要ですが、AgentCoreはそうしたニーズに応えるプラットフォームと言えます。開発者はエージェントのコードと設定を用意すれば、あとのインフラ部分(サーバーレスアーキテクチャやコンテナ管理など)はAgentCore側が担ってくれます。複数のエージェントをまとめて管理する機能もあり、エージェント開発を本格的なプロダクションレベルで活用するための土台となるサービスです。
AgentCoreへのデプロイ手順概要:Dockerコンテナ化と必要エンドポイント実装のポイント
Strands Agentsで作成したエージェントをAgentCoreにデプロイするには、いくつかのステップがあります。概要を箇条書きで見てみましょう。
- エージェントサービスの実装: エージェントのコードをHTTPサーバーとして動作するようにします。具体的には、ヘルスチェック用の
/pingエンドポイントと、リクエスト処理用の/invocationsエンドポイントを実装します。/pingはAgentCoreが定期的にコンテナの状態を確認するためのもので、/invocationsはAgentCoreからエージェントへの質問(プロンプト)がPOSTされるエンドポイントです。前述のagent.invokeをこのエンドポイント内で呼び出し、結果を返すように実装します。 - Dockerコンテナ化: エージェントサービスをDockerイメージとしてビルドします。
Dockerfileを作成し、Node.jsランタイム上で先ほどのエージェントサーバーコードを動作させる設定を書きます。ビルドしたコンテナイメージをローカルでテストし、/pingにアクセスしてヘルシーレスポンスが返ること、/invocationsに対してテストプロンプトを送って正しく応答することを確認します。 - コンテナイメージのデプロイ: コンテナイメージをAWSのECR (Elastic Container Registry) にプッシュします。次に、AgentCore上で新しいエージェントを作成します。AWSマネジメントコンソールやCLI、CDKを使って、先ほど登録したイメージを指定し、エージェントのデプロイを開始します。この際、エージェントがBedrock等にアクセスするためのIAMロールを関連付ける必要があります(先にBedrockアクセス権付きのロールを作成しておき、それを指定)。
- デプロイ完了とテスト: エージェントがAgentCore上で起動し、ステータスがアクティブになったら、デプロイ完了です。AgentCore経由でエージェントに問い合わせを送り、期待通り動作することを確認します。例えばAWS CLIの
bedrock-agentコマンドやSDKを使って、デプロイしたエージェントに対してプロンプトを送信できます。正常に応答が返ってくれば、本番環境へのデプロイは成功です。あとはAgentCoreが自動的にエージェントのスケーリングや監視を行ってくれるため、安心して運用を続けることができます。
AgentCoreへのデプロイは一見手順が多いように見えますが、一度設定してしまえば以降はエージェントのバージョンアップ時にイメージを更新する程度で済みます。詳細な手順はAWSの公式ドキュメントやサンプルリポジトリで公開されているので、実際にデプロイする際にはそれらを参照すると良いでしょう。