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放課後等デイサービスの事業計画書の書き方|982特例と時間区分で組む収支・指定申請【2026年版】

放課後等デイサービスの事業計画書の書き方|982特例と時間区分で組む収支・指定申請【2026年版】

放課後等デイサービスの事業計画書は、指定権者(都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市等)との事前協議や、金融機関の融資審査で使います。2026年度に計画を作るなら、前提が2つ変わっている点に注意が必要です。令和6年度改定で基本報酬が利用時間による区分制になったこと、そして令和8年6月1日以降に新規指定される事業所には基本報酬の1000分の982が適用されることです。この記事では、こども家庭庁の告示資料と指定基準を根拠に、計画書で数字を置く順番と書き方を整理します。

まとめ:放課後等デイサービスの事業計画書で先に固める5つの数字

  • 指定を受けられるか:放課後等デイサービスは総量規制の対象。物件を契約する前に、障害児福祉計画の必要量に達していないかを指定権者に確認します。
  • 基本報酬の単位数:定員10人以下・一般の障害児で、区分1(30分以上1時間30分以下)574単位、区分2(1時間30分超3時間以下)609単位、区分3(3時間超5時間以下・学校休業日のみ)666単位。新規指定は令和9年度改定までこの1000分の982です。
  • 人員配置:児童指導員または保育士をサービス提供時間を通じて2人以上(うち1人以上常勤)、児童発達支援管理責任者を1人以上(1人以上は専任かつ常勤)。
  • 稼働率:本文の加算構成による試算では、982特例の影響は売上の約1.3%です。同じ単価・営業日数で稼働率が90%から80%になると、売上は約11.1%減ります。計画の成否を分けるのは稼働率の根拠です。
  • 運転資金:給付費はサービス提供月の翌々月に入金されます。開業から2か月は給付費の入金がない前提で、支払日と入金日を月別に並べた資金不足額の最大値を運転資金にします。

放課後等デイサービスの事業計画書を出す2つの場面

指定権者との事前協議:様式と見られる内容

多くの自治体は、指定申請の前に事前協議を置き、そこで事業計画書の提出を求めます。福島市は事前協議事務取扱要綱で、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業計画書を第3号様式と定め、建物の平面図と案内図の添付を求めています。同要綱は、市が計画書の内容と障がい児福祉計画との整合性について助言できるとも定めています。

申請期限は自治体ごとに異なります。栃木県は、事前協議で事業計画書と使用予定建物の図面を用意するよう求め、申請書の提出期限を指定を受けたい月の前々月末日としています(5月1日指定なら3月31日)。様式が自治体ごとに決まっているため、計画書は自治体の様式で作るのが原則です。

融資の創業計画書:公庫の様式と自作計画書

日本政策金融公庫で借りる場合は、公庫の創業計画書を使うか、自作の計画書で代えます。新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金20年以内、運転資金10年以内です。融資の審査では、指定権者に出す計画書と同じ定員・人員・単位数で収支を組んでおくと、数字の食い違いを指摘されません。提出先ごとの形式の違いは事業計画書をパワーポイント(パワポ)で作る方法|スライド構成例と提出先別の注意点で扱っています。

なお、検索結果に多く出てくる社会福祉法人の「令和○年度事業計画書」は、運営中の法人が毎年理事会で決める年次計画です。これから指定を受ける事業所が作る計画書とは目的が違います。高齢者向けの通所介護(デイサービス)は介護保険の制度で報酬も基準も別なので、デイサービスの事業計画書が開業準備と融資審査の両面で果たす役割を参照してください。

物件より先に確認する総量規制

児童福祉法21条の5の15第5項は、申請に係る区域の指定通所支援の量が都道府県障害児福祉計画の必要量に達している場合などに、都道府県知事が指定をしないことができると定めています。放課後等デイサービスはこの対象です。

総量規制で指定が見送られると、契約済みの物件の家賃や改装費を事業収入で回収できなくなるおそれがあります。事業計画書の作成は、指定権者に圏域の充足状況を確かめてから物件を決める順番で進めます。充足している圏域でも、医療的ケア児や重症心身障害児の受け入れを例外にする運用があるため、計画の主たる対象をどこに置くかもこの段階で相談します。

定員10人の人員配置と発達支援室

人員基準:児童指導員・保育士2人以上と児童発達支援管理責任者

人員は指定通所支援基準66条が定めています。

職種 員数 条件
児童指導員または保育士 障害児10人まで2人以上 提供時間を通じて専従・1人以上常勤
同(10人超) 5人またはその端数ごとに1人追加 利用児童11〜15人なら3人以上
児童発達支援管理責任者 1人以上 1人以上は専任かつ常勤
機能訓練担当職員・看護職員 機能訓練・医療的ケアの実施に応じて配置 提供時間を通じて専従する場合に員数へ算入可
管理者 1人 専従が原則・支障がなければ兼務可(67条で7条を準用)

機能訓練担当職員や看護職員を児童指導員等の数に含める場合でも、合計数の半数以上は児童指導員または保育士でなければなりません。主として重症心身障害児を通わせる事業所は、嘱託医・看護職員・児童指導員または保育士・機能訓練担当職員・児童発達支援管理責任者を各1人以上置く別の基準になります。

設備:発達支援室と現地確認で見られる安全対策

設備は同基準68条で、発達支援室(旧称:指導訓練室)と、支援に必要な設備・備品を設けると定めています。国の基準に発達支援室の面積の数値はなく、面積や相談室の要否は自治体の条例・要綱で上乗せされます。物件候補が出た時点で、所在地の指定権者の基準を確認します。

指定前の現地確認で見られる項目は具体的です。中野区の指定申請のしおりは、カーテンの防炎、手洗い設備の分離、家具の転倒防止、出入口の飛び出し防止(二重ロック等)、2階以上の窓の転落防止、外から開錠できるトイレなどを挙げています。改装費の見積もりにはこれらを最初から入れておきます。

採用計画:児童発達支援管理責任者の確保と犯罪事実確認

児童発達支援管理責任者を確保できなければ、人員基準を満たせず、予定どおりに開業できないおそれがあります。児童発達支援管理責任者が欠けると、減算が適用された月から4月目までは所定単位数の70%、5月以上続くと50%に下がります(児童指導員等の欠如は2月目まで70%、3月以上で50%)。計画書には、候補者の確保状況と、退職時の代替手段を書いておきます。

2026年12月25日にはこども性暴力防止法が施行されます。堺市の案内によると、放課後等デイサービスは義務対象で、管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士のほか、第三者の同席がない状況でこどもに継続的に接する可能性がある送迎車両の運転手なども犯罪事実確認の対象になります。採用スケジュールに確認手続きの期間を見込みます。

時間区分の基本報酬と令和8年6月からの982特例

授業日と休業日で分かれる区分1〜3の単位数

令和6年度改定で、放課後等デイサービスの基本報酬は「授業終了後」と「休業日」の2本立てから、利用時間による区分1〜3に変わりました。区分3は学校休業日のみ算定できます。こども家庭庁の報酬算定構造によると、一般の障害児(重症心身障害児・医療的ケア児以外)の単位数は次のとおりです。

区分(利用時間) 定員10人以下 定員11〜20人 新規指定(10人以下×982/1000)
区分1(30分以上1時間30分以下) 574単位 382単位 564単位
区分2(1時間30分超3時間以下) 609単位 406単位 598単位
区分3(3時間超5時間以下・休業日のみ) 666単位 443単位 654単位

新規指定の列は1単位未満を四捨五入した参考値です。表の定員11〜20人では、定員10人以下に比べて1人あたりの基本報酬が約3分の2になります。定員を増やす場合は、利用人数と必要人員も変えて収支を比較します。区分は個別支援計画に定めた時間で決まり、学校休業日に5時間を超える支援を計画しても区分3より上はありません。

982特例の対象外になる事業所・利用者

令和8年度改定は、収支差率が高く事業所が急増しているサービスとして、児童発達支援・放課後等デイサービス・就労継続支援B型・共同生活援助を選び、令和8年6月1日以降に新規指定された事業所に限って、令和9年度報酬改定までの間、基本報酬を引き下げました(改定事項の資料)。率はサービスごとに違い、放課後等デイサービスは1000分の982、児童発達支援は1000分の988です。既存事業所は従前どおりです。

次の場合は従前の単位数が適用されます。

  • 主として重症心身障害児を通わせる事業所
  • 医療的ケア区分(1〜3)の基本報酬、強度行動障害児支援加算(I)(II)・人工内耳装用児支援加算・視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算をその月に1日以上算定する利用者(その月は従前の単位数)
  • 離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)の事業所
  • 公募でサービス不足地域に設置する事業所、開設時に自治体の経済的支援を受けて設置する事業所(運営・サービスの質・人材確保のための補助等は除く)

合併・分割・事業譲渡で実質的に運営が継続すると認められる場合は既存事業所と同じ扱いです。事業計画書には、自分の事業所が特例の対象かどうかを明記し、対象なら982の単位数で収支を組みます。

計画に入れる加算:加配・専門的支援体制・送迎・延長

982特例が掛かるのは基本報酬だけで、加算は従前の単位数です。定員10人以下の事業所で検討する加算例は次のとおりです。対象児童、職員配置、支援計画等の要件を満たすものだけ収入に計上します。

加算 単位数 主な要件
児童指導員等加配加算 1日90〜187単位 基準を超えて配置。常勤専従・経験5年以上で187
専門的支援体制加算 1日123単位 理学療法士等を基準を超えて配置
送迎加算 片道54単位 同一敷地内は70%
延長支援加算 1日61・92・123単位 1〜2時間未満92、2時間以上123、短縮時の例外61
個別サポート加算(III) 1日70単位 不登校の状態にある児への支援
自立サポート加算 1回100単位 高校2・3年生が基本・例外あり・月2回まで

指定月から加算を算定する計画なら、その月から要件を満たす体制を整え、指定権者の期限までに届け出ます。開業後に体制を整えて加算を追加することもでき、その場合は届出が15日以前なら翌月、16日以降なら翌々月から算定します。加配加算を前提に売上を組むなら、その職員の人件費も支出計画に入れます。処遇改善加算は別の区分と率で決まるので、処遇改善加算とは?令和8年6月からの6区分と配分計算・実績報告の実務を解説を参照してください。

稼働率別の月次売上試算(定員10人・授業日20日+休業日4日)

新規指定・定員10人・一般の障害児・その他地域(1単位10円)を前提に、授業日は区分2(598単位)、休業日は区分3(654単位)とし、児童指導員等加配加算(常勤換算・経験5年以上123単位)と往復の送迎加算(108単位)を全員が算定する場合で計算します。1日あたり授業日8,290円、休業日8,850円です。

稼働率 延べ利用(授業日+休業日) 月の報酬額 年換算
90% 180人+36人 1,810,800円 約2,173万円
80% 160人+32人 1,609,600円 約1,932万円
70% 140人+28人 1,408,400円 約1,690万円

報酬額は給付費と利用者負担(原則1割・所得に応じた上限あり)の合計です。所在地が1級地〜7級地なら1単位の単価が上がるので、地域区分に合わせて置き換えます。処遇改善加算はこの表に含めていません。

この試算で982特例による減少は、稼働率90%でも月24,120円(基本報酬609→598・666→654の差)です。一方、稼働率が90%から80%に下がると月201,200円減ります。この試算では982特例より稼働率低下の影響が大きいため、計画書には適用単位数に加えて、稼働率の根拠も示します。近隣の特別支援学校・特別支援学級の在籍数、相談支援事業所からの紹介見込み、競合事業所の定員と空き状況を、数字で書いてください。

支出計画と赤字事業所45.4%が示す損益の分かれ目

厚生労働省・こども家庭庁の令和7年障害福祉サービス等経営概況調査では、放課後等デイサービスの収支差率は令和5年度決算7.9%、令和6年度決算9.1%(物価高騰対策関連補助金を除く)でした。全サービス平均(加重平均6.5%)より高い一方、赤字事業所の割合は令和6年度決算で45.4%あります。平均収支差率だけでは個々の事業所の採算を判断できず、調査では半数近い事業所が赤字となっています。

同調査の収入に対する給与費の割合は64.4%(令和6年度決算)です。支出計画では、最低限の人員配置(児童指導員等2人以上をサービス提供時間を通じて、児童発達支援管理責任者1人)の人件費を固定費として置き、家賃・送迎車両・水道光熱費を加えて、損益分岐となる延べ利用人数を逆算します。人件費が売上の7割を超える計画では、家賃などの他の固定費も含め、稼働率が下がった場合の収支を再計算します。

報酬減算による収入減少も、収支計画のリスクとして書きます。支援プログラムを公表・届出していない場合は支援プログラム未公表減算が掛かり、所定単位数の85%になります。学校休業日の開所時間が4時間未満なら70%、4時間以上6時間未満なら85%に減ります(開所時間減算)。休業日の営業時間は、この減算に掛からない6時間以上で組みます。

開業資金と運転資金:翌々月入金を前提にした見積もり

給付費は、サービス提供月の翌月10日までに国民健康保険団体連合会へ請求し、翌々月に入金されます。6月1日開業なら、6月分の入金は8月です。運転資金は、人件費・家賃に加え、車両費・光熱費・借入返済などの支払日と給付費の入金予定日を月別に並べ、資金不足額が最大になる時点を基準に見積もります。利用者の増加や入金が遅れる場合の予備資金も確保します。

開業資金は、物件取得費(保証金・仲介手数料)、改装費(中野区のしおりに挙がる安全対策を含む)、送迎車両、備品、採用費、開業前の人件費に分けて見積もります。金額は物件と地域で大きく変わるため、計画書には見積書の金額をそのまま使い、根拠のない相場値を書かないことが審査では重要です。

請求は国保連への電子請求で、利用実績・個別支援計画・加算の算定根拠を毎月揃える必要があります。記録と請求の仕組みをどう選ぶかは放課後等デイサービスのシステムとは:児発・放デイの業務フローで選ぶ判断軸と受託開発の線引きと障害福祉ソフトとは|介護ソフトとの制度差と報酬改定追随・カスタム開発の線引きで比較しています。既製ソフトで足りない記録・連携が出てくる場合は、医療機関向けシステム開発のような個別開発も選択肢になります。

支援プログラムと地域ニーズで書く事業の特色

令和6年4月から、事業所は5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)との関連を明確にした支援プログラムを作成・公表し、公表方法と内容を都道府県に届け出ることになりました(支援プログラムの作成及び公表の手引き)。中野区のしおりは、この公表と届出を指定月までに済ませる必要があるとしています。事業計画書の「支援内容」は、この支援プログラムの下書きとして書くと二度手間になりません。

運動療育・学習支援・SSTなどの特色は、放課後等デイサービスガイドラインが求める「総合的な支援」を土台にしたうえで、特定の領域に重点を置く形で書きます。特定の領域だけを提供する計画は、5領域を網羅する総合的な支援という前提に合いません。

就学児が対象である点も、児童発達支援と違う書き方になります。ガイドラインの自己評価表は、学校との年間計画・行事予定の交換や下校時刻の確認、卒業後に障害福祉サービス事業所へ移る際の情報提供を項目に挙げています。対象学年(小学生中心か、中高生まで受けるか)、学校からの送迎ルート、高校生の自立に向けた支援を具体的に書くと、事業の特色が地域ニーズと結びつきます。

提出前に確認する事業計画書の4つの不備

  • 稼働率が初月から90%:紹介元や利用希望者数の裏付けがない高稼働率は、収入を過大に見積もるおそれがあります。利用開始の見込みに基づいて月別の稼働率を設定し、増加が遅れる場合の資金繰りも示します。
  • 982特例を反映していない:令和8年6月以降の新規指定なのに従前の単位数で売上を組んでいると、制度理解を疑われます。
  • 人員配置とサービス提供時間が合っていない:サービス提供時間を通じて、利用児童数に応じた児童指導員等を配置できるシフトになっていないケースです。営業時間とサービス提供時間は区別し、延長支援を行う場合はその配置要件も確認します。
  • 他事業所の計画書の流用:他事業所の理念や支援内容を流用せず、対象児童のニーズ、学校との連携、送迎範囲などを開設地域の実情に合わせて記載します。

指定申請の書類作成を行政書士に、収支を税理士に頼むのは有効です。外部に作成を依頼する場合も、事前協議で説明するのは事業者本人なので、地域ニーズ・支援方針・収支の前提を確認し、自分の言葉で説明できる状態にしておきます。

よくある質問

放課後等デイサービスの事業計画書に決まった様式はありますか?

指定権者ごとに様式があります。福島市のように要綱で様式(第3号様式)を定めている自治体もあるため、事前協議の予約時に指定権者から入手します。融資用は日本政策金融公庫の創業計画書か自作の計画書を使います。

放課後等デイサービスの開業資金はいくら必要ですか?

物件・改装・車両・備品・採用費に加え、給付費が翌々月入金のため、開業から入金が始まるまでの人件費・家賃・車両費などを運転資金として持つ必要があります。物件と地域で大きく変わるので、見積書と月別の資金繰り表をもとに積み上げます。

放課後等デイサービスは利益が出ますか?

令和7年経営概況調査で、収支差率は令和6年度決算9.1%と全サービス平均より高い一方、赤字事業所の割合は45.4%です。令和8年6月以降の新規指定は基本報酬が1000分の982になるため、稼働率と人件費の見積もりで結果が分かれます。

児童発達支援の事業計画書とは何が違いますか?

放課後等デイサービスは就学児が対象で、時間区分・学校休業日の区分3・学校からの送迎が計画に入ります。新規指定の特例も児童発達支援は1000分の988と率が違います。児童発達支援は児童発達支援の事業計画書の書き方|指定申請と公庫融資に向けた人員・収支・資金計画【2026年版】で解説しています。

総量規制で指定を受けられないことはありますか?

あります。児童福祉法21条の5の15第5項により、圏域の必要量に達している場合などは指定をしないことができます。物件を契約する前に、指定権者に圏域の充足状況と例外の運用を確認してください。

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