ケアハウスの事業計画書は、飲食店や小売の創業計画書と同じ様式では書けません。ケアハウス(軽費老人ホーム)は社会福祉法で第一種社会福祉事業とされ、設置には同法第62条の届出か許可が必要です。さらに、居室・職員・利用料は「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成20年厚生労働省令第107号。以下「基準省令」)と、それを受けた自治体の条例・要綱で細かく決まっています。
審査する側は、この法定事項と基準を順に照合します。本記事では、条文と自治体の利用料基準の実数を使い、計画書の記載項目、人員配置の積算、利用料と補助から組む収支を、計画書の章立てに沿って整理します。
まとめ:ケアハウス事業計画書の要点
- 設置主体:原則は地方公共団体か社会福祉法人です。それ以外の法人は社会福祉法62条2項の知事許可が必要で、財源の調達方法や経理の方針も申請書に書きます。
- 類型:一般型、介護型(特定施設入居者生活介護の指定を受ける)、都市型(定員20人以下)で、人員配置と収益構造がまったく違います。最初に類型を確定させます。
- 設備:居室は1人用で21.6平方メートル以上(洗面所・便所・収納・調理設備を除く有効面積14.85平方メートル以上)。居室面積と職員配置は、条例が国の基準に「従うべき」項目です。
- 収入:利用料は基準省令16条の6区分です。中心になる「サービスの提供に要する費用」は所得階層で本人負担が決まり、差額は自治体の補助で賄います。単価は都道府県ごとに違います。
- 資金:福祉医療機構(WAM)の福祉貸付はケアハウスを対象にしており、補助を受けて整備する定員29人以下などは融資率90%の優遇があります(2026年度)。
- 介護型の前提:都道府県介護保険事業支援計画の必要利用定員総数に達していれば指定されないことがあります(介護保険法70条)。計画書を書く前に整備枠を確認します。
以下、計画書の章の順に、何を根拠に何を書くかを見ていきます。
ケアハウスの設置主体と社会福祉法62条の届出・許可
第一種社会福祉事業としての設置主体の制限
社会福祉法2条2項3号は、老人福祉法に規定する軽費老人ホームを経営する事業を第一種社会福祉事業としています。第一種社会福祉事業は「国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする」(同法60条)ため、ケアハウスの運営主体は社会福祉法人が中心です。
手続は主体によって分かれます。市町村と社会福祉法人は、事業開始前に都道府県知事へ届け出ます(62条1項)。株式会社や医療法人など、それ以外の者は知事の許可が必要です(62条2項)。許可の申請では、知事が次の5点を審査します(62条4項)。
- 事業を経営するために必要な経済的基礎があること
- 経営者が社会的信望を有すること
- 実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する経験、熱意及び能力を有すること
- 事業の経理が他の経理と分離できるなど、社会福祉法人に準ずる性格であること
- 脱税その他不正の目的で経営しようとするものでないこと
株式会社が申請する場合、4点目は本業との関係を説明しなければならない項目です。本業の会計からケアハウス事業を切り出す経理区分と、事業の資金を本業へ流用しない管理方法を、計画書の資金計画と経理の方針に具体的に書いておく必要があります。条文はe-Govの社会福祉法で確認できます。
法定の記載事項を計画書の章立てに置き換える対応表
62条1項は届出事項として7項目、3項は許可申請で追加する5項目を定めています。計画書の章をこの順に対応させると、審査側が照合しやすくなります。
| 62条の法定事項 | 計画書で書く章 | 裏付け資料の例 |
|---|---|---|
| 施設の名称及び種類 | 事業概要(類型の別) | 構想書 |
| 設置者の氏名又は名称・住所・経歴・資産状況 | 法人概要・運営実績 | 登記簿・財産目録・決算書 |
| 条例、定款その他の基本約款 | 法人概要 | 定款 |
| 建物その他の設備の規模及び構造 | 施設計画 | 平面図・面積表 |
| 事業開始の予定年月日 | 開設スケジュール | 工程表 |
| 施設の管理者・幹部職員の氏名及び経歴 | 運営体制 | 履歴書・資格証 |
| 福祉サービスを必要とする者に対する処遇の方法 | サービス内容 | 運営規程案 |
| 財源の調達及びその管理の方法(許可のみ) | 資金計画 | 補助内示・融資見込み |
| 施設の管理者の資産状況(許可のみ) | 運営体制 | 管理者の資産状況の資料 |
| 建物その他の設備の使用の権限(許可のみ) | 施設計画 | 登記簿・賃貸借契約 |
| 経理の方針(許可のみ) | 収支計画・会計区分 | 経理規程 |
| 経営者・管理者に事故があるときの処置(許可のみ) | 運営体制 | 代行者の指定・規程 |
許可を受けた後も、設備の規模・構造、事業開始日、処遇の方法、財源の調達方法、経理の方針などを変えるときは改めて許可が要ります(63条2項)。計画書に書いた資金計画は、開設後も拘束力を持つ前提で書きます。社会福祉法人として毎年度つくる事業計画との違いは、社会福祉法人の事業計画書が果たす役割と毎年度の作成義務の根拠で整理しています。
一般型・介護型・都市型で変わる計画の前提
ケアハウスの計画で最初に決めるのは、どの基準で運営するかです。制度上の区分は2つの軸に分かれます。施設の種類としては、基準省令の本則(第3章)が定めるケアハウスと、第4章が定める小規模な都市型軽費老人ホームがあります。もう一つの軸が介護保険の指定の有無で、ケアハウスの基準に加えて特定施設入居者生活介護の指定を受けたものが、いわゆる介護型です。下の表では、比較のために都市型も並べています。旧来のA型・B型は附則で経過的に残っているだけで、新設の選択肢にはなりません。
| 項目 | 一般型 | 介護型 | 都市型 |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 基準省令 第3章 | 第3章+居宅サービス基準 | 基準省令 第4章 |
| 入所定員 | 省令に下限の条文なし | 同左(指定は別枠) | 20人以下(35条) |
| 居室(1人用) | 21.6平方メートル以上 | 21.6平方メートル以上 | 収納設備を除き1人7.43平方メートル以上 |
| 介護の提供 | 外部の介護保険サービス | 施設の職員が提供 | 外部の介護保険サービス |
| 主な収入 | 利用料+自治体補助 | 利用料+補助+介護報酬 | 利用料+自治体補助 |
都市型は、原則として既成市街地等に設置され、都道府県知事が地域の実情を勘案して指定する小規模な施設です(34条)。土地代の高い地域で定員20人以下にまとめたい場合の選択肢ですが、知事の指定が前提なので、自治体の公募要件に入っているかを先に確かめます。
設備計画で書く居室面積と必須設備
基準省令10条の主な設備基準は次のとおりです。
- 居室:定員1人(サービス提供上必要なら2人)。床面積21.6平方メートル以上で、洗面所・便所・収納設備・簡易な調理設備を除いた有効面積は14.85平方メートル以上。2人用は31.9平方メートル以上。地階に設けない。緊急連絡用のブザー等を設ける。
- ユニット(10程度の居室と共同生活室で構成する区画):居室15.63平方メートル以上(有効面積13.2平方メートル以上)、2人用23.45平方メートル以上。
- 共用設備:談話室・娯楽室又は集会室、食堂、浴室、洗面所、便所、調理室、面談室、洗濯室又は洗濯場、宿直室。
- 建物:耐火建築物又は準耐火建築物(一定の要件を満たす木造平屋は例外あり)。居室が2階以上ならエレベーター、全館一斉放送設備。
面積表では、21.6平方メートルの内訳として有効面積14.85平方メートルを別に示します。洗面・便所・ミニキッチンを含めた面積だけを書くと、有効面積を満たしているかを審査側が判断できず、図面の差し戻しにつながります。
もう一つ確かめるのが条例です。基準省令1条は、居室を設けること・居室面積と、11条の職員配置を、自治体が条例を定める際に「従うべき基準」としています。それ以外の多くの項目は「参酌すべき基準」で、自治体が独自に上乗せや変更をしている場合があります。計画書の設備欄は、国の省令ではなく所在地の条例の条番号で根拠を書くのが確実です。省令の全文はe-Govの軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準にあります。
人員計画の積算:基準省令11条と特定施設の人員基準
一般型の職員配置(基準省令11条)
一般型の職員は、入所者数に応じて次のように積算します。入所者数は前年度の平均値で、新規開設時は推定数を使います(11条2項)。
- 施設長:1人。専従・常勤が原則で、社会福祉主事の資格要件に該当する者か、社会福祉事業に2年以上従事した者など(5条)。
- 生活相談員:入所者120人ごとに1人以上、うち1人以上は常勤。
- 介護職員:一般入所者30人以下で常勤換算1人以上、30人超80人以下で2人以上、80人超で2人に実情に応じた数を加えた数。1人以上は常勤。
- 栄養士又は管理栄養士:1人以上。ただし定員40人以下などで、入所者へのサービスに支障がない場合に限り置かないことができる。
- 事務員:1人以上。ただし定員60人以下などで支障がなければ置かないことができる。
- 調理員その他の職員:実情に応じた適当数。調理業務の全部を委託する場合は、調理員を置かないことができる。
- 夜間:宿直又は夜勤を1人以上(敷地内に職員宿舎がある場合などは例外)。
入所者30人(全員が一般入所者)と推定する一般型なら、基本配置は施設長1、生活相談員1、介護職員(常勤換算)1です。これに、栄養士と事務員を省略できる条件(サービスに支障がないこと)を満たすかの判断、調理員その他の職員の数、夜間の宿直又は夜勤の体制を加えて、配置が確定します。実際の人件費は、宿直を何人で回すか、調理を委託するかで大きく変わります。計画書では、法定最低数と実配置数を並べ、差分の理由を書きます。常勤換算の計算と夜勤の管理は介護施設の勤怠管理システムとは?夜勤・常勤換算・人員配置基準に強い選び方【2026年】も参考になります。
介護型で上乗せされる特定施設の人員基準(居宅サービス基準175条)
介護型は、特定施設入居者生活介護の人員基準を別に満たします。指定居宅サービス等基準175条の主な配置は次のとおりです。
- 看護職員と介護職員の合計:常勤換算で、要介護者3人ごとに1人以上。常に1人以上の介護職員を確保する。
- 看護職員:利用者30人以下で常勤換算1人以上。30人を超える部分は50人又はその端数ごとに1人を加える(31〜80人なら2人以上)。
- 常勤要件:看護職員と介護職員のそれぞれ1人以上は常勤。
- 生活相談員:利用者100人ごとに1人以上(1人以上は常勤)。
- 機能訓練指導員:1人以上。
- 計画作成担当者:1人以上(100人ごとに1人が標準)。専従の介護支援専門員が原則だが、利用者の処遇に支障がなければ施設内の他の職務と兼務できる(175条7項)。
入所者30人が全員要介護者で特定施設のサービスを受けるなら、看護・介護職員は標準で常勤換算10人以上(看護職員1人以上、看護・介護それぞれ1人以上は常勤)です。委員会での安全・負担軽減策の検討や介護機器の複数活用などの要件を満たす施設は、要介護者3人ごとの「1以上」が「0.9以上」に読み替えられ、30人なら9人以上になります(175条9項)。一般型の介護職員は常勤換算1人以上なので、計画書では職種別に「配置数×想定給与」を積み上げて差を示します。特定施設の指定を受ける場合、基準省令の生活相談員は1人を置かないことができます(11条6項)。一方、基準省令の「一般入所者」は、要介護認定の有無ではなく、特定施設入居者生活介護などのサービスを受けていない入所者を指します(11条1項3号イ)。外部の介護保険サービスを使う入所者や、特定施設のサービスを受けない要支援者がいれば、その人数分の介護職員は基準省令側で別に積算します。両方の基準を1つの表で重ねて示すと、審査担当者が二重計上や不足を確認しやすくなります。
収支計画の組み方:利用料の6区分と補助単価
基準省令16条が定める利用料の範囲
ケアハウスが入所者から受け取れる利用料は、基準省令16条で次の6つに限られています。
- サービスの提供に要する費用(入所者の所得の状況等を勘案して都道府県知事が定める額に限る)
- 生活費(食材料費及び共用部分の光熱水費に限る。知事が定める額が上限)
- 居住に要する費用(2と4を除く)
- 居室に係る光熱水費
- 入所者が選定する特別なサービスの費用
- 日常生活で通常必要となる便宜のうち、入所者に負担させることが適当なもの
5と6も、徴収できるのは入所者が選定した特別なサービスや日常生活で通常必要となる便宜に限られ、いずれの費用も事前に文書で説明して同意を得る必要があります(16条2項)。1と2は知事が定める額で上限が決まるため、収支計画の売上は「定員×自由な単価」ではなく、自治体の基準額から積み上げます。
サービス提供費と本人徴収額の実例(高知県の取扱基準)
サービスの提供に要する費用は、施設が受け取る総額(基準額)と、入所者本人から徴収する額に分かれ、差額を自治体が補助する仕組みです。高知県軽費老人ホーム利用料等取扱基準(令和7年4月1日適用)を例に、具体的な数字を見ます。
| 入所者数(単独設置・介護職員あり) | 基本額(月額・1人当たり) | 月額の総額(満員時) |
|---|---|---|
| 20人 | 130,300円 | 2,606,000円 |
| 21〜30人 | 87,400円 | 2,622,000円(30人) |
| 31〜40人 | 76,400円 | 3,056,000円(40人) |
| 41〜50人 | 68,000円 | 3,400,000円(50人) |
本人からの徴収額は対象収入(前年の収入から税・社会保険料・医療費などを控除した額)で決まり、150万円以下なら月1万円、150万円を超えると10万円刻みで上がり、310万1円以上は全額負担です。対象収入150万円以下の入所者なら、基本額87,400円のうち本人負担は1万円で、残る77,400円は県の助成で賄われます。
ここから読み取れるのは、収入の大部分が自治体の補助単価に左右されることです。補助単価は都道府県ごとに違い、改定もあります。計画書の収支表では、所在地の都道府県の最新の取扱基準を出典として示し、単価の改定や補助の縮小が起きたときの影響も併記します。
生活費と居住費の上限の決まり方
生活費は、知事が定める上限の範囲で設定します。高知県の場合、上限は月46,336円で、11月から3月に限り月1,968円以内の冬期加算を徴収できます。
居住に要する費用は、建設費の自己負担を回収する部分です。高知県の基準では、施設整備費(土地取得費を除く)から国・県の補助などの公的補助額を差し引いた設置者負担額を定員で配分した「居住費基礎額」が上限の基礎になります。分割払いは、居住費基礎額に20年を標準とする期間の利息を加えて月割りにします。PFIで施設の貸与を受けて運営する場合は、建設費の代わりに施設と用地の賃借料総額の現在価値を基礎にします。居住費の上限は、公的補助を除いた設置者負担と、その利息の範囲で決まるということです。借入金の返済計画は、この上限と矛盾しない額にします。
資金計画で使う整備補助とWAM融資の条件
建設資金は、自治体の整備補助、福祉医療機構(WAM)の福祉貸付、自己資金の組み合わせが基本です。WAMの2026年度福祉貸付事業 融資のごあんないでは、ケアハウスについて次の優遇融資が示されています。
| 区分 | 優遇融資 | 通常 | 取扱期限 |
|---|---|---|---|
| 基金等の補助で整備(定員29人以下) | 融資率90% | 70〜80% | 2027年3月31日 |
| 都市部での整備(耐火・準耐火) | 融資率90%・償還30年以内 | 70〜80%・20〜30年 | 記載なし |
| 老朽施設の改築(定員30人以上) | 融資率90% | 対象外〜80% | 記載なし |
基金等の補助とは、地域医療介護総合確保基金や地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金からの補助です。都市部の優遇は、首都圏・近畿圏・中部圏の指定都府県と、全国の指定都市・中核市が対象です。貸付利率は定期的に改定され、適用されるのは申込時点ではなく金銭消費貸借契約を結ぶ時点の利率です。計画書には、作成時点の公表利率による試算と、金利が上がったときの返済額の試算を並べます。
補助はどの整備にも出るわけではありません。整備補助の多くは、自治体が老人福祉計画・介護保険事業計画に沿って行う公募で配分されます。資金計画は「公募に採択された場合」の前提で組み、採択されなかったときに自己資金と融資で賄えるかを別に示すと、資金計画の実現性を説明できます。
需要予測の根拠:整備枠と圏域の入所状況
全国の状況から見ると、2024年10月1日現在、ケアハウスは2,037施設、定員81,790人、在所者74,324人です(厚生労働省令和6年社会福祉施設等調査の概況)。在所者を定員で割ると約91%で、満床が前提にはなりません。同じ調査で有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)は18,460施設まで増えており、低所得層以外の入居者は有料老人ホームやサ高住と競合します。
そのため、需要欄には全国の高齢者人口の推移より、次の2点を書きます。
- 所在地の老人福祉計画・介護保険事業計画に、軽費老人ホーム(ケアハウス)の整備目標や公募枠があるか
- 同じ圏域の既存ケアハウスの定員と入所待ちの状況(自治体の担当課に照会した結果)
想定入所者の所得分布も書いておきます。前述のとおり本人徴収額は所得で変わり、所得の低い入所者が多いほど補助への依存度が上がるためです。有料老人ホームやサ高住の計画との違いは、老人ホームの事業計画書の書き方|住宅型・介護付き・サ高住の収支計画と2026年改正法の登録制で比較できます。
計画書の提出前に確認したい3つの論点
補助単価の区分の境目で決めた定員
高知県の基準では、入所者20人の基本額は130,300円、21〜30人は87,400円です。サービスの提供に要する費用の基本額だけで比べると、入所者21人の月額は1,835,400円で、20人の2,606,000円より770,600円少なくなります。生活費・居住費・加算は別に入るため施設の総収入の差ではありませんが、定員を1人増やしたときに基本額の合計が下がる区分の段差がある点は、収支表に反映が必要です。定員は、この段差だけで決めず、区分ごとの収入と人件費・建設費、地域で必要な整備規模を並べて比較します。区分の判定に定員と前年度平均の入所者数のどちらを使うかも、要綱で確認します。
介護型の指定見込みの未確認
都道府県知事は、圏域の介護専用型特定施設と地域密着型特定施設の利用定員の合計が、介護保険事業支援計画で定める両者の必要利用定員総数の合計に既に達しているか、指定によって超えるときは、指定をしないことができます(介護保険法70条4項)。混合型では、実際の定員ではなく厚生労働省令で算定する推定利用定員の総数を、混合型の必要利用定員総数と比べます(同条5項)。指定が下りなければ、常勤換算9〜10人以上の看護・介護職員を前提にした収支は成り立ちません。介護型を計画するなら、事前協議の段階で指定の見込みを確認し、指定されない場合に一般型で運営する収支も並べておきます。
業務継続計画と虐待防止体制の記載漏れ
基準省令は、業務継続計画の策定(24条の2)や虐待防止のための措置を運営規程に定めることを求めています(7条)。計画書の運営体制の章で、策定時期と研修・訓練の計画まで書いておくと、運営規程案との整合を審査側が確認しやすくなります。策定の手順は介護BCP(業務継続計画)とは?義務化と未策定減算・策定手順にまとめています。
入所者記録や利用料の計算、補助金の請求を手作業で回すと、所得階層ごとの本人徴収額の改定に追随しにくくなります。記録・請求の仕組みを開設前に決めるなら、医療機関向けシステム開発のように業務に合わせて設計する方法もあります。
よくある質問
ケアハウスの事業計画書に決まった様式はありますか?
国が定めた全国共通の様式はありません。社会福祉法62条の届出・許可の書類や、整備補助の公募で使う様式は、都道府県や指定都市・中核市ごとに定められています。まず所在地の高齢者福祉担当課で公募要項と様式を入手し、その項目に合わせて計画書を組みます。様式に無い項目でも、62条の法定事項(財源の調達方法や経理の方針など)は審査で問われるため、資金計画と運営体制の章に含めておきます。
株式会社でもケアハウスを開設できますか?
開設は可能ですが、届出ではなく都道府県知事の許可が必要です。軽費老人ホームの経営は第一種社会福祉事業で、国・地方公共団体・社会福祉法人の経営が原則とされているためです(社会福祉法60条)。許可の審査では、経済的基礎や、事業の経理が他の経理と分離できるなど社会福祉法人に準ずる性格かどうかが見られます(62条4項)。本業との経理区分を計画書で具体的に示す必要があります。
ケアハウスの居室の広さはどれくらい必要ですか?
基準省令10条では、1人用の居室は21.6平方メートル以上で、洗面所・便所・収納設備・簡易な調理設備を除いた有効面積が14.85平方メートル以上です。2人用は31.9平方メートル以上、ユニット型は15.63平方メートル以上(有効面積13.2平方メートル以上)です。都市型軽費老人ホームは収納設備を除いて入所者1人当たり7.43平方メートル以上です。居室面積は条例が国の基準に従うべき項目ですが、所在地の条例も確認します。
ケアハウスの利用料は自由に決められますか?
自由には決められません。基準省令16条で、受け取れる費用はサービスの提供に要する費用、生活費、居住に要する費用、居室の光熱水費、特別なサービスの費用、日常生活費の6区分に限られます。サービスの提供に要する費用は知事が定める額に限られ、生活費も知事が定める額が上限です。居住費も、建設費の設置者負担額を基礎に上限を決める自治体があります。
ケアハウスの開設資金はどこから借りられますか?
代表的なのは福祉医療機構(WAM)の福祉貸付で、ケアハウスは融資対象の施設です。ただし、施設の種類とは別に借入主体の要件もあるため、社会福祉法人以外が開設する場合は事前にWAMへ相談します。2026年度は、地域医療介護総合確保基金などの補助を受けて整備する定員29人以下のケアハウスで融資率90%(通常70〜80%)の優遇があり、取扱期限は2027年3月31日です。都市部での整備にも融資率90%・償還30年以内の優遇があります。民間金融機関との協調融資の制度もあるため、補助の採択見込みと合わせて組み立てます。