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iDeCoの確定申告と年末調整はどっち?判断表と書き方・還付額の出し方

iDeCoの確定申告と年末調整はどっち?判断表と書き方・還付額の出し方

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、支払った額の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。ただし控除を受ける手続きは1つではありません。年末調整で完了する人、確定申告が必要な人、そして何も手続きをしなくてよい人の3通りに分かれ、どれに当たるかは掛金の納付方法と加入者区分で決まります。

この記事では、国税庁のタックスアンサーと確定申告書の様式、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会が公表している発行スケジュールや事業主向けの取扱いといった一次情報をもとに、判断の分かれ目と実際の記入位置、還付額の出し方までを整理します。あわせて、2026年12月1日に施行される拠出限度額の引き上げが、いつの年分の申告から効いてくるのかも確認します。

まとめ:iDeCoの申告で最初に押さえる6点

  • 掛金の納付方法が「事業主払込」(給与天引き)なら、毎月の源泉徴収で既に控除されているため、年末調整でも確定申告でも申告する必要はありません。
  • 「個人払込」(口座振替)の会社員は、原則として年末調整で完結します。確定申告が要るのは、証明書が間に合わなかった場合や、医療費控除など別の理由で申告する場合です。
  • 控除できるのは「その年に引き落とされた額」です。掛金の対象月と引落年はずれるため、月分で数えると金額が合いません。
  • 必要書類は国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」1枚だけです。一括発行は10月下旬で、初回の納付時期によっては11月・12月・翌年1月にずれ込みます。
  • 年末調整に間に合わなかった場合は確定申告で取り戻せます。確定申告書を出していない給与所得者なら、翌年1月1日から5年間さかのぼれます。
  • 2026年12月1日施行で拠出限度額が引き上げられますが、対象は2026年12月分(2027年1月引落分)からです。令和8年分の申告額は従来の限度額のままです。

iDeCoの掛金控除は「年末調整」「確定申告」「手続き不要」の3つに分かれる

最初に決まるのは、掛金をどう納めているかです。国民年金基金連合会の事業主向けの案内は、第2号加入者が「事業主払込」を選択している場合、掛金を天引きする事業主は「給与等の金額に相当する金額から、社会保険料の金額と小規模企業共済等掛金の額との合計額を控除した残額に相当する金額の給与等の支払があったものとみなして、税額を計算する」と説明しています。つまり事業主払込なら、毎月の源泉徴収の時点で既に控除が反映されており、年末に改めて申告する場面がありません。

一方、同じ案内は「個人払込」について、事業主の源泉徴収事務はないものの年末調整における小規模企業共済等掛金控除の対象になると整理しています。口座振替で自分の口座から引き落としている人は、年末調整か確定申告のどちらかで自分から申告する必要があります。なお社会保険料控除とは別枠の控除で、記入する欄も異なります。

納付方法と立場で決まる判断表

あなたの状況 やること 理由
会社員・公務員で掛金が給与天引き(事業主払込) 手続き不要 毎月の源泉徴収で控除済み。払込証明書も届かない
会社員・公務員で口座振替(個人払込) 年末調整 保険料控除申告書に記入し、証明書を勤務先へ提出
会社員で証明書が年末調整に間に合わなかった 確定申告 年末調整で控除できなかった分を自分で申告
年の途中で転職し、事業主払込と個人払込が混在した 年末調整または確定申告 証明書に載るのは個人払込分だけ。天引き分は源泉徴収票側で処理済み
自営業・フリーランス(第1号加入者) 確定申告 年末調整の仕組みがないため毎年申告する
第3号加入者でパート収入等の課税所得がある 年末調整または確定申告 本人に課税所得があれば控除が働く
第3号加入者で課税所得がない 手続き不要(控除の効果なし) 差し引く所得税・住民税がなければ控除も働かない

会社員でも確定申告に回る主なケース

個人払込の会社員が年末調整だけで終えられないのは、次のような場合です。1つ目は、払込証明書が勤務先の書類提出期限に間に合わなかったときです。2つ目は、医療費控除や寄附金控除、初年度の住宅ローン控除など、そもそも確定申告でなければ受けられない控除を申請する場合が該当します(ふるさと納税でワンストップ特例を使う場合は申告不要です)。この場合はiDeCoの掛金も申告書に転記します。3つ目は、給与以外の所得があるなどの理由で、もともと確定申告義務があるケースです。

4つ目として、年の途中で会社を辞めて年末調整を受けていない場合があります。国税庁のタックスアンサーNo.2030は、年の途中で退職し年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているときを還付申告の具体例として挙げています。この場合、給与の精算とあわせてiDeCoの掛金も申告します。

控除できるのは「その年に引き落とされた額」

iDeCoの掛金は、原則として当月分を翌月に引き落とす仕組みです。そのため、たとえば毎月定額で拠出している人の場合、ある年に口座から出ていくのは前年12月分から当年11月分にあたる12回分です。国税庁のタックスアンサーNo.1135は、控除できる金額を「その年に支払った掛金の全額」としています。掛金の対象月ではなく、実際に引き落とされた年で区切る点を取り違えると、証明書の金額と自分の計算が合わなくなります。

この点は、後述する2026年12月施行の限度額引き上げが「いつの年分から効くのか」を判断するときにも効いてきます。

必要書類は払込証明書1枚|届く時期と届かない理由

年末調整でも確定申告でも、用意するのは国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」だけです。生命保険料控除のように保険会社ごとに証明書が分かれることはなく、iDeCoの掛金分は1枚にまとまります。ただし中小機構の小規模企業共済を併用している場合は、そちらの証明書も別に届き、申告書でも別の行に書きます。

発行スケジュールは一括と追加の4段階

国民年金基金連合会が公表した令和7年分の発行スケジュールは、次のとおりでした。年分が変わっても骨格は同じで、10月の一括発行を軸に、初回の納付時期や金額変更に応じて追加発行が3回組まれています。

発行種類 ハガキ発送予定日 記載される金額
一括発行 10月23日 1月から9月の実績+10月から12月の予定額
追加発行1 11月21日 1月から10月の実績+11月から12月の予定額
追加発行2 12月22日 1月から11月の実績+12月の予定額
追加発行3 翌年1月23日 1月から12月の実績(予定額なし)

電子データはハガキより数日早く、一括発行分は10月20日から順次発行されました。追加発行の対象になるのは、その月に初回の払込実績があった人や、前回発行時の金額と合計額が変わった人です。iDeCo公式サイトの説明によれば、初回の掛金の納付が10月以降になる人には、納付月の翌月にあたる11月から翌年1月に発行されます。加入を申し込んだ月ではなく、初めて掛金が引き落とされた月が起点になる点に注意してください。

届かないときに疑う3つの原因

1つ目は事業主払込です。連合会の案内は、証明書を送るのは掛金を納付した加入者のうち「国民年金の第2号被保険者で掛金納付方法として事業主払込を選択した方を除く」と明記しています。給与天引きの人には最初から届きません。

2つ目は掛金の拠出が止まっているケースです。連合会の証明書に関するよくある質問は、昨年まで届いていたのに今年届かない理由として、令和6年12月の制度改正の施行にともなう企業年金登録情報との不整合などで拠出が一時停止している可能性を挙げ、当年1月から9月までに一度も掛金が引き落とされていない場合は証明書が発行されないと説明しています。

3つ目は住所です。同じ質問集は、登録住所が海外の場合は一斉発送されないとしています。国内に実家などの住所があれば、国内への住所変更届と再発行届を出すことで発送してもらえます。ただし同じ回答には、海外居住の国民年金任意加入被保険者については国内住所への変更ができないという但し書きが付いています。

紛失・再発行は約2週間、過去5年分まで

再発行を申請してから手元に届くまでの目安は約2週間です。一括発行後であれば、当年分を含めた過去5年分まで再発行できます。申請先は加入している運営管理機関です。10月に入ってから住所変更届を出した場合は、再発行申請書に住所変更提出済みと書き添えると新住所へ送ってもらえます。

マイナンバーカードを持っていて電子交付を申請している場合、証明書のデータはXML形式で交付されます。ただしこのXMLをそのまま印刷しても、書面申告の添付書類としては使えません。書面で出すときは国税庁のQRコード付証明書等作成システムで出力し直す必要があります。なお電子交付を申請した人にも、紙のハガキは従来どおり発行されます。

年末調整での書き方|保険料控除申告書のどの欄に何を書くか

記入する欄と、添付するハガキの部分

記入先は「給与所得者の保険料控除申告書」です。連合会の質問集は、記入場所を「小規模企業共済等掛金控除」の枠内にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄と示し、そこに合計金額を書くよう案内しています。生命保険料控除の欄ではないため、書く場所を間違えると控除が反映されません。

添付するのは、届いたハガキのうち左上に「重要」と記載がある払込証明書のページ、つまり一番右側のページです。ハガキ全体を貼り付ける必要はありません。国税庁のタックスアンサーNo.1135も、給与所得者は保険料控除申告書に添付して勤務先へ提出するか、申告書を提出する際に提示すればよいとしています。

12月の引落分が未確定でも「払込予定額」で出せる

10月の一括発行時点では、10月から12月の3か月分はまだ引き落とされていません。証明書にはその分が払込予定金額として記載されており、年末調整はその予定額を含む合計で行います。証明書が届くのを待って年末調整に間に合わせる設計になっているわけです。

引き落とせなかったときは翌年に修正申告が必要になる

ここが見落とされやすい点です。予定額で年末調整を済ませたあとに、残高不足などで12月の掛金が引き落とせなかった場合、控除しすぎた状態になります。連合会の質問集は、月別指定で12月に年1回の引落を設定していて12月26日の引落ができなかったケースについて、掛金額0円の払込証明書は発行されず、年末調整時に引落予定の証明書で提出した場合は確定申告で修正申告することになると明記しています。

iDeCoの申告は還付を受ける話として語られがちですが、この場合は逆に不足分を納める側に回ります。また連合会は、残高不足などで引き落とされなかった月の掛金を後から追納することはできないとしています。12月の引落口座の残高は、年末調整の書類を出したあとも確認しておくのが安全です。

確定申告での書き方|申告書の記入欄とe-Taxの入力位置

書面で出す場合の記入欄

確定申告書の第一表には「所得から差し引かれる金額」の区画があり、令和7年分の様式では社会保険料控除が13番、その次の14番が「小規模企業共済等掛金控除」です。iDeCoの掛金はここに年間合計額を記入します。第二表の該当欄にも掛金の種類と支払金額を書きます。欄の番号は年分によって動くことがあるため、番号ではなく欄の名称で確認してください。

添付書類は払込証明書です。タックスアンサーNo.1135は、確定申告書への添付または提示が必要とし、年末調整で控除された場合はその必要はないとしています。

e-Taxは「小規模企業共済等掛金控除」から入力する

国税庁の確定申告書等作成コーナーのよくある質問は、iDeCoの掛金を支払った場合は「小規模企業共済等掛金控除」から入力するよう案内しています。所得控除の入力画面で、社会保険料控除や生命保険料控除とは別の項目として用意されています。

源泉徴収票に載っている分は給与所得の画面から入れる

同じ国税庁の案内には、見落とすと二重に控除してしまう注意書きが添えられています。給与所得の源泉徴収票に記載されている分については、小規模企業共済等掛金控除の入力画面からではなく「給与所得」の入力画面から入力する、というものです。

事業主払込の人や、年末調整で既に控除を受けた人は、その金額が源泉徴収票側に反映されています。医療費控除などの理由で確定申告をするときに、源泉徴収票の内容を入力したうえでさらに払込証明書の金額を小規模企業共済等掛金控除欄に入れてしまうと、同じ掛金を2回差し引くことになります。追加で申告するのは、年末調整で反映されなかった分だけです。

マイナポータル連携はe-私書箱のアカウント開設が前提

マイナポータル経由で払込証明書のデータを取得すると、申告書の該当項目へ自動入力されます。連合会の説明によれば、これはマイナンバーカードを持つ人が野村総合研究所の提供する電子私書箱サービスにアカウントを作ることで、XMLファイルが交付される仕組みです。アカウント開設後、交付までの目安は約1時間で、22時以降の申込は翌営業日の7時以降になる場合があります。電子データが取得できなくても、ハガキの内容を手で入力すればe-Taxでの申告自体は可能です。

いくら戻る?掛金合計×(所得税率+住民税10パーセント)で出す

計算は3ステップ

軽減される税額は、年収ではなく課税される所得金額で決まります。手順は、1年間に支払った掛金の合計を出し、それに自分の所得税率を掛け、さらに住民税の所得割の標準税率10パーセントを掛けた額を足すだけです。所得税の税率は国税庁のタックスアンサーNo.2260の速算表に沿い、課税される所得金額が195万円未満なら5パーセント、195万円から330万円未満なら10パーセント、330万円から695万円未満なら20パーセント、695万円から900万円未満なら23パーセント、900万円から1800万円未満なら33パーセントです(1800万円以上は40パーセントと45パーセントの区分が続き、全体では7段階です)。区分ごとの税額の出し方は累進課税と速算表の解説で詳しく扱っています。

掛金月額2万3000円(年27万6000円)で試算した目安

掛金控除前の課税される所得金額 所得税+住民税の合計税率 年間の軽減額の目安
195万円未満 15パーセント 4万1400円
195万円から330万円未満 20パーセント 5万5200円
330万円から695万円未満 30パーセント 8万2800円
695万円から900万円未満 33パーセント 9万1080円
900万円から1800万円未満 43パーセント 11万8680円

掛金を差し引いた結果、課税所得が1つ下の税率区分に落ちる場合は、軽減額がこの表より小さくなります。たとえば控除前の課税所得が200万円の人は、27万6000円を引くと172万4000円になり、はみ出た部分には5パーセントの税率が適用されるためです。表はあくまで区分の中に収まる場合の概算と考えてください。

また、この表は所得税と住民税だけを足したものです。実際には所得税額に対して復興特別所得税が基準所得税額の2.1パーセント分上乗せされるため、軽減額はこれよりわずかに大きくなります。自営業者が上限の月6万8000円(年81万6000円)を拠出し、課税される所得金額が330万円から695万円未満の帯にいる場合は、同じ計算で年24万4800円が目安になります。

住民税の軽減は翌年6月から

所得税は確定申告なら還付として戻り、年末調整なら12月または1月の給与で精算されます。一方、住民税は前年の所得をもとに翌年度分が計算される仕組みのため、軽減が反映されるのは翌年6月以降に配られる住民税決定通知書からです。通知書の所得控除の内訳欄に、小規模企業共済等掛金控除として掛金額が計上されているかを確認できます。

課税所得がなければ効果もない

所得控除は課税所得を減らす仕組みなので、差し引く所得がなければ税は減りません。連合会も、第3号被保険者について3つの税制優遇を受けられるとしつつ、掛金の所得控除のメリットを受けるには課税所得がある必要があると注意を促しています。扶養の範囲内で働いていて所得税も住民税もかかっていない場合、掛金控除の節税効果はゼロです。運用益が非課税になるメリットは残るため、そちらを目的に加入しているかどうかで判断が変わります。

ここで誤解されやすいのが、配偶者の側で控除できないかという点です。連合会は、第3号被保険者の掛金の納付方法は本人名義の預金口座からの引落しである個人払込に限定されており、配偶者が支払うことはできないと明記したうえで、加入者本人の掛金しか所得控除の対象にならないとしています。夫の年末調整で妻のiDeCoの掛金を申告することはできません。

同じ理屈は、住宅ローン控除との併用でも起こります。住宅ローン控除は税額から直接差し引く税額控除で、iDeCoの掛金控除は課税所得を減らす所得控除です。iDeCoで課税所得を減らした結果、住宅ローン控除を使い切る前に所得税がゼロになってしまうと、iDeCoの掛金控除の分だけ得をしたようには見えません。金融機関が提供する節税シミュレーションは掛金控除だけを単独で計算するため、住宅ローン控除の残高が大きい年は、源泉徴収票の所得税額を見ながら実際の余地を確認してください。

掛金の上限|現行と2026年12月1日施行の引き上げ

2026年時点の拠出限度額

厚生労働省が示す2024年12月からの拠出限度額は、区分ごとに次のとおりです。国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者は、国民年金基金の掛金や付加保険料との合算枠で月額6万8000円です。企業年金のない会社員と第3号被保険者は月額2万3000円です。企業年金がある会社員と公務員は月額2万円で、かつ各月の企業型確定拠出年金の事業主掛金額と確定給付企業年金等の他制度掛金相当額との合計が月額5万5000円の範囲内という条件が付きます。連合会の質問集は、この枠を「月額5万5000円から企業型確定拠出年金の事業主掛金額と他制度掛金相当額を差し引いた額、ただし月額5000円から1000円単位で2万円まで」と表現しています。

2026年12月分から限度額が引き上げられる

2025年6月13日に成立した年金制度改正法にもとづき、iDeCo・企業型確定拠出年金・国民年金基金の拠出限度額の引き上げが2026年12月1日に施行されます。施行期日は令和7年政令第441号で定められており、関係省令も公布済みです。厚生労働省は改正の内容を、第2号加入者について勤務先の企業年金の有無等による差異を解消し、企業年金と共通の拠出限度額に一本化したうえで月額6万2000円に引き上げるものと説明しています。

加入者区分 2026年11月分まで 2026年12月分から
第1号・第4号(国民年金基金等との合算枠) 月額6万8000円 月額7万5000円
第2号(企業年金なし) 月額2万3000円 月額6万2000円
第2号(企業年金あり/企業年金等との合計) 月額5万5000円の枠内で2万円まで 月額6万2000円
第3号 月額2万3000円 月額2万3000円(据え置き)
第5号(新設) 制度なし 月額6万2000円

第5号加入者は今回新設される区分で、60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の人が対象です。厚生労働省の説明によれば、iDeCo加入者、iDeCo運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移換する者のいずれかに該当し、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、マッチング拠出も実施していないことが条件になります。ただし経過措置として、施行日から3年を経過する日までの間は、この3つに該当しない60歳以上70歳未満の人も加入できます。iDeCoの加入可能年齢の引き上げも同じ2026年12月1日施行です。

見落としやすいのは第3号加入者です。国民年金基金連合会が2026年8月に公表した案内は、事前受付の対象を説明する箇所で「第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません」と明記しています。専業主婦・主夫の枠は月額2万3000円のまま変わりません。

令和8年分の申告額は従来の限度額のまま

引き上げの対象は2026年12月分の掛金からで、実際に口座から引き落とされるのは2027年1月です。前述のとおり控除できるのは「その年に支払った掛金」なので、2026年(令和8年)中に引き落とされる掛金はすべて従来の限度額の範囲にとどまります。増額の効果が申告に表れるのは令和9年分からです。年内に増額手続きをしたからといって、その年の控除額がすぐに増えるわけではありません。

増額は「年1回」の例外扱いになる特例期間がある

iDeCoの掛金額の変更は、通常は12月分から翌年11月分までの1年間に1回しかできません。ただし連合会は、2026年12月1日から2027年11月30日までの期間内に、施行前の限度額より多い額となるよう初めて増額する場合は、この変更回数にカウントしないという経過措置を設けています。

手続きは、2026年9月頃から始まる予定の事前受付か、2026年12月1日から12月24日までのオンライン手続きサービスからです。現在の納付方法が毎月定額でない人や、事前受付の対象になるかどうかは、加入している運営管理機関に確認してください。

忘れた・間違えたときの取り戻し方

取り戻す手続きは、その年について確定申告書を出しているかどうかで変わります。

年末調整に間に合わず、確定申告書も提出していない給与所得者の場合は還付申告です。国税庁のタックスアンサーNo.2030は、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとしています。数年前の分をまとめて出すこともできます。

すでに申告書を提出していて、iDeCoの掛金を書き漏らしていた場合は更正の請求です。期限は起点が2通りある点に注意してください。もともと確定申告義務があって申告した人は、タックスアンサーNo.2026のとおり原則として法定申告期限から5年以内です。一方、申告義務がないのに還付申告をした人は、タックスアンサーNo.2030の注意事項が示すとおり、還付申告書を提出した日から5年以内が期限になります。

逆に、予定額で年末調整をしたあとに掛金が引き落とせなかったなど、控除しすぎていた場合は修正申告で訂正します。修正申告では、税務署の調査の事前通知の前に自主的に出せば過少申告加算税はかかりません。ただしタックスアンサーNo.2026は、この場合も納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があるとしています。気づいた時点で早く出すほど負担は小さくなります。

受け取るときの税と、iDeCo特有の「勤続年数」

iDeCoの老齢給付金を一時金で受け取ると退職所得として扱われ、退職所得控除が使えます。ここで使う勤続年数は、会社での勤務年数ではありません。

数えるのは掛金を拠出した加入者期間

所得税法施行令第69条第1項第2号は、確定拠出年金の一時金について、退職所得控除額の計算の基礎となる期間を、企業型年金加入者期間等と、個人型年金加入者掛金にかかる個人型年金加入者期間のうち企業型年金加入者期間等と重複していない期間とを合算した期間と定めています。条文はいずれも「掛金に係る」加入者期間に限る書き方をしており、掛金を出さずに運用だけを続けた運用指図者の期間は含まれません。iDeCoに口座を持っていた年数ではなく、掛金を拠出した年数で数える点が要点です。

iDeCo公式サイトも、控除額は勤続年数ではなく加入者として掛金を拠出した月数により決められるとしたうえで、掛金拠出月数が150か月なら12年6か月となり、退職所得控除額は年40万円かける13年で520万円になるという例を示しています。月数で数えて年に直し、端数を切り上げる流れが具体的に読み取れます。

企業型確定拠出年金にも加入していた場合、重複する期間は二重に数えません。期間に1年未満の端数が出たときは、所得税法施行令第69条第2項により1年に切り上げます。

令和8年からは前年以前9年内が判定期間になる

iDeCoの一時金を受け取ってから会社の退職金を受け取る場合、退職所得控除の重複を排除する調整が入ります。この判定期間が、所得税法施行令第70条第1項第2号ロによって延長されました。条文は、令和8年1月1日以後に支払を受けた確定拠出年金の一時金がある場合、その年の前年以前9年内に支払を受けたものを調整の対象とすると定めています。いわゆる5年ルールが10年ルールになった、と説明されるのはこの改正です。

令和8年1月1日より前に受け取ったiDeCoの一時金については、従来どおり前年以前4年内が判定期間です。逆に、会社の退職金を先に受け取ってから確定拠出年金の一時金を受け取る順序の場合は、同号ハにより従来から前年以前19年内が判定期間で、この点は変わっていません。

退職所得控除額そのものの計算式や、受給に関する申告書の書き方は退職金の手取りを左右する退職所得の受給に関する申告書の役割と提出効果で詳しく取り上げています。

年金で受け取る場合は雑所得

年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象となり、公的年金と合算して雑所得として課税されます。連合会の案内によれば、iDeCoを年金で受け取る場合は5年以上20年以下の有期年金として扱われ、受給を開始する時期は75歳になるまでの間で選べます。ただし同じ案内には、金融機関によっては終身年金として受け取れる場合もあるという注記が付いています。公的年金の受給が始まる年齢と重なると雑所得の合計が膨らむため、受取方法の選択は受給開始時期とあわせて考える必要があります。

よくある質問

iDeCoは年末調整と確定申告のどちらで手続きしますか?

掛金を口座振替で納めている会社員は、原則として年末調整です。給与天引き(事業主払込)の人は毎月の源泉徴収で控除済みのため、どちらの手続きも不要です。自営業者やフリーランスは確定申告で申告します。会社員でも、証明書が間に合わなかった場合や医療費控除などを申請する場合は確定申告に回ります。

年末調整と確定申告の両方でiDeCoを申告してもよいですか?

同じ掛金を両方で控除することはできません。年末調整で控除済みの金額は源泉徴収票に反映されているため、確定申告では源泉徴収票の内容として入力します。国税庁も、源泉徴収票に記載されている分は小規模企業共済等掛金控除の入力画面ではなく給与所得の入力画面から入力するよう案内しています。確定申告で改めて記入するのは、年末調整で反映されなかった分だけです。

払込証明書はいつ届きますか?

一括発行は10月下旬です。令和7年分ではハガキの発送予定日が10月23日、電子データは10月20日から順次でした。初回の掛金の納付が10月以降になる人には、納付月の翌月にあたる11月から翌年1月に発行されます。金額に変更が生じた人も追加発行の対象になります。

証明書をなくした場合はどうすればよいですか?

加入している運営管理機関に再発行を依頼します。手元に届くまでの目安は約2週間です。一括発行後であれば、当年分を含めた過去5年分まで再発行できます。

専業主婦の妻のiDeCoを、夫の年末調整で控除できますか?

できません。国民年金基金連合会は、第3号被保険者の掛金の納付方法は本人名義の預金口座からの引落しに限定されており、配偶者が支払うことはできないとしたうえで、加入者本人の掛金しか所得控除の対象にならないと説明しています。本人に課税所得がない場合は、掛金控除による節税効果は生じません。

iDeCoの申告を忘れた年の分は取り戻せますか?

取り戻せます。確定申告書を提出していない給与所得者であれば、還付申告としてその年の翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できます。すでに申告書を出している場合は更正の請求になり、確定申告義務があった人は法定申告期限から5年以内、還付申告をした人は還付申告書を提出した日から5年以内が期限です。

2026年12月の限度額引き上げは、いつの申告から控除額が増えますか?

令和9年分からです。引き上げの対象は2026年12月分の掛金からで、実際の引落は2027年1月になります。控除できるのはその年に支払った掛金なので、令和8年分の申告額は従来の限度額の範囲にとどまります。

掛金の引落ができなかった月は、あとから払えますか?

払えません。国民年金基金連合会は、残高不足などの理由で掛金が引き落とされなかった場合、その月の掛金を追納することはできないとしています。年末調整を予定額で済ませたあとに12月分が引き落とせなかった場合は、確定申告で修正することになります。

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