定額減税は、令和6年分の所得税(1人3万円)と令和6年度の個人住民税(1人1万円)で実施され、取り残された一部の配偶者分を令和7年度の住民税で1万円差し引いたところで終わりました。2026年10月時点の租税特別措置法と地方税法には、令和7年分以降の所得税や令和8年度以降の住民税に定額減税を行う規定がありません。この記事では、3段階の実施時期、令和7年度に配偶者分だけが残った理由と対象要件、補足給付金の終了、そして定額減税の後に続く給付付き税額控除などの予定を、条文と国税庁・内閣府の資料で確認します。
まとめ:定額減税の期間と令和8年度以降の扱い
- 定額減税の対象は、令和6年分の所得税、令和6年度の住民税、令和7年度の住民税(控除対象配偶者以外の同一生計配偶者の分だけ)の3つに限られます。
- 令和7年分の所得税(2025年の年末調整・2026年3月の確定申告)と令和8年度の住民税(2026年6月から納める分)に定額減税はありません。根拠となる附則は令和6年度分と令和7年度分の2本だけです。
- 令和7年度に残ったのは、本人の合計所得金額が1,000万円超1,805万円以下で、合計所得48万円以下の配偶者がいる人の1万円です。給与収入だけなら年収1,195万円超2,000万円以下が目安です。
- 減税しきれなかった人向けの調整給付(令和6年)と不足額給付(令和7年)の申請期限は、市区町村ごとに定められています。浜松市の不足額給付の締切は2025年10月31日でした。
- 次の負担軽減策は、2027年4月からの飲食料品の消費税率1%への引下げ案と、所得に連動した給付(令和9年度に先行導入予定)です。給付付き税額控除そのものは、2026年8月の閣議決定でも制度設計の検討が続いています。
| 段階 | 税目・年度 | 減税額 | 時期(給与天引きの場合) |
|---|---|---|---|
| 1 | 令和6年分 所得税 | 本人・家族1人3万円 | 2024年6月の給与・年金から順次 |
| 2 | 令和6年度 住民税 | 本人・家族1人1万円 | 2024年7月〜2025年5月の徴収分 |
| 3 | 令和7年度 住民税 | 配偶者1人分1万円 | 2025年6月〜2026年5月の徴収分 |
| - | 令和7年分 所得税以降 | なし | - |
| - | 令和8年度 住民税以降 | なし | - |
定額減税の実施時期:所得税と住民税の3段階
定額減税は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(2023年11月2日閣議決定)を受けた一時的な措置で、所得税は租税特別措置法41条の3の3、住民税は地方税法附則5条の8と5条の12に定められています。実施方法の詳細は国税庁の定額減税特設サイトに残っています。いずれも本人の合計所得金額が1,805万円以下であることが条件です。
令和6年分の所得税:2024年6月の給与から1人3万円
本人3万円に、同一生計配偶者と扶養親族(いずれも居住者)1人につき3万円を加えた額が、令和6年分の所得税から差し引かれました。会社員は2024年6月1日以後最初の給与・賞与の源泉徴収税額から引き、引ききれない分は以後の給与で順次引いて、年末調整で精算しています。年金受給者は6月以後最初の年金から差し引きました。個人事業主は原則として2025年1月以降の令和6年分確定申告で差し引きますが、予定納税の対象者は2024年7月の第1期分予定納税額から本人分3万円を先に差し引き、確定申告で精算しています。個人事業主の扱いは個人事業主が最初に確認すべき定額減税の対象要件と1人あたりの減税額で詳しく扱っています。
令和6年度の住民税:6月分を徴収せず7月から11回
住民税は本人1万円に、控除対象配偶者と扶養親族(国外居住者を除く)1人につき1万円を加えた額を所得割から差し引きました。給与天引き(特別徴収)の人は、地方税法附則5条の10により2024年6月分を徴収せず、減税後の年税額を7月から2025年5月までの11回に分けて納めています。定額減税の対象者の2024年6月の給与で住民税の天引きが0円だったのはこのためです。
令和7年度の住民税:控除対象配偶者以外の同一生計配偶者1人分の1万円
令和7年度は、地方税法附則5条の12により「控除対象配偶者を除く同一生計配偶者」(国外居住者を除く)がいる人に限り、所得割から1万円を差し引きました。本人分や扶養親族分は令和6年度で済んでいるため、対象はこの配偶者分だけです。令和7年度は令和6年度のような徴収の特例がなく、特別徴収の人は2025年6月から2026年5月までの通常の12回で、減税後の税額を納めました。
令和7年度の住民税に配偶者分だけが残った理由
住民税は前年の所得にかかる「前年課税」です。令和6年度の住民税は令和5年分の所得で計算されるため、市区町村は令和5年分の源泉徴収票や給与支払報告書を基に定額減税の人数を数えるしかありませんでした。
ところが、本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合の配偶者は「控除対象配偶者」に当たらず、配偶者控除の対象外です。この配偶者は令和5年分の給与支払報告書(源泉徴収票)に記載する義務がなかったため、市区町村は令和6年度の時点で対象者を正確に把握できませんでした(秋田市の説明)。所得税では令和6年分の年末調整・確定申告でこの配偶者も3万円の対象に入れられましたが、住民税は1年遅れて、令和6年分の源泉徴収票等に記載された情報を使い、令和7年度で1万円を差し引く形になりました。
そのため令和6年分の源泉徴収票の摘要欄には、年末調整で定額減税を行った場合に「源泉徴収時所得税減税控除済額」「控除外額」が記載され、合計所得1,000万円超の人の同一生計配偶者分を減税額の計算に含めた場合は「非控除対象配偶者減税有」と追記されています(大阪市「令和6年分給与支払報告書等の記載方法」)。この記載が、令和7年度の1万円の手がかりになりました。
令和7年度の配偶者分1万円の対象要件と通知書での確認
対象者の条件:本人1,000万円超1,805万円以下・配偶者48万円以下
次の条件をすべて満たす人が対象でした。
- 本人の令和6年分の合計所得金額が1,000万円超1,805万円以下(給与収入だけなら1,195万円超2,000万円以下が目安。所得金額調整控除がある人は境目がずれます)
- 生計を一にする配偶者の令和6年分の合計所得金額が48万円以下(給与収入だけなら103万円以下)
- 配偶者が青色事業専従者として給与を受けていない、白色の事業専従者でもない
- 配偶者が国内に住んでいる
- 本人に住民税の所得割がかかっている(均等割だけの人は差し引く所得割がありません)
差し引くのは所得割からで、所得割が1万円未満ならその額が上限です。均等割と森林環境税(年1,000円)は減りません。なお、同一生計配偶者の所得要件は令和8年度の住民税から58万円以下に引き上げられています(地方税法23条1項7号)が、令和8年度に定額減税はないため、この要件の変更は減税額に関係しません。配偶者控除と配偶者特別控除の判定は配偶者控除は令和8年分から配偶者の年収136万円まで|戻る税額と申告書の書き方を参照してください。
住民税決定通知書の摘要欄と徴収方法ごとの確認先
給与天引きの人は、2025年5〜6月に勤務先から渡された「特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)」の摘要欄に、定額減税額が印字されています。自分で納める普通徴収の人は、6月に届いた納税通知書の課税明細で確認できます。給与の住民税は天引きで、給与以外の所得の分は自分で納める(併用徴収の)人には2種類の通知書が届くため、どちらに減税額が載るかは市区町村の様式によって異なります。両方を見比べてください。
通知書に記載がないのに条件を満たしているはずの人は、手元の令和6年分の書類を確かめます。勤務先で年末調整を受けた人は源泉徴収票の摘要欄に「非控除対象配偶者減税有」があるか(配偶者が障害者などで氏名と同一生計配偶者である旨を記載する場合は「減税有」の追記でもよいとされています)、年末調整をせず確定申告した人は申告書に配偶者を記載したかが手がかりです。文言がないことだけで勤務先の誤りとは決められません。2026年10月時点で令和7年度分を直す場合は、通知書を出した市区町村の住民税担当に相談します。住民税の計算の仕組みと通知書の見方は住民税はいくら?年収別早見表と均等割・所得割の内訳、市民税所得割額の確認方法【令和8年度】にまとめています。
減税しきれなかった人の補足給付金:調整給付と不足額給付の申請期限
定額減税の額が税額を上回って引ききれない人には、差額を現金で給付する「定額減税補足給付金」が市区町村から支給されました。内閣官房・内閣府の概要資料(2025年3月19日時点版)によると、給付は2段階です。
当初調整給付:2024年夏以降、令和5年の所得で見込み計算
2024年は、令和6年分の所得税がまだ確定していないため、令和5年の所得から推計した所得税額と令和6年度の住民税所得割額で「引ききれない見込み額」を出し、1万円単位で切り上げて給付しました。国の資料では住民からの申請期限の目安を「遅くとも令和6年10月31日まで」とし、自治体の判断で後ろ倒しもできるとしていました。千曲市は2024年11月15日に受付を終えています。
不足額給付Ⅰ・Ⅱ:2025年に実額で差額を追加
2025年は、令和6年分の所得税と定額減税の実績が確定したのを受けて、足りなかった分を追加しました(基準日は2025年1月1日、実施主体は令和7年度の住民税を課税する市区町村)。
- 不足額給付Ⅰ:令和6年の所得が令和5年より減った、2024年中に子どもが生まれて扶養親族が増えたなどで、当初調整給付が足りなかった人。給付額は実績で計算し直した額(1万円単位で切り上げ)から当初の給付額を引いた差額です。当初の給付が多すぎた場合も返還は求められません。
- 不足額給付Ⅱ:本人として定額減税の対象外で(所得税・住民税所得割ともに減税前の税額が0円)、扶養親族としても対象外となり、低所得世帯向け給付の世帯にも当たらなかった人。原則4万円の定額で、2024年1月1日時点で国外に住んでいた場合は3万円です。
いずれも本人の合計所得金額が1,805万円以下であることが条件です。申請期限は市区町村が決めており、浜松市は2025年10月31日(当日消印有効)でした。2026年10月時点では締め切られている可能性が高いため、未受給の心当たりがある場合は、2025年1月1日に住んでいた市区町村(令和7年度の住民税を課税した市区町村)の給付金窓口に問い合わせてください。給付金をかたって口座番号や暗証番号を聞き出す電話・メールには応じないでください。
令和8年度以降の定額減税の有無と法令上の根拠
2026年(暦年)と令和8年度(課税年度)は分けて考えます。対象者の2026年1〜5月の給与天引きには令和7年度分の配偶者1万円の減税が反映されていますが、令和7年分以降の所得税と令和8年度以降の住民税を対象とする定額減税の規定は、2026年10月時点で施行中の法令にありません。
- 租税特別措置法(2026年10月1日施行版)の定額減税の条文は41条の3の3から41条の3の10までで、対象は令和6年分の所得税(令和6年6月以後の給与・年金と令和6年の年末調整)に限られます。「令和七年分特別税額控除」「令和八年分特別税額控除」という語は条文中にありません。
- 地方税法の附則(2026年10月1日施行版)は、令和6年度分(附則5条の8〜5条の11)と令和7年度分(附則5条の12)だけです。令和8年度分の特別税額控除の条文はありません。
このため、2026年6月に届いた令和8年度の住民税決定通知書に定額減税の記載がないのは正常です。令和7年度に比べて住民税が1万円増えた人は、配偶者分の定額減税がなくなった影響を疑ってください。逆に令和8年度の住民税で変わったのは、給与所得控除の最低額が65万円になったことなどで、住民税の基礎控除は43万円(合計所得2,400万円以下)のままです(地方税法314条の2第2項)。所得税側の基礎控除と給与所得控除の改正は基礎控除と給与所得控除の違い|令和8年分は104万円と74万円で年収178万円まで所得税ゼロで整理しています。
定額減税の後に続く負担軽減策:消費税1%案と所得連動の給付
定額減税の後継として、2026年10月時点で動いているのは次の2つです。いずれも定額減税とは別の制度で、時期と確定度合いが違います。
飲食料品の消費税率1%への引下げ案:2027年4月から2年間
軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税率を、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、8%から1%に下げる案です。2026年10月9日に法案が閣議決定された段階で、まだ成立していません。国税庁は消費税率引下げ特設サイトで事業者向けのQ&Aを公表しています。事業者側の届出の特例は個人事業主の消費税還付の条件と手続き|選択届出書の期限・3年縛り・食料品の税率1%への引下げ案で扱っています。
給付付き税額控除:令和9年度に給付を先行し、令和11年度に本格導入
2026年8月5日閣議決定の「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」は、令和11年度に「所得に連動したきめ細かな給付」を導入し、令和9年度に消費税1%相当分の範囲で先行導入するとしています。ただし、税額控除と給付を組み合わせるかどうかは「将来的に給付のみと決め打ちすることなく」検討を続けるとされ、名前どおりの「税額控除」になるかは決まっていません。対象は個人単位で、勤労所得のある中低所得者が中心です。税額控除の基本と給付付き税額控除の論点は税額控除とは?所得控除との違いと種類一覧|令和8年分の計算例と給付付き税額控除で解説しています。
「市民税 免除」と定額減税の違い:減免と非課税は別の制度
定額減税は、対象者全員から一律の額を差し引いた一時的な措置で、申請は不要でした。いま住民税を減らしたい人が使えるのは、恒久的な別の仕組みです。
- 減免:地方税法323条により、市町村長は「天災その他特別の事情がある場合」や「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者」などに限り、条例の定めるところで市町村民税を減免できます。災害や失業による大幅な所得減少などが対象で、要件と申請期限は市区町村の条例で決まります。
- 非課税:前年の合計所得金額が一定以下の人は、均等割や所得割がかかりません。均等割の基準額は市区町村の級地区分で違います。
定額減税が新たに適用される年分・年度はもうありません。ただし、令和6年分の所得税で定額減税の適用漏れがあった場合は、還付申告(確定申告をしていない人。2025年1月1日から5年間提出できます)や更正の請求(確定申告済みの人)で取り戻せる余地があり、令和6年度・令和7年度の住民税の漏れは課税した市区町村に相談します。2026年度の住民税を減らせるかは、住所地の市区町村の減免基準を確認してください。非課税の基準額は住民税はいくら?年収別早見表と均等割・所得割の内訳、市民税所得割額の確認方法【令和8年度】の早見表で確かめられます。
よくある質問
定額減税はいつまでですか?
所得税は令和6年分(2024年中の給与・年金と2025年3月の確定申告)、住民税は令和6年度分と令和7年度分の配偶者1万円で終わりました。令和7年度分は、給与天引きの人なら2025年6月〜2026年5月の徴収分に反映されています。令和7年分以降の所得税と令和8年度以降の住民税にはありません。
2026年(令和8年)に定額減税はありますか?
2026年に新しく始まる定額減税はありません。対象者の2026年1〜5月の給与天引きには令和7年度分の配偶者1万円の減税が反映されていましたが、2026年10月時点で施行中の租税特別措置法と地方税法には、令和7年分以降の所得税・令和8年度以降の住民税に定額減税を行う条文がありません。2026年6月から住民税が増えた人は、令和7年度の配偶者分の減税がなくなった影響の可能性があります。
令和7年度の住民税で定額減税を受けたのはどんな人ですか?
本人の令和6年分の合計所得金額が1,000万円超1,805万円以下で、合計所得48万円以下の配偶者(国内居住で、事業専従者でない)がいる人です。所得割から1万円が差し引かれました。
定額減税の補足給付金は今から申請できますか?
不足額給付の申請期限は市区町村ごとに決められ、浜松市は2025年10月31日でした。期限を過ぎている可能性が高いため、未受給の心当たりがあれば、2025年1月1日に住んでいた市区町村(令和7年度の住民税を課税した市区町村)の給付金窓口に問い合わせてください。
給付付き税額控除はいつから始まりますか?
2026年8月5日の閣議決定では、令和11年度に所得に連動した給付を導入し、令和9年度に先行導入するとしています。税額控除と組み合わせるかどうかは検討が続いており、名称も変わる可能性があります。