電子帳簿保存法のスキャナ保存では、書類を200dpi以上・256階調以上で読み取ることが施行規則で定められています。200dpiは1インチ(25.4mm)に200ドットの密度で、A4なら縦2,338×横1,654画素、約387万画素です。令和5年度の税制改正で解像度の「情報を保存する」義務はなくなりましたが、200dpiで読み取る要件は残っています。条文と国税庁の一問一答(令和8年7月)の問番号を示しながら、レシートなど他の大きさの計算、PDFでの確かめ方、経費精算システムのエラーの切り分けまで整理しました。
まとめ:200dpi・256階調の要件と確認方法
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 解像度 | 25.4mm当たり200ドット以上 | 規則2条6項2号イ(1) |
| 階調(重要書類) | 赤・緑・青が各256階調以上 | 規則2条6項2号イ(2) |
| 階調(一般書類) | 白から黒までが256階調以上 | 規則2条7項 |
| A4の画素数 | 縦2,338×横1,654=約387万画素 | 一問一答 問26 |
| A4以外 | 実寸÷25.4×200で縦横を計算 | 一問一答 問26 |
| 圧縮 | 4ポイント文字を確認できれば可 | 一問一答 問37・問38 |
| 改正後 | 解像度情報の保存は不要、200dpiは存続 | 一問一答 問27 |
| 電子取引 | 解像度・階調の要件なし | 規則4条 |
つまずきやすいのは数値より判定の仕方です。387万画素はA4に当てはめた数字で、レシートや名刺では必要な画素数がまったく違います。縦横比がA4と違う機器では、総画素数が足りていても縦横のどちらかが不足することがあります。スマートフォンの写真が72dpiと表示されても、それだけでは要件違反になりません。経費精算システムの「解像度が不足しています」という判定も、書類が紙で届いたのか電子で届いたのかで意味が変わります。
施行規則が定める解像度と階調の条文
画質の要件は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(平成10年大蔵省令第43号)第2条第6項第2号イにあります。解像度は「日本産業規格Z六〇一六附属書AのA・一・二に規定する一般文書のスキャニング時の解像度である二十五・四ミリメートル当たり二百ドット以上で読み取るものであること」、階調は「赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ二百五十六階調以上で読み取るものであること」と書かれています。条文にdpiという単位は出てきません。25.4mmが1インチなので、結果として200dpi以上という意味になります。256階調×3色は約1,677万色、いわゆる24ビットカラーです。
検索すると国税庁のHTML版の一問一答(07scanのページ)が上位に出ますが、このページは承認制だった時代の版で、要件の根拠を「規則第3条」と表記しています。現行の条番号は第2条です。引用や社内規程の根拠には、毎年改版されるPDF版の電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)を使ってください。入力期間やタイムスタンプを含む制度全体はスキャナ保存制度とは?紙の請求書・領収書を電子保存する要件と始め方【2026年版】で整理しています。
200dpiをA4の実寸に置き換えた数値
一問一答の問26は、A4を例に換算を示しています。A4は縦297mm・横210mmで、インチにすると縦約11.69インチ・横約8.27インチです。これに200ドットを掛けると縦2,338画素・横1,654画素、総画素数は3,867,052画素で、約387万画素になります。問26はこれを「A4サイズを画面最大で保存する際に必要な画素数」と注記しています。
見落とされやすいのは同じ問26の後段で、機器によってはA4と縦横比が違うため、その場合は「縦2,338画素、横1,654画素をそれぞれ満たしている必要」があるとしています。総画素数が400万を超えていても、横が1,654画素に届かなければ要件を満たしません。
A4以外の用紙とレシートで必要な画素数
条文の基準は25.4mm当たり200ドットという実寸の密度なので、書類が小さければ必要な画素数も減ります。寸法(mm)÷25.4×200で縦横それぞれを計算し、小数点以下を切り上げた値が下の表です。A4の縦は国税庁の例示(2,338画素)と1画素ずれますが、これは問26がインチを小数第2位で丸めて計算しているためで、実務上の差はありません。
| 書類 | 寸法(mm) | 必要画素(横×縦) | 総画素数 |
|---|---|---|---|
| A3 | 297×420 | 2,339×3,308 | 約774万 |
| B4 | 257×364 | 2,024×2,867 | 約580万 |
| A4 | 210×297 | 1,654×2,339 | 約387万 |
| B5 | 182×257 | 1,434×2,024 | 約290万 |
| A5 | 148×210 | 1,166×1,654 | 約193万 |
| レシート(80mm幅) | 80×300 | 630×2,363 | 約149万 |
| レシート(58mm幅) | 58×200 | 457×1,575 | 約72万 |
| 名刺 | 91×55 | 717×434 | 約31万 |
同じ考え方は会計ソフトのサポートにも出ています。弥生会計 オンラインのサポート情報は、縦180mm×横80mmのレシートなら約90万画素以上が必要という計算例を載せています。逆に、レシートに387万画素を求める社内ルールは法令より厳しい運用です。
「200dpiはどれくらいの画質か」の目安として、300dpiで読むとA4は2,481×3,508画素(約870万画素)になり、200dpiの2.25倍の画素数です。200dpiのA4を24ビットで非圧縮のまま持つと約11.6MBになります。印刷やディスプレイを含めたdpiそのものの意味はDPIとは?Dots Per Inchの略・読み方と印刷の目安、解像度・PPIとの違いで扱っています。
出力側に課される4ポイント文字の認識条件
規則2条6項4号は出力側にも条件を置いています。映像面の最大径が35cm以上のカラーディスプレイとカラープリンタ、操作説明書を備え付け、書類と同程度に明瞭に、拡大縮小ができ、「日本産業規格Z八三〇五に規定する四ポイントの大きさの文字を認識することができる」状態で出力できることが求められます。4ポイントは約1.4mmで、200dpiで読むと文字の高さはおよそ11画素しかありません。200dpiで読み取っても、強い圧縮をかければこの大きさの文字は潰れます。
重要書類と一般書類でカラー要件が分かれる境界
規則2条7項は、国税庁長官が定める書類(一般書類)について、2号イ(2)の「赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ」を「白色から黒色までの階調が」と読み替えています。一般書類はグレースケール256階調でよく、同じ7項で「カラーディスプレイ」「カラープリンタ」もそれぞれ「ディスプレイ」「プリンタ」に読み替えられます。
読み替えの対象に解像度は入っていません。一般書類でも200dpi以上は必要です。緩和されるのは色に関する部分だけで、「一般書類なら画質を落としてよい」わけではありません。なお、グレースケールは白から黒までの濃淡で表す方式で、階調数が256に固定されるわけではありません。一般書類のスキャナ保存には256階調以上が必要なため、白黒2値の画像は要件を満たしません。
国税庁の重要度区分に照らした書類の割り振り
一般書類の範囲は平成17年国税庁告示第4号で定められています。一問一答の問2の区分表と問47の列挙をまとめると次のとおりです。
| 区分 | 代表例 | 階調 |
|---|---|---|
| 重要書類(重要度:高) | 契約書、領収書、これらの写し | RGB各256階調 |
| 重要書類(重要度:中) | 請求書、納品書、送り状、預金通帳 | RGB各256階調 |
| 一般書類(重要度:低) | 見積書、注文書、検収書、納品書の写し | グレースケール可 |
中の欄には預り証、借用証書、小切手、約束手形なども並び、低の欄には入庫報告書、貨物受領証、定型的約款のある契約の申込書などが入ります。問47は低の側の例として、保険契約申込書、口座振替依頼書などを挙げています。
境界で間違えやすいのは2つです。注文書(発注書)は一般書類で、告示は見積書と並べて低の欄に置いています。納品書は重要書類で、一般書類になるのは「自己が作成した納品書の写し」だけです。問2の区分表は中の欄に「並びにこれら(納品書を除きます。)の写し」と付記しているので、請求書や送り状の写しは重要書類のままで、納品書の写しだけが低の欄に移ります。3区分それぞれの対象書類は電子帳簿保存法とは?3区分の要件・対象書類と自社システム対応を解説にまとめています。
スマートフォン撮影で解像度要件を満たす条件
スマートフォンやデジタルカメラで読み取る運用も法令上認められていますが、判定の方法が変わります。問26は、この場合の要件充足は「読み取った書類の大きさと画素数を基に判断する」としています。画像に記録されたdpiの値ではなく、紙の実寸と画像の画素数の比で見るということです。
写真のプロパティが72dpiと表示される理由
スマートフォンで撮った画像のプロパティを開くと、解像度が72dpiと表示されることがあります。問26はこれを、デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)で「画像の解像度が不明のときには72dpiを記録しなければならない」とされているための表示で、必ずしも画像の解像度を示すものではないと説明しています。弥生のサポート情報も、同社のアプリ「弥生 レシート取込」で撮った画像はすべて72×72dpiと表示されると明記しています。
階調はプロパティで読めます。問26によれば、赤・緑・青が各256階調ならExifの「Bits Per Sample」に「8 8 8」が入り、ファイルのプロパティに「24ビット」と表示されます。
撮影の構図で画素数が足りなくなる場面
必要な画素数は原本の寸法によって変わります。カメラの総画素数だけでなく、画像のうち書類が占める部分の画素数を確認します。4,032×3,024画素(約1,200万画素)の画像で考えると、A4を縦に撮って縦2,338画素を確保するには、書類が画面の長辺の約58%以上を占めている必要があります。書類を画面の半分ほどの大きさで写すと、それだけで基準を割ります。
細長いレシートには別の注意点があります。マネーフォワード クラウド経費のサポート情報(2026年7月2日更新)は、同社アプリの「長レシート」機能を利用した撮影はスキャナ保存の要件を満たせないとして、原本保管かスキャナでの読み取りを案内しています。「長レシート」は分割して連続撮影した画像を1枚にまとめる機能名であり、長いレシート全般の撮影を禁じる説明ではありません。この製品固有の制限とは別に、通常の1枚撮影には画像の画素数による制約があります。長辺4,032画素で200dpiを保てる長さは4,032÷200×25.4=約512mmで、これより長いレシートは画面いっぱいに収めても1枚の写真では届きません。
経費精算システムで解像度不足と判定されたときの切り分け
経費精算・会計システムは、アップロードされた画像の画素数や色の情報を読んで判定しています。文言と判定条件は製品ごとに違いますが、何が引っかかったかで最初に確かめることが決まります。
| 表示の例 | 判定された項目 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 解像度が規定未満です | 解像度 | 電子取引でないか、実寸と画素数 |
| 電子帳簿の解像度の要件を満たしていません | 解像度 | 転送で縮小されていないか |
| 階調が規定未満です | 階調 | スキャナやアプリの色設定 |
| 電子帳簿の色空間 RGB の要件を満たしていません | 色空間 | グレースケールで保存していないか |
| 解像度あるいは階調が不足しています | 解像度か階調 | 上の2つを順に |
スキャナ保存と電子取引の切り分け
最初に見るのは、その書類を紙で受け取ったのか、電子で受け取ったのかです。200dpi・256階調はスキャナ保存の要件で、電子取引の保存要件を定める規則4条には解像度も階調も出てきません。取引先からPDFやJPEGで届いた請求書・領収書は電子取引にあたり、解像度要件の対象外です。マネーフォワード クラウド経費のサポート情報も、解像度NGと表示されたらまず電子取引かどうかを確認し、電子で受領した領収書は対象外、紙で受け取って撮影した画像なら不備、と切り分けています。
解像度を落としている典型的な経路
紙の書類でNGが出たときは、撮影よりも経路を疑います。同じサポート情報は、専用アプリを使わず標準カメラで撮ること、撮った画像をメール添付・チャット・ファイル共有サービス経由でPCに送ってからアップロードすることを、解像度を下回るリスクがある操作として挙げ、送信時の自動圧縮で約388万画素を下回るケースが多いと説明しています(同社は約388万画素と丸めています)。判定されるのは最後にアップロードされたファイルなので、専用アプリで撮って直接登録すれば、転送途中の縮小を避けられます。登録後は判定結果と画像の明瞭さも確認してください。
階調不足の判定を招くスキャナの色設定
階調のエラーでまず見るのは、スキャナやアプリの色設定です。弥生のサポート情報は、白黒のレシート・領収書でも読み取り設定は必ず「カラー」を選ぶよう求め、「自動」や「グレースケール」の設定では要件の256階調以上で読み取れないと案内しています。ここでいう256階調は赤・緑・青それぞれの256階調のことです。グレースケールでも256段階の濃淡は表せますが、領収書のような重要書類に必要なカラー読み取りにはなりません。複合機の自動判別が白っぽい書類をグレースケールや白黒2値で保存した場合も同じです。
色空間がRGBでないという判定も同じ系統です。前の章のとおり一般書類はグレースケールで法令上の要件を満たしますが、システムは書類の区分まで見ていないことがあります。弥生のスマート証憑管理のサポート情報は、一般書類はグレースケールでも要件を満たすとしたうえで、同製品は証憑の重要度を判別していないため一律にカラーの要件で判定すると明記しています。こうした製品では、見積書や注文書でのNGが直ちに要件違反を意味するわけではありません。
不備が見つかった後の対応
要件を満たさない画像は読み取り直しになります。申請者に差し戻して撮り直してもらうか、管理者が原本を回収してスキャナで登録し直します。問3のとおり令和4年1月1日以後は同等確認の後に紙を即時廃棄してよいとされているため、廃棄済みだと撮り直しができません。重要書類では入力期限も絡みます。問23は業務サイクル後速やかに入力する方式の期限を受領等から最長2か月とおおむね7営業日以内としています。入力期間を誤って過ぎた場合は問24のとおり原則として紙も保存しますが、期限内に読み取った画像のスキャンミスを後から発見した場合には、問30の条件を満たして再読み取りできる取扱いがあります。マネーフォワードのサポート情報は月1回の定期チェックを勧めており、発見が早いほど期限内に読み取り直せます。
圧縮設定と4ポイント文字の認識
200dpiで読み取った画像でも、保存時の圧縮設定によって文字の認識に支障が出ることがあります。一問一答は問37から問40までをこの論点に割いています。
圧縮保存が認められる条件
問37は、200dpi以上・赤緑青各256階調以上でJIS X6933またはISO 12653-3のテストチャートを読み取り、ディスプレイとプリンタで出力した書面で4ポイントの文字が認識できるなら、圧縮して保存して差し支えないとしています。判定の軸は圧縮率ではなくテストチャートの読み取り結果です。
認識の水準にも指定があります。問39によれば、JIS X6933自体は目視試験で34文字中18文字以上、ISOの図形は各色8個中5個以上、つまり50%超で合格としていますが、スキャナ保存では認識できない文字があってはならないため、テストチャートのすべての文字が認識できる設定で入力する必要があります。問40は、日々の入力作業の前にテストを行うことが望ましいとしています。
テストチャートがない場合の代替基準
テストチャートが手元にない場合について、問38は、4ポイント文字が認識できる設定にするのが難しい場合、200dpi以上・赤緑青各256階調以上で、かつ非圧縮(または可逆圧縮)で入力していれば、4ポイントの文字が認識できるものとして扱うとしています。
ここで指定されているのは圧縮方式で、ファイル形式ではありません。PDFやTIFFは入れ物で、中の画像がJPEG(非可逆)で符号化されていれば代替基準には乗りません。確かめるため、Python の画像ライブラリ Pillow 11.3.0 で1,654×2,339画素のRGB画像をPDFに書き出し、PyMuPDF 1.26.5 で中身を読むと、画像はJPEGを示す DCTDecode で格納されていました。「PDFで保存しているから可逆」とは言えないということです。代替基準に乗せるなら、スキャナの設定で必要な階調を維持したまま圧縮なし、または可逆方式(ZIP、LZWなど)を選び、その設定値を控えておきます。白黒2値画像用のCCITT G4は、ここで必要な階調を保持する方式としては選べません。非可逆のまま運用するなら問37のテストチャートによる確認が前提です。
保存済みファイルで解像度を確認する手順
問27は、JPEGやTIFFはプロパティ情報から確認でき、PDFは専用のソフトで参照するか、JPEGに変換してプロパティを見る方法があるとしています。具体的には次の手順です。
JPEG・TIFFのプロパティで見る画素数と階調
Windowsではファイルを右クリックして「プロパティ」の「詳細」タブを開くと、幅・高さ(画素数)、水平・垂直の解像度、ビットの深さが表示されます。幅と高さを書類の実寸と比べ、ビットの深さが24なら赤緑青各256階調です。スマートフォンの画像の72dpiという表示は判断に使いません。
PDFに埋め込まれた画像の画素数と圧縮方式
PDFで見るべきは、埋め込まれた画像の画素数とページ上の配置寸法です。次のスクリプトは、PDFの各ページに配置された画像について、画素数・画像の配置寸法から逆算したdpi・圧縮フィルターを一覧にします(PyMuPDFを使用)。ファイルをcheck_pdf.pyとして保存し、python check_pdf.py 対象.pdfで実行します。
import sys
import math
import pymupdf # pip install pymupdf
with pymupdf.open(sys.argv[1]) as doc:
for page in doc:
for info in page.get_image_info(xrefs=True):
a, b, c, d, _, _ = info["transform"]
sx, sy = math.hypot(a, b), math.hypot(c, d)
if sx <= 0 or sy <= 0:
continue
w, h = info["width"], info["height"]
ppi_x = w * 72 / sx
ppi_y = h * 72 / sy
xref = info["xref"]
filt = doc.xref_get_key(xref, "Filter")[1] if xref else "inline"
print(f"p{page.number + 1} {w}x{h}px {ppi_x:.0f}x{ppi_y:.0f}dpi {filt}")
先ほどのPDFに実行すると p1 1654x2339px 200x200dpi /DCTDecode と出力されます。このdpiは画像の画素数とPDF上の配置寸法から逆算した値で、同じ1,654×2,339画素の画像を150dpi指定でPDFにすると、ページがA4より大きくなり150×150dpiと出ました。画素数が同じでも配置寸法しだいで数字は変わるので、最後は問26の考え方どおり、原本の実寸と画素数で判断してください。
令和5年度改正で不要になった要件と残った要件
令和5年度の税制改正で廃止されたのは解像度の要件ではありません。不要になったのは、読み取った際の解像度・階調・大きさに関する情報の保持です。問27の解説は「スキャナ保存については、引き続きスキャニング時の解像度が200dpi以上である必要があります」と明記し、税務調査で確認を求められたらプロパティ情報を示すなどの方法で説明するよう求めています。プロパティに解像度が残る形式で保存しておくことが備えになります。改正の全体像は改正電子帳簿保存法とは?2024年完全義務化の変更点と企業のシステム対応を解説【2026年版】にまとめています。
要件を満たさない保存の税務上の扱い
問59によれば、スキャナ保存の要件を満たさずに保存された電磁的記録は、法8条1項により国税関係書類とみなされず、各税法上の保存書類として扱われません。その結果、紙の原本を保存している場合を除き、仕入税額控除の否認や青色申告の承認取消しがされる可能性があります。ただし承認取消しは不履行の程度、記帳状況、改善可能性などを総合勘案して判断するとされ、同問は要件を満たせなかった場合に原因等をまとめておくことが望ましいとしています。
画質不足そのものに罰則があるわけではありません。重加算税の加重措置(法8条5項)が働くのは、問62のとおり隠蔽・仮装された事実が電磁的記録に記録されている場合で、記録の改ざんによる売上除外などが想定されています。
ソフトウェアが要件を満たすかの判断材料には、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証があります。問61によれば、令和8年1月以降は重加算税の加重措置の除外規定(デジタルシームレス保存・令和9年1月1日施行)に係るソフトウェアも認証の対象です。経費精算や証憑管理を自社の会計システムに組み込む場合は、受け付けの時点で画素数と色空間を検査しておくと、月次チェックより早く不備に気づけます。弊社の会計・経理システム開発でも、こうした保存要件を織り込んだ設計を支援しています。文書管理システム選びの観点は電子帳簿保存法に対応する文書管理システムとは?要件と選び方・自社開発の判断【2026年時点】で扱っています。
よくある質問
200dpiとはどれくらいの画質ですか?
1インチ(25.4mm)あたり200個のドットで読み取る密度です。A4なら縦2,338画素・横1,654画素、約387万画素に相当します。必要な画素数は書類の実寸で決まるので、80mm幅・長さ300mmのレシートなら約149万画素、名刺なら約31万画素で足ります。
スマートフォンで撮った写真の解像度が72dpiと表示されますが、要件違反ですか?
違反ではありません。一問一答問26は、Exif規格で解像度が不明のときに72dpiを記録する決まりによる表示で、画像の解像度を示すとは限らないとしています。判定は書類の大きさと画素数の関係で行います。
領収書を白黒でスキャンしても大丈夫ですか?
領収書は重要書類なので、赤・緑・青それぞれ256階調以上、つまりカラーでの読み取りが必要です。グレースケールが認められるのは規則2条7項の一般書類(見積書、注文書、検収書、納品書の写しなど)に限られ、濃淡のない白黒2値は一般書類でも要件を満たしません。
画面のスクリーンショットで保存してもよいですか?
電子で受け取った領収書なら可能です。電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)の問36は、ウェブサイト上にHTMLで表示される領収書をスクリーンショットして保存する方法や、従業員のスマートフォンのアプリに表示される領収書データをスクリーンショットの画像で保存する方法を認めています。電子取引なので解像度要件はかかりませんが、保存先は可視性と真実性の要件を満たす必要があります。紙の領収書をカメラで写す場合はスキャナ保存になり、200dpi・256階調が必要です。
令和5年度改正で解像度要件はなくなったのですか?
なくなったのは解像度・階調・大きさの情報を保存する義務で、200dpi以上で読み取る要件は残っています(一問一答問27)。税務調査で確認を求められたら、プロパティ情報を示して説明します。