リース資産は償却資産税の課税対象になる?なぜ課税対象となるのか、そのルールと対象範囲を徹底解説
リース資産は償却資産税の課税対象になる?なぜ課税対象となるのか、そのルールと対象範囲を徹底解説
まず結論から言えば、事業用に使用しているリース資産は原則として償却資産税(固定資産税の一種)の課税対象になります。償却資産税とは土地や家屋以外の事業用資産に課される税金であり、コピー機や機械装置など会社が業務に使う設備はたとえリース契約で調達していても課税の対象から除外されません。リースであっても事業に供されている物であれば、「事業のために使われる固定資産」とみなされるためです。
償却資産税は毎年1月1日時点で事業者が所有している資産に対して課税されます。しかし土地・建物は課税対象外であり、別途固定資産税(土地・家屋分)が課税されています。一方、工具・器具備品や機械装置、構築物など減価償却の対象となる有形固定資産は償却資産税の対象範囲です。リース資産の場合も、これら事業用資産に該当すれば契約形態に関わらず課税対象となります。
例えば、オフィスで使用するコピー機やパソコン、工場の生産設備などはリース契約で借りていても事業の用に供されています。そのため、それらは償却資産税の課税対象となる「償却資産」に分類されます。反対に、自動車や小型トラックなどは自動車税・軽自動車税の対象であり償却資産税から除外されています。また、ソフトウェアなどの無形固定資産も償却資産税の対象外です。このように資産の種類によって課税対象か否かが決まっています。
なお、個人利用のリース品(例えば個人が趣味で借りる音響機器など)は事業用ではないため償却資産税の課税とは無縁です。償却資産税はあくまで事業の用に供される資産に対する税金なので、プライベートで使用するリース資産は申告・課税の対象外となります。ただし、事業と個人利用が混在するようなケースでは注意が必要です(事業利用分が課税対象となる可能性があります)。
事業用リース資産は固定資産税(償却資産税)の課税対象となる仕組みを解説
リース資産であっても事業のために使用されるものは、基本的に固定資産税(償却資産税)の課税対象になります。固定資産税は土地・建物・償却資産に対して課されますが、このうち償却資産とは事業用の有形固定資産(減価償却資産)を指します。リース契約だと自社で購入していない資産ですが、事業に利用している以上、その資産は「事業用資産」とみなされます。そのため、リース資産であっても償却資産税の課税客体からは外れない仕組みです。
固定資産税の課税対象を決める根拠は地方税法にあります。同法では、毎年1月1日時点で固定資産(償却資産を含む)を所有する者に対し課税すると定めています。リース資産の場合、形式上の所有者はリース会社ですが、事業者が借り受けて事業用途に供している以上、その資産は事業の生産性に寄与するものです。したがって、所有形態にかかわらず課税対象として扱われるわけです。
土地・家屋以外の事業用資産に課税される理由とリース資産への適用
固定資産税は大きく分けて「土地」「家屋」「償却資産」の3つに分類されます。このうち土地と家屋(建物)については不動産として課税され、個人で所有している住宅などにも固定資産税がかかります。一方で償却資産税は事業用の有形固定資産に対する税金であり、個人の生活用動産などには課税されません。土地・家屋以外の事業用資産にも税負担を求めるのは、事業に用いる資産が公共サービスに支えられて価値を発揮している面があるためです。
リース資産の場合でも、この考え方が適用されます。事業者が借りて使う資産であっても、それを設置・運用することで事業収益を上げている以上、土地建物と同様に一定の税負担が生じます。例えば、製造業の工場でリース調達した機械装置を稼働させていれば、道路や消防など行政サービスの恩恵を受けつつ事業活動を行っていることになります。こうした理由から、土地・家屋以外の事業用資産であるリース資産にも償却資産税が課税されるのです。
リース資産が課税対象となるケースと具体的な資産の例(機械設備など)
どのようなリース資産が課税対象になるのか、具体例を挙げてみましょう。典型的なのはオフィスや店舗で使用するOA機器・事務機器です。例えば複合機(コピー機)やパソコン、サーバー、電話設備などはリースで導入する企業も多いですが、いずれも償却資産税の対象です。また、工場・倉庫で使うフォークリフトやコンベヤー、製造ラインの機械装置、建設業で使う重機などもリース契約が一般的ですが、事業用設備である以上これらも課税対象となります。
その他、店舗のレジスターや冷蔵ショーケース、美容院の施術用チェア、医院の医療機器といった備品類もリース利用されることがありますが、事業用であればすべて償却資産税の範囲内です。要するに「自社が所有者ではないが、事業のために継続的に使用している資産」は、リースかどうかを問わず課税されるケースに該当します。リース会社から借りているだけだから税金は関係ない、と思っていると申告漏れになりかねませんので注意しましょう。
自動車やソフトウェアなど固定資産税の課税対象外となる資産とその扱い
一方で、すべてのリース資産が課税対象になるわけではありません。代表的なのが自動車です。社用車として使用する自動車をリースしている場合、自動車は自動車税(または軽自動車税)の課税対象となるため、償却資産税は課されません。リースであっても自動車は車両課税の枠組みに入るので、償却資産の申告リストに含めないのが通常です。同様に、動産であっても航空機や船舶など他の税で課税される資産も償却資産税の対象外です。
また、ソフトウェア等の無形固定資産も固定資産税(償却資産税)の課税客体ではありません。企業がソフトウェアをリース(ライセンス提供を受けて利用)するケースがありますが、ソフトウェアそのものは形のない資産であり固定資産税の対象から除かれます。ただし、ソフトウェアに該当しないプログラム内蔵の装置(例えばソフト制御の医療機器など)は有形資産として課税対象となります。つまり、リース物件が課税されるか否かは資産の種類によって決まっているのです。
個人利用の場合はどうなる?事業用途でないリース資産の課税有無
最後に、リース資産でも個人利用の場合について触れておきます。償却資産税は事業目的に使われる資産に対する税金ですから、個人が趣味や生活のために借りている物品(例えば音響機器のリース、家具のレンタルなど)は課税対象外です。地方税法上も、家事用動産(家庭用の家具什器など)には固定資産税自体がかかりません。そのため、個人利用のリースはそもそも申告の必要もなく税金も発生しません。
ただし留意すべきは、法人や個人事業主がリース資産を一部私的に利用している場合です。本来事業用として導入した資産をプライベート用途に転用している場合でも、形式上事業のために保有している資産である以上、償却資産税の対象から外れるわけではありません。例えば社用PCを私用で兼用しているようなケースでも、そのPCは事業用資産として申告対象になります。要は、契約上・名目上「事業のための資産」として所有しているかどうかが課税の判断基準となるのです。
リース資産の償却資産税は誰が払うのか?納税義務者の考え方と判断基準を詳しく解説
リース資産に課せられる償却資産税は、一体誰が納税する義務を負うのでしょうか。この点については地方税法で明確に規定されており、基本的なルールは「その資産の所有者」が納税義務者となります【地方税法343条】。通常、リース契約では資産の所有権はリース会社(貸手)にありますから、原則的にはリース会社が固定資産税(償却資産税)を納める立場です。しかし、リースの種類によっては実質的に借手が資産を所有しているとみなされ、借手側が納税義務者となるケースも存在します。
具体的には、契約終了時に資産の所有権が借手に移転するタイプのリース(後述する所有権移転ファイナンス・リース)では、税法上その資産は「借手が事実上所有している」と扱われます。そのため、償却資産税の申告・納税義務は借手企業に発生します。一方、所有権がリース会社に留まるリース契約(通常の賃貸借型や所有権移転外リースなど)は、貸手であるリース会社が納税義務者となります。このように、契約形態に応じて実質的な所有者が誰かという観点から納税者が決まるのが特徴です。
なお、「誰が税金を払うか」という論点と「誰がその税金の負担を最終的に負うか」は必ずしも同じではありません。リース料には固定資産税相当額が織り込まれている場合が多く、貸手が納税義務者であってもそのコストはリース料として借手が間接負担しています。しかし法的には、納税通知書が送られ、申告義務を負う主体は契約内容によって定まります。次に、ケース別に納税義務者の判定基準を詳しく見ていきましょう。
固定資産税の納税義務者は誰?原則として資産の所有者が義務を負うルール
地方税法では、固定資産税(償却資産税を含む)の納税義務者は「その年の1月1日現在において、当該固定資産の所有者である者」と規定されています。平たく言えば、資産を所有している人・企業が税金を納める責任を負うということです。したがって、通常は物の所有権を持つ者=持ち主が納税義務者になります。
リース取引に当てはめると、所有権はリース会社にあるため、原則的にはリース会社が償却資産税の納税義務者となります。例えばオフィス用のコピー機をリースした場合、その所有者はリース会社なので、そのコピー機について課税当局から納税を求められるのはリース会社側です。ただし、これはあくまで原則論であり、後述するように例外も存在します。
リース資産における資産所有権と納税義務者の基本的な考え方
リース資産の場合、契約上の所有権者(名義上の所有者)は貸手であるリース会社です。一方、借手企業はその資産を使用する権利を持ち、リース期間中その資産から利益を得ます。この「所有権」と「使用権」が分離している状況において、税法上の納税義務者をどう考えるかが問題になります。
基本的な考え方としては、名義上の所有者=リース会社が納税義務を負うという原則を維持しつつも、契約内容によっては実質的所有者である借手に課税関係を移すという形が取られています。つまり、形式的には貸手がオーナーでも、契約条件が実質的な売買に近いリースであれば借手を納税者とみなすわけです。この考え方は、租税回避防止と課税の公平性の観点から導入されたものと言えます。
借手が納税義務者となるケース:所有権移転ファイナンス・リースの場合
所有権移転ファイナンス・リースとは、リース期間終了時に資産の所有権が借手に移る契約形態のリースです。例えば「5年間のリース契約終了後に物件を1円で買取できる」というような条項がある場合、それは所有権移転リースに該当します。この場合、リース契約とは名ばかりで実態は分割払いの購入に近いため、税法上も借手が資産を取得したものとみなされます。
その結果、償却資産税の世界でも借手が納税義務者となります。借手企業はリース物件を自社の償却資産として他の保有資産と合わせて申告し、固定資産税を納める必要があります。リース会社は名義上の所有者ではありますが、実質的に資産が借手に帰属するため納税義務を負いません。
所有権移転ファイナンス・リースに該当するかどうかは契約書の条項で判断されます。リース期間満了時に無償もしくはごく低額で譲渡される約束があれば、このタイプと考えてよいでしょう。なお、借手が納税義務者になる以上、リース料ではなく減価償却費としてその資産を計上するなど、会計・税務処理も購入資産に準じた形になります。
貸手が納税義務者となるケース:所有権移転外ファイナンス・リースやオペレーティング・リースの場合
上記以外のリース取引、つまり所有権移転外ファイナンス・リースおよびオペレーティング・リースでは、貸手であるリース会社が納税義務者となります。所有権移転外ファイナンス・リースは契約期間中の中途解約ができずリース料総額が資産購入額相当になる(フルペイアウト)契約ですが、契約終了後に所有権が移らない点で借手は完全な所有者とは言えません。この場合、法律上も経済的にもリース会社がオーナーであるため、固定資産税の申告もリース会社側で行われます。
オペレーティング・リース(単純賃貸借)の場合も同様です。これはリース期間が短めで中途解約も可能、資産の残存価値を見込んだ契約形態で、借手は一時的に利用しているに過ぎません。したがって資産の所有権は完全にリース会社に留まり、税金の面でも貸手が資産の所有者として申告・納税義務を負うことになります。借手企業はこれら資産について償却資産税の申告を行う必要はありません。
契約形態によって変わる納税義務者の判定ポイントと注意点
リース資産の納税義務者を判断するポイントは、そのリース契約が「実質的な売買」とみなせるかどうかにあります。所有権移転ありの契約なら売買的性格が強いため借手がオーナー扱い、所有権が移転しない契約なら貸手がオーナー扱い、というのが基本です。判断に迷う場合は、契約終了後の資産の扱いやリース料設定の根拠(残価設定の有無)などを確認するとよいでしょう。
注意点として、借手申告が必要なリース資産をうっかり申告漏れすると、後日発覚した際に延滞金や過料等のペナルティが科される可能性があることです。所有権移転ファイナンス・リースで取得した設備を申告せずにいると、税務調査や他の情報源から発覚し追徴課税を受けるケースもあります。リース契約を結ぶ際には、自社が納税義務を負うタイプの契約か否かをしっかり確認し、必要なら適切に申告を行いましょう。
所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースの違いとは?償却資産税における扱いを解説
リース取引にはいくつか種類がありますが、中でも重要なのがファイナンス・リースの中で所有権の移転の有無による区別です。所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースでは、契約の性質が異なり、それが償却資産税の取り扱い(誰が申告・納税するか)にも影響を与えます。ここでは両者の違いと、税務上の扱いについて整理します。
ファイナンス・リース自体は、リース期間が資産の耐用年数に近く、中途解約不可でリース料総額が資産の購入価格相当となる契約を指します。いわば「借りる」というより「割賦購入」に近い性格を持つリースですが、このファイナンス・リースにおいて所有権が移転するか否かで税務処理が変わってきます。
所有権移転ファイナンス・リースとは何か?契約内容と特徴を押さえる
所有権移転ファイナンス・リースは、その名の通りリース期間終了時にリース物件の所有権が借手に移る契約です。例えば「リース満了時に当該資産を○円で買取りできる」「契約終了後は資産が無償譲渡される」といった取り決めがあれば、それは所有権移転型だと判断できます。この契約の特徴は、リース期間を終えると最終的に借手が資産のオーナーになる点です。
経済的な実質としては、所有権移転リースは企業が資産をローンで購入するのに近い構図です。リース期間中はリース料を支払いますが、その支払いは資産の取得代金の分割払いにほぼ相当し、契約終了後には資産が手元に残ります。そのため会計上も、借手は当初から資産と負債を計上し減価償却していく方法(購入計上)をとるケースが一般的です。税務上も、後述するようにこのタイプのリースでは借手側に資産所有者としての扱いが及ぶことになります。
所有権移転外ファイナンス・リースとは何か?契約内容と特徴を押さえる
所有権移転外ファイナンス・リースは、ファイナンス・リースの条件(ノンキャンセラブル、フルペイアウト)を満たしつつ、契約期間終了後も資産の所有権が借手には移らないリース契約です。契約満了後、その資産はリース会社に返却されたり、中古市場で売却されたりします。借手は期間中に資産を使う対価としてリース料を払い続けますが、最後まで名実ともにオーナーにはなりません。
所有権移転外リースの特徴は、資産の残価(リース終了時の価値)をリース会社がリスクとして負うことです。リース料設定には、契約終了時に資産を売却できる見込みの金額(残価)が考慮されています。その分、所有権移転リースに比べてリース料総額は低めに設定される傾向にあります。しかし中途解約不可である点や契約期間が長期に及ぶ点では、借手の利用感覚としてはやはり購入に近い部分もあります。
リース終了後の資産の帰属の違い(所有権が移転するか否か)が与える影響
上記のように、所有権移転リースでは契約終了後に資産が借手の所有物となり、所有権移転外リースではリース会社に留まるという決定的な違いがあります。この違いは会計・税務両面に影響します。会計上、所有権移転リースは資産計上(オンバランス)され、所有権移転外リースも日本基準では資産計上しますが(※2008年の会計基準変更以降)、その扱いに多少の差異が出る場合があります。
税務上は後述の通り、固定資産税の納税者判定にこの違いが直結します。また法人税法上の減価償却費の計上についても、所有権移転リースであれば借手が資産計上して減価償却を行い、移転外リースの場合は形式上は賃貸借としてリース料を経費処理する、といった扱いの差が生じます(税法上はリース取引を賃貸借として扱う規定があるため)。このように、リース終了時の資産帰属の違いは、契約の経済的実質を変え、その後の処理にも影響を及ぼします。
償却資産税における納税義務者の違い:借手申告となる場合と貸手申告となる場合
償却資産税の観点では、所有権移転リースか否かが納税義務者の違いを生みます。所有権移転ファイナンス・リースでは、前述のとおり借手が実質的所有者とみなされるため、借手が償却資産として申告を行い固定資産税を納付します。つまり借手申告の扱いです。
一方、所有権移転外ファイナンス・リースではリース会社が最終的にも資産のオーナーであるため、償却資産税は貸手(リース会社)側が申告します。借手企業はその資産を自社の償却資産申告には含めません。要するに、所有権移転の有無によって「誰がその資産について税務申告するか」が正反対になるのです。この違いは非常に重要で、借手企業にとっては申告漏れや誤った申告を防ぐために契約形態を正しく把握しておく必要があります。
税務処理・申告上の留意点:契約形態による計上方法や申告漏れ防止
所有権移転リースと移転外リースで税務処理が異なる点として、まず法人税の減価償却計上方法があります。所有権移転リースでは借手は資産を計上し減価償却費を計上できますが、移転外リースでは原則リース料を賃借料として処理する扱いになります(ただし会計上資産計上していても、税務上は賃貸借とみなす規定が維持されています)。この差異により、帳簿上の計上内容と償却資産税申告の内容が一致しないケースもあるため注意が必要です。
また、償却資産税の申告漏れリスクにも気を付けましょう。所有権移転外リースの場合は借手は申告不要ですが、所有権移転リースの場合は借手が忘れずに申告しなければなりません。リース契約数が多い企業では、契約タイプの違いによる申告要否を整理することが大切です。社内でリース資産台帳を作成し、所有権移転の有無を明記して管理するといった対策が有効でしょう。
オペレーティング・リースとファイナンス・リースの税務上の取り扱いの違いとは?会計処理と償却資産税のポイントを解説
リース取引は大きく分けてオペレーティング・リース(Operating Lease)とファイナンス・リース(Finance Lease)に分類されます。この2種類は契約内容も経済的性質も異なり、会計処理や税務上の扱いにも違いが出てきます。ここでは、オペレーティング・リースとファイナンス・リースそれぞれの特徴と税務上の取り扱いについて、特に償却資産税との関係を中心に解説します。
なお、先ほど触れた所有権移転の有無はファイナンス・リースの中での区分でしたが、本節ではリース全般を「オペレーティング vs ファイナンス」という視点で比較します。まずはそれぞれの定義と契約の特徴を確認した上で、税務処理や固定資産税申告上のポイントを見ていきましょう。
オペレーティング・リースの定義と特徴:契約期間や中途解約などの要素
オペレーティング・リースは、一般的な賃貸借契約に近い性格のリースです。契約期間が資産の耐用年数に比べて短く設定されていたり、中途解約が可能であったりすることが特徴です。また、リース料の設定にあたって資産の残存価値(残価)を考慮しているケースが多く、借手は資産の一部価値を消費して返却するイメージになります。航空機リースや車両リースなど、高額資産で残価が見込まれる場合によく用いられる形態です。
オペレーティング・リースでは、リース期間終了後の資産処分リスク(中古市場での売却など)をリース会社が負うため、借手は資産を使った期間分の費用(リース料)だけを負担します。このためリース料は比較的低く抑えられる傾向があります。借手にとっては柔軟に設備を入れ替えられるメリットがあり、短期利用や技術革新の早い機器の利用に適しています。
ファイナンス・リースの定義と特徴:フルペイアウトやノンキャンセラブルの要件
ファイナンス・リースは、前述のとおりリース期間が資産の経済耐用年数にわたり、中途解約不能(ノンキャンセラブル)で、リース料総額が資産価格をほぼカバーする(フルペイアウト)契約を指します。簡単に言えば、リース期間を通じて資産の価値を借手が全て支払う仕組みです。借手は資産を長期にわたって占有・使用し続け、リース会社は残価リスクを負わないため、契約上は購入に近い色合いを帯びます。
ファイナンス・リースにはさらに所有権移転の有無で2種ある(先述)のですが、どちらにせよリース期間中は借手が独占的に資産を利用します。リース料は資産価値の全額と利息相当分から構成され、オペレーティング・リースに比べると割高に感じられるでしょう。しかし借手は長期的に安定して設備を利用でき、保守サービス込みの契約も多いため、資産保有と同様の効果を得つつキャッシュフロー面で平準化できるメリットがあります。
法人税・消費税におけるリース取引の扱い:オペレーティング vs ファイナンスでの相違点
税務上、リース取引は法人税と消費税の分野でも扱いが異なります。まず法人税においては、原則としてリース取引は賃貸借として取り扱われます。しかし例外的に、所有権移転ファイナンス・リースなど実質売買と認められるものは売買取引として処理され、借手が減価償却費を計上できる場合があります。一方、オペレーティング・リースや所有権移転外ファイナンス・リースは賃貸借とみなされ、借手はリース料を賃借料(経費)として処理します。結果として会計上資産計上していても、税法上はリース会社が減価償却を行い借手は費用計上のみという形になるケースもあります。
消費税の面では、リース取引は基本的に役務の提供(サービス提供)として扱われます。したがってオペレーティング・リースでもファイナンス・リースでも、リース料に対して消費税が課税され、借手は支払った消費税を仕入税額控除できます(課税事業者であれば)。ただし、リース満了時に資産を買い取る場合は、その買取部分について別途消費税が発生します。総じて言えば、オペレーティングとファイナンスで消費税の扱いに大きな差異はなく、法人税計算上の処理に主な違いが現れると考えて良いでしょう。
固定資産税(償却資産税)におけるリース資産の取り扱いの違いと納税者区分
固定資産税、特に償却資産税の観点では、オペレーティング・リースかファイナンス・リースかによって誰が申告・納税するかが異なります。ファイナンス・リースの場合、前述のとおり契約内容次第で借手が納税義務者となる場合(所有権移転あり)と貸手が納税義務者となる場合(所有権移転なし)があります。一方、オペレーティング・リースは基本的に賃貸借型であり、資産の所有権が終始リース会社にあるためリース会社が償却資産税を申告・納税します。借手企業はその資産について償却資産の申告は不要です。
要するに、ファイナンス・リースの場合は契約に応じて納税者区分(借手申告か貸手申告か)が分かれますが、オペレーティング・リースの場合は常に貸手側が納税者となります。この違いは借手企業にとって実務上重要です。例えば、全てオペレーティング・リースで設備を借りている企業は償却資産税の申告義務がない可能性があります(他に所有資産がなければ)。逆にファイナンス・リースで設備導入している場合は自社で申告納税が必要となるケースがあるわけです。
会計処理と税務処理の違いに留意:リース会計基準と税法上の扱いのギャップ
オペレーティング・リースとファイナンス・リースの取り扱いを理解するには、会計基準と税法の違いにも留意が必要です。会計上、2008年以降の基準では原則としてファイナンス・リース(所有権移転外を含む)は借手の資産計上(使用権資産の計上)が求められます。また国際会計基準(IFRS)ではオペレーティング・リースも含めてほぼ全てのリースをオンバランスシートとするルールです。しかし、税法上は上述のように依然としてオペレーティング・リースは賃貸借、所有権移転外リースも賃貸借扱いで処理されます。
このギャップにより、会計上は資産計上して減価償却しているのに税務上は固定資産税申告は不要(貸手が申告)という状況や、その逆のケースも生じ得ます。経理担当者は、会計処理が自社で資産を計上しているからと言って安易に「すべて自社で償却資産税申告しなければ」と考えないことが重要です。逆に、会計で費用処理している資産でも税務上は借手申告が必要な場合があります。リース契約ごとに会計と税務の取扱いを整理し、齟齬が生じないよう注意しましょう。
償却資産税の基本とは?対象資産・税率・評価方法の概要をわかりやすく解説
ここからは、そもそもの償却資産税の基本について押さえておきましょう。償却資産税とは地方税である固定資産税の一部門で、土地・家屋以外の事業用資産(償却資産)に対して課せられる税金です。毎年1月1日時点で償却資産を所有している個人または法人に課税され、市町村(東京23区は都税)に納付します。リース資産の話題に関連して言えば、リース会社や借手企業もこの償却資産税の納税主体になり得るということです。
償却資産税の制度を理解するには、「何に対して」「どれくらいの税率で」「どうやって評価するか」という点が重要です。対象資産の範囲や税率、評価額の計算方法などの基本事項を以下で順に解説します。
償却資産税とは何か?固定資産税の一種としての位置付けと概要
償却資産税は地方税法に基づき課される固定資産税の一カテゴリーです。一般に固定資産税というと土地や建物に対する税金を思い浮かべますが、事業者が工場や事務所で使う機械・設備などの有形固定資産にも固定資産税が課税されます。それら事業用資産に対する税金を特に償却資産税と呼んで区別しています。
「償却資産」とは法人税法・所得税法上で減価償却の対象となる資産のことを指し、主に耐用年数が1年以上で金額が一定以上の有形資産が該当します。償却資産税では、1月1日現在でそれら償却資産を所有する事業者が毎年1月31日までに申告を行い、課税標準額に応じて税金を支払います。個人事業主・法人いずれも対象となり、会社規模の大小に関係なく課税される点に注意が必要です。
課税対象となる償却資産の種類:構築物・機械・器具備品など具体例
償却資産税の課税対象資産は具体的にどのようなものがあるでしょうか。大きく分類すると、地方税法上は「構築物」「機械及び装置」「船舶」「航空機」「車両および運搬具」「工具・器具・備品」の6分類に分けられます。身近な例で言えば、駐車場の舗装(構築物)、工場の生産設備や工作機械(機械及び装置)、業務用パソコンや家具(器具備品)などが該当します。
要するに、事業に使うほとんどの有形固定資産は償却資産税の対象となり得ます。ただし前述のように土地と家屋(建物)は別扱いですし、自動車のように他税目が課されるものも除外されます。また無形資産(特許権や営業権、ソフトウェアなど)は対象外です。リース資産の場合は、これら対象資産に該当する機械や器具備品であれば、リース形態でも課税対象から外れないという関係になります。
償却資産税の標準税率(1.4%)と自治体による税率の違い
償却資産税の税率は、多くの自治体で固定資産税の標準税率と同じ「1.4%」に設定されています。これは課税標準額(評価額)の1.4%が税額として課せられることを意味します。ただし、市町村によっては条例で税率を引き上げている場合もあり、最大で2.1%(1.4%の1.5倍)まで設定可能です。例えば、一部の市では償却資産税率を1.5%や1.6%にしているケースがあります。
もっとも、大半の自治体は標準税率の1.4%を採用しています。読者の皆さんの会社が資産を持っている所在地についても、基本は1.4%と思って差し支えないでしょう。しかし複数の市町村に資産が点在する場合、それぞれの税率を確認しておくことをお勧めします。なお、税額を計算する際は課税標準額 × 税率で算出しますが、この課税標準額の求め方(評価のルール)が次に説明するポイントです。
評価額の計算方法:取得価額・耐用年数に基づく減価残存率の算定
償却資産税を計算する上で重要なのが、各資産の評価額の算定方法です。評価額とは課税の基準となる金額で、原則として「取得価額 × 減価残存率」で求められます。取得価額はその資産を購入したときの価格(付随費用込み)で、減価残存率は資産の耐用年数に応じて定められた率です。毎年、この率に従って評価額が逓減していく仕組みになっています。
具体的には、前年中に取得した資産は「取得価額 × (1 − 償却率)」で初年度評価額を算出し、前年より前に取得した資産は「前年度評価額 × (1 − 償却率)」で当年の評価額を計算します。償却率とは耐用年数表に基づく減価償却率から導かれた残存率で、耐用年数が長い資産ほど残存率はゆっくり減少し、短いと急激に減少するイメージです。なお、この方式は電算処理方式とも呼ばれ、現在ほとんどの自治体で採用されています。
評価額の最低限度(取得価額の5%ルール)と計算例
償却資産の評価額には最低限度が設けられています。具体的には、「その資産の評価額が取得価額の5%を下回る場合は、取得価額の5%を評価額とする」というルールです。これを通称5%ルールと呼びます。つまり、どれだけ年数が経過して価値が下がった資産でも、評価額は取得価額の5%を割り込まないということです。
例えば、取得価額100万円・耐用年数10年の機械があるとします。通常の計算で10年目の評価額が4万円になったとしても、5%ルールにより最低限度の5万円(100万円の5%)が評価額となります。したがって、その資産を使い続ける限り、毎年5万円 × 税率(1.4%なら7百円)の税金がかかり続けることになります。実務的には、古い資産でも完全には課税対象から外れない点に留意が必要です。
リース資産に係る償却資産税の申告が必要となるケース・不要なケースとは?申告の判断基準を解説
償却資産税は基本的に事業用資産を持っている全ての事業者が毎年申告すべきものですが、リース資産に関しては「自社で申告が必要な場合」と「自社では申告不要な場合」があります。また、資産の金額や種類によっては税金がかからないケースや申告そのものが不要なケースも存在します。ここでは、リース資産を含めた償却資産税の申告要否について整理し、どのような場合に申告が必要で、どのような場合に不要となるのかを解説します。
申告が必要な場合:事業者が償却資産(リース資産含む)を所有しているケース
まず、基本的に償却資産申告が必要なケースは「その事業者が課税対象となる償却資産を所有している場合」です。リース資産について言えば、前述の所有権移転ファイナンス・リースのように借手自身が申告義務者となる資産がある場合、借手企業はそれらを含めて償却資産申告書を提出する必要があります。また、単純に自社で購入・保有している機械や器具備品等がある場合も当然申告の対象です。
つまり、リースであれ自己所有であれ、1月1日時点で自社が所有者として扱われる事業用資産を持っている場合は申告義務が発生します。多くの企業は自社保有資産とリース資産が混在しているでしょうから、そのすべてをもれなく申告することが求められます。リース資産については契約類型を確認し、自社が申告すべきもの(借手申告分)を抜け漏れなく含めましょう。
申告が不要な場合:償却資産を一切所有していないケースや特定少額資産のみの場合
一方、申告が不要な場合もあります。代表的なのは、「1月1日時点で申告すべき償却資産を一切所有していないケース」です。例えば、オフィス設備などすべてレンタルやオペレーティング・リースで賄っており、自社で資産計上しているものが何もない場合には、理論上は償却資産申告は不要です。ただし前年までは資産を申告していたのに当年ゼロになったようなケースでは、市町村から問い合わせが来る可能性もあるため、念のため「資産なし」の申告書を提出する企業もあります。
また、「特定の少額資産のみ所有している場合」も実質的に申告が不要となる場合があります。具体的には、後述する少額減価償却資産の特例などで全額損金算入した資産(取得価額30万円未満のもの)だけを所有しているケースです。これら特例適用資産のうち一部は償却資産税の申告対象外となるため、結果として申告する資産がない状態になることがあります。
リース会社が申告するケース:借手が申告不要となるリース契約(貸手申告)
リース資産特有のケースとして、借手が申告しなくてよいリース契約があります。所有権移転外ファイナンス・リースやオペレーティング・リースでは、前述のとおりリース会社(貸手)が償却資産税を申告します。したがって、借手企業側から見るとそれらリース資産は自社の申告から除外することになります。
ただし、申告書には「借用資産(リース・レンタル)の有無」を問う欄が設けられており、借手はリース会社名や所在地等を記入する必要がある場合があります。これは自治体が貸手側の申告漏れを防ぐため、借手から情報提供を受ける仕組みです。借手企業は、自社で申告しないリース資産についても、その存在と貸手情報を明示する義務がある点に留意しましょう。
課税標準額150万円未満の場合の扱い:免税点と申告義務の有無
償却資産税には免税点と呼ばれる制度があります。1つの市町村内で所有する償却資産の課税標準額合計が150万円に満たない場合、その年度は税額が課されません。ただし、ここで重要なのは「税金がゼロでも申告は必要」という点です。免税点未満だからといって申告を省略すると、形式上は申告義務違反となってしまいます。
例えば、ある市で自社所有資産の評価額合計が100万円、リース資産(借手申告分)の評価額が30万円だった場合、合計130万円となり課税標準150万円未満なので税金は発生しません。しかし、この場合でも1月31日までに申告書を提出しなければなりません。免税点は税額計算上の措置であって、申告義務そのものを免除するものではないことに注意しましょう。
少額減価償却資産特例適用資産の申告漏れに注意(10万円未満・一括償却資産など)
中小企業などで利用できる少額減価償却資産の特例により、取得価額30万円未満の資産を即時償却(全額経費化)することができます。この制度を使うと、法人税の計算上は該当資産を一気に経費処理できるため帳簿上は資産が残らなくなります。しかし、償却資産税の申告では注意が必要です。
まず取得価額10万円未満の資産については、法人税上即時費用処理できますが、償却資産税の申告対象から除外されます。同様に、10万円以上20万円未満で一括償却資産としたものも申告不要です。これは税法上も煩雑さを避けるため特に除外されているものです。
しかし、中小企業者等の30万円未満特例で即時償却した資産(10〜30万円未満)は償却資産税では原則課税対象となります。帳簿上資産計上していないため見落としがちですが、申告書には含めなければなりません。特例適用資産は資産台帳から抜けやすく、申告漏れの典型例なので、顧問税理士等と連携して漏れのないよう管理しましょう。
リース資産の償却資産税申告書の書き方と記入例を詳しく解説
償却資産税の申告にあたっては、償却資産申告書という書類を提出する必要があります。ここでは、リース資産を含めた償却資産申告書の具体的な書き方と記入時のポイントについて解説します。用紙は各市町村から送付されてくるほか、電子申告の場合はeLTAX上で入力しますが、基本となる項目や記載内容は共通です。リース資産がある場合特有の欄もありますので、順を追って確認していきましょう。
償却資産申告書とは?リース資産を含め申告するための書類と役割
償却資産申告書は、事業者が毎年の償却資産を自治体に申告するための公式書類です。この申告書によって自治体は各資産の評価額を算定し、固定資産税額を決定します。申告書は大きく分けて「申告書(総括表)」と「種類別明細書」の2つで構成されます。総括表には全体の集計情報(資産種別ごとの取得額合計や課税標準額等)を記載し、明細書には個々の資産の詳細(名称・取得年・取得価額・耐用年数・評価額など)を記載します。
リース資産を借手として申告する場合(借手申告が必要な資産がある場合)は、それらも自社の資産として明細書に含め、総括表に合計を計上します。一方、借手申告不要のリース資産(貸手が申告するもの)については、明細書には載せませんが、総括表の所定欄に「借用資産あり」としてリース会社名等を記入する欄があります。この書式の役割は、前述の通り自治体への情報提供です。
申告書(総括表)の基本項目の記入方法:事業所情報とリース資産欄
申告書(総括表)の上部には、所有者である法人・個人事業主の名称・住所、資産の所在地、電話番号などを記入します。複数事業所がある場合は資産所在地ごとに申告書を作成する必要があります。次に、事業の種類(業種)や資産の種類(前年中に取得・事前から保有など)に関するチェック欄を埋めていきます。
リース資産に関係するのは、「借用(リース・レンタル)資産の有無」という欄です。ここで該当する方(ある場合)を○で囲み、借用資産がある場合には貸主(リース会社)の名称・住所・連絡先等を記載する欄があります。リース資産を借手として利用している場合はこの欄を忘れずに記入しましょう。加えて、総括表には資産の種類ごとの取得額合計や評価額合計、課税標準額を記載する欄があります。これは後述の明細書を作成した後、その集計結果を転記する形で記入します。
種類別明細書の記入方法:資産ごとの取得価額・耐用年数・評価額の書き方
種類別明細書には、自社が所有する償却資産を1件ずつ列挙していきます。明細書は資産の種類(用途)ごとに様式が分かれていることもありますが、基本的な項目は共通です。記入項目には、資産の名称(例:ノートパソコン、工作機械○○型など)、所在地(設置場所)、種類(用途区分コードなど)、取得年月、取得価額、耐用年数、前年中取得かどうかの別、そして評価額があります。
リース資産で借手申告が必要なもの(所有権移転リース資産など)は、自社で購入した資産と同様にここに記載します。取得年月日はリース契約開始時、取得価額はリース会社の購入価額(契約書などに記載の金額)を用います。耐用年数は税法に定める耐用年数表に従い、その資産の種類に応じた年数を書きます。評価額は自治体側で計算する場合も多いですが、電算処理方式で自社計算する場合は前述した計算方法で求めた金額を記入します。
リース資産に関する情報記入の注意点:貸主(リース会社)情報の記載など
リース資産を申告する上での注意点として、まず貸主情報の記入が挙げられます。総括表の借用資産欄にはリース会社の情報を書く必要がありますが、リース取引が複数社ある場合は主要なものを記載し、詳細は備考欄や別紙にて補足することも可能です。役所側はそれを手掛かりにリース会社からの申告内容と照合します。
また、明細書においてリース資産か否かを判別できるよう、資産名称に「(リース)」と注記したり、備考欄にリース資産である旨を記載するケースもあります(任意ですがわかりやすくするため)。さらに、資産の取得価額は消費税抜きか税込みかに注意しましょう。通常、税抜経理の企業は税抜価額で、税込経理なら税込価額で記入します。リース料に消費税が含まれていても、取得価額は税抜本体価格で把握しておくと正確です。
【記入例】リース資産を含む償却資産税申告書の具体的な記載サンプル
では、実際にリース資産を含む償却資産申告書の記入例を見てみましょう。例えば、借手企業A社がコピー機(所有権移転リース)と自社購入のパソコンを所有している場合を想定します。総括表には、まずA社の情報と資産所在地を記入し、借用資産ありに○を付けてリース会社名と住所を記載します。資産の種類欄には「器具備品」の合計取得額・評価額等を記入します(コピー機とパソコンはいずれも器具備品区分)。
次に明細書では、「コピー機(リース)」「ノートパソコン」と2行にわたり記載します。コピー機の取得年月はリース開始日(例:2023年4月)、取得価額はリース会社購入額(例:120万円)、耐用年数は「5年」(事務用機器の例)、評価額は取得価額×残存率で算出(初年度であれば120万円×0.864=103万6800円など)して記入します。パソコンも購入年月・金額・耐用年数(4年)に基づき評価額を計算します。こうした明細を積み上げ、その合計を総括表に転記して完成です。
上記のような記入例を参考に、自社の状況に合わせて正確に書類を作成しましょう。不明点がある場合は、市町村の担当部署に問い合わせたり、eLTAXのヘルプを参照すると良いでしょう。
eLTAXを利用した償却資産税(リース資産)の電子申告手順を解説
近年では、多くの自治体で償却資産税の申告にオンラインシステムeLTAX(エルタックス)を利用できます。eLTAXとは地方税ポータルシステムの名称で、固定資産税(償却資産)のほか法人住民税や事業所税など様々な地方税の電子申告に対応しています。リース資産を含む償却資産税申告もeLTAX上で行うことができ、書面提出に比べて効率的です。ここではeLTAXを用いた電子申告の流れと、その際の注意点について説明します。
eLTAX(エルタックス)とは?地方税の電子申告システムの概要
eLTAX(エルタックス)は、地方税共同機構が運営するインターネット上の税申告システムです。国税のe-Taxに対して地方税版のオンライン手続きと考えるとわかりやすいでしょう。利用者はeLTAXに登録することで、対応する自治体への各種税申告をオンラインで提出できます。償却資産申告もこのシステムの対象となっており、全国のほぼ全ての自治体がeLTAX経由の申告を受け付けています。
eLTAXを使うメリットは、なんといっても複数自治体への申告を一括管理できる点です。例えば複数の市町村に償却資産がある企業でも、一つの画面から各自治体宛の申告書をまとめて送信できます。また、提出後の受付結果通知もオンラインで確認可能です。紙で郵送したり各市のサイトに個別入力する手間が省け、ミス防止にもつながります。
電子申告の準備:利用者ID取得・電子証明書登録と事前準備
eLTAXで電子申告を行うには事前準備が必要です。まず、eLTAXのWebサイトで「利用者ID」の取得を行います。これは会社(または個人事業主)ごとに登録するもので、基本情報を入力して申請すると即時にIDが発行されます。次に、申告データに電子署名を付与するための電子証明書が必要です。法人の場合は代表者の電子証明書(商業登記所発行のICカードなど)を用意し、eLTAXに登録します。個人事業主であればマイナンバーカードの電子証明書が利用可能です。
さらに、eLTAXの利用には対応ソフトウェアが必要です。ウェブブラウザ上で動作するPCdeskウェブ版や、インストール型のPCdeskソフトがあります。自社の規模やIT環境に合わせて選択しましょう。いずれにせよ、利用者IDと電子証明書登録が済んでいれば電子申告を開始できますので、期限ぎりぎりではなく早めに準備しておくことをおすすめします。
償却資産申告書の電子フォームへの入力方法:リース資産の入力項目と注意点
eLTAX上で償却資産申告書の入力を行う場合、画面上に紙の申告書と同様の項目が用意されています。まず総括表の情報を入力し、次に資産の明細を入力していきます。リース資産について借手申告するものがある場合は、明細入力画面でその資産を追加しましょう。紙と違って、eLTAXでは明細行を追加していく形で入力します。
貸手申告分のリース資産(自社で申告しないもの)については、紙の総括表と同様に借用資産欄にリース会社情報を入力します。eLTAXのフォーム上でも「借用資産の有無」のチェックボックスや貸主情報入力フィールドがありますので、該当する場合は漏れなく記入してください。紙の場合と違って書き損じの心配はありませんが、入力漏れに気付かないことがないよう、画面の案内に沿って確認を進めましょう。
添付書類のアップロードと送信手順:電子申告での必要書類提出
電子申告では、紙で提出していた添付書類もデータで送る必要があります。償却資産申告に通常添付書類は多くありませんが、新規開業の場合に資産の内訳書を添えたり、大量の資産がある場合に明細をCSVファイルで添付することがあります。eLTAXには添付ファイルアップロード機能があり、PDFやCSVなど所定の形式で必要資料を送付可能です。
すべての入力と添付が完了したら、申告データを送信します。送信時に電子証明書を用いて電子署名を付与し、データが暗号化されて送られます。送信後、受信した自治体側で受付処理が行われ、後日「受付結果通知」がeLTAXの通知機能で届きます。これを確認して受付完了となります。なお、1月末の期限間際は回線混雑も予想されるため、できれば余裕をもって送信するようにしましょう。
複数自治体への一括申告・申告後の受領確認方法
eLTAXの利点として、複数の自治体に対して一括で申告できる点があります。例えば、本社があるA市と工場があるB市に償却資産がある場合、eLTAX上でA市用とB市用の申告書を作成し、同時に送信することが可能です。送信画面で対象自治体を選択するかたちで進めます。これにより、自治体ごとに別々の手続きをする手間が省けます。
送信後は、eLTAXの「届出・申請等の状況照会」機能などで各自治体の受付状況を確認できます。無事に受理されれば受付番号や日時が表示されますので控えておきましょう。また、必要に応じてeLTAXから送信控えを印刷またはPDF保存しておくと、後日の問合せ対応や社内記録として便利です。電子申告であっても控えの保管は大切ですので怠らないようにしてください。
中小企業向けの固定資産税軽減特例・優遇措置とは?リース資産の扱いを解説
中小企業の設備投資を支援するため、固定資産税(償却資産税)の軽減措置や税制上の優遇策がいくつか設けられています。ここでは、それらの概要とリース資産に関する扱いについて紹介します。せっかく受けられる減税措置があるならば積極的に活用したいところですが、リースで導入した設備がその対象になるかどうかは注意が必要です。代表的な少額資産の特例や先端設備導入に伴う固定資産税軽減策を中心に解説します。
少額減価償却資産の特例(30万円未満即時償却)の概要と趣旨
まず、中小企業者等(資本金1億円以下の法人など)を対象とした少額減価償却資産の特例についてです。この制度は、取得価額30万円未満の減価償却資産を年間合計300万円まで一括で損金算入できるという内容です。本来、10万円以上の資産は耐用年数にわたって減価償却する必要がありますが、中小企業の事務負担軽減や投資促進を図る趣旨で、一定の少額資産については購入年度に全額経費処理することが認められています。
この特例は法人税や所得税の計算上の優遇措置ですが、対象となる資産は当然固定資産税の世界にも存在します。30万円未満の機械や器具備品を購入した場合、税務上すぐ経費にできるため企業のキャッシュフローにメリットがあります。ただし、次で述べるように固定資産税(償却資産税)の申告ではまた別の取り扱いとなる点に注意が必要です。
30万円未満特例資産と償却資産税:即時償却資産は申告対象になるか?
少額資産特例で即時償却した資産について、償却資産税の申告対象になるかどうかを整理しましょう。前述の通り、取得価額10万円未満および10〜20万円未満(※一括償却資産)のものは償却資産税では申告不要とされています。しかし、30万円未満特例を適用して損金算入した資産(取得価額20〜30万円未満)は法律上は通常の減価償却資産と同様に扱われ、償却資産税の課税対象から外れるわけではありません。
つまり、30万円未満特例で一時に費用処理した資産も、取得価額20万円以上であれば償却資産申告書に含める必要があります。帳簿上は資産が存在しなくても、実際には事業に供されている限り物は存在するので、固定資産税の対象として報告義務があるということです。中小企業ではこの点の勘違いから申告漏れが起こりがちです。リース資産であっても、例えば20万円の器具をリースし特例適用で費用計上した場合でも、償却資産税では課税対象となり得る点を念頭に置きましょう。
中小企業の設備投資に対する固定資産税軽減措置(先端設備等導入計画等)の概要
次に、自治体独自(国の制度を受けて)の固定資産税軽減措置について紹介します。中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定を受けた中小企業が新たな設備投資を行った場合、固定資産税(償却資産税)の課税標準を一定期間ゼロまたは1/2などに軽減する制度があります。具体的には、生産性向上に資する機械装置や器具備品等を導入した場合に、最長3年度分の固定資産税が免除または半減されるといった措置です。
例えば、とある市町村では先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業が取得した対象資産に対し、3年間固定資産税ゼロ(課税標準の特例)を適用しています。また別の自治体では1/2課税とするところもあります。これらは国の政策に連動した地方税の優遇策で、毎年度の税制改正で期限延長や条件変更が行われつつ継続しています。最新の情報を自治体や中小企業支援策の公表資料でチェックすることが重要です。
リース利用時の固定資産税軽減の適用可否:賃借人(借手)は恩恵を受けられる?
では、上記の固定資産税軽減措置はリース資産にも適用されるのでしょうか。結論から言えば、「適用される場合もあるが、条件が限られる」が実情です。なぜなら、固定資産税の納税義務者は原則資産の所有者(リース会社)であり、軽減措置の適用主体も納税義務者であるリース会社になるためです。大手リース会社は中小企業ではない場合が多く、そもそも対象外となってしまうケースがあります。
しかし一部例外として、リース導入であっても賃借人である中小企業が軽減措置の恩恵を受けられる仕組みも用意されています。例えば、リース資産であっても借手を実質的な取得者とみなし軽減措置を適用する取り扱いを認める自治体もあります(リース会社との共同申請や確認書の提出が必要)。詳細は自治体により異なるため、一概に言えませんが、リース契約で設備導入する場合でも事前に自治体へ相談し、要件を満たせば軽減措置を検討する価値があります。
中小企業が活用できるその他の償却資産税の優遇策と留意点
上記以外にも、中小企業向けには様々な税制優遇措置があります。例えば、特定投資促進税制(中小企業投資促進税制)に関連して固定資産税の課税標準を2分の1軽減する措置や、一定の条件下での固定資産税据置措置などが過去に講じられています。これらは国の施策や地域活性化施策の一環で期間限定・地域限定で行われることも多く、自社が該当する場合には積極的に情報収集しましょう。
留意点として、税制優遇の適用には事前申請や計画認定が必要な場合が多いことが挙げられます。例えば先端設備等導入計画による軽減を受けるには、設備取得前に計画を作成し市町村の認定を受ける必要があります。また、適用を受けた資産について申告書で所定の事項を記載するなどの手続きも発生します。リース資産の場合は貸手との調整も必要になるケースがあるため、税理士やリース会社担当者とも連携して漏れなく進めることが大切です。
リース会計基準の変更が償却資産税(リース資産)に与える影響とは?税務上の留意点を確認
近年、リース取引の会計処理に関する基準が大きく変わりつつあります。国際財務報告基準(IFRS)ではリース会計基準の変更(IFRS16)が2019年に適用され、米国や日本の基準にも同様の考え方が取り入れられ始めています。2025年4月からは日本基準でも新リース会計基準が適用される予定で、多くの企業の財務諸表に影響が及ぶでしょう。
しかし、会計基準が変わっても償却資産税の取り扱いは基本的に従来通りです。ここでは、新リース会計基準の概要と、それによって償却資産税にどのような影響(または影響がないのか)について解説します。経理担当者が押さえるべき税務上の留意点も確認しておきましょう。
新リース会計基準(IFRS16等)のポイントと企業財務への影響
まず、新リース会計基準のポイントを簡単におさらいします。IFRS第16号「リース」は、原則として全てのリース取引を貸借対照表に計上することを求めています。借手はリース資産について「使用権資産(Right-of-use Asset)」と「リース負債」を計上し、オペレーティング・リースであってもオンバランス処理となります。この基準により、多額のリースを利用している企業は資産・負債が増加し、財務指標に影響を与えることが指摘されています。
日本基準でも、2025年度から同様の考え方を反映した新リース会計基準が適用開始予定です。これにより、従来オフバランスとして処理していたリース(オペレーティング・リース)も含め、借手企業は貸借対照表に計上することになります。財務諸表の見かけが大きく変わるだけでなく、リース料だったものが減価償却費と利息費用に置き換わるため、損益計算書の費用配分も変化します。
会計上の使用権資産と税務上の資産所有:考え方の違いを整理
新会計基準では「使用権資産」を計上すると述べましたが、これは会計上の概念であり税務上の資産所有とは切り離して考える必要があります。会計上はオペレーティング・リースでも資産計上しますが、税務上は前述したように依然として賃貸借扱いです。つまり、企業の帳簿にはリース資産(使用権資産)が載っていても、その法的所有者はリース会社のままであり、税法上の資産所有者も変わりません。
この違いを整理すると、会計:借手に資産計上(使用権)、税務:貸手が資産所有者という図式になります。従って、借手の財務諸表にリース資産が計上されていても、固定資産税の納税義務者が借手になるとは限らないわけです。経理担当者は、この「会計上の見かけ」と「税務上の実態」のずれを正しく認識しておく必要があります。
固定資産税申告に関する取扱いは従来通り維持:会計基準変更後も変わらない点
地方税法における償却資産税の取扱いは、新リース会計基準が導入された後も従来通り維持される見込みです。つまり、2025年4月以降、企業の会計上はオペレーティング・リース資産が貸借対照表に計上されるようになりますが、固定資産税の申告ルール自体は変更されません。地方税法上の納税義務者の考え方(資産の所有者ベース)はそのまま適用されます。
そのため、オペレーティング・リース資産についてはこれまで通りリース会社が申告者となり、借手企業は申告不要です。所有権移転ファイナンス・リースは借手申告、移転外ファイナンス・リースは貸手申告という従来の区分も変わりません。会計処理が変わったからといって、償却資産税の申告を新たにしなければならない資産が急増する、といったことは起こらないわけです。
借手のバランスシート計上と償却資産税申告の関係に注意
新会計基準適用後、借手のバランスシートにリース資産(使用権資産)が大量に計上される企業ほど、固定資産税申告との対応に注意が必要です。見た目上は資産が増えていますが、その全てが申告対象ではない点を周知・管理しなければなりません。例えば、財務諸表担当者と税務申告担当者との間で資産リストのすり合わせを行い、「このリース資産は貸手申告分だからうちでは申告しない」といった認識共有が不可欠です。
逆に、新基準適用で借手計上された資産の中に、所有権移転リースなど本来申告すべきものが紛れている場合は見逃さないようにしましょう。会計上も税務上も資産として扱うものについては、従来通り漏れなく申告することが重要です。会計と税務で資産の扱いが分かれるケースが増えるため、両者を橋渡しするチェック体制を強化することが賢明です。
経理担当者が押さえるべきリース会計と税務の不一致ポイント
最後に、経理・税務担当者が押さえておくべきポイントをまとめます。新リース会計基準により、会計と税務の不一致(税会不一致)が生じる箇所がいくつかあります。例えば、会計上はリース資産を減価償却しているのに税務上はリース料処理である場合、法人税の申告で損金経理の調整が必要になるかもしれません。しかし償却資産税については、税法のルールが優先され会計処理の変更に引きずられないことを再確認してください。
具体的には、償却資産税の申告では引き続き契約に基づいた資産の所有者ベースで考えること、借手計上された使用権資産の全てを申告対象と誤解しないこと、逆に会計上費用処理でも税務上申告すべきものは確実に申告すること、などが挙げられます。今後も税制改正などで変化がないか注視しつつ、社内のルールを整備して適切な申告業務を行っていきましょう。