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title: "エスノグラフィのフィールドワーク実践｜民族誌との違いと調査の進め方"
url: "https://www.issoh.co.jp/column/details/5583/"
published: 2025-02-28
updated: 2026-09-06
categories: ["マーケティング"]
publisher: "株式会社一創"
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# エスノグラフィのフィールドワーク実践｜民族誌との違いと調査の進め方

エスノグラフィのフィールドワークは、現場に長く居ることそのものが目的ではありません。原典にあたると、この手法が何を成果物と見なし、どこで失敗するのかがはっきりします。ブロニスワフ・マリノフスキーは1922年の『西太平洋の遠洋航海者』で民族誌を三本の柱に整理し、クリフォード・ギアツは1973年に「エスノグラフィは技法によっては定義されない」と言い切りました。ここでは、混同されやすいフィールドワークとエスノグラフィの線引きから、準備・記録・分析の手順、調査倫理、費用の考え方までを、原典と学会規程に沿ってまとめます。

## まとめ：エスノグラフィのフィールドワークで押さえる要点

- **フィールドワークは手法、エスノグラフィは作業と成果物**。現場に出る調査活動全般がフィールドワークで、そこから意味を解釈して書き上げたものが民族誌（エスノグラフィ）です。
- **ギアツは「技法の一覧はエスノグラフィを定義しない」と明言**。ラポール形成もフィールドノーツも手続きにすぎず、それを定義するのはギルバート・ライルから借りた「厚い記述」という知的作業だとしています。
- **マリノフスキーの三本柱で設計する**。制度の骨格、実生活の機微、現地の語りの集成という三系統をそろえて初めて、現地の視点に届きます。
- **先入観は捨てるが、問いは持って入る**。マリノフスキー自身が「予見された問題こそ研究者の元手」と書いており、「何も考えずに現場へ」は原典の読み違いです。
- **倫理は学会規程で線が引かれている**。日本文化人類学会倫理綱領（2008年6月1日施行・全12条）が説明責任、危害の防止、成果の地域還元を定めています。
- **費用は公開されていない**。定性調査で見積り事例を公開する会社はあっても、エスノグラフィの料金表はほぼ出てきません。変数を押さえて個別見積りを取るのが現実的です。

## フィールドワークとエスノグラフィの違い

この二語は日本語の記事でしばしば同義に扱われますが、指しているものの階層が違います。フィールドワークは行為、エスノグラフィは行為の性質と、その結果として残るテキストです。

### フィールドワークは技法の集合、エスノグラフィは「厚い記述」という作業

ギアツは1973年の論文集『The Interpretation of Cultures』の冒頭論文で、この点を正面から扱っています。教科書的な視点では、エスノグラフィをやるとは「ラポールを築き、インフォーマントを選び、テキストを書き起こし、系譜を取り、土地を測量し、日誌をつけること」だと述べたうえで、こう続けます。「しかし、この営みを定義するのはそれらのもの、技法や受け継がれた手続きではない」。

では何が定義するのか。ギアツはそれを「知的努力の種類」だとし、ギルバート・ライルから借りた概念として**厚い記述（thick description）**を置きます。ライルの議論は『Collected Papers』第2巻に収められた二本の論文「Thinking and Reflecting」「The Thinking of Thoughts」にあり、有名なまばたきの例もギアツの発案ではなくライルのものです。右まぶたを素早く閉じる二人の少年がいて、一方は不随意の痙攣、もう一方は共謀のウィンク。動作としては同一で、カメラのような観察からは区別できません。それでも両者の差は決定的で、ギアツはウィンクが成立する条件を五つ挙げています。意図的であること、特定の相手に向けられていること、特定のメッセージを伝えること、社会的に確立されたコードに従っていること、そして同席者に気づかれずに行われること。

実務に引き直すと、こうなります。売り場で客が商品を手に取って戻した、という記録は薄い記述です。それが値段への躊躇なのか、原材料表示の確認なのか、同行者への遠慮なのかまで、その場の関係とコードを含めて書けたときに厚い記述になります。**観察時間を延ばしても薄い記述の量が増えるだけで、厚くはなりません。**

### 民族誌・民俗誌・民族学の使い分け

エスノグラフィは英語で ethnography と綴り、日本語では**民族誌**と訳されます（語の成り立ちは[エスノグラフィーの名称由来](https://www.issoh.co.jp/column/details/10106/)で扱っています）。誤変換されやすい「民俗誌」は民俗学（folklore studies）側の語で、自民族の伝承や生活習慣の記録を指します。さらに紛らわしいのが**民族学**で、こちらは諸民族の文化を比較して人類文化の成り立ちを解こうとする学問領域の名称です。日本では文化人類学が長く民族学と呼ばれてきました。日本文化人類学会も1934年に**日本民族学会**として設立され、現在の名称に改称したのは2004年4月1日です。三語の混線には、この学会名の変遷に表れているとおり歴史的な理由があります。

整理すると、民族誌は個別の共同体を内側から記述したテキスト、民族学はそれらを横断的に比較する学問、民俗誌は自民族を対象とする記録です。調査報告書の表題を決めるときは、対象が自文化か他文化か、記述が目的か比較が目的かで選び分けます。

### 参与観察・デプスインタビューとの関係

参与観察はフィールドワークで使う技法の一つで、対象集団の生活に加わりながら観察する方法です。エスノグラフィは参与観察だけで完結せず、聞き取り、文献調査、記録物の収集を組み合わせます。逆に、参与観察を用いても解釈と記述に至らなければ民族誌にはなりません。技法の分類そのものは[観察法とは｜直接・間接・自然・実験・参与・非参与の種類と違いを解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/5711/)で、参与観察の具体的なやり方は[参与観察とは？読み方・意味と具体例、やり方をわかりやすく解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/5980/)で扱っています。

| 語         | 指すもの      | 階層    | 残るもの     |
| --------- | --------- | ----- | -------- |
| フィールドワーク  | 現場での調査活動  | 手法の集合 | 調査記録     |
| 参与観察      | 加わりながらの観察 | 一技法   | フィールドノーツ |
| エスノグラフィ   | 解釈と記述     | 知的作業  | 民族誌      |
| デプスインタビュー | 一対一の深掘り   | 併用技法  | 逐語録      |

## マリノフスキーが示した民族誌の三本柱

調査設計で迷ったときに戻る先は、参与観察を確立したマリノフスキーの『西太平洋の遠洋航海者』（1922年）の序論です。ここには、現場で何を集めるべきかが三系統に分けて書かれています。

### 骨格・実生活の機微・現地の語りの集成

第一に、部族の組織と文化の骨格を、具体的で統計的な記録の積み上げによって描くこと。誰が誰と親族関係にあり、何がどう分配され、行事がどの順で進むかという構造の部分です。第二に、その枠の中に**実生活の測りがたい要素（imponderabilia of actual life）**と行動の型を埋めていくこと。原典はこれを「細密で詳細な観察を通じて、ある種の民族誌的な日誌の形で集められねばならず、それは現地の生活との密接な接触によって可能になる」と書いています。第三に、定型化された物言い、特徴的な語り、呪術の文句などを**corpus inscriptionum**、つまり現地の心性を示す文書群として収集すること。

この三つの接近路が向かう先として、マリノフスキーは民族誌家が見失ってはならない最終目標を示します。「現地の人の視点、生に対する彼の関わり方を掴むこと、彼の世界の見え方を実感すること」。ここまでを一続きの設計として持てるかどうかが、観察日数の多寡より効きます。

実務に落とすと、三本柱はそのまま収集物のチェックリストになります。骨格は組織図・業務フロー・購買データ、実生活の機微は現場での観察ノートと写真・動画、語りの集成は現場で交わされる言い回しや社内用語の採録です。**どれか一つが欠けた報告書は、たいてい観察ノートだけが分厚く、構造と語彙が薄いという形で崩れます。**

### 「先入観は捨てる、予見された問題は持つ」

エスノグラフィの解説記事でよく見かけるのが「固定観念を捨てて現場に入る」という言い方。半分は正しく、半分は原典と食い違います。マリノフスキーは同じ序論の前半で「先入観（preconceived ideas）はいかなる科学的仕事においても有害だが、**予見された問題（foreshadowed problems）は科学的思考者の主たる元手である**」と述べ、さらに、持ち込む問題が多いほど、そして事実に応じて理論を作り直す習慣があるほど、仕事の備えは良くなると続けています。

つまり、捨てるべきは「答え」であって「問い」ではありません。仮説なしで現場に入るのは謙虚さではなく準備不足で、観察の焦点が定まらないまま日数だけが過ぎます。実務では、検証したい命題ではなく**答えの分からない問いのリスト**を持って入り、現場で外れたら問いごと書き換える運用が原典の趣旨に近い形です。

## フィールドワークの進め方：設計・記録・分析の三工程

ここからは実施手順です。定性調査全体の位置づけは[定性調査とは何か？基本概念と重要性をわかりやすく解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/6206/)にまとめています。

### 事前設計：問いの立て方と対象・期間の決め方

設計で決めるのは四つです。**問い**は前節のとおり、答えの分からない形にします。「若年層は節約志向か」は答えを含んだ問いで、「支出を抑える判断はどの場面で、誰との関係の中で起きるか」なら現場が答えを返せます。

**対象**は代表性ではなく情報量で選びます。定量調査のように母集団を縮小再現するのではなく、その現象が濃く現れる人・場を意図的に選ぶのが定性の作法です。**場面**は、対象者が普段どおり振る舞える環境かどうかで判断します。会議室に呼んだ時点で観察できるのは会議室での行動だけです。

**期間**は目的で変わります。学術的な民族誌は年単位が標準ですが、ビジネス調査では一世帯あたり半日から数日の訪問を数世帯分重ねる設計が一般的です。短縮する場合、削るのは観察時間ではなく対象数で、**1回の訪問を短くするより訪問先を減らすほうが結果は保てます**。三本柱のうち構造と語彙は短時間でも取れますが、実生活の機微は滞在時間が閾値を下回ると何も残らないためです。

### 現場の記録：フィールドノーツの書き分け

記録の教科書として広く使われているのが、エマーソン、フレッツ、ショウの『Writing Ethnographic Fieldnotes』（シカゴ大学出版局、初版1995年、第2版2011年）です。ここで重要なのは、現場で書く走り書きと、その日のうちに書き起こす本記録を分けることです。

走り書きに残すのは、後で再現できない具体だけにします。発話の逐語、時刻、位置関係、手に取った順序、表情の変化。**解釈をこの段階で書き込まないのが要点です。**「面倒そうだった」と書いた瞬間、「三度ラベルを裏返し、六秒後に棚へ戻した」という事実は失われ、後から別の解釈を当てる余地がなくなります。

本記録には、走り書きを時系列に展開したうえで、観察者の解釈と疑問を**別欄として**加えます。事実と解釈を同じ段落に混ぜないという分離が、後の分析で効いてきます。写真・動画を併用する場合も、撮影意図をその場でメモしないと、数週間後には何を撮ったのか分からない素材の山になります。

### 分析と記述：観察を厚い記述へ変える

分析は、記録から反復するパターンを拾い、それが成り立つ条件を特定し、条件ごとに意味を書き分ける順で進みます。ギアツの言い方に沿えば、「何が起きたか」から「その場のコードにおいてそれが何を意味したか」へ移す作業です。

成果物の形式は目的で変わります。学術論文なら民族誌記述として提出し、ビジネスなら発見事項と設計示唆に翻訳します。どちらの場合も、**観察された行動と、そこから導いた解釈を、読み手が切り離せる書き方にしておくこと**が信頼性を左右します。解釈だけを並べた報告書は、反証も再利用もできません。現場への介入と改善を同時に回す設計を取るなら、[アクションリサーチとは？意味・進め方（ステップ）と事例をわかりやすく解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/5399/)の枠組みが参考になります。

## 現場で崩れる三つの前提と対処

フィールドワークが失敗するとき、原因は技術ではなく前提の崩れにあります。三つのうち最も頻発するのは観察者効果で、短期の訪問調査ではほぼ必ず起きます。過剰同化は長期案件に限って現れ、収集物の偏りは報告書の段階で初めて表面化するため発見が遅れます。

一つ目は**観察者効果**です。観察されていると分かった時点で、対象者の行動は普段と変わります。完全に消すことはできないので、初回訪問は関係づくりに充て、判断材料は二回目以降の記録から取る運用が現実的です。数日の滞在で得た記録を「ありのまま」と扱うのは、この効果を無視した記述になります。

二つ目は**過剰同化（going native）**です。長期の関与で調査者が対象集団の見方を内面化し、自明化された前提を疑えなくなる状態を指します。対処は、記録を読む第三者を分析工程に必ず入れることです。現場に入らなかったメンバーが「なぜここで説明が省かれるのか」と問える体制が、内面化の検知装置になります。

三つ目は**収集物の偏り**です。前述のとおり、観察ノートだけが増えて構造と語彙が集まっていない状態が典型で、報告書が印象論に寄る主因になります。訪問のたびに三本柱のどれを補ったかを記録しておくと、偏りが早い段階で見えます。

## 調査倫理：日本文化人類学会倫理綱領が定める線引き

他人の生活の場に入って記録する以上、倫理は任意の配慮事項ではありません。日本文化人類学会は**倫理綱領**を定めており、附則により2008年6月1日から施行されています。全12条が「地球市民としての倫理」「調査地や調査対象の人々に対する倫理」「研究者間における倫理」「雇用主や資金提供者に対する倫理」の四区分に置かれ、運用のための倫理委員会規程は2016年4月1日施行です。綱領は各条を「1条（人権および諸権利の尊重）」のように、「第」を付けずに表記します。

フィールドワークの実務に直接かかるのは次の条項です。1条（人権および諸権利の尊重）は、いかなる場所・場合においても人権を尊重し、プライバシー、肖像権、知的財産権、著作権などの諸権利を侵害してはならないと定めます。撮影と公開を伴う調査では、この肖像権と著作権への言及が実務上の制約になります。

4条（説明責任）は、調査地・調査対象の人々に対して、当該調査・研究の目的、方法、そして**成果公表などの一切**に関する説明責任を負うと定めています。同意を取る対象が調査の実施だけでなく公表の範囲まで及ぶ点が要点で、報告書やプロモーションでの二次利用を後から追加する運用は綱領の趣旨に反します。5条（危害や不利益の防止）は、生命・安全・財産を損なわないことに加え、直接的・間接的な危害や不利益が生じないよう万全の体制を整えることを求めます。6条（調査・研究成果の地域への還元）は、成果を地域へ還元し、地域での利用可能性を保障することを念頭に置くよう定めています。

綱領は学会員に向けた規程ですが、ビジネス調査でも実務上の基準として使えます。**同意書に「公表媒体と範囲」「撮影素材の保存期間と廃棄」「本人からの取り下げ手続き」を明記しておくと、4条と1条の要請をおおむね満たせます。**なお、綱領の条文で用いられている語は「説明責任」であり、インフォームド・コンセントという表現そのものは条文に置かれていません。実務文書で参照する際は、この条番号と条見出しで引くのが正確です。

## ビジネスでのエスノグラフィ：機能した事例と条件

企業調査でエスノグラフィが成果を出したケースとして、記録が明確に残っているのがルーシー・サッチマンによるゼロックス社の複写機研究です。サッチマンは人類学の博士課程在籍中の1979年から1984年まで、ゼロックス・パロアルト研究所（PARC）にリサーチインターンとして在籍し、その間に、使いやすさを目指して設計されたはずの新型複写機がなぜ使いにくいのかを、利用場面のビデオ記録によって調べました。

見つかったのは、機械側の想定と人間の行動様式のずれです。ヘルプ機能は利用者が計画に沿って順に操作することを前提に作られていましたが、実際の利用者は状況に応じて絶えず即興し、計画から外れます。この知見は博士論文をもとに『Plans and Situated Actions: The Problem of Human-Machine Communication』としてケンブリッジ大学出版局から1987年に刊行され（邦訳は1999年、産業図書）、ヒューマンコンピュータインタラクションの基礎文献になりました。

この事例が示す条件は明確です。**エスノグラフィが効くのは、利用者自身が言語化できない不一致を探すときです。**「使いにくい理由」を尋ねるインタビューでは、利用者は自分の行動を計画的なものとして再構成して答えるため、即興というずれ自体が観察からしか出てきません。逆に、価格受容性や機能の優先順位づけのように本人が答えられる論点であれば、費用の高いエスノグラフィを使う理由は薄く、[デプスインタビューとは何か？定性調査としての基本と役割を解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/6223/)で扱う手法や定量調査のほうが速く済みます。マーケティング領域での適用範囲と国内外の実施事例は、[エスノグラフィーとは何か？（行動観察調査）マーケティングに活かす定性手法の意味と概要【完全ガイド】](https://www.issoh.co.jp/column/details/10106/)にまとめています。

## オンライン環境への拡張：ネトノグラフィー

対象の生活がオンラインへ移った領域では、同じ発想をネット上のコミュニティに適用する手法が使われます。ロバート・コジネッツは1990年代にインターネットとエスノグラフィを組み合わせた造語として**ネトノグラフィー（netnography）**を作り、1998年の論文「On Netnography: Initial Reflections on Consumer Research Investigations of Cyberculture」（Advances in Consumer Research 第25巻、366〜371頁）でオンラインの民族誌的調査の方法論として提唱しました。出発点はスタートレックのファンによるオンライン議論の分析でした。文献では、バーチャル・エスノグラフィ、オンライン・エスノグラフィ、デジタル・エスノグラフィなど複数の呼称が併存しています。

手法としての違いは記録の性質にあります。オンラインでは発話がテキストとして残り、走り書きの段階を経ずに逐語記録が手に入ります。一方で、身体の動き、場の空気、書き込まれなかった行動は取れません。**マリノフスキーの三本柱でいえば、語りの集成は取りやすく、実生活の機微は落ちます。**そのため、オンライン上の言説だけで生活実態を語ると、書き込む層の偏りをそのまま結論にしてしまいます。実務では、オンラインでの観察を訪問調査の設計に使い、現場で裏を取る組み合わせが無難です。

倫理面の扱いも変わります。公開された投稿であっても、書き手は研究対象になることを想定していません。前節の第4条（説明責任）に照らせば、引用の可否と匿名化の方針を事前に決めておく必要があります。

## 費用・期間・依頼先の考え方

エスノグラフィ調査の費用について、まず事実を押さえます。**日本の調査会社でエスノグラフィの料金表を公開しているところはほとんどありません。**定性調査で見積り事例を公開している例としては電通マクロミルインサイトがあり、同社サイトにはグループインタビューが3件（170万5,000円から223万8,000円）、デプスインタビューが2件（149万8,000円から181万2,000円）、オンラインインタビューが3件（149万8,000円から177万9,000円）掲載されています。ただしこれらは実際に見積もった事例であって統一料金ではなく、エスノグラフィ自体の事例は含まれていません。相場を示す記事は多くありますが、出所が確認できる公開価格には行き当たらないため、金額の断定は避けるのが妥当です。

見積りが動く変数は把握できます。同社は定性調査の料金構成を**企画・設計費（リクルーティング含む）、調査実査費、報告書作成費、諸経費**の四つと説明しており、エスノグラフィではこのうち調査実査費が突出します。調査員を現地に派遣する人件費、交通費・宿泊費、撮影機材、撮影許可の取得がかかるためです。訪問先が地方に分散すれば移動だけで日数が増えます。

| 変数        | 費用への効き方   | 削るときの優先度     |
| --------- | --------- | ------------ |
| 訪問世帯・拠点数  | 実査費に比例    | 高（先に削る）      |
| 1回あたり滞在時間 | 実査費に比例    | 低（削ると機微が消える） |
| 訪問先の地理的分散 | 交通費・日数に直結 | 高            |
| 撮影・記録の水準  | 機材費と編集工数  | 中            |
| 対象者条件の希少性 | リクルーティング費 | 中            |

依頼先を選ぶときは、実績事例の見せ方を確認します。発見事項が行動の記述として書かれているか、それとも印象の要約で終わっているかで、厚い記述まで到達できる体制かどうかが判別できます。**納品物に生の観察記録が含まれるかどうかを、見積り段階で必ず確認してください。**解釈だけを受け取る契約では、後から別の問いを立てても素材が手元に残りません。

## よくある質問

### エスノグラフィーとフィールドワークの違いは何ですか？

フィールドワークは現場に出て行う調査活動全般を指す広い語で、観察、聞き取り、文献調査、計測などを含みます。エスノグラフィはそのうち、対象の内側から意味を解釈して記述する営みと、その成果物である民族誌を指します。ギアツは技法の一覧ではエスノグラフィは定義されず、それを定義するのは「厚い記述」という知的作業だと述べています。

### エスノグラフィーと参与観察はどう違いますか？

参与観察は、調査者が対象集団の生活に加わりながら観察する技法の名称です。エスノグラフィは参与観察を主要な手段としつつ、聞き取りや記録物の収集を組み合わせ、最終的に解釈された記述にまとめるところまでを含みます。参与観察を行っても記述に至らなければ民族誌にはなりません。

### 民族誌と民俗誌は同じ意味ですか？

別の語です。民族誌はエスノグラフィの訳語で、文化人類学が特定の共同体を内側から記述したテキストを指します。民俗誌は民俗学の語で、自民族の伝承や生活習慣の記録を指します。さらに民族学は、諸民族の文化を比較して人類文化の成り立ちを解こうとする学問領域の名称であり、日本では文化人類学が長く民族学と呼ばれてきた経緯があります。

### エスノグラフィ調査の期間はどれくらい必要ですか？

学術的な民族誌では年単位の滞在が標準です。ビジネス調査では一世帯あたり半日から数日の訪問を複数件重ねる設計が一般的で、期間を圧縮する場合は1回の滞在時間ではなく訪問件数を減らします。滞在時間を削ると、マリノフスキーが「実生活の測りがたい要素」と呼んだ部分が記録に残らなくなるためです。

### エスノグラフィーは英語でどう書きますか？

ethnography と綴ります。形容詞形は ethnographic で、調査を行う人を指す ethnographer は民族誌家と訳されます。オンライン上のコミュニティを対象とする派生語が netnography（ネトノグラフィー）です。

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- [デプスインタビューとは何か？定性調査としての基本と役割を解説](https://www.issoh.co.jp/column/details/6223/)

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出典: [エスノグラフィのフィールドワーク実践｜民族誌との違いと調査の進め方](<https://www.issoh.co.jp/column/details/5583/>)（株式会社一創）
